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the 2nd day 騎士団長の戦略
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カイは部屋に戻ると、早速自分の経営する騎士団宛に手紙を飛ばす手配を始めた。必要なものは侍女のサーヤに伝えると準備してもらえるようになっているらしい。
レナは身支度や各種連絡などで2時間ほど護衛は要らないと言っていた。扉を開けて隣の部屋に声をかけることでレナの部屋にも声が聞こえるため、レナとカイの間をサーヤが行き来していた。
(人選は……そうだな、今は大きな仕事を抱えていない中でいえば、あいつと……折角だ、あいつがいいか)
今回の仕事の応援要請を手配することにした。どんなに急ぎでも、応援が到着するのは恐らく3日はかかる。インクとペンで紙に内容を書きながら、頭の中を整理した。
(早速、3日間徹夜とはな)
楽勝な護衛だと思っていたが、そうでもなかったらしい。報酬は良いので旨い話はそうそうないのだと納得するだけだ。
そして、2通目の手紙に手をつけ始める。ルリアーナ内にいる協力先に向けての仕事依頼だった。
(12年前にあったことを、正確に把握しないと厄介だ)
手紙を2通完成させると、サーヤに速達便の手配を依頼した。なるべく他の者に見つからない様に出すよう注意をしておく。
そして、1時間ほど仮眠を取りたいと伝えて部屋に籠った。
レナは、初日から見合いの護衛は大変だろうと気を遣って、見合いの予定は明日からにしていたらしい。
(たかが護衛に随分と優しい王女様だ。パースの『騎士物語』を読んだらしいが、あの話で美化された俺に勝手に想像を膨らませていたクチか)
広いクイーンベッドに横たわる。
『騎士物語』がきっかけでカイを知る人間は、変に憧れを抱いてしまっているせいか実際に会うと勝手に落ち込むのだ。あの実話を基にしたフィクションのせいでカイはレディファーストで心の優しい紳士だと思われているが、実際は女性とのコミュニケーションが苦手な上、人に優しい言葉をかけられるような気の利いた人物ではない。恐らく今回の王女もそのうち自分に失望するのだろう、それはそれで構わないが。
(妙な妖術か……)
物語の中にも記述はされていない事実。カイは自分の掌を見つめる。普段は殆ど使っていない自分の能力は、妖術だと言われればそういうものかもしれない。その能力を知ってか知らずか、あの王女は『特技』と言っていた。
そして、ルリアーナの政治家にカイが特殊な能力を使うことを知られていた。隣国のパースで活躍したことがあれば、同盟国にまで情報が伝わっていてもおかしくはない。ただ、何かが引っかかっている。
(こちら側に情報がなさ過ぎてスッキリしないな)
今回の仕事依頼が来た際に、ルリアーナ拠点の協力先には王女や国に関する情報を集めてもらった。だが、そこには国王夫妻が12年前に他殺されたことや、見合いの中止を求める脅迫状のことは何も書かれていなかった。
国民に慕われる若く美しい王女と、その見合いの行方は国民の娯楽にもなっているらしいことは書かれていたが。
ルリアーナ王国は、王族の情報が殆ど外に出ないのかもしれない。情報屋が頼れないとなると、城内や街に出ての情報収集が必要か。
(やることが多いな……)
戦場に入れられた訳ではないのに、まるで戦地のど真ん中にいる気分だった。
横たわった豪華なクイーンベッドのスプリングは素晴らしかったが。
レナは身支度や各種連絡などで2時間ほど護衛は要らないと言っていた。扉を開けて隣の部屋に声をかけることでレナの部屋にも声が聞こえるため、レナとカイの間をサーヤが行き来していた。
(人選は……そうだな、今は大きな仕事を抱えていない中でいえば、あいつと……折角だ、あいつがいいか)
今回の仕事の応援要請を手配することにした。どんなに急ぎでも、応援が到着するのは恐らく3日はかかる。インクとペンで紙に内容を書きながら、頭の中を整理した。
(早速、3日間徹夜とはな)
楽勝な護衛だと思っていたが、そうでもなかったらしい。報酬は良いので旨い話はそうそうないのだと納得するだけだ。
そして、2通目の手紙に手をつけ始める。ルリアーナ内にいる協力先に向けての仕事依頼だった。
(12年前にあったことを、正確に把握しないと厄介だ)
手紙を2通完成させると、サーヤに速達便の手配を依頼した。なるべく他の者に見つからない様に出すよう注意をしておく。
そして、1時間ほど仮眠を取りたいと伝えて部屋に籠った。
レナは、初日から見合いの護衛は大変だろうと気を遣って、見合いの予定は明日からにしていたらしい。
(たかが護衛に随分と優しい王女様だ。パースの『騎士物語』を読んだらしいが、あの話で美化された俺に勝手に想像を膨らませていたクチか)
広いクイーンベッドに横たわる。
『騎士物語』がきっかけでカイを知る人間は、変に憧れを抱いてしまっているせいか実際に会うと勝手に落ち込むのだ。あの実話を基にしたフィクションのせいでカイはレディファーストで心の優しい紳士だと思われているが、実際は女性とのコミュニケーションが苦手な上、人に優しい言葉をかけられるような気の利いた人物ではない。恐らく今回の王女もそのうち自分に失望するのだろう、それはそれで構わないが。
(妙な妖術か……)
物語の中にも記述はされていない事実。カイは自分の掌を見つめる。普段は殆ど使っていない自分の能力は、妖術だと言われればそういうものかもしれない。その能力を知ってか知らずか、あの王女は『特技』と言っていた。
そして、ルリアーナの政治家にカイが特殊な能力を使うことを知られていた。隣国のパースで活躍したことがあれば、同盟国にまで情報が伝わっていてもおかしくはない。ただ、何かが引っかかっている。
(こちら側に情報がなさ過ぎてスッキリしないな)
今回の仕事依頼が来た際に、ルリアーナ拠点の協力先には王女や国に関する情報を集めてもらった。だが、そこには国王夫妻が12年前に他殺されたことや、見合いの中止を求める脅迫状のことは何も書かれていなかった。
国民に慕われる若く美しい王女と、その見合いの行方は国民の娯楽にもなっているらしいことは書かれていたが。
ルリアーナ王国は、王族の情報が殆ど外に出ないのかもしれない。情報屋が頼れないとなると、城内や街に出ての情報収集が必要か。
(やることが多いな……)
戦場に入れられた訳ではないのに、まるで戦地のど真ん中にいる気分だった。
横たわった豪華なクイーンベッドのスプリングは素晴らしかったが。
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