追放聖女は黒耀の王子と復讐のシナリオを生きる

河津田 眞紀

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42 果された想い

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 ――それから。
 ジンさんは、エミディオさんと、特殊部隊の数名と共に、デヴァリア伯爵家へと向かった。

 私とファティカ様は、残った特殊部隊の人たちに護送される形で王都へと戻った。
 ドロシーさんも念のため、王都の病院へ運ばれた。
 全身に火傷を負った『選定者』は軍部に連行され、回復次第取り調べを受けるという。

 安全面を考慮し、特殊部隊の方から軍部内の施設で過ごすことを提案されたが、私は丁重にお断りをし、ジンさんのお屋敷へ戻った。
 
 ジンさんは、必ず帰って来る。
 その時に、ちゃんとここで、この家で、彼を迎えてあげたいから……
 私は、一人で待つことにした。



 そうして、彼の帰りを待ち――
 送り出したあの日から、二日が経った。



 ジンさんやエミディオさんがどうなったのか、未だ特殊部隊からの報告はない。
 彼を信じて待つと決めたのに、一分一秒がひどく長く感じられて、不安と緊張で気が狂いそうだった。

 食事は喉を通らず、眠ることもできず、リビングのテーブルに伏せながら、私は考える。

『――メル。俺はずっと……君を…………』

 ……あの時、ジンさんは何を言いかけたの?
 全てが終わったら伝えたいことって、何だったの?

 教えてほしい。
 だから……どうか…………


「……どうか……無事に、帰って来て……」


 祈るように、そう呟いた――その時。
 玄関の方で、ガチャッと、扉の開く音がした。

 私はハッと顔を起こし、立ち上がる。
 そして、廊下へ駆け出すと……

 
 玄関の窓から差す夕陽を背に受けるように、ジンさんが、立っていた。


 ……よかった。帰って来た。


 安堵のあまり、私は溢れる涙を止めることができないまま、

「……っ、おかえりなさい……っ!」

 彼の胸に、飛び込んだ。
 抱き付く私を、ジンさんはぎゅっと抱き締め返し、

「ただいま……待たせてすまなかった」

 そう、優しい声で囁いた。
 私は彼の胸に額を擦り付けながら、涙をこぼす。

「組織は……『復讐』は、どうなりましたか?」
「終わったよ。エミディオも無事だ」
「よかった……もう、帰って来なかったらどうしようって……すごく怖かったです……っ」

 ああもう、秘書らしく冷静に彼を迎えようとしていたのに、台無しだ。
 感情が高ぶって……喜びと安堵が溢れて、涙が止まらない。

 ……が、そこで。
 私は、彼の背中に回した手が、少し濡れていることに気付く。
 ちらっと指先を見ると、そこには……
 真っ赤な鮮血が、べったり付いていて。

「……って、ジンさん、血……! 血が出ています!!」

 頭から一気に血の気が引き、私は絶叫する。
 しかし当のジンさんは、なんともないような顔をして、

「あぁ、組織の連中とやり合った時に負傷した。特殊部隊が治療すると言ってきたが、君に治癒されたかったのでそのまま帰って来たんだ」
「それを早く言ってくださいよ! ほら、服を脱いで! すぐに治さないと!!」

 感動の再会から一転、私は大慌てで彼を寝室へ連れて行き、治癒を始めた。




 ――ベッドの上に座り、傷を癒しながら、私はジンさんからデヴァリア伯爵家に乗り込んだ時のことを聞いた。

 到着したのは早朝。エミディオさんが『選定者』の姿に化け、その影にジンさんが隠れる形で共に塔へ上がった。
 頂上の部屋に辿り着くと、組織の人間が三人集まり、『選定者』たちの帰りを待っていた。
 
 しばらく『選定者』のフリをして油断を誘い……頃合いを見計らって、攻撃を仕掛けた。
 予想通り、三人ともかなりの戦闘能力を持ち、苦戦を強いられたが、特殊部隊の面々も参戦し、なんとか捕縛した。
 
