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the 16th day 出資をしようか
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「それにしても、ルリアーナに来てから君たちみたいなのに初めて遭遇したな」
ロキは完全に委縮した3人を見ながらいつもの調子で言うと、ブリステの治安の悪い地域にいれば日常的にこういったことに巻き込まれていたのだとしみじみ思っていた。
「この国が平和だと思ってるんなら、何も知らないんだな」
すっかり戦意を失った3人のうちの1人が言い捨てるように言ったので、ロキは剣を鞘に納めながら、
「少なくとも、俺が生まれたところとは比べ物にならないくらいに平和だよ。気を抜いてたら奴隷にされることもなさそうだしさ」
と穏やかに言ったので、3人はその言葉にぎょっとした。
「気を抜いていたら……奴隷にされる……?」
「そんな危険なところで育ったのか……?」
先ほどまで武器をロキに向けていたのに、まるで世間話を始めるかのような雰囲気になっている。
「そうだよ。ほら、俺って見た目がいいから、奴隷商に狙われてたんだよね」
と、ロキが当然のように言ったので、
「あ、ああ……」
と3人は完全に反応に困っていた。
「で? どこかに呼び出してどうするつもりだったの? 事と次第によっては、穏やかではいられないわけだけど」
ロキはうっすらと口元だけで笑うと、「正直に吐かないと許さない」という圧をかけて3人ににじり寄っていった。
「いや、その……身ぐるみと貴重品をちょっとお借りしようかと……」
3人のうちの1人が白状したのをロキは、
「はあ? こんなとこで追い剥ぎなんてやってんの? この地域の治安は誰が守ってるんだろ」
と呆れている。
「言っておくけど、店の主人だってグルみたいなもんだぜ。この村は貧しいから、外国人の荷物を狙うのは普通なんだよ」
人を襲った男が悪びれもせずに言い切ったので、ロキは、
「ふうん? で、外国人はよく来るんだ、こんな特に何もないところに」
と言って鞘に入った剣を男の鼻に突きつけた。
「あのさあ、貧しいって分かっていて現状を変えたいなら、根本から変えてみせなよ。他人から奪うことに依存するようなのは、収入って言わないからね」
ロキはそう言うと鞘に入ったままの剣を別の男の方に向けて、
「ほら、ここの特産とか、外国に受けるものとかってないの?」
と尋ねる。
「え、特産……って……一応民芸品や織物なんかは……あんまり知られてないものが……」
剣の鞘が目の前に迫っているので、とっさに頭が働いたらしい。
「そうそう、そういうのだよ。売れる場所に売りに行ったことないの?」
ロキに聞かれて3人は首を振る。
「じゃあ、俺が予言してあげる。ここの特産を、なるべく色んな人が集まるマーケットに持って行って売ってみるんだ。最初は値段も決めずに、少し高め売るように。接客しながらどんなものがいくら位で欲しがられてるかっていうのがだんだんわかってくるから、売れそうなサイズとか柄とか、仕様を考えて生産するようにしてごらんよ。その位ならできるでしょ」
ロキは剣を下ろさずにそう言うと、3人は首をかしげている。
「あのさあ、俺がこんなにありがたいこと教えてるのに、失礼じゃない?」
ロキはそう言うと胸ポケットから1枚の金貨を取り出し、指を使って放り投げた。
3人のうち、ロキに剣を向けられている者は動けず、残りの2人は慌てて金貨を掴もうとして、なんとか1人が落とさずに手でつかむ。
「今ここで、3人に出資してあげるよ。その金貨を交通費や仕入れに使うといい。元手をどこまで増やせるかやってごらん。そして増やすことができて、万が一俺に恩返しをしたくなったら………ブリステのライト商事って会社を訪ねてくると良いよ。俺は別にこの金貨が無くなっても困らないけど、君たちはこれをどうにかして増やさないとこれから生きていくのに困ると思うんだ。毎回外国人を襲っていたら、外国人も来なくなるからね」
