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the 13th day 仕組みを変える
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カイは裁判所から戻ると、報告のためレナを訪ねる。レナの護衛にブラッドとサラが付いていたので、全員に情報を共有することにした。
「メイソン公爵だが、賄賂については大筋で認めている。金が必要だったらしいが、その理由については黙秘中だ。使い道が怪しいな。協力者なども全く吐かない、というか、まるで居ないような言い方をしているらしい」
「そう、ありがとう。目的はまだ分からないままね」
カイの報告を聞きながら、レナは難しい顔をしてため息をついた。
「早急に貿易担当大臣から降ろして、新しく誰かに任せないと各国への影響が大きすぎるわ。明日、ちょうど政治家が集まる会議があるから代理でも誰かを任命しないと……」
レナはそう言うと机の上で頬杖をついた。
「なんでよりによって、メイソン公爵が貿易担当大臣なのよ……」
「そういう属人的な人事がどうかと思うがな。不正をやりやすい仕組みを作っているからだろう」
レナの言い分に、カイが冷静に言い放った。そのやり取りをすぐ近くで見ていたブラッドは、目が飛び出そうなほど驚いている。
(一国の王族に対して、イチ護衛が口を出す範疇を超えているだろ……)
ルイスですら、ポテンシアの王族では型破りなほど部下たちに権限を与えたり意見を求めるタイプだが、ルリアーナの王女は雇われの外国人騎士にどこまで気を許しているのだろうか。
ブラッドはこの職場でやっていけるのか、早速不安になっていた。
「属人的な仕組み……そうなのかしら、もっと監視が出来るようにした方が良いの?」
レナはカイの言葉に素直に聞き返している。ブラッドは更に驚いた。
サラはブラッドを横目に見ながら、
(まあ、ポテンシアのような王族の影響力が絶対の国じゃ考えられないやり取りかもね)
と納得する。
「第三者の目が入る仕組みに作り替えるんだな。どんな人間でも自分だけが得をするような抜け穴があれば、その誘惑に負けることがある」
カイはそう言ってルリアーナの地図を見ていた。
「メイソンが治めていた土地だけが同盟国との窓口になっているのも、もう少し改善しないとダメだろうな」
カイが言うとレナは大きく頷いた。
「そうね、あなたの言う通りだわ。今までそれが当たり前だったから気にしたことも無かったけど、見直さなければね」
ブラッドはレナとカイのやり取りに大きく動揺しながら、カイが堂々と意見を述べてレナの役に立っているらしいことに感心し始めていた。
(護衛の仕事を超えた発言だが、どうも王女にはこれが必要らしいな……通常の護衛がここまでの発言を求められても応えられるはずがないだろうが、この男……)
外国人の騎士団長が各国から雇われて活躍している理由を目の当たりにすると、ブラッドはこれまでポテンシアの国内だけで活躍し、近衛兵として優越感に浸っていたことが恥ずかしいような気持ちになった。
「反発が来たら、大丈夫なんですか?」
それまで黙っていたサラが口を開く。レナはまた頭が痛そうに溜息をついた。
「勿論、そんな簡単にはいかないと思うわ。……でも、このままだと同じようなことがまた起こるってことよね」
レナの言葉に、カイは、
「その通りだろうな、今回は貿易だった分、分かりやすかったと思った方が良いだろう」
と腕を組んで言った。
「はあ……メイソン公爵を降ろしてしまうのは簡単だけど、仕組みを変えようと提案しても、まだ国内で味方もいないんだわ。問題だらけね」
レナが悩んでいるのを見て、ブラッドは驚いた。
(味方を探している……それは国外だろうと味方がいた方がいいってことか?)
