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the 30th day 運命のうねり
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日が暮れ始めたころにカイとレナが城門に着くと、見知った人物が中からこちらを見ているのに気付いてカイは驚いた。
「シン、ロキ……?」
カイは急いでクロノスから降り、レナを降ろす。
「お2人、妬けちゃうくらい似合ってますね?」
ロキがその様子を見て、面白くなさそうに言った。
「お帰りなさい。大丈夫でしたか?」
シンとロキはカイとレナのところに駆け寄ると、呪いがどうなったのか、ミリーナはどうなのかなどを心配しているようだった。夕方になると城門に来てはカイとレナの帰りを待っていたらしい。
「呪いは、もう私の身体からは無くなったのよ。でもミリーナは……母様は、私の目の前でレオナルドに殺されたわ」
レナは口に出すと思い出してしまう。目に涙を溜めながら言った。
「そうだったんですか……」
シンとロキは悔しそうな顔をしながらも、レナの呪いが無くなったことに安堵する。
「サラとサーヤ殿はもう少ししたら到着すると思うが、先に殿下を連れて戻っていてくれ。俺はクロノスを預けて来る」
カイが2人に向かって言うと、
「はい!」
とシンとロキは嬉しそうに返事をした。
カイは、レナを連れて城に向かって行ったシンとロキ、それにレナの背をじっと眺めながらその姿を見送った。
長旅を終えたクロノスの身体をポンポンと叩きながら、
「よくやったな。お前のお陰で無事に戻ってこられたぞ」
と褒め、ようやく王女を城に戻せたことに目を細めた。
すっかり青空に緋色が差し始め、空の色が混ざり始めていた。辺りは暗くなる寸前の幻想的な色を帯びている。
ハウザー騎士団が1ヶ月滞在するうちに、ルリアーナは一年で一番美しいと言われる夜の長い季節になっていた。
(メインだった殿下の見合いも終わり、脅迫状は正教会の周りだと分かり、メイソンが捕まり……。レジスタンスの呪術師で殿下に呪いをかけたミリーナもこの世からいなくなった。もう、殆どの問題は解決した……のか?)
カイは城に背を向けて、クロノスを城下町に預けるため歩き出した。完全に任務完了だと割り切るには何かが引っかかる。
(そうか……この国とリブニケ王国との関係が、まだハッキリ解決したわけじゃない。婚姻で殿下がポテンシア王国と関係が出来た時に、周辺国とのバランスはどうなるんだ・・?)
パースは、レナが呪いに倒れた直後にポテンシアの侵攻を受けていた。
今回の任務中にも、国際情勢は日々変わっている。それは、レナがその中心に巻き込まれていくことと同じなのだろう。
(殿下の呪術師としての能力は、誰かに悪用されたりしないのだろうか……)
ミリーナが先導士として利用されそうになっていたことからしても、全くあり得ない話ではない。
ポテンシア国王も呪術の存在については把握しているはずだ。
(ダメだ。可能性だけで物事を考えるな……)
カイは頭の中に浮かんだイメージを否定するように首を振り、クロノスと共に歩いた。
あと4日が経つころには、カイにとってレナは雇用主でもなんでもない赤の他人に戻る。
そんなことを考えていると、クロノスはわざとカイに甘えるように首を振った。
「クロノス……もう少ししたら、また移動が続くからな」
カイはクロノスの頬を撫でた。主人の様子を心配してくれたらしい。カイはいつでも自分に忠実な愛馬の姿に和む。
城下町を歩くうちに辺りはすっかり暗くなり、紅く染まっていた空が藍色に変わり始めていた。
カイは、小さな星が輝き始めているのをクロノスと眺める。
夜が訪れる直前の空に、物事の移り変わりを見た気がした。
「シン、ロキ……?」
カイは急いでクロノスから降り、レナを降ろす。
「お2人、妬けちゃうくらい似合ってますね?」
ロキがその様子を見て、面白くなさそうに言った。
「お帰りなさい。大丈夫でしたか?」
シンとロキはカイとレナのところに駆け寄ると、呪いがどうなったのか、ミリーナはどうなのかなどを心配しているようだった。夕方になると城門に来てはカイとレナの帰りを待っていたらしい。
「呪いは、もう私の身体からは無くなったのよ。でもミリーナは……母様は、私の目の前でレオナルドに殺されたわ」
レナは口に出すと思い出してしまう。目に涙を溜めながら言った。
「そうだったんですか……」
シンとロキは悔しそうな顔をしながらも、レナの呪いが無くなったことに安堵する。
「サラとサーヤ殿はもう少ししたら到着すると思うが、先に殿下を連れて戻っていてくれ。俺はクロノスを預けて来る」
カイが2人に向かって言うと、
「はい!」
とシンとロキは嬉しそうに返事をした。
カイは、レナを連れて城に向かって行ったシンとロキ、それにレナの背をじっと眺めながらその姿を見送った。
長旅を終えたクロノスの身体をポンポンと叩きながら、
「よくやったな。お前のお陰で無事に戻ってこられたぞ」
と褒め、ようやく王女を城に戻せたことに目を細めた。
すっかり青空に緋色が差し始め、空の色が混ざり始めていた。辺りは暗くなる寸前の幻想的な色を帯びている。
ハウザー騎士団が1ヶ月滞在するうちに、ルリアーナは一年で一番美しいと言われる夜の長い季節になっていた。
(メインだった殿下の見合いも終わり、脅迫状は正教会の周りだと分かり、メイソンが捕まり……。レジスタンスの呪術師で殿下に呪いをかけたミリーナもこの世からいなくなった。もう、殆どの問題は解決した……のか?)
カイは城に背を向けて、クロノスを城下町に預けるため歩き出した。完全に任務完了だと割り切るには何かが引っかかる。
(そうか……この国とリブニケ王国との関係が、まだハッキリ解決したわけじゃない。婚姻で殿下がポテンシア王国と関係が出来た時に、周辺国とのバランスはどうなるんだ・・?)
パースは、レナが呪いに倒れた直後にポテンシアの侵攻を受けていた。
今回の任務中にも、国際情勢は日々変わっている。それは、レナがその中心に巻き込まれていくことと同じなのだろう。
(殿下の呪術師としての能力は、誰かに悪用されたりしないのだろうか……)
ミリーナが先導士として利用されそうになっていたことからしても、全くあり得ない話ではない。
ポテンシア国王も呪術の存在については把握しているはずだ。
(ダメだ。可能性だけで物事を考えるな……)
カイは頭の中に浮かんだイメージを否定するように首を振り、クロノスと共に歩いた。
あと4日が経つころには、カイにとってレナは雇用主でもなんでもない赤の他人に戻る。
そんなことを考えていると、クロノスはわざとカイに甘えるように首を振った。
「クロノス……もう少ししたら、また移動が続くからな」
カイはクロノスの頬を撫でた。主人の様子を心配してくれたらしい。カイはいつでも自分に忠実な愛馬の姿に和む。
城下町を歩くうちに辺りはすっかり暗くなり、紅く染まっていた空が藍色に変わり始めていた。
カイは、小さな星が輝き始めているのをクロノスと眺める。
夜が訪れる直前の空に、物事の移り変わりを見た気がした。
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