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3章 プロローグ・はじまりのガーデン
9話 騒ぎの渦中にいる彼女は、俺の母だ。
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【プロローグ・疑心の母】
目覚めた場所はーーーどこかの細道だった。家々が並ぶ、どこかの細道で立っているのは俺1人だけだった。
俺は、主人公の姿は全く違うものだった。あの輝くような金髪ではなく、どんな色に染まることのない漆黒、体も女性には到底見えそうにない男の体をしている。
どうやら前回飛ばしたプロローグは、主人公が天使フィリアになる前から始まるらしい。でも、一体どんな理由があって天使になるんだか...。
「どうして魔女が!?早く騎士様を呼んで!!」
女性の悲鳴が聞こえてきた。その声に、俺の鼓動はドクンッと脈打つ。
「早くその魔女から離れるんだ!」
「騎士様が来るまで、俺たちでなんとか抑えとくんだ!!」
「大丈夫だ、悪しき魔女は火炙りだ!」
俺は右手で苦しい胸を押さえる。胸が、目の奥が熱い。
早く、早く、彼女の元へ向かわなければ!とその声の方へ走り出していた。
細道から、店が並ぶ大通り...道の真ん中に出る。
「ちょっと、危ないからそっちに行くんじゃないよ!」
その光景を囲む群衆を通り抜けた先ーーー屈強な男2人で彼女の腕を両方から掴み、もう1人が背中に乗って頭を地面に押さえつけていた。
その光景は、涙が流れてしまいそうなほどひどくて、苦しいものだった。
口で大きく息をしながら、あわあわと歩み寄る。
その光景を作り出す人々の髪はみんな、色の強弱あれど、お揃いの金髪をしていた。
でも、彼女の髪は黒髪をベースに少しの金が入り混ざった髪をしていた。
その瞳は...頬が地面に擦れ血を流していた、その血、赤と黒が共存する瞳の色をしていた。
「お母さん!!」
俺はそう呼んでいた。
まるでそれは、産まれたばかりの子がはじめて見た誰かを親と認識するような、当たり前の感覚...胸騒ぎの正体は、俺が彼女を見たときに答えが現れた。
群衆が一斉に俺を見る。
「あんた今なんて言ったんだ?」
「魔女を母?ならそいつも捕えるべきなんじゃないのか?」
抑えつけられている彼女は喋ることできず、その歪んだ瞳で俺を見ることしかできなかった。
群衆は俺を捕えるべきか?と悩み、悩んだ末に、1人の男が戸惑いながらも俺の腕を掴んできた。
「そいつは魔女じゃないよ。」
何処からともなく現れたのはーーー燃えるような赤い髪と黄金の瞳をした男。その男が着る制服、青と白が基調の制服は騎士を現す。
群衆は彼をアンセル様と呼んだ。
騎士アンセルの、魔女じゃない、という言葉に群衆は納得いかないようであったが、渋々手を離した。
俺は彼女の側に駆け寄り、その体を支えようとしたが、...頬の怪我が治っていた。
「腕を貸してもらえますか?」
「あ、あぁ!」
戸惑いながらも、俺は彼女の腕を自分の首に回した。
「アンセル様!その女は魔女よ!!」
「そうだ!あの赤い目!髪も黒じゃないか!」
騎士アンセルは群衆に答えた。
「何度騒ごうが、彼女は魔女ではない。魔女の容姿によく似ているが、彼女は魔女ではない。騎士団は彼女を魔女として捕えることはないよ。」
騎士アンセルは群衆に向かって、何度も魔女ではないと言い切った、断言してくれた。そう何度も断言してくれたおかげで、群衆は互いの顔を見合わせ、苦虫を噛み潰したような顔を浮かべその場を離れていく。
そして、この場には俺と彼女、騎士アンセルだけが残った。騎士アンセルがこちらへと歩み寄る。
「これで5度目かな?」
「申し訳ございません。」
「この騒ぎが今回で最後だと願うよ。もし、次呼ばれることになったら、...王様が出てくるかもしれないね。だって騎士の僕じゃ意味ないみたいだし。」
どうやら、今回みたいな騒ぎはもう5回も起きてるらしい。
周りと違う髪と目だけで判断する群衆。容姿が周りと違うのは騎士アンセルも同じだけれど、彼は立派な騎士で、彼女は悪しき魔女と容姿が似ているのが駄目らしい。
「さっきも言ったけど...」
騎士アンセルの瞳が彼女に向けられ、彼女を捕える。
「あくまで、魔女として捕えることはできないっていう話だからね。」
「...はい。」
「それじゃあ、君が火炙りにされないことを祈るよ。」
「火炙りは魔女限定の処刑方法でしょう?」
「そうだったね。」
「私たちも行きましょうか、ウツギ。」
「は、はい。」
ウツギ...と呼ばれた。フィリアになる前の主人公、プロローグでの主人公はウツギという名前らしい。
