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the 4th night 楽しい晩餐
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その日の夕食は、レナが部下も含めた3人で一緒にどうかと提案をしてきた。
相変わらず護衛に対して律儀だなと、部下の2人にレナの意向を伝えると、2人は何やら様子がおかしかった。
(まあ、普通じゃないんだ、ここの王女は)
カイは、そう思いながらも慣れ始めている自分に気付く。
「失礼します。ハウザー騎士団、参りました」
扉の前に立って声をかけると、中から侍女のサーヤが出てきて席に案内をした。
「ハウザー様、本日こそはレナ様の正面にお座り下さいな」
長テーブルには全部で6脚の椅子が置かれていた。
片側に部下と自分が並んで座ると、必然的に自分が上席でレナの正面に座ることになる。
とうとう観念してカイは上席についた。隣にシン、末席にロキが座る。
暫くしてレナがシンプルなドレスに髪を下ろした姿で隣の部屋からやってきた。
「今日は、賑やかな食卓ね」
レナが嬉しそうに言ったので、シンが大いに照れていた。
「お前に言ったわけじゃないぞ」
カイが突っ込むと、シンは、
「分かってます、王女殿下が嬉しそうだと自分も嬉しいんです」
と言い返す。
「シンは私の気持ちに寄り添ってくれるのね」
とレナは嬉しそうだった。シンは更にデレデレする。
「気持ち悪くなってますよ」
シンの様子がおかしいのを、ロキが小声で忠告した。
それを見ていたレナは、
「ロキは、嫌いなものはないかしら?」
と、視線の遠いロキに尋ねる。
「はい、特に……。あまりこういった席のかしこまった料理は口にしたことが無いので、分かりませんが」
ロキは王女の気遣いに、そう言って穏やかに微笑んだ。
「苦手なものがあったら、無理してまで食べなくて良いのよ。勿論、気に入っていただけたら嬉しいけど。例えば……あなたのところの団長さんみたいに」
レナがそう言うと、動揺したカイがむせていた。
「団長、俺たちが到着するまでの間に、随分と美味しいものを食べてきたみたいですね……」
シンは責めるようにカイを見て言う。
「いや、別にお前らの分まで食べてたわけじゃないからな」
カイはそう言うと目の前に座るレナに余計なことを……と呟く。レナが声を上げて笑ったので、シンとロキは思わず見惚れていた。
「いや~美味かったな――」
シンが部屋に戻って大きな声で言うと、
「それにしても、団長は随分王女様と仲良くなってるんですね」
とロキが付け加えた。
「あのなぁ、食事中に分かったと思うが、殿下は誰とでもフレンドリーなんだ」
カイが面倒くさそうにそう言うと、
「俺もあんなに女性と打ち解けてる団長初めて見たんで、ちょっと驚いたっていうか……なんか、団長こそあのお姫様みたいなのがタイプなんじゃないかって思っちゃいましたよ」
とシンもロキに加勢した。
「お前ら、いい加減にしろ。俺はここの食事が気に入っていて、食事中は気分が良いだけだ。そんなことより今から作戦会議だぞ」
カイはそれ以上の感想は受け付けない姿勢で話を変える。
「はーい」
2人はつまらなさそうに返事をした。
その日の夜は、最初の3時間カイが護衛、続いてシンが3時間、ロキが3時間と担当することになった。
その間、徹夜の続いた3人はそれぞれ休むことになる。
(これで、昨日までのように王女と話すこともなくなったな)
レナが感情を出すことで気持ちを落ち着けているのだとすれば、夜の時間も有意義に使ってもらえている気がしていたが、カイにとってはあまり得意な分野ではなかった。
(夜でなくても、見合いの後には話す時間もある)
レナの部屋に続く扉を見つめた。昨日の夜に泣きじゃくった後、逃げるように去った後ろ姿が目に焼き付いている。
その扉の前に立ち、カイは剣を抱えて座った。
(明日から、手分けして情報収集に動くんだ、休めるうちに休んでおかないと)
カイが護衛に入っていた時間は、全く人の気配がないまま過ぎていった。
交代の時間になり、隣の部屋からシンが現れる。
「団長、交代します。朝まで寝て下さい」
「ああ、ありがとう。3時間になると大分早いな」
カイはシンの肩を軽く叩いてシンの横を通り過ぎると、
「殿下が夜中に現れても、変な気を起こすんじゃないぞ」
と忠告した。
「ええっ?!現れることがあるんですか?すごい楽しみじゃないですか」
シンは俄然やる気に満ちていた。
レナは隣の部屋を訪れるか悩んでいた。
(今日から、カイ以外の2人も夜の護衛に入るって言ってたわね)
カイが相手でなくても、夜に声をかけるくらいはしても良いかもしれない、そう思って隣に行こうと思うのに躊躇ってしまう。
シンとロキにはまだ気軽に話が出来る程、打ち解けたとは実感がない。
(でも、1日の終わりに話ができるかもしれないし)
意を決して隣の部屋の扉の前まで歩いた。
「あの、そこにいるの?」
扉の向こうに声をかける。
「は、はいっ、ここにいます!」
明らかにカイとは違う声がした。
「夜中まで、ご苦労様。本当にありがとう」
レナは扉を開けずに、そのまま寝室に戻る。
(そうよね、残念)
もっと彼と話したいことがあった。明日はどうだろう。
