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the 22nd day 最後の特訓
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その日、スウは早朝の暗い時間に現れ、
「今日が、最後になりそうだ」
と予言するように言った。
「私は、まだ稽古をつけてもらい始めたばかりだわ」
レナが不満そうに言うと、
「そうだな。王女には、もう少し教えられることもあったかもしれない」
とスウは穏やかに笑った。その顔がどこか寂しげだったので、レナは首を傾げる。
「一体どうした。最初の話では、もう少し猶予はありそうだったが」
カイが責めるように言うと、
「流れが変わったんだ。外からの介入でな。詳しいことは言えないが、ここに私がいるわけにはいかない。そして、王女にはまもなく試練がやってくるだろう」
と、スウは真剣に言った。
「試練……なんだか嫌な感じね」
レナは少しの寒気を感じながらスウの言葉を聞いている。
「なに、乗り越えられる試練だ」
スウはそう言ってニヤリとした。レナは、乗り越えられる試練という言葉にドキリとする。
「とにかく、今日は総仕上げの日になってしまった。悪いが、劉淵、手加減無しで行くぞ」
スウの掛け声に、カイは鼻で笑っていつもの構えをする。
「殿下、呪術で自分の身を護る術を覚えた方が良いぞ」
カイが後ろにいるレナに向かって言う。
「教えてもらえていないけど、スウの術式を見ながら、盗める術は盗むわよ」
レナは勝気に返事をした。その言葉を背中に受けたカイは、「頼もしいな」と小さく呟く。
スウの姿が消えて数分が経つと、後ろにいたレナが何やら小さな声で唱えているように呟いた。
突然スウがカイの2メートルほど前に現れる。
「やるな、王女」
スウはそう言って2人に向けて炎の壁を作る。カイはとっさに「気」を操り炎の壁を防ぎ、自分の後ろにレナを隠した。
「スウの姿が突然見えたのは、殿下がやったのか……?」
炎を防ぎながら、カイは後ろにいるレナに尋ねる。
「面白いでしょ。姿を消す原理が分かったので、その反対で見えていない呪いを打ち消す術を掛けてみたの。当たりね」
レナはそう言うと、更に何か思いついたようだ。突然大雨が降って炎を消し始める。その間、半径5メートルに激しい雨が降り続いたので、3人は思い切り水を被ってしまった。
「自分にもかかるような術は、ごめんだな……」
カイは水浸しになりながら背後にいるレナにクレームを入れる。
「何よ、炎が消えたんだからお礼を言うところよ」
レナもずぶ濡れになっていた。城の使用人たちが目にしたら確実に青ざめるだろう。
「雨を操るのは、この国のお家芸だったな」
スウがそう言って濡れた身体を瞬時に乾かし、2人に向けて突風を起こす。カイは自分を盾にしてレナを護りながら、突風に向かって「気」の塊を投げつけた。
目の前で風同士がぶつかると、相殺するどころかより大きな風になって周囲を巻き込む。小さな砂が舞うとレナは目を開けていることが出来ず、目を瞑りながらカイの背中にしがみついた。
「いいか、暫くそのままでいろ」
カイはレナが自分の背中で完全に隠れているのを確認すると、突風に身体をぶつけるように立ち向かう。風の勢いはカイが体当たりで注ぐ「気」の流れが分散させていくと、次第に弱まり、普通の風になっていった。
「こんなの……普通の護衛には、負いきれないわね……」
レナは水にぬれた上に風に吹かれて髪が四方に散っている自分の格好を気にしたが、次の瞬間カイが走り出したので捕まる背中も失ってしまう。
カイはそのままスウと1対1で攻防を繰り広げ始め、レナは出番を無くしてしまった。
「もう……スウの術式でも、見ているしかないわね……」
髪の水分を握って絞った後に乱れた髪を整えながら、レナはスウをじっと観察していた。
「今日が、最後になりそうだ」
と予言するように言った。
「私は、まだ稽古をつけてもらい始めたばかりだわ」
レナが不満そうに言うと、
「そうだな。王女には、もう少し教えられることもあったかもしれない」
とスウは穏やかに笑った。その顔がどこか寂しげだったので、レナは首を傾げる。
「一体どうした。最初の話では、もう少し猶予はありそうだったが」
カイが責めるように言うと、
「流れが変わったんだ。外からの介入でな。詳しいことは言えないが、ここに私がいるわけにはいかない。そして、王女にはまもなく試練がやってくるだろう」
と、スウは真剣に言った。
「試練……なんだか嫌な感じね」
レナは少しの寒気を感じながらスウの言葉を聞いている。
「なに、乗り越えられる試練だ」
スウはそう言ってニヤリとした。レナは、乗り越えられる試練という言葉にドキリとする。
「とにかく、今日は総仕上げの日になってしまった。悪いが、劉淵、手加減無しで行くぞ」
スウの掛け声に、カイは鼻で笑っていつもの構えをする。
「殿下、呪術で自分の身を護る術を覚えた方が良いぞ」
カイが後ろにいるレナに向かって言う。
「教えてもらえていないけど、スウの術式を見ながら、盗める術は盗むわよ」
レナは勝気に返事をした。その言葉を背中に受けたカイは、「頼もしいな」と小さく呟く。
スウの姿が消えて数分が経つと、後ろにいたレナが何やら小さな声で唱えているように呟いた。
突然スウがカイの2メートルほど前に現れる。
「やるな、王女」
スウはそう言って2人に向けて炎の壁を作る。カイはとっさに「気」を操り炎の壁を防ぎ、自分の後ろにレナを隠した。
「スウの姿が突然見えたのは、殿下がやったのか……?」
炎を防ぎながら、カイは後ろにいるレナに尋ねる。
「面白いでしょ。姿を消す原理が分かったので、その反対で見えていない呪いを打ち消す術を掛けてみたの。当たりね」
レナはそう言うと、更に何か思いついたようだ。突然大雨が降って炎を消し始める。その間、半径5メートルに激しい雨が降り続いたので、3人は思い切り水を被ってしまった。
「自分にもかかるような術は、ごめんだな……」
カイは水浸しになりながら背後にいるレナにクレームを入れる。
「何よ、炎が消えたんだからお礼を言うところよ」
レナもずぶ濡れになっていた。城の使用人たちが目にしたら確実に青ざめるだろう。
「雨を操るのは、この国のお家芸だったな」
スウがそう言って濡れた身体を瞬時に乾かし、2人に向けて突風を起こす。カイは自分を盾にしてレナを護りながら、突風に向かって「気」の塊を投げつけた。
目の前で風同士がぶつかると、相殺するどころかより大きな風になって周囲を巻き込む。小さな砂が舞うとレナは目を開けていることが出来ず、目を瞑りながらカイの背中にしがみついた。
「いいか、暫くそのままでいろ」
カイはレナが自分の背中で完全に隠れているのを確認すると、突風に身体をぶつけるように立ち向かう。風の勢いはカイが体当たりで注ぐ「気」の流れが分散させていくと、次第に弱まり、普通の風になっていった。
「こんなの……普通の護衛には、負いきれないわね……」
レナは水にぬれた上に風に吹かれて髪が四方に散っている自分の格好を気にしたが、次の瞬間カイが走り出したので捕まる背中も失ってしまう。
カイはそのままスウと1対1で攻防を繰り広げ始め、レナは出番を無くしてしまった。
「もう……スウの術式でも、見ているしかないわね……」
髪の水分を握って絞った後に乱れた髪を整えながら、レナはスウをじっと観察していた。
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