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第三章 足りない僕とコーヒーと

【コーヒーコラム】コーヒーの王様と女王

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さて、タイトルを見ただけで何の話かお判りでしょうか。

「コーヒーの王様」「香りの王様」と呼ばれるのがケニアのコーヒー豆です。本編ではナツさんの好きなコーヒーとして登場しました。

ケニアは、世界で一番品質の良いコーヒーを作る国とも言われているくらい、どの農園でも品質の高いコーヒーを作る国らしいのですが。
サードウェーブコーヒーのお店でも好んで提供されます。

アフリカ系は味がしっかり目で酸味もちゃんとあるものが多いのですが、ケニアは香りが一番の売り。ケニアと同じく香りが売りの豆といえば・・そう、モカです。ちなみにモカは世界最古のコーヒーブランドです。

ナツさんのお店のブレンドコーヒーはモカがベースでしたが、モカはモカでもエチオピア産でした。モカはモカ港から出荷されたコーヒーの名称でエチオピア産とイエメン産があると書きましたが、イエメンは紛争が多い地域。

イエメン産のモカマタリは生産量が安定せず、高価で手に入りにくい豆になっています。

イエメン産はマタリ(最高級品種)以外のモカも生産していましたが、薬物系植物の畑に変わってしまっていたりもするらしく・・世界で起きている現実はなかなか日本にいると想像もつかないものです・・。

エチオピア産のモカはモカシダモ、イルガチャフェ、ハラ―と産地によって呼び名が違います。
モカの英語名はイエメン産「mokha」エチオピア産「mocha」と綴りすら違うので、イエメンとエチオピアはお互い別物と言いたいのかもしれません。

イエメン産のモカマタリは「コーヒーの女王」や「コーヒーの貴婦人」と呼ばれています。

「コーヒー・ルンバ」という昔の有名な歌に出てくるのが「モカマタリ」。
高速のサービスエリアによくあるミル挽きコーヒー自販機、抽出中に流れる楽曲が「コーヒー・ルンバ」ですね。

スペシャルティコーヒーの概念がなかった1961年の楽曲にモカマタリを歌詞に入れるってすごいセンスな気がするのですが。当時モカマタリはほとんど飲めなかったはずなので、「モカマタリってなんだろ、まあいいや」とみなさん思いながら歌ってたんだろうな、という気がします(どこ目線の感想だ)。

私は香りの良いコーヒーが特に好きです。
ケニアの香りは明るくて華やか。味は苦みが控え目で酸味はまろやかなグレープフルーツ系です。※鮮度が良いものをお飲みください。農園によって違いはありますが傾向としてまろやかなフルーツの酸味です。

焙煎の度合いで風味がガラッと変わるのがアフリカ系の魅力でもあるのかなあと思います。
酸味と香りが変化するんですよね。一概に「この豆はこの香りです!」と言い切るのは難しくて、焙煎が違うと香りと味の系統まで変わってしまったりします。

私はモカよりもケニアの方が好みだったりするのですが、ケニアの香りって王様というよりも女性っぽいような気がするんですよ・・。香りの丸みと明るさが。

こればっかりは個人の感想なので、コーヒーの世界で王様って言われるんだからケニアは王様で、モカマタリが貴婦人か女王なんだと言われれば「はい」としか言えません。

モカマタリは、ワインに例えられることが多いですね。
ワインとグレープフルーツだったら、グレープフルーツの方が女性じゃないの?って私は思ってるんですけど。いや、ワインも女性なのか?

私のような新参者に、先人を否定するだけの論理はありませんが。

いちコーヒーマニアの意見として、是非モカマタリとケニアを飲み比べていただき、ご意見いただけたら大変嬉しいです。

ちなみに現在(2022年7月)モカマタリは品薄で価格高騰中です。品質の良いモカマタリは手に入りにくくなっているので無理をして買わないように・・すいません、どっちやねんってなりますね。

私はケニアの方が女性、を譲れそうもありませんが・・。
流通している通称は、ケニアが王様でモカマタリが女王です、はい。


本編は、第三章が終わり次回から終章がスタート。
主人公は利津に戻ります。最後までお付き合いいただけましたら幸いです。
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