 その騒ぎを聞きつけて来たデヴァリア家の長男・メイガスもその場で拘束。
 屋敷内を捜索したところ、組織の顧客リストが見つかった。人身売買や暗殺を依頼した貴族たちのリストだ。
 もちろん、その中にはヒルゼンマイヤー家の名もある。これを元に今後、貴族たちの大粛清がおこなわれるという。
 
 ちなみに、教会に火を放ったもう一人も無事に捕えられたそうだ。
 メイガスと、同日に本家で捕縛されたデヴァリア伯爵の供述から、組織は五人で構成されていたことが判明したため、これで全員捕えたというわけだ。



「――そうでしたか……本当に、お疲れ様でした」

 私は、心からの労いをジンさんに伝える。

 終わったのだ。
 彼の、十年に及ぶ『復讐』が。

 無事に帰って来てくれて本当によかったと、あらためて安堵する。
 そして……火傷の痕が残る彼の背中を見つめ、こう尋ねる。

「……本当にいいんですか? 私なら、この十年前の火傷の痕も綺麗に治すことができますよ?」
「あぁ、このままでいい。痕が消えたからといって、あの悲劇がなかったことにはならない。俺の人生の一部として、この身体に残しておくことにする」
 
 そう答え、彼はワイシャツを羽織る。家族を失った痛みを忘れないようにという、彼の決意の表れなのだろう。
 
 そして、彼はこちらを振り返り、私の両手をそっと握る。

「これほど早期に『復讐』が果たせたのは、全て君のお陰だ。俺のシナリオでは、あと数ヶ月はかかる見込みだった。君には本当に感謝している……ありがとう、メル」

 優しく手を包まれる感触にどきどきしながらも、私は彼の役に立てたことが嬉しくて、笑顔になる。

「いいえ……私を変えたのは、ジンさんです。ジンさんが私を認めて、信じてくれたから……私も自分を信じて、突き進むことができたのです」
「メル……」

 ……そう。ジンさんはいつも、「自分を卑下するな」と言ってくれた。
 私の長所を見出し、信じてくれた。
「私なんか」が口癖だったけれど、ジンさんのお陰で、変わることができた。

 今なら、胸を張って言える。
ジンさんの力になれる」、と。

 だから……
 私はジンさんをじっと見つめ、意を決し、こう尋ねる。


「ジンさん……私、これからもあなたの側にいたいです。『復讐』は終わりましたが……この先も私を、秘書として雇っていただけませんか?」


 好きです、とは言えなかった。
 いくら秘書として認められても、女としてフラれてしまえば、側にいることはできないから。

 彼が、私をとても大切にしてくれていることはわかっている。
 しかし、異性として彼に好かれる自信だけは、やはり持てなくて。


 すると……
 ジンさんは、ニッと、口元に意地悪な笑みを浮かべ、

「断る」

 きっぱりと、言い切った。
 想像以上にはっきりと下された拒絶に、私はショックのあまり言葉を失う。

(そっか……そうだよね。元々、『復讐』を果たすまでの協力関係だったわけだし……)

 ……と、なんとか自分を納得させようとしていると、ジンさんが「ふっ」と吹き出す。

「そんなに残念そうな顔をするな。君にはこれから……『秘書』ではなく、別の形で側にいてほしいんだ」
「別の形……?」
「そう。言っただろう? 全てが終わったら、伝えたいことがあると」

 ――そして。
 ジンさんは、スラックスのポケットから何かを取り出す。

 それは、小さな化粧箱。
 深い藍色のそれを、彼は私に向け、そっと開く。

 中には――眩く輝くダイヤモンドが付いた、美しい指輪が入っていた。

 私が「え……?」と呆けた声を上げると、ジンさんは王子様のような微笑を浮かべ、




「――メルフィーナ。君を、愛している。

 どうか……俺の妻になってほしい」




 優しく、切ない声で、そう言った。


 その笑みも、言葉も、全てが夢のようで。
 指輪の輝きに、目眩を起こしそうで。

 私は…………それはもう、大いに混乱してしまい、

「え……えぇぇええっ?! ジンさんが、私を……なんで?!」

 ムードをぶち壊して、絶叫した。
 その反応に、ジンさんは呆れたようにため息をつく。

「やはり気付いていなかったか。俺があれだけ積極的にアプローチしていたというのに」
「えっ?! でも、あれは……ただ揶揄からかわれているだけだと思って……!」
「最初に言ったはずだ、俺の人生シナリオには君が必要だと。ヒルゼンマイヤー家で君を見つけた時から、俺は君を妻にすると決めていた」
「そんなに前から?!」
「そうだ。高潔で、したたかで……傷付いた人間を放っておけない、芯のある優しさを持つ君に、俺は惚れたんだ」
「惚っ……!?」

 ジンさんのストレートな言葉に、私は顔から湯気を噴き出す。

 そんな……それじゃあ、今までのあれやこれは全て、本気で口説かれていたってこと……?!

