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the 7th day 王女からの誘い
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明後日から護衛の体制が変わることを聞いたレナは、それならば夕食を一緒に取らないかとカイに声をかけた。
これから、城内の護衛には新しく到着する騎士が2名入り、シンとロキは調査のために城を出て国内をまわるのだという。
その前に、ということでレナは気を遣ったようだった。
カイは特別何も考えずに返事をしたが、部下の2人は寂し気だった。
城を出発することが決まり、当たり前のように王女と同席をした機会が、とても貴重に思えたらしい。
「殿下と同席の食事なんて、今日が最後かもしれない……」
シンが言うと、ロキも、
「殿下で目が肥えきっているところに、サラさんが来たら直視できないかもしれない……」
と変な心配をしている。
「お前ら……」
カイはメイソン公爵の元に送り出したポテンシアの近衛兵たちを思い出した。自分の部下もさほど変わらないのだろうか?と不安になる。
「感傷に浸るのは結構だが、これからは常に戦場に居ると思って業務にあたってくれ。恐らくどこかのタイミングで血が流れることになるだろう。ここは武力を持たない国だが……」
カイは協力先から送られてきた気になる報告を頭の中に反芻した。
(『武力は持たないが、日常的に暗殺が行われていると考えられる』か…………)
「かなり厄介な部類が紛れ込んでいる可能性が高いぞ」
その言葉に、シンとロキは、
「俺、暗殺者集団を相手にするの2回目です」
「俺も、3回目くらいです。ポテンシアから来た背の低い方、暗殺専門っぽかったですけど公爵殺されてるんじゃないですかね、今頃」
と何も動じずに答えた。
レナは、この短い期間でハウザー騎士団の3人がいる日常に慣れていたが、カイから新しい団員の動員と、その代わりにシンとロキを国内各所に派遣するという報告を聞いた途端、まさか2人が側から居なくなるとは思っていなかったことに焦っていた。
ロキは、自分の頭の中がモヤモヤするたびに適切なアドバイスをくれていたし、シンはそこに居るだけで場が穏やかになる気がする。そんな2人がもうすぐ城を離れてしまうのだ。
代わりに40代の女性騎士と20代の男性騎士が新たに加わると聞いて、本当に体制が変わるのだと寂しい気持ちになった。
シンとロキの人間性にすっかり安心し、男性が苦手なレナでも2人とは楽しく話ができていたことが、特別だったことに気付く。
(知らなかった。『騎士物語』には書かれていなかったけど、騎士団長以外の団員も魅力的だったのね)
夕食の誘いは受けてもらえることになったが、できれば夜の護衛中に少し話をしておきたい。レナは、同年代の2人と話したいことがあった。
「国内を回ってもらえるのはとてもありがたいのだけど、くれぐれも気を付けて、無事にこちらまで戻って来てね」
レナが夕食時にしんみりと話すので、シンとロキは急に浮足立ってフォローをし始めた。
「何言ってんですか、王女殿下の護衛に戻れるまで諦めませんから、何があっても無事ですよ!」
シンが嬉しそうに言う。
「騎士は忠誠を誓った殿下を置いて道中で敗れたりはいたしません」
とロキもいつになくノリが良い。
「大丈夫ですよ、殿下。こいつらこう見えて相当しぶといんです」
と、カイも馬鹿にしたように言った。
3人は明るく笑っているのに、レナはまだ寂しそうな表情でシンとロキを見て、
「もし、迷惑でなければ、よ……。今日の夜の護衛の時にシンとロキと私で、ゆっくり話したりできないかしら?」
と遠慮がちに言った。
控え目にねだる表情に完全に心を持っていかれたシンは、口を付けていたグラスから水を気管に入れて盛大にせき込み、ロキは茫然としたまま反応できなくなっている。
「構わないだろ。こいつら、雇い主からそんな配慮をされたことがないので、喜びがあらぬ形で出ているだけだ」
カイがそう言っていつも通り平然と食事を続けると、レナは嬉しそうに、
「じゃあ、今日の夜のシフトを教えてね」
