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the 28th day 2人の間にあるもの
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村の小さな飲食店でそれぞれ飲み物を頼むと、4人は座りながら話していた。
「どうやって、ミリーナの気配を探るつもりだ?」
カイに聞かれてレナは、
「正直、策は無いんだけど……」
と笑うと、
「何となくだけど、彼女が居る場所に到着したら、分かる気がするの」
と付け加えたのを、カイは妙に納得して聞いていた。
「もし、ミリーナ様に会ったら、どうされるつもりですか?」
サーヤが心配そうにレナに言う。サーヤはミリーナの術師としての実力についてはいくつかの話を聞いたことがある。恐らくレナの太刀打ちできる相手ではない。また新たな被害に遭う可能性もあった。
「カイと2人がかりで拘束するんじゃないかしら。私ひとりじゃ、恐らく術を防ぐくらいのことしかできないと思うし」
レナが当たり前のように言ったので、サラは、
「そんなに、すごい方なのね。ミリーナ様ってのは」
と感心したように驚いていた。
「分からないけど、術師としてのキャリアが圧倒的に違うもの」
レナの呪術師としての実力は、ここ数日で身に付けた付け焼刃のようなものしかない。
「サーヤは、会ったことあるの?」
レナが尋ねると、サーヤは気まずそうに頷いた。
「教会に、ミリーナ様がいらしていたことがあって、祈りを捧げてくださったことがあります。教会の中心にあった噴水の水が一瞬浮かんで、光の粒のようになって礼拝堂にキラキラと舞って……とても気持ちの良い祈りでした。美しい声と、美しい瞳をした方でしたよ」
サーヤはミリーナを思い出して言った。
「あの方が、そんな悪いことをする方には思えません」
サーヤは悲痛な表情を浮かべていた。
「そうね。きっと、誰から見ても悪人という人は、あまりいないんだと思うの。あなたのようなレジスタンスの信仰者にとって、ミリーナという人は必要で大切な人だったのかもしれない。そして、きっと彼女も被害者でしかなかった。でも……だからと言って、罪もない人に呪いを掛けたり、殺したりすることを肯定することはできないでしょ」
レナがそう言うと、サラとサーヤは無言で頷いている。
「殿下に、ミリーナの記憶はあるのか?」
ふいにカイが尋ねると、レナは首を振って、
「それも恐らく彼女の力で封印されているんだと思うわ。思い出しそうになることはあったけど、ちゃんと思い出せたことが無いの」
と寂しそうに言った。
「殿下みたいな良い子が娘だったら、あたしはいくらでも自慢して可愛がるわよ」
サラが悔しそうに言ったので、レナは小さく「ありがとう」と言って、目の前に置かれたアイスティーに口を付ける。
「親なんかいなくたって、今迄やれてきたのなら困ることは無い。俺もロキも……殿下の知る通りだ」
カイが得意気にレナを見る。
「確かに、カイもロキも、親とは早くに離れていたわね。心強いわ」
とレナは嬉しそうにカイに言った。
「次の目的地までは、あとどのくらい?サーヤは大丈夫?」
「大丈夫です、ご心配をおかけしました」
「次の目的地まで、3時間弱見ている。少し道が悪そうだから、揺れるかもしれないな」
サーヤとカイがレナの質問に答えた。
「じゃあ、行きましょうか」
レナがサーヤの様子を確認すると、店を出ることにする。
サーヤとサラは店の会計に向かい、レナは店の外で待っていたクロノスとウレアのところに向かった。側には護衛のカイがしっかりついている。
2人が馬と戯れている様子を見ながら、
「ハウザー様って、レナ様と一緒にいる時は表情が豊かな気がします……」
とサーヤがサラに呟いた。
「まあ、団長はあのお姫様の事、気に入ってると思うけど。雇用主に異性としての好意を持つのは、うちは禁止だから、そういうのじゃないんでしょうね」
サラはそう言うと、カイとレナの姿を見て「絵になる2人と絵になる馬が揃ってキラキラしてるわね」と呟く。
「私、レナ様とハウザー様がなんであんなに親密そうなのか、不思議でした」
サーヤは楽しそうに笑い合っているカイとレナを見ていた。
「あたしだって、団長にしては女性と打ち解けているから結構驚いたけど、今は納得してるわよ」
サラの言葉に、サーヤは不思議そうな顔をしたので、
「団長も同じ年の頃に両親を亡くしているから、あのお姫様の気持ちが分かるのよ。あと、生まれのせいで避けられないプレッシャーとか、やりきれなさみたいなものに、共感しているんでしょうね」
とサラは加えた。