扉の向こうにいたシンはいつ目の前にレナが現れるか緊張していたが、声を掛けられたきり、とうとう現れることはなかった。
相変わらず護衛に対して律儀だなと、部下の2人にレナの意向を伝えると、2人は何やら様子がおかしかった。
(まあ、普通じゃないんだ、ここの王女は)
カイは、そう思いながらも慣れ始めている自分に気付く。
「失礼します。ハウザー騎士団、参りました」
扉の前に立って声をかけると、中から侍女のサーヤが出てきて席に案内をした。
「ハウザー様、本日こそはレナ様の正面にお座り下さいな」
長テーブルには全部で6脚の椅子が置かれていた。
片側に部下と自分が並んで座ると、必然的に自分が上席でレナの正面に座ることになる。
とうとう観念してカイは上席についた。隣にシン、末席にロキが座る。
暫くしてレナがシンプルなドレスに髪を下ろした姿で隣の部屋からやってきた。
「今日は、賑やかな食卓ね」
レナが嬉しそうに言ったので、シンが大いに照れていた。
「お前に言ったわけじゃないぞ」
カイが突っ込むと、シンは、
「分かってます、王女殿下が嬉しそうだと自分も嬉しいんです」
と言い返す。
「シンは私の気持ちに寄り添ってくれるのね」
とレナは嬉しそうだった。シンは更にデレデレする。
「気持ち悪くなってますよ」
シンの様子がおかしいのを、ロキが小声で忠告した。
それを見ていたレナは、
「ロキは、嫌いなものはないかしら?」
と、視線の遠いロキに尋ねる。
「はい、特に……。あまりこういった席のかしこまった料理は口にしたことが無いので、分かりませんが」
ロキは王女の気遣いに、そう言って穏やかに微笑んだ。
「苦手なものがあったら、無理してまで食べなくて良いのよ。勿論、気に入っていただけたら嬉しいけど。例えば……あなたのところの団長さんみたいに」
レナがそう言うと、動揺したカイがむせていた。
「団長、俺たちが到着するまでの間に、随分と美味しいものを食べてきたみたいですね……」
シンは責めるようにカイを見て言う。
「いや、別にお前らの分まで食べてたわけじゃないからな」
カイはそう言うと目の前に座るレナに余計なことを……と呟く。レナが声を上げて笑ったので、シンとロキは思わず見惚れていた。
「いや~美味かったな――」
シンが部屋に戻って大きな声で言うと、
「それにしても、団長は随分王女様と仲良くなってるんですね」
とロキが付け加えた。
「あのなぁ、食事中に分かったと思うが、殿下は誰とでもフレンドリーなんだ」
カイが面倒くさそうにそう言うと、
「俺もあんなに女性と打ち解けてる団長初めて見たんで、ちょっと驚いたっていうか……なんか、団長こそあのお姫様みたいなのがタイプなんじゃないかって思っちゃいましたよ」
とシンもロキに加勢した。
「お前ら、いい加減にしろ。俺はここの食事が気に入っていて、食事中は気分が良いだけだ。そんなことより今から作戦会議だぞ」
カイはそれ以上の感想は受け付けない姿勢で話を変える。
「はーい」
2人はつまらなさそうに返事をした。
その日の夜は、最初の3時間カイが護衛、続いてシンが3時間、ロキが3時間と担当することになった。
その間、徹夜の続いた3人はそれぞれ休むことになる。
(これで、昨日までのように王女と話すこともなくなったな)
レナが感情を出すことで気持ちを落ち着けているのだとすれば、夜の時間も有意義に使ってもらえている気がしていたが、カイにとってはあまり得意な分野ではなかった。
(夜でなくても、見合いの後には話す時間もある)
レナの部屋に続く扉を見つめた。昨日の夜に泣きじゃくった後、逃げるように去った後ろ姿が目に焼き付いている。
その扉の前に立ち、カイは剣を抱えて座った。
(明日から、手分けして情報収集に動くんだ、休めるうちに休んでおかないと)
カイが護衛に入っていた時間は、全く人の気配がないまま過ぎていった。
交代の時間になり、隣の部屋からシンが現れる。
「団長、交代します。朝まで寝て下さい」
「ああ、ありがとう。3時間になると大分早いな」
カイはシンの肩を軽く叩いてシンの横を通り過ぎると、
「殿下が夜中に現れても、変な気を起こすんじゃないぞ」
と忠告した。
「ええっ?!現れることがあるんですか?すごい楽しみじゃないですか」
シンは俄然やる気に満ちていた。
レナは隣の部屋を訪れるか悩んでいた。
(今日から、カイ以外の2人も夜の護衛に入るって言ってたわね)
カイが相手でなくても、夜に声をかけるくらいはしても良いかもしれない、そう思って隣に行こうと思うのに躊躇ってしまう。
シンとロキにはまだ気軽に話が出来る程、打ち解けたとは実感がない。
(でも、1日の終わりに話ができるかもしれないし)
意を決して隣の部屋の扉の前まで歩いた。
「あの、そこにいるの?」
扉の向こうに声をかける。
「は、はいっ、ここにいます!」
明らかにカイとは違う声がした。
「夜中まで、ご苦労様。本当にありがとう」
レナは扉を開けずに、そのまま寝室に戻る。
(そうよね、残念)
もっと彼と話したいことがあった。明日はどうだろう。
扉の向こうにいたシンはいつ目の前にレナが現れるか緊張していたが、声を掛けられたきり、とうとう現れることはなかった。
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