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the 24th day 地下牢にて

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 3人は無言で自室に戻る。
「メイソンのところに行くぞ。付いてくるのなら自由にしろ」
 と、カイが2人に声を掛けた。

「メイソン……? なんでまた、地下牢まで?」
 シンが尋ねると、
「黒幕の可能性が出てきた。呪術師として、地下牢から指示を出しているかもしれない」
 とカイが言ったので2人は息を飲んだ。

「役に立てないかもしれませんが……付いて行きます」
 ロキが暗い表情で言った。
「俺も行きます」
 シンもロキが心配で付いて行くことにする。
 地下牢までの道で、3人は口を閉ざしたままだった。重い空気が漂い、普段であればシンが口を開いて場を和ませるところが、シンまでも暗い。

 ルリアーナ城の地下をゆっくり降りていくと、何重にも鍵のかかった牢が現れた。カイが持っていた鍵を使って重い扉を開けて進んで行く。じめじめした空気が、今の3人には余計に嫌な気分を思い出させる。

 暫く進むと、ひとつの牢からひときわ楽しそうに3人を眺める囚人がいた。
「メイソンか」
 カイはレナの見合いに来たメイソンを覚えていたが、顔中に髭を生やして囚人服に身を包む姿は元公爵らしい面影が全くなくなっていた。
「王女の護衛が来るとは思わなかったな。何が聞きたい?」
 メイソンはそう言うとニヤニヤと笑っていた。

「何がおかしい?」
 カイは、メイソンの様子に、何かを知っているに違いないと確信した。

「どうせ、私を裁くことは叶わないのだ。この国の法律では、私は牢の中で自由だからな」
 メイソンの言葉に、カイはいつになく苛立った。「気」の力を使ってメイソンの身体を宙に浮かせる。

「自由か。それは、おめでたいな」
 カイはそう言うと、2メートルの高さ程度まで浮かせたメイソンに、
「ここから落とすのも、自由か」
 と付け加えた。

「貴様……術師か……」
 メイソンは目を見開き、すっかり床の遠くなった状況からカイを見る。

「俺がここに来ている理由が分かっているんだろうな」
 カイはメイソンの身体をそのまま天井まで持ち上げ、背中をこすりつけながら脅しをかけ始める。

「さしずめ、何かが起きて……事情聴取というところか」
 メイソンがそう言って笑うと、カイはふっと「気」の力をゆるめた。そのままメイソンは落下し、地面に着く2㎝ほど手前のところで止まる。

「いい加減にしてくれ」
 カイの怒りが本気だと察したメイソンは、
「しかし、何も知らないと言ったらお前は何もできないだろう」
 と言い訳のように話し出す。

「知らない、か。思い知ってもらうために、その歯を1本ずつ抜いて行ってやろうか」
 カイの言葉にメイソンは急に焦りだした。

「な、何を、暴力に訴えるなど、野蛮な……」
 明らかに様子が違うのを見て、
「さっきから、その歯に宝石らしきものが見えるのは、俺の見間違いか?」
 とカイは凄んだ。

「貴様……」
 口ではそう言うメイソンは、青くなり、すっかり勢いがなくなっている。

「団長。俺、殿下を襲ったとかいうこいつには、深い恨みがあるんですけど」
 カイの後ろでロキが声を上げる。

「ああ、ロキは術師じゃないからな……牢を開けるか?」
 と尋ね、メイソンを降ろすと鍵穴に鍵を入れ、牢を開けた。

「悪いけど……俺、今、ムカついてムカついて怒りが抑えきれないんだよね。……貴様は、死んでも許さない……」
 ロキはそう言ってメイソンの胸ぐらをつかみ、牢の壁に叩きつけた。

「わー……相当切れてるな……」
 シンは仕方が無いかと思いながら、メイソンの歯が全て折れるまでの暴力行為とその工程を、しっかりと見続けることになってしまった。
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