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the 19th day 能力者の葛藤
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カイはスウに言われたことをレナに切り出そうとするが、周りに人がせわしなく行き来しており、言い出すタイミングがなかなか見つからなかった。
(呪術の修行に来ないか、なんて、とてもじゃないが誰にも聞かせられないぞ……)
レナの護衛をしながら、ひっきりなしに人が訪れることにやきもきしていると、
「そういえば、カイ。明日から2日間は庭木を荒らさないようにお願いするわね。ハオルがすごく気にしているのよ。あなたが原因だと決めつけているわけじゃないのだけど……」
と、レナに声を掛けられた。
「ああ、そのことなんだが……」
カイは、周りに人が居ないか少し気にしながら、
「明日の早朝、スウに殿下を連れてくるように言われていて……」
と、声のトーンを落としてそう告げる。
「早朝って、どのくらい早朝なのかしら? 私もスウに聞きたいことがあったのよね」
「そんなに簡単な話なのか」
カイは拍子抜けしていた。庭木のことも特に咎められず、あっさりと返事をするレナに驚いている。
「あら、私だって呪術師よ。あなたばかりに呪術対策を任せる気はないのよ」
とレナは嬉しそうに言った。得意げな顔をしている時、レナは王女らしい堂々とした風格が漂う。
「ほう、それは知らなかった」
カイが小さな声でそう言うと、
「あなたの術も、見てみたいし。色々気になることもあるのよね」
とレナは楽しそうにしている。カイにとって、目の前の王女が普段の雇い主たちに比べ、柔軟で寛容なのは幸運だった。
「明日は、シンとロキも同席させるつもりなので、お手柔らかにお願いしますよ」
カイがレナにそう言うと、
「え…………?」
とレナは目を丸くして驚いている。
「あ、殿下に報告していなかったか。シンとロキは、昨日の深夜に無事帰還した。諸々の報告はこれからゆっくり聞く予定だ」
カイの言葉に、レナは少し戸惑いながら、
「そうだったの……それは、よかったわ」
と少し勝手が悪そうにしている。
「なんだ、その反応は……」
明らかに反応が間違っているレナに、カイは不審な目を向けた。
「あの2人に、私の呪術を見られるかもしれないと思うと、なんだか……」
レナがそう言って困った顔をしているので、
「俺だと平気なことが、あの2人だと都合が悪い理由は何だ?」
とカイは不思議そうに尋ねる。
「あなたは、もともと能力者だもの、そういう偏見はないでしょうけど」
カイは、レナが言おうとしていることを何となく理解した。能力を人前で披露することが苦手だった経験にはカイにも心当たりがある。
「あの2人なら、大丈夫だ。確かに呪術に対してはまだ理解が及んでいないが、一度体験したり見たりしたことは、自分なりに解釈して上手く飲み込むキャパシティくらいは持ち合わせている」
カイの言っていることがレナは何となく分かるような気がして、レナは自分が心配し過ぎているのだろうと思い直す。
「あいつらは、俺の術にも慣れているしな……。あと、ロキとは呪術で話したんじゃなかったのか?」
カイはそういえば、と思い出すようにレナに言うと、
「ええ、そうなんだけど……。やっぱり目の当たりにされることには、抵抗があるものよ」
と、レナは困った顔をする。
「あの2人に限っては、大丈夫だろうな。殿下に心酔している」
カイが言い切ったので、レナは少し気まずそうに首を傾げた。
(呪術の修行に来ないか、なんて、とてもじゃないが誰にも聞かせられないぞ……)
レナの護衛をしながら、ひっきりなしに人が訪れることにやきもきしていると、
「そういえば、カイ。明日から2日間は庭木を荒らさないようにお願いするわね。ハオルがすごく気にしているのよ。あなたが原因だと決めつけているわけじゃないのだけど……」
と、レナに声を掛けられた。
「ああ、そのことなんだが……」
カイは、周りに人が居ないか少し気にしながら、
「明日の早朝、スウに殿下を連れてくるように言われていて……」
と、声のトーンを落としてそう告げる。
「早朝って、どのくらい早朝なのかしら? 私もスウに聞きたいことがあったのよね」
「そんなに簡単な話なのか」
カイは拍子抜けしていた。庭木のことも特に咎められず、あっさりと返事をするレナに驚いている。
「あら、私だって呪術師よ。あなたばかりに呪術対策を任せる気はないのよ」
とレナは嬉しそうに言った。得意げな顔をしている時、レナは王女らしい堂々とした風格が漂う。
「ほう、それは知らなかった」
カイが小さな声でそう言うと、
「あなたの術も、見てみたいし。色々気になることもあるのよね」
とレナは楽しそうにしている。カイにとって、目の前の王女が普段の雇い主たちに比べ、柔軟で寛容なのは幸運だった。
「明日は、シンとロキも同席させるつもりなので、お手柔らかにお願いしますよ」
カイがレナにそう言うと、
「え…………?」
とレナは目を丸くして驚いている。
「あ、殿下に報告していなかったか。シンとロキは、昨日の深夜に無事帰還した。諸々の報告はこれからゆっくり聞く予定だ」
カイの言葉に、レナは少し戸惑いながら、
「そうだったの……それは、よかったわ」
と少し勝手が悪そうにしている。
「なんだ、その反応は……」
明らかに反応が間違っているレナに、カイは不審な目を向けた。
「あの2人に、私の呪術を見られるかもしれないと思うと、なんだか……」
レナがそう言って困った顔をしているので、
「俺だと平気なことが、あの2人だと都合が悪い理由は何だ?」
とカイは不思議そうに尋ねる。
「あなたは、もともと能力者だもの、そういう偏見はないでしょうけど」
カイは、レナが言おうとしていることを何となく理解した。能力を人前で披露することが苦手だった経験にはカイにも心当たりがある。
「あの2人なら、大丈夫だ。確かに呪術に対してはまだ理解が及んでいないが、一度体験したり見たりしたことは、自分なりに解釈して上手く飲み込むキャパシティくらいは持ち合わせている」
カイの言っていることがレナは何となく分かるような気がして、レナは自分が心配し過ぎているのだろうと思い直す。
「あいつらは、俺の術にも慣れているしな……。あと、ロキとは呪術で話したんじゃなかったのか?」
カイはそういえば、と思い出すようにレナに言うと、
「ええ、そうなんだけど……。やっぱり目の当たりにされることには、抵抗があるものよ」
と、レナは困った顔をする。
「あの2人に限っては、大丈夫だろうな。殿下に心酔している」
カイが言い切ったので、レナは少し気まずそうに首を傾げた。
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