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the 8th day つらい別れ
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朝からハウザー騎士団は増員される団員への引継ぎの確認や、国内の調査のための打ち合わせを綿密に行っていた。
そんな時、侍女のサーヤから王女が呼んでいると声を掛けられる。
「失礼します、シンフォール・ロドルス、ロキウィズ・ライトです」
王女の部屋の前で、シンとロキが跪いて声を上げると、サーヤが扉を開けに行った。
「忙しいところ、わざわざありがとう」
扉が開くと、レナからシンとロキの姿が見える。
「午前中から任務にあたってくれているのに、出発前の慌ただしい時に、時間を作らせてごめんなさいね」
レナに言われてシンとロキは立ち上がって、
「こちらこそ、殿下にこうして挨拶ができて光栄です」
と騎士らしく頭を下げて挨拶をした。
レナは2人の前に歩いて来るが、
「ごめんなさい、2人とも、少ししゃがんでもらえるかしら?」
と背の高い騎士2人を見上げる。
その言葉に立膝をついてシンとロキはレナより頭を低くした。
そこでレナは用意したお守りを、シンとロキの首から下げる。紐がついたお守りは、赤い小さな小袋がペンダントのように付いている。
「これは、ルリアーナのお守りで、旅立つ人に無事を祈って渡すものです。中に入っている石はさほど高価なものではないけれど、昼食代くらいにはなるの。もしも荷物が無くなるようなトラブルがあったら、これをお店でお金の代わりに出すこともできるわよ」
と言ってほほ笑んだ。シンとロキは意外な餞別に驚いて、赤い小袋を握りしめる。
「あと、これは……あまりあなた達には効果がないかもしれないけど……」
レナはそう言ってシンの頬と額に口付けし、続いてロキにも同じようにした。
「2人に、素敵な加護がありますように。必ず、ここに帰ってきてね」
レナがそう言うと、シンとロキは暫く言葉にならないようだった。
「必ず、無事に戻ってきます」
と頭を下げ、2人は王女に改めて忠誠を誓った。
「だめだぁー……殿下と離れるのが辛すぎるううう……」
シンが昼食を自室で食べながら項垂れていると、ロキは、
「離れるも何も……シンと殿下がくっついたこと無かったような……」
と横目で見ながらも、少し何か思うところがある様子で考え込んでいる。
「俺、彼女持ちだけど、殿下には心の全部が奪われそうな気がする」
シンがぼそっと言うと、
「シンの彼女、大したことないからね」
とロキは切り捨てるように言った。
「お前ら、またその話か……」
カイはレナの部屋から戻った部下が、軟体動物のようになっているのを見て呆れていた。
「もうすぐサラが到着するぞ」
カイは、これから到着する規律に厳しい女性騎士の名前を出す。
「現実を突きつけないでくださいよー……殿下の感触に浸ってんですよー……」
とシンはカイに文句を言った。
「どうでも良いが、本当にお前らどうした」
カイは数日で様変わりした部下の様子に不安を覚えている。
「ご隠居様にはわかんないでしょうね……。どうしたらそうも枯れ果てるんですかね……」
「帰るところがあるから俺たちは行くんですよ、そういうもんですよ」
と、ぶつぶつ呟く部下の姿を、
「よし、そうか。帰ってきたら鍛えなおしてやるからな……」
とカイは呆れながら眺めていた。
そんな時、侍女のサーヤから王女が呼んでいると声を掛けられる。
「失礼します、シンフォール・ロドルス、ロキウィズ・ライトです」
王女の部屋の前で、シンとロキが跪いて声を上げると、サーヤが扉を開けに行った。
「忙しいところ、わざわざありがとう」
扉が開くと、レナからシンとロキの姿が見える。
「午前中から任務にあたってくれているのに、出発前の慌ただしい時に、時間を作らせてごめんなさいね」
レナに言われてシンとロキは立ち上がって、
「こちらこそ、殿下にこうして挨拶ができて光栄です」
と騎士らしく頭を下げて挨拶をした。
レナは2人の前に歩いて来るが、
「ごめんなさい、2人とも、少ししゃがんでもらえるかしら?」
と背の高い騎士2人を見上げる。
その言葉に立膝をついてシンとロキはレナより頭を低くした。
そこでレナは用意したお守りを、シンとロキの首から下げる。紐がついたお守りは、赤い小さな小袋がペンダントのように付いている。
「これは、ルリアーナのお守りで、旅立つ人に無事を祈って渡すものです。中に入っている石はさほど高価なものではないけれど、昼食代くらいにはなるの。もしも荷物が無くなるようなトラブルがあったら、これをお店でお金の代わりに出すこともできるわよ」
と言ってほほ笑んだ。シンとロキは意外な餞別に驚いて、赤い小袋を握りしめる。
「あと、これは……あまりあなた達には効果がないかもしれないけど……」
レナはそう言ってシンの頬と額に口付けし、続いてロキにも同じようにした。
「2人に、素敵な加護がありますように。必ず、ここに帰ってきてね」
レナがそう言うと、シンとロキは暫く言葉にならないようだった。
「必ず、無事に戻ってきます」
と頭を下げ、2人は王女に改めて忠誠を誓った。
「だめだぁー……殿下と離れるのが辛すぎるううう……」
シンが昼食を自室で食べながら項垂れていると、ロキは、
「離れるも何も……シンと殿下がくっついたこと無かったような……」
と横目で見ながらも、少し何か思うところがある様子で考え込んでいる。
「俺、彼女持ちだけど、殿下には心の全部が奪われそうな気がする」
シンがぼそっと言うと、
「シンの彼女、大したことないからね」
とロキは切り捨てるように言った。
「お前ら、またその話か……」
カイはレナの部屋から戻った部下が、軟体動物のようになっているのを見て呆れていた。
「もうすぐサラが到着するぞ」
カイは、これから到着する規律に厳しい女性騎士の名前を出す。
「現実を突きつけないでくださいよー……殿下の感触に浸ってんですよー……」
とシンはカイに文句を言った。
「どうでも良いが、本当にお前らどうした」
カイは数日で様変わりした部下の様子に不安を覚えている。
「ご隠居様にはわかんないでしょうね……。どうしたらそうも枯れ果てるんですかね……」
「帰るところがあるから俺たちは行くんですよ、そういうもんですよ」
と、ぶつぶつ呟く部下の姿を、
「よし、そうか。帰ってきたら鍛えなおしてやるからな……」
とカイは呆れながら眺めていた。
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