ロキはそう言って3人を楽しそうに見た。
「誤解しないで欲しいんだけど、これは出資だよ。君たちの可能性に賭けてみようと思う。やれる?」
ロキの迫力に3人は頷いた。その時に伝えられた「ライト商事」という名前が頭から離れなかった。
シンは小さな村の外れで暴力事件があったらしいという騒ぎを聞いて、何があったのか見に行こうと場所を尋ねていた。
「多分、あの丘にあるバールだと思うんですけど……」
シンは騎士になってから他人のために力を使うことにに遣り甲斐を感じていた。ルリアーナのような平和な国の暴力事件が気になり、駆け付けることにする。
バールがあると言われた方向に向かって歩いていると、店から逃げてきた様子の若い女性2人を見つけた。
「どうしたの? 大丈夫?」
息を切らしながら後ろを気にしている様子の女性たちに声を掛けると、2人は緊張した様子で声を発せずにいた。
「あ、俺も怪しいよね。信じてもらえるか分からないんだけど、この国の王女に仕える騎士で、役に立てたらと思って駆け付けたんだけど……」
シンは目の前の女性たちが恐怖で話が出来なくなっているのだろうと思い、身分を明かして安心させようとする。
「あの……お店にいた男性に、村のガラの悪い3人組が絡んで行ったんです……」
女性のひとりが恐怖に怯えながらもシンに説明したので、シンは、
「そう、じゃあその絡まれた男性が危ないんだね」
と優しく声を掛ける。
「でも、その絡まれた男性が武器を所有していて………」
もう1人の女性がそう言って恐怖に震えていた。
「武器………? どんなものを持っていたの?」
シンが聞くと、
「荷物から剣を出してました」
と言うので、シンは「まさか?」と思い始めていた。
「あー………そうなんだ。その武器を出した男性っていうのは、どんな外見?」
シンが訪ねると、怖がっていた女性の口から迷いなく、
「かっこいい人」
という目撃証言が出たので、シンは、
「えーと……もしかして白っぽい金髪を後ろで縛ってたとか?」
と尋ねる。目の前の2人は頷いていた。
「そっかあ、その男、知ってるかもしれないなあ。多分、怪我人は出ていないと思うよ」
とシンは確信を持って言った。
「そうなんですか?」
女性たちに聞かれて、シンは笑いながら、
「うん、大丈夫だよ。ちょっと様子見に行ってくるけど、その男が俺の知ってる人間なら、下手なことはやらないから。」
と答え、女性達を安心させてからその場を離れた。
「ロキ、居るんだろ?」
シンはバールの入口で中に向かって声を掛けた。
「あれ? シンどうしたの?」
ガタイの良い3人と一緒に何やら話をしているらしい人物が振り返ってシンに応える。
「どうしたの、じゃないだろ。心配したよ。ここで事件があったって聞いたから」
シンはそう言ってロキに少しずつ近づいていく。
「あ、あれ同僚のシンだよ。いいやつだから安心して」
ロキは3人に向かって言うと、シンを見て、
「事件があったって話題になってた?」
と尋ねる。
「なってたよ。絡まれたって男の特徴から、なんとなくロキがここに居るんだろうと思ってたけど」
シンはそう言うと、ロキと3人が争っていないのを確認しながら徐々にロキの元に歩いてきた。
「で、何してんだ?」
女性たちの話によれば、ロキは3人の男に絡まれていたはずで、なぜ3人の男とロキが店の席に座っているのか、シンには全く想像がつかない。
「商売の基礎をちょっとね。今、この3人に出資したところなんだ」
ロキがそう言って笑ったので、
「相変わらず、その辺の嗅覚がすごいな」
とシンは感心した。
「何言ってんだよ。この辺の治安を良くするのも、俺の使命かなと思ったんだよ。勿体ないから未来ある若者を正しい道に導いてるんでしょ」
ロキがシンの姿を見て砕けた表情を見せたので、3人は現れた男がロキの良く知った人物なのだろうと察する。