サーヤは、2人の間には自分の理解しきれない共感軸があるのだと知る。同時に自分には一生分からないことなのだと思うと、外で楽しそうにする2人の姿にぐっと胸が苦しくなった。
「どうやって、ミリーナの気配を探るつもりだ?」
カイに聞かれてレナは、
「正直、策は無いんだけど……」
と笑うと、
「何となくだけど、彼女が居る場所に到着したら、分かる気がするの」
と付け加えたのを、カイは妙に納得して聞いていた。
「もし、ミリーナ様に会ったら、どうされるつもりですか?」
サーヤが心配そうにレナに言う。サーヤはミリーナの術師としての実力についてはいくつかの話を聞いたことがある。恐らくレナの太刀打ちできる相手ではない。また新たな被害に遭う可能性もあった。
「カイと2人がかりで拘束するんじゃないかしら。私ひとりじゃ、恐らく術を防ぐくらいのことしかできないと思うし」
レナが当たり前のように言ったので、サラは、
「そんなに、すごい方なのね。ミリーナ様ってのは」
と感心したように驚いていた。
「分からないけど、術師としてのキャリアが圧倒的に違うもの」
レナの呪術師としての実力は、ここ数日で身に付けた付け焼刃のようなものしかない。
「サーヤは、会ったことあるの?」
レナが尋ねると、サーヤは気まずそうに頷いた。
「教会に、ミリーナ様がいらしていたことがあって、祈りを捧げてくださったことがあります。教会の中心にあった噴水の水が一瞬浮かんで、光の粒のようになって礼拝堂にキラキラと舞って……とても気持ちの良い祈りでした。美しい声と、美しい瞳をした方でしたよ」
サーヤはミリーナを思い出して言った。
「あの方が、そんな悪いことをする方には思えません」
サーヤは悲痛な表情を浮かべていた。
「そうね。きっと、誰から見ても悪人という人は、あまりいないんだと思うの。あなたのようなレジスタンスの信仰者にとって、ミリーナという人は必要で大切な人だったのかもしれない。そして、きっと彼女も被害者でしかなかった。でも……だからと言って、罪もない人に呪いを掛けたり、殺したりすることを肯定することはできないでしょ」
レナがそう言うと、サラとサーヤは無言で頷いている。
「殿下に、ミリーナの記憶はあるのか?」
ふいにカイが尋ねると、レナは首を振って、
「それも恐らく彼女の力で封印されているんだと思うわ。思い出しそうになることはあったけど、ちゃんと思い出せたことが無いの」
と寂しそうに言った。
「殿下みたいな良い子が娘だったら、あたしはいくらでも自慢して可愛がるわよ」
サラが悔しそうに言ったので、レナは小さく「ありがとう」と言って、目の前に置かれたアイスティーに口を付ける。
「親なんかいなくたって、今迄やれてきたのなら困ることは無い。俺もロキも……殿下の知る通りだ」
カイが得意気にレナを見る。
「確かに、カイもロキも、親とは早くに離れていたわね。心強いわ」
とレナは嬉しそうにカイに言った。
「次の目的地までは、あとどのくらい?サーヤは大丈夫?」
「大丈夫です、ご心配をおかけしました」
「次の目的地まで、3時間弱見ている。少し道が悪そうだから、揺れるかもしれないな」
サーヤとカイがレナの質問に答えた。
「じゃあ、行きましょうか」
レナがサーヤの様子を確認すると、店を出ることにする。
サーヤとサラは店の会計に向かい、レナは店の外で待っていたクロノスとウレアのところに向かった。側には護衛のカイがしっかりついている。
2人が馬と戯れている様子を見ながら、
「ハウザー様って、レナ様と一緒にいる時は表情が豊かな気がします……」
とサーヤがサラに呟いた。
「まあ、団長はあのお姫様の事、気に入ってると思うけど。雇用主に異性としての好意を持つのは、うちは禁止だから、そういうのじゃないんでしょうね」
サラはそう言うと、カイとレナの姿を見て「絵になる2人と絵になる馬が揃ってキラキラしてるわね」と呟く。
「私、レナ様とハウザー様がなんであんなに親密そうなのか、不思議でした」
サーヤは楽しそうに笑い合っているカイとレナを見ていた。
「あたしだって、団長にしては女性と打ち解けているから結構驚いたけど、今は納得してるわよ」
サラの言葉に、サーヤは不思議そうな顔をしたので、
「団長も同じ年の頃に両親を亡くしているから、あのお姫様の気持ちが分かるのよ。あと、生まれのせいで避けられないプレッシャーとか、やりきれなさみたいなものに、共感しているんでしょうね」
とサラは加えた。
サーヤは、2人の間には自分の理解しきれない共感軸があるのだと知る。同時に自分には一生分からないことなのだと思うと、外で楽しそうにする2人の姿にぐっと胸が苦しくなった。
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