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the 11th day 宗教問題
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その日の昼食は、久しぶりにレナが3人を誘った。カイは、そういえばシンとロキが旅立ってから久しく食事の席で一緒になることもなかったなと思い出す。
特にレナとの食事を楽しみにしているわけではなかったが、同席する度に出される食事はどれも素晴らしかったので、悪い気はしない。
サラもハンも、レナとの食事と聞いてやはり驚いていたが、それよりも食事の内容を楽しみにしろとカイは伝えた。
「食事を一緒にとるのは初めてね、ハン、サラ、ここでは堅苦しい礼儀は気にしなくて大丈夫よ」
レナはそう言って3人を出迎え、席に着くように促した。
カイが上座、隣にハン、末席にサラが着く。
「殿下、先ほどは本当に失礼しました」
ハンは改めてレナに頭を下げた。見合いの席でのことをまだ気にしている。
「ああ、あの時は本当に驚いたけど、カイの言う通り、早く分かって良かったわね」
とレナは特に気にもしていない風に笑った。
「なんでこんなところまで、わざわざお見合いなんかに……」
ハンとレナのやり取りを見ていたカイが、理解できない様子で先ほどの侯爵を思い出す。
「色々あるんだって。もうこの話はやめ」
ハンはそう言ってその話を終わらせた。
「さて、カイは私に聞きたいことがあるらしいわね」
食事が始まって早々、レナは話を切り出した。カイは特に前置きもせずに、
「ああ、『先導士』について知りたい」
と言った。その言葉がカイから出たことに、レナは驚いた。
「そう、そんな情報まで知っているのね……」
と言うと、ナイフとフォークを下ろして言いにくそうに何やら考えて込んでいる。
「護衛には話せない事か?」
カイがその様子を見て尋ねると、
「いいえ、私にとっては少し話しにくい内容があるから、どう伝えようかと」
とレナは答え、一息ついた。
「ルリアーナ内には、2つの宗教があって、そのうちの1つの宗教の1番位の高い聖職者が『先導士』と名乗っているわ」
カイはなるほど、と頷いて、
「その2つの宗教はどんな宗教と、どんな宗教なんだ?」
と聞く。レナはますます気まずそうな顔になっていた。
「ルリアーナ正教会というのが、王政を擁する宗教よ。王には特別な血が流れていて、特別な能力があるという考えを説いている。そして…………もうひとつが『レジスタンス』」
レナの言葉を聞いて、ハンとカイは同時に驚いた。サラはいまいちピンと来ていないらしい。
「そう、もう1つの宗教は、王政からの解放を説く、いわば抵抗勢力の宗教のこと。宗教名はルリアーナ信教。呼び方も似ているけど、考えは全く違っていて、神の下で人は平等だと説いてる」
レナは淡々と話していた。まるで他人事のようだったが、明らかに王家は信仰の対象と共に排除の対象にもなっていることを語っていた。
「そんな、全く違う考え方の宗教が、国の中で共存できるの?」
サラが当たり前の質問をすると、レナは困ったように笑っていた。
「そうね、かれこれ100年は宗教同士で争いが続いているわよ。ルリアーナが平和じゃないとしたら、宗教問題ね」
レナがそう言ったので、3人は耳を疑った。
「ねえ、弟。宗教戦争のことだけど」
ハンは昼食の時に言いたかった話を自室で始めた。
「あれ、今も続いているってことだとしたら、間違いなく殿下は巻き込まれているわけでしょ?」
ハンは何か思うところがあるようで、少し考え込んでいる。
「王政のための宗教と、それを否定する平等を説く宗教か」
カイはそう言って協力先からのレポートを読んでいた。
「確かに、ここにも宗教のことが書かれている。先導士についての記述はないが、どうやらルリアーナ正教会は各地で王の考えに反対するものを排除しようと水面下で動いているようで、それに反発して始まったのがレジスタンスの宗教らしいな」
レナから話を聞いた後のタイミングでレポートが届くとは、タイミングが良いのか悪いのか……とカイはレポートをハンに手渡した。
「ふうん。宗教戦争ねえ。よくもまあ、騎士団を擁立しないで争い続けたというか」
ハンは、他国で起きている宗教の武力所持を考えると、ルリアーナは異質だなと思っていた。
「いや、そうだな? 争うとは言っていたが、どうやって争っているんだ?」