早速、ルイスに報告することが見つかった。再来週に改めてルイスはレナを訪ねに来ることになっている。ブラッドはそれまでに渡せる情報は渡し、なるべくルイスが有利になる状況を作るつもりでいた。
「で、ブラッドはどう思うわけ?」
突然サラに話を振られ、ブラッドは焦る。
「さ、さあ、ルリアーナの政治に自分のような人間が口を挟んで良いのか分かりませんが、ポテンシアでは役割を任期制で入れ替えたりしてますね」
意見を言うことは出来なかったが、自国の仕組みを伝えた。
「そうか、役割を任期制にして常にそれぞれが監視される仕組みにするのもありだな」
カイが感心してブラッドの発言に納得する。
「ああ、あんたやっぱり結構ちゃんとしてんのね」
サラもブラッドを見直したような顔をしていた。
「ありがとう、ブラッド。他国の仕組みも参考になるわね」
レナがブラッドに微笑んでお礼を言ったのを、ブラッドは大いに照れて、
「いや、自分がというより、ポテンシアの政治の仕組みですから」
と謙遜した。
(やはり、ポテンシアという国は侮れない気がする)
カイは、まだ侵略を諦めていないように見えるポテンシアに不気味な力を感じている。
(貧富の差があって国内の治安が悪いからと言って、国としての力が弱いわけではない。ポテンシアは周辺国の中でも特に力があるのかもしれない)
ルイスを見ている限りポテンシアが敵国になるとは考えられなかったが、未知の力を秘めた隣国をカイは改めて脅威に感じていた。
「メイソン公爵だが、賄賂については大筋で認めている。金が必要だったらしいが、その理由については黙秘中だ。使い道が怪しいな。協力者なども全く吐かない、というか、まるで居ないような言い方をしているらしい」
「そう、ありがとう。目的はまだ分からないままね」
カイの報告を聞きながら、レナは難しい顔をしてため息をついた。
「早急に貿易担当大臣から降ろして、新しく誰かに任せないと各国への影響が大きすぎるわ。明日、ちょうど政治家が集まる会議があるから代理でも誰かを任命しないと……」
レナはそう言うと机の上で頬杖をついた。
「なんでよりによって、メイソン公爵が貿易担当大臣なのよ……」
「そういう属人的な人事がどうかと思うがな。不正をやりやすい仕組みを作っているからだろう」
レナの言い分に、カイが冷静に言い放った。そのやり取りをすぐ近くで見ていたブラッドは、目が飛び出そうなほど驚いている。
(一国の王族に対して、イチ護衛が口を出す範疇を超えているだろ……)
ルイスですら、ポテンシアの王族では型破りなほど部下たちに権限を与えたり意見を求めるタイプだが、ルリアーナの王女は雇われの外国人騎士にどこまで気を許しているのだろうか。
ブラッドはこの職場でやっていけるのか、早速不安になっていた。
「属人的な仕組み……そうなのかしら、もっと監視が出来るようにした方が良いの?」
レナはカイの言葉に素直に聞き返している。ブラッドは更に驚いた。
サラはブラッドを横目に見ながら、
(まあ、ポテンシアのような王族の影響力が絶対の国じゃ考えられないやり取りかもね)
と納得する。
「第三者の目が入る仕組みに作り替えるんだな。どんな人間でも自分だけが得をするような抜け穴があれば、その誘惑に負けることがある」
カイはそう言ってルリアーナの地図を見ていた。
「メイソンが治めていた土地だけが同盟国との窓口になっているのも、もう少し改善しないとダメだろうな」
カイが言うとレナは大きく頷いた。
「そうね、あなたの言う通りだわ。今までそれが当たり前だったから気にしたことも無かったけど、見直さなければね」
ブラッドはレナとカイのやり取りに大きく動揺しながら、カイが堂々と意見を述べてレナの役に立っているらしいことに感心し始めていた。
(護衛の仕事を超えた発言だが、どうも王女にはこれが必要らしいな……通常の護衛がここまでの発言を求められても応えられるはずがないだろうが、この男……)
外国人の騎士団長が各国から雇われて活躍している理由を目の当たりにすると、ブラッドはこれまでポテンシアの国内だけで活躍し、近衛兵として優越感に浸っていたことが恥ずかしいような気持ちになった。
「反発が来たら、大丈夫なんですか?」
それまで黙っていたサラが口を開く。レナはまた頭が痛そうに溜息をついた。
「勿論、そんな簡単にはいかないと思うわ。……でも、このままだと同じようなことがまた起こるってことよね」
レナの言葉に、カイは、
「その通りだろうな、今回は貿易だった分、分かりやすかったと思った方が良いだろう」
と腕を組んで言った。
「はあ……メイソン公爵を降ろしてしまうのは簡単だけど、仕組みを変えようと提案しても、まだ国内で味方もいないんだわ。問題だらけね」
レナが悩んでいるのを見て、ブラッドは驚いた。
(味方を探している……それは国外だろうと味方がいた方がいいってことか?)
早速、ルイスに報告することが見つかった。再来週に改めてルイスはレナを訪ねに来ることになっている。ブラッドはそれまでに渡せる情報は渡し、なるべくルイスが有利になる状況を作るつもりでいた。
「で、ブラッドはどう思うわけ?」
突然サラに話を振られ、ブラッドは焦る。
「さ、さあ、ルリアーナの政治に自分のような人間が口を挟んで良いのか分かりませんが、ポテンシアでは役割を任期制で入れ替えたりしてますね」
意見を言うことは出来なかったが、自国の仕組みを伝えた。
「そうか、役割を任期制にして常にそれぞれが監視される仕組みにするのもありだな」
カイが感心してブラッドの発言に納得する。
「ああ、あんたやっぱり結構ちゃんとしてんのね」
サラもブラッドを見直したような顔をしていた。
「ありがとう、ブラッド。他国の仕組みも参考になるわね」
レナがブラッドに微笑んでお礼を言ったのを、ブラッドは大いに照れて、
「いや、自分がというより、ポテンシアの政治の仕組みですから」
と謙遜した。
(やはり、ポテンシアという国は侮れない気がする)
カイは、まだ侵略を諦めていないように見えるポテンシアに不気味な力を感じている。
(貧富の差があって国内の治安が悪いからと言って、国としての力が弱いわけではない。ポテンシアは周辺国の中でも特に力があるのかもしれない)
ルイスを見ている限りポテンシアが敵国になるとは考えられなかったが、未知の力を秘めた隣国をカイは改めて脅威に感じていた。
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