まだ分からないことだらけだが、...俺の目線の先にいたのは、騎士アンセル、俺はアンセルの背中を見送る。
騎士アンセルか...まさかプロローグで会っていたとは、あいつは攻略キャラの1人だ。
目覚めた場所はーーーどこかの細道だった。家々が並ぶ、どこかの細道で立っているのは俺1人だけだった。
俺は、主人公の姿は全く違うものだった。あの輝くような金髪ではなく、どんな色に染まることのない漆黒、体も女性には到底見えそうにない男の体をしている。
どうやら前回飛ばしたプロローグは、主人公が天使フィリアになる前から始まるらしい。でも、一体どんな理由があって天使になるんだか...。
「どうして魔女が!?早く騎士様を呼んで!!」
女性の悲鳴が聞こえてきた。その声に、俺の鼓動はドクンッと脈打つ。
「早くその魔女から離れるんだ!」
「騎士様が来るまで、俺たちでなんとか抑えとくんだ!!」
「大丈夫だ、悪しき魔女は火炙りだ!」
俺は右手で苦しい胸を押さえる。胸が、目の奥が熱い。
早く、早く、彼女の元へ向かわなければ!とその声の方へ走り出していた。
細道から、店が並ぶ大通り...道の真ん中に出る。
「ちょっと、危ないからそっちに行くんじゃないよ!」
その光景を囲む群衆を通り抜けた先ーーー屈強な男2人で彼女の腕を両方から掴み、もう1人が背中に乗って頭を地面に押さえつけていた。
その光景は、涙が流れてしまいそうなほどひどくて、苦しいものだった。
口で大きく息をしながら、あわあわと歩み寄る。
その光景を作り出す人々の髪はみんな、色の強弱あれど、お揃いの金髪をしていた。
でも、彼女の髪は黒髪をベースに少しの金が入り混ざった髪をしていた。
その瞳は...頬が地面に擦れ血を流していた、その血、赤と黒が共存する瞳の色をしていた。
「お母さん!!」
俺はそう呼んでいた。
まるでそれは、産まれたばかりの子がはじめて見た誰かを親と認識するような、当たり前の感覚...胸騒ぎの正体は、俺が彼女を見たときに答えが現れた。
群衆が一斉に俺を見る。
「あんた今なんて言ったんだ?」
「魔女を母?ならそいつも捕えるべきなんじゃないのか?」
抑えつけられている彼女は喋ることできず、その歪んだ瞳で俺を見ることしかできなかった。
群衆は俺を捕えるべきか?と悩み、悩んだ末に、1人の男が戸惑いながらも俺の腕を掴んできた。
「そいつは魔女じゃないよ。」
何処からともなく現れたのはーーー燃えるような赤い髪と黄金の瞳をした男。その男が着る制服、青と白が基調の制服は騎士を現す。
群衆は彼をアンセル様と呼んだ。
騎士アンセルの、魔女じゃない、という言葉に群衆は納得いかないようであったが、渋々手を離した。
俺は彼女の側に駆け寄り、その体を支えようとしたが、...頬の怪我が治っていた。
「腕を貸してもらえますか?」
「あ、あぁ!」
戸惑いながらも、俺は彼女の腕を自分の首に回した。
「アンセル様!その女は魔女よ!!」
「そうだ!あの赤い目!髪も黒じゃないか!」
騎士アンセルは群衆に答えた。
「何度騒ごうが、彼女は魔女ではない。魔女の容姿によく似ているが、彼女は魔女ではない。騎士団は彼女を魔女として捕えることはないよ。」
騎士アンセルは群衆に向かって、何度も魔女ではないと言い切った、断言してくれた。そう何度も断言してくれたおかげで、群衆は互いの顔を見合わせ、苦虫を噛み潰したような顔を浮かべその場を離れていく。
そして、この場には俺と彼女、騎士アンセルだけが残った。騎士アンセルがこちらへと歩み寄る。
「これで5度目かな?」
「申し訳ございません。」
「この騒ぎが今回で最後だと願うよ。もし、次呼ばれることになったら、...王様が出てくるかもしれないね。だって騎士の僕じゃ意味ないみたいだし。」
どうやら、今回みたいな騒ぎはもう5回も起きてるらしい。
周りと違う髪と目だけで判断する群衆。容姿が周りと違うのは騎士アンセルも同じだけれど、彼は立派な騎士で、彼女は悪しき魔女と容姿が似ているのが駄目らしい。
「さっきも言ったけど...」
騎士アンセルの瞳が彼女に向けられ、彼女を捕える。
「あくまで、魔女として捕えることはできないっていう話だからね。」
「...はい。」
「それじゃあ、君が火炙りにされないことを祈るよ。」
「火炙りは魔女限定の処刑方法でしょう?」
「そうだったね。」
「私たちも行きましょうか、ウツギ。」
「は、はい。」
ウツギ...と呼ばれた。フィリアになる前の主人公、プロローグでの主人公はウツギという名前らしい。
まだ分からないことだらけだが、...俺の目線の先にいたのは、騎士アンセル、俺はアンセルの背中を見送る。
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