ハンの言葉に、カイは、当たり前のことに気が付く。
「あれー? そう言えば。市民同士でも武器は持たないってことなら、全然想像つかないかも」
ハンも驚いて言った。
特にレナとの食事を楽しみにしているわけではなかったが、同席する度に出される食事はどれも素晴らしかったので、悪い気はしない。
サラもハンも、レナとの食事と聞いてやはり驚いていたが、それよりも食事の内容を楽しみにしろとカイは伝えた。
「食事を一緒にとるのは初めてね、ハン、サラ、ここでは堅苦しい礼儀は気にしなくて大丈夫よ」
レナはそう言って3人を出迎え、席に着くように促した。
カイが上座、隣にハン、末席にサラが着く。
「殿下、先ほどは本当に失礼しました」
ハンは改めてレナに頭を下げた。見合いの席でのことをまだ気にしている。
「ああ、あの時は本当に驚いたけど、カイの言う通り、早く分かって良かったわね」
とレナは特に気にもしていない風に笑った。
「なんでこんなところまで、わざわざお見合いなんかに……」
ハンとレナのやり取りを見ていたカイが、理解できない様子で先ほどの侯爵を思い出す。
「色々あるんだって。もうこの話はやめ」
ハンはそう言ってその話を終わらせた。
「さて、カイは私に聞きたいことがあるらしいわね」
食事が始まって早々、レナは話を切り出した。カイは特に前置きもせずに、
「ああ、『先導士』について知りたい」
と言った。その言葉がカイから出たことに、レナは驚いた。
「そう、そんな情報まで知っているのね……」
と言うと、ナイフとフォークを下ろして言いにくそうに何やら考えて込んでいる。
「護衛には話せない事か?」
カイがその様子を見て尋ねると、
「いいえ、私にとっては少し話しにくい内容があるから、どう伝えようかと」
とレナは答え、一息ついた。
「ルリアーナ内には、2つの宗教があって、そのうちの1つの宗教の1番位の高い聖職者が『先導士』と名乗っているわ」
カイはなるほど、と頷いて、
「その2つの宗教はどんな宗教と、どんな宗教なんだ?」
と聞く。レナはますます気まずそうな顔になっていた。
「ルリアーナ正教会というのが、王政を擁する宗教よ。王には特別な血が流れていて、特別な能力があるという考えを説いている。そして…………もうひとつが『レジスタンス』」
レナの言葉を聞いて、ハンとカイは同時に驚いた。サラはいまいちピンと来ていないらしい。
「そう、もう1つの宗教は、王政からの解放を説く、いわば抵抗勢力の宗教のこと。宗教名はルリアーナ信教。呼び方も似ているけど、考えは全く違っていて、神の下で人は平等だと説いてる」
レナは淡々と話していた。まるで他人事のようだったが、明らかに王家は信仰の対象と共に排除の対象にもなっていることを語っていた。
「そんな、全く違う考え方の宗教が、国の中で共存できるの?」
サラが当たり前の質問をすると、レナは困ったように笑っていた。
「そうね、かれこれ100年は宗教同士で争いが続いているわよ。ルリアーナが平和じゃないとしたら、宗教問題ね」
レナがそう言ったので、3人は耳を疑った。
「ねえ、弟。宗教戦争のことだけど」
ハンは昼食の時に言いたかった話を自室で始めた。
「あれ、今も続いているってことだとしたら、間違いなく殿下は巻き込まれているわけでしょ?」
ハンは何か思うところがあるようで、少し考え込んでいる。
「王政のための宗教と、それを否定する平等を説く宗教か」
カイはそう言って協力先からのレポートを読んでいた。
「確かに、ここにも宗教のことが書かれている。先導士についての記述はないが、どうやらルリアーナ正教会は各地で王の考えに反対するものを排除しようと水面下で動いているようで、それに反発して始まったのがレジスタンスの宗教らしいな」
レナから話を聞いた後のタイミングでレポートが届くとは、タイミングが良いのか悪いのか……とカイはレポートをハンに手渡した。
「ふうん。宗教戦争ねえ。よくもまあ、騎士団を擁立しないで争い続けたというか」
ハンは、他国で起きている宗教の武力所持を考えると、ルリアーナは異質だなと思っていた。
「いや、そうだな? 争うとは言っていたが、どうやって争っているんだ?」
ハンの言葉に、カイは、当たり前のことに気が付く。
「あれー? そう言えば。市民同士でも武器は持たないってことなら、全然想像つかないかも」
ハンも驚いて言った。
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