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the 23rd day 犠牲者
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サラの部屋にはレナを含めた5人が集まっていた。身体中に包帯を巻かれたサラは、切り傷は少ないものの全身に打撲を負っている。
「どこの手のものだろうな。何故正教会側の一般人を殺したのか……。レジスタンスが兵を雇うとはとても思えないんだが」
カイは一連の動きに対する違和感をひとつずつ口にする。
「そうね、誰かに雇われたのは間違いなさそうだったけど、『邪魔をするものは殺せばいい』と曖昧な指令を受けているらしく、無差別に犯行を起こす可能性を感じたわ。
サラは短いやり取りで相手は言葉が不自由だったことや、言動から分かったことを報告した。
「サラ、怪我が多かったのは残念だが、無事でよかった。お陰で、思った以上に城下町で何かが起こることが分かった」
カイは、すぐにでも城下町に行きたい気持ちを抑えながらサラを労う。
「こんなことになってごめんなさい。相手が強かったのよ。あたしが撃退でていれば、もう少し違う動き方もあったのにね」
サラはそう言って悔しがっている。サラは身体の痛みよりも無念の方が大きかった。
「サラのお陰で知り得たことが多いのだから、謝る必要なんてないわ」
レナがそう言うと、サラは目にうっすら涙を溜めた。
「あたしが団長並みに強かったら、殿下に不安を与えることもなかったわね」
「馬鹿なこと言わないでください。団長並みに強いって、そんな高望みしたって仕方ない。サラさんは、充分強いのに」
ロキが怒る。そもそも、サラも充分強いのだ。
「そうだな。ロキの言う通りだ……」
シンも理解していた。同じ団員として、サラの無念さも痛いほど分かる。
先ほど戦った兵士以外にも、伏兵がいたかもしれない。一旦城に戻らなければならなくなったのが自分のせいだと、サラが自分を責めてしまうのは当然だった。
「団長、夜のパレード、何か起きるんじゃないですか。俺たちだけでも行った方が良くないですかね……」
シンは夜の稼働を考えていた。
「それは違うだろ……。シン、夜こそ、城を手薄にしちゃだめだ」
ロキが怒った口調で言うと、カイも頷く。
「そうだな。一般人の犠牲を払ってでも、と、割り切るつもりはないが、こちらは殿下を守るのが第一優先だ」
それを聞いて、レナは青ざめた。
「一般人の犠牲が、出るのね……」
サラは申し訳なさそうに「そうですね」と呟いて、天井を仰いだ。思い出すのは、昨日まで普通に生きていた宿の男性だ。すっかり変わり果てた姿になってしまった。
「いざとなったら、殿下にも呪術を使ってもらうつもりだ。スウに教わった術を、使えるようにしておいてくれ」
カイの言葉に、レナはごくりと唾を飲み込む。すぐ後ろにいたロキは、不安そうなレナの背中をさすりたい衝動に、ぐっと拳を握っていた。
自室でカイ、シン、ロキの3人は明らかにイライラしていた。
仲間のサラがやられたことに、すぐに行動が取れないことに。
その場を動けないというのは、ここまでストレスが溜まるものかと思い知る。
「王女の護衛から始まった依頼が、随分と複雑になったものだな」
カイはこれまでを振り返って言うと、
「そうですね、宗教問題まで絡んできて、今は雇われた外国人兵が現れて」
とシンが頷く。
「これから、夜の時間帯も含め、隣に全員待機して対応しよう。下手すると徹夜になるかもしれない」
カイが言うと、2人はその覚悟にゆっくり頷いた。
「宗教の抗争が起こるとして、ポテンシアから潜入しているレオナルドはどうしているんだろうな」
カイは、ポテンシア国王付きの間諜が何をしているのか心配になっていた。まさかすぐ近くに来ているとは想像も及ばず、レオナルドが得た秘密についても、まだカイは知る術を持たなかった。
「どこの手のものだろうな。何故正教会側の一般人を殺したのか……。レジスタンスが兵を雇うとはとても思えないんだが」
カイは一連の動きに対する違和感をひとつずつ口にする。
「そうね、誰かに雇われたのは間違いなさそうだったけど、『邪魔をするものは殺せばいい』と曖昧な指令を受けているらしく、無差別に犯行を起こす可能性を感じたわ。
サラは短いやり取りで相手は言葉が不自由だったことや、言動から分かったことを報告した。
「サラ、怪我が多かったのは残念だが、無事でよかった。お陰で、思った以上に城下町で何かが起こることが分かった」
カイは、すぐにでも城下町に行きたい気持ちを抑えながらサラを労う。
「こんなことになってごめんなさい。相手が強かったのよ。あたしが撃退でていれば、もう少し違う動き方もあったのにね」
サラはそう言って悔しがっている。サラは身体の痛みよりも無念の方が大きかった。
「サラのお陰で知り得たことが多いのだから、謝る必要なんてないわ」
レナがそう言うと、サラは目にうっすら涙を溜めた。
「あたしが団長並みに強かったら、殿下に不安を与えることもなかったわね」
「馬鹿なこと言わないでください。団長並みに強いって、そんな高望みしたって仕方ない。サラさんは、充分強いのに」
ロキが怒る。そもそも、サラも充分強いのだ。
「そうだな。ロキの言う通りだ……」
シンも理解していた。同じ団員として、サラの無念さも痛いほど分かる。
先ほど戦った兵士以外にも、伏兵がいたかもしれない。一旦城に戻らなければならなくなったのが自分のせいだと、サラが自分を責めてしまうのは当然だった。
「団長、夜のパレード、何か起きるんじゃないですか。俺たちだけでも行った方が良くないですかね……」
シンは夜の稼働を考えていた。
「それは違うだろ……。シン、夜こそ、城を手薄にしちゃだめだ」
ロキが怒った口調で言うと、カイも頷く。
「そうだな。一般人の犠牲を払ってでも、と、割り切るつもりはないが、こちらは殿下を守るのが第一優先だ」
それを聞いて、レナは青ざめた。
「一般人の犠牲が、出るのね……」
サラは申し訳なさそうに「そうですね」と呟いて、天井を仰いだ。思い出すのは、昨日まで普通に生きていた宿の男性だ。すっかり変わり果てた姿になってしまった。
「いざとなったら、殿下にも呪術を使ってもらうつもりだ。スウに教わった術を、使えるようにしておいてくれ」
カイの言葉に、レナはごくりと唾を飲み込む。すぐ後ろにいたロキは、不安そうなレナの背中をさすりたい衝動に、ぐっと拳を握っていた。
自室でカイ、シン、ロキの3人は明らかにイライラしていた。
仲間のサラがやられたことに、すぐに行動が取れないことに。
その場を動けないというのは、ここまでストレスが溜まるものかと思い知る。
「王女の護衛から始まった依頼が、随分と複雑になったものだな」
カイはこれまでを振り返って言うと、
「そうですね、宗教問題まで絡んできて、今は雇われた外国人兵が現れて」
とシンが頷く。
「これから、夜の時間帯も含め、隣に全員待機して対応しよう。下手すると徹夜になるかもしれない」
カイが言うと、2人はその覚悟にゆっくり頷いた。
「宗教の抗争が起こるとして、ポテンシアから潜入しているレオナルドはどうしているんだろうな」
カイは、ポテンシア国王付きの間諜が何をしているのか心配になっていた。まさかすぐ近くに来ているとは想像も及ばず、レオナルドが得た秘密についても、まだカイは知る術を持たなかった。
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