「さすが、うちの天才実業家は違うな」
シンがそう言ったのを聞いて、3人はロキを羨望の眼差しで見つめていた。
ロキは完全に委縮した3人を見ながらいつもの調子で言うと、ブリステの治安の悪い地域にいれば日常的にこういったことに巻き込まれていたのだとしみじみ思っていた。
「この国が平和だと思ってるんなら、何も知らないんだな」
すっかり戦意を失った3人のうちの1人が言い捨てるように言ったので、ロキは剣を鞘に納めながら、
「少なくとも、俺が生まれたところとは比べ物にならないくらいに平和だよ。気を抜いてたら奴隷にされることもなさそうだしさ」
と穏やかに言ったので、3人はその言葉にぎょっとした。
「気を抜いていたら……奴隷にされる……?」
「そんな危険なところで育ったのか……?」
先ほどまで武器をロキに向けていたのに、まるで世間話を始めるかのような雰囲気になっている。
「そうだよ。ほら、俺って見た目がいいから、奴隷商に狙われてたんだよね」
と、ロキが当然のように言ったので、
「あ、ああ……」
と3人は完全に反応に困っていた。
「で? どこかに呼び出してどうするつもりだったの? 事と次第によっては、穏やかではいられないわけだけど」
ロキはうっすらと口元だけで笑うと、「正直に吐かないと許さない」という圧をかけて3人ににじり寄っていった。
「いや、その……身ぐるみと貴重品をちょっとお借りしようかと……」
3人のうちの1人が白状したのをロキは、
「はあ? こんなとこで追い剥ぎなんてやってんの? この地域の治安は誰が守ってるんだろ」
と呆れている。
「言っておくけど、店の主人だってグルみたいなもんだぜ。この村は貧しいから、外国人の荷物を狙うのは普通なんだよ」
人を襲った男が悪びれもせずに言い切ったので、ロキは、
「ふうん? で、外国人はよく来るんだ、こんな特に何もないところに」
と言って鞘に入った剣を男の鼻に突きつけた。
「あのさあ、貧しいって分かっていて現状を変えたいなら、根本から変えてみせなよ。他人から奪うことに依存するようなのは、収入って言わないからね」
ロキはそう言うと鞘に入ったままの剣を別の男の方に向けて、
「ほら、ここの特産とか、外国に受けるものとかってないの?」
と尋ねる。
「え、特産……って……一応民芸品や織物なんかは……あんまり知られてないものが……」
剣の鞘が目の前に迫っているので、とっさに頭が働いたらしい。
「そうそう、そういうのだよ。売れる場所に売りに行ったことないの?」
ロキに聞かれて3人は首を振る。
「じゃあ、俺が予言してあげる。ここの特産を、なるべく色んな人が集まるマーケットに持って行って売ってみるんだ。最初は値段も決めずに、少し高め売るように。接客しながらどんなものがいくら位で欲しがられてるかっていうのがだんだんわかってくるから、売れそうなサイズとか柄とか、仕様を考えて生産するようにしてごらんよ。その位ならできるでしょ」
ロキは剣を下ろさずにそう言うと、3人は首をかしげている。
「あのさあ、俺がこんなにありがたいこと教えてるのに、失礼じゃない?」
ロキはそう言うと胸ポケットから1枚の金貨を取り出し、指を使って放り投げた。
3人のうち、ロキに剣を向けられている者は動けず、残りの2人は慌てて金貨を掴もうとして、なんとか1人が落とさずに手でつかむ。
「今ここで、3人に出資してあげるよ。その金貨を交通費や仕入れに使うといい。元手をどこまで増やせるかやってごらん。そして増やすことができて、万が一俺に恩返しをしたくなったら………ブリステのライト商事って会社を訪ねてくると良いよ。俺は別にこの金貨が無くなっても困らないけど、君たちはこれをどうにかして増やさないとこれから生きていくのに困ると思うんだ。毎回外国人を襲っていたら、外国人も来なくなるからね」
ロキはそう言って3人を楽しそうに見た。