と無邪気に笑った。カイは無表情で食事を続けていたが、シンとロキは突然の事態に何が起きているのか理解が追い付かず、ひたすら混乱していた。
これから、城内の護衛には新しく到着する騎士が2名入り、シンとロキは調査のために城を出て国内をまわるのだという。
その前に、ということでレナは気を遣ったようだった。
カイは特別何も考えずに返事をしたが、部下の2人は寂し気だった。
城を出発することが決まり、当たり前のように王女と同席をした機会が、とても貴重に思えたらしい。
「殿下と同席の食事なんて、今日が最後かもしれない……」
シンが言うと、ロキも、
「殿下で目が肥えきっているところに、サラさんが来たら直視できないかもしれない……」
と変な心配をしている。
「お前ら……」
カイはメイソン公爵の元に送り出したポテンシアの近衛兵たちを思い出した。自分の部下もさほど変わらないのだろうか?と不安になる。
「感傷に浸るのは結構だが、これからは常に戦場に居ると思って業務にあたってくれ。恐らくどこかのタイミングで血が流れることになるだろう。ここは武力を持たない国だが……」
カイは協力先から送られてきた気になる報告を頭の中に反芻した。
(『武力は持たないが、日常的に暗殺が行われていると考えられる』か…………)
「かなり厄介な部類が紛れ込んでいる可能性が高いぞ」
その言葉に、シンとロキは、
「俺、暗殺者集団を相手にするの2回目です」
「俺も、3回目くらいです。ポテンシアから来た背の低い方、暗殺専門っぽかったですけど公爵殺されてるんじゃないですかね、今頃」
と何も動じずに答えた。
レナは、この短い期間でハウザー騎士団の3人がいる日常に慣れていたが、カイから新しい団員の動員と、その代わりにシンとロキを国内各所に派遣するという報告を聞いた途端、まさか2人が側から居なくなるとは思っていなかったことに焦っていた。
ロキは、自分の頭の中がモヤモヤするたびに適切なアドバイスをくれていたし、シンはそこに居るだけで場が穏やかになる気がする。そんな2人がもうすぐ城を離れてしまうのだ。
代わりに40代の女性騎士と20代の男性騎士が新たに加わると聞いて、本当に体制が変わるのだと寂しい気持ちになった。
シンとロキの人間性にすっかり安心し、男性が苦手なレナでも2人とは楽しく話ができていたことが、特別だったことに気付く。
(知らなかった。『騎士物語』には書かれていなかったけど、騎士団長以外の団員も魅力的だったのね)
夕食の誘いは受けてもらえることになったが、できれば夜の護衛中に少し話をしておきたい。レナは、同年代の2人と話したいことがあった。
「国内を回ってもらえるのはとてもありがたいのだけど、くれぐれも気を付けて、無事にこちらまで戻って来てね」
レナが夕食時にしんみりと話すので、シンとロキは急に浮足立ってフォローをし始めた。
「何言ってんですか、王女殿下の護衛に戻れるまで諦めませんから、何があっても無事ですよ!」
シンが嬉しそうに言う。
「騎士は忠誠を誓った殿下を置いて道中で敗れたりはいたしません」
とロキもいつになくノリが良い。
「大丈夫ですよ、殿下。こいつらこう見えて相当しぶといんです」
と、カイも馬鹿にしたように言った。
3人は明るく笑っているのに、レナはまだ寂しそうな表情でシンとロキを見て、
「もし、迷惑でなければ、よ……。今日の夜の護衛の時にシンとロキと私で、ゆっくり話したりできないかしら?」
と遠慮がちに言った。
控え目にねだる表情に完全に心を持っていかれたシンは、口を付けていたグラスから水を気管に入れて盛大にせき込み、ロキは茫然としたまま反応できなくなっている。
「構わないだろ。こいつら、雇い主からそんな配慮をされたことがないので、喜びがあらぬ形で出ているだけだ」
カイがそう言っていつも通り平然と食事を続けると、レナは嬉しそうに、
「じゃあ、今日の夜のシフトを教えてね」
と無邪気に笑った。カイは無表情で食事を続けていたが、シンとロキは突然の事態に何が起きているのか理解が追い付かず、ひたすら混乱していた。
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