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the 30th day ただいま
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ルリアーナ城は、久しぶりに温かい空気に包まれている。
呪いに倒れた王女が護衛の騎士と無事に戻り、城内で溢れていた王女を永遠に失うかもしれないという絶望が消えた。
異国から雇った護衛が王女の呪いを解いたと、カイはまたルリアーナ城で評価を上げていた。
「団長、殿下の呪いは、もう完全に無くなったんですね?」
自室でシンはカイに尋ねる。
「そうらしい。呪いが見えない以上、殿下の言葉を信じるしかないが……」
カイはそう言って自分の荷物の荷ほどきをしていた。
「で、団長は王女殿下をちゃんと支えられましたか?」
ロキはその部分ではカイ・ハウザーという男を信用していない。レナが、まだ心に傷を負っているのは間違いないのだろうと気にしていた。
「今回に関しては……自分でも不思議なんだが……それなりにちゃんと支えられた気がするな」
根拠など無かったが、カイは呪いに倒れたレナをずっと支え続け、ここまでの時間を共に過ごしてきた自負があった。精神的なケアなど、特に女性相手となるとカイは全く役に立たないのだが、どういうわけかレナはカイをずっと頼っていた。
「そうなんですか……意外です」
ロキは堂々と肯定したカイに驚いた。ここまで言い切れるということは、何か確信があってのことなのだろう。
「団長がちゃんと殿下を支えてくれたなら、安心ですね。それにしても、呪いからお姫様を救うとか、団長に伝説が増えて行く気がします」
シンはそう言って、目の前の上司はいつも規格外だなと笑う。
「呪いから人を救うのは、完全に専門外だな。雷にも打たれたし、空間の間とかいう異空間に行ったり、呪術師相手は勝手が違う」
カイはそう言うと、上着を脱いでベッドに身体を預け横になった。
「クロノスとの移動も、殿下を気遣いながらで妙に身体が凝った」
カイは疲れが出ている腕に、あんな姿勢をとっていたのだから仕方が無いかと移動中を思い出していた。
「あの2人乗りはないですよね。これぞ王女様と騎士様の理想みたいな雰囲気出して、妙にぴったりくっついてるし」
ロキは、納得が行かないとでも言いたそうに口を尖らせている。2人があまりに似合いすぎていることに、ここまで屈辱感を味わうのかと穏やかでなかった。
「無事に殿下の呪いを解く任務を果たしたのに、そんな変なことを言われている俺はなんなんだ?」
ベッドに身体を預けたカイが不満げに言う。
「分からないんですか? お似合いだって言いたいんですよ。それが悔しいだけです」
ロキはそう言うとカイの方をじっと見た。
「おかえり。やっぱりあんたには敵わないな、カイ・ハウザー」
ロキは久しぶりにカイを上司としてではなく、同じ実業家として見た。
ロキにとってカイの事業は無駄が多い。固定費が掛かりすぎて人件費も重すぎる。それでも、こうしてカイの活躍を目の当たりにすると、この男は世界に必要な人間なのだと思い知らされてしまうのだ。
「ああ、ただいま」
カイはそう言って天井を見たまま軽く笑った。
呪いに倒れた王女が護衛の騎士と無事に戻り、城内で溢れていた王女を永遠に失うかもしれないという絶望が消えた。
異国から雇った護衛が王女の呪いを解いたと、カイはまたルリアーナ城で評価を上げていた。
「団長、殿下の呪いは、もう完全に無くなったんですね?」
自室でシンはカイに尋ねる。
「そうらしい。呪いが見えない以上、殿下の言葉を信じるしかないが……」
カイはそう言って自分の荷物の荷ほどきをしていた。
「で、団長は王女殿下をちゃんと支えられましたか?」
ロキはその部分ではカイ・ハウザーという男を信用していない。レナが、まだ心に傷を負っているのは間違いないのだろうと気にしていた。
「今回に関しては……自分でも不思議なんだが……それなりにちゃんと支えられた気がするな」
根拠など無かったが、カイは呪いに倒れたレナをずっと支え続け、ここまでの時間を共に過ごしてきた自負があった。精神的なケアなど、特に女性相手となるとカイは全く役に立たないのだが、どういうわけかレナはカイをずっと頼っていた。
「そうなんですか……意外です」
ロキは堂々と肯定したカイに驚いた。ここまで言い切れるということは、何か確信があってのことなのだろう。
「団長がちゃんと殿下を支えてくれたなら、安心ですね。それにしても、呪いからお姫様を救うとか、団長に伝説が増えて行く気がします」
シンはそう言って、目の前の上司はいつも規格外だなと笑う。
「呪いから人を救うのは、完全に専門外だな。雷にも打たれたし、空間の間とかいう異空間に行ったり、呪術師相手は勝手が違う」
カイはそう言うと、上着を脱いでベッドに身体を預け横になった。
「クロノスとの移動も、殿下を気遣いながらで妙に身体が凝った」
カイは疲れが出ている腕に、あんな姿勢をとっていたのだから仕方が無いかと移動中を思い出していた。
「あの2人乗りはないですよね。これぞ王女様と騎士様の理想みたいな雰囲気出して、妙にぴったりくっついてるし」
ロキは、納得が行かないとでも言いたそうに口を尖らせている。2人があまりに似合いすぎていることに、ここまで屈辱感を味わうのかと穏やかでなかった。
「無事に殿下の呪いを解く任務を果たしたのに、そんな変なことを言われている俺はなんなんだ?」
ベッドに身体を預けたカイが不満げに言う。
「分からないんですか? お似合いだって言いたいんですよ。それが悔しいだけです」
ロキはそう言うとカイの方をじっと見た。
「おかえり。やっぱりあんたには敵わないな、カイ・ハウザー」
ロキは久しぶりにカイを上司としてではなく、同じ実業家として見た。
ロキにとってカイの事業は無駄が多い。固定費が掛かりすぎて人件費も重すぎる。それでも、こうしてカイの活躍を目の当たりにすると、この男は世界に必要な人間なのだと思い知らされてしまうのだ。
「ああ、ただいま」
カイはそう言って天井を見たまま軽く笑った。
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