「誤解しないで欲しいんだけど、これは出資だよ。君たちの可能性に賭けてみようと思う。やれる?」
ロキの迫力に3人は頷いた。その時に伝えられた「ライト商事」という名前が頭から離れなかった。
シンは小さな村の外れで暴力事件があったらしいという騒ぎを聞いて、何があったのか見に行こうと場所を尋ねていた。
「多分、あの丘にあるバールだと思うんですけど……」
シンは騎士になってから他人のために力を使うことにに遣り甲斐を感じていた。ルリアーナのような平和な国の暴力事件が気になり、駆け付けることにする。
バールがあると言われた方向に向かって歩いていると、店から逃げてきた様子の若い女性2人を見つけた。
「どうしたの? 大丈夫?」
息を切らしながら後ろを気にしている様子の女性たちに声を掛けると、2人は緊張した様子で声を発せずにいた。
「あ、俺も怪しいよね。信じてもらえるか分からないんだけど、この国の王女に仕える騎士で、役に立てたらと思って駆け付けたんだけど……」
シンは目の前の女性たちが恐怖で話が出来なくなっているのだろうと思い、身分を明かして安心させようとする。
「あの……お店にいた男性に、村のガラの悪い3人組が絡んで行ったんです……」
女性のひとりが恐怖に怯えながらもシンに説明したので、シンは、
「そう、じゃあその絡まれた男性が危ないんだね」
と優しく声を掛ける。
「でも、その絡まれた男性が武器を所有していて………」
もう1人の女性がそう言って恐怖に震えていた。
「武器………? どんなものを持っていたの?」
シンが聞くと、
「荷物から剣を出してました」
と言うので、シンは「まさか?」と思い始めていた。
「あー………そうなんだ。その武器を出した男性っていうのは、どんな外見?」
シンが訪ねると、怖がっていた女性の口から迷いなく、
「かっこいい人」
という目撃証言が出たので、シンは、
「えーと……もしかして白っぽい金髪を後ろで縛ってたとか?」
と尋ねる。目の前の2人は頷いていた。
「そっかあ、その男、知ってるかもしれないなあ。多分、怪我人は出ていないと思うよ」
とシンは確信を持って言った。
「そうなんですか?」
女性たちに聞かれて、シンは笑いながら、
「うん、大丈夫だよ。ちょっと様子見に行ってくるけど、その男が俺の知ってる人間なら、下手なことはやらないから。」
と答え、女性達を安心させてからその場を離れた。
「ロキ、居るんだろ?」
シンはバールの入口で中に向かって声を掛けた。
「あれ? シンどうしたの?」
ガタイの良い3人と一緒に何やら話をしているらしい人物が振り返ってシンに応える。
「どうしたの、じゃないだろ。心配したよ。ここで事件があったって聞いたから」
シンはそう言ってロキに少しずつ近づいていく。
「あ、あれ同僚のシンだよ。いいやつだから安心して」
ロキは3人に向かって言うと、シンを見て、
「事件があったって話題になってた?」
と尋ねる。
「なってたよ。絡まれたって男の特徴から、なんとなくロキがここに居るんだろうと思ってたけど」
シンはそう言うと、ロキと3人が争っていないのを確認しながら徐々にロキの元に歩いてきた。
「で、何してんだ?」
女性たちの話によれば、ロキは3人の男に絡まれていたはずで、なぜ3人の男とロキが店の席に座っているのか、シンには全く想像がつかない。
「商売の基礎をちょっとね。今、この3人に出資したところなんだ」
ロキがそう言って笑ったので、
「相変わらず、その辺の嗅覚がすごいな」
とシンは感心した。
「何言ってんだよ。この辺の治安を良くするのも、俺の使命かなと思ったんだよ。勿体ないから未来ある若者を正しい道に導いてるんでしょ」
ロキがシンの姿を見て砕けた表情を見せたので、3人は現れた男がロキの良く知った人物なのだろうと察する。
「さすが、うちの天才実業家は違うな」
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