 熱くなる顔を隠すように両手で頬を押さえると……ジンさんは、ぐっと顔を近付けて、


「それで……返事を聞かせてくれないか?」


 そう、不安そうに尋ねてくる。


 ……本当に、ずるい人。
 いつもは自信満々なくせに、こんな時だけ弱々しい顔をするなんて。

 それだけ本気で想われているのだと思い知らされるようで……胸がきゅうっと締め付けられる。


 ねぇ、ジンさん。
 私も、ずっと伝えたかったんです。
 私がどれほど、貴方を想っているか。
 その想いが、私をどれほど強く変えてくれたか。
 全部、全部……貴方のお陰だから。


 私は、愛おしさに突き動かされるように。
 顔を上げ、息を吸う。

 そして、真っ直ぐに彼を見つめ――




「私も――ジンさんのことを、愛しています。
 これからもずっと……ずっとずっと、側に居させてください」




 とびきりの笑顔で、そう伝えた。
 
 すると、

「…………っ」

 自分のセリフに照れる前に、ジンさんにぎゅっと、抱き締められた。
 彼の温もりに包まれ、私の鼓動は最高潮に加速する。

「まったく、君という女性ひとは……どれだけ俺の心を掻き乱せば気が済むんだ……?」

 耳元で囁かれる、余裕のない声。
 この賢く理性的な人の心を乱しているのが自分なのだと思うと、嬉しいようなこそばゆいような、不思議な気持ちになる。


 ドキドキと、心地よい鼓動の高鳴りに満たされる私の身体を、ジンさんがそっと離す。
 そして……瞳を覗き込むように、顔を近付けてきた。


 彼の夜空のような瞳に、熱が宿っている。
 鈍感な私でも、さすがにわかる。
 彼が……何を求めているのか。


 私は、全身に響く鼓動に震えながら……
 彼の無言の問いかけに答えるように、瞼を閉じた。
 息遣いから、彼が嬉しそうに微笑むのがわかる。

 直後、頬に温かな感触。
 彼の大きな手に、包まれたのだ。

 その手に、少し上を向かされ――



 ふわりと、彼の匂いがしたかと思うと。

 唇を、柔らかなもので塞がれた。



 ――初めは、そっと触れるだけ。
 その後に、感触を確かめるように、何度も甘噛みされる。

 優しすぎるジンさんの口付けに、思考がとろとろに溶かされ、呼吸もままならなくなる。
 幸せで、くすぐったくて、まだ夢を見ているようで……胸が、どうしようもなく切なくなる。


 嗚呼、好き。
 ジンさんのことが、大好き。


 溢れる想いを伝えるように、私は彼の腕に、ぎゅっとしがみついた。



 ――どれくらいそうしていただろう。
 甘い微睡まどろみのような時間を経て、ジンさんはゆっくりと唇を離した。

「……やっと、君に触れることができた」

 そう言って、彼は愛おしそうに目を細める。
 
「……俺は幸せ者だ。世界で一番可愛い君を、妻に迎えられるのだからな」

 その言葉に、頬を撫でられる感触に、もう何度目かわからない胸の高鳴りを覚える。

『世界で一番可愛い女性ひと』。

 あの晩、酩酊したジンさんに言われたのと同じ言葉。
 酔った勢いの冗談だと思っていたけど……まさか、本当に想っていてくれたなんて。

 嬉しくて、切なくて、何も言えずにいると、ジンさんは手にしていた箱から指輪を取り出し、私の左手を取り……
 そのまま、優しく薬指に通した。
 それは、吸い付くようにぴたりと、私の指に嵌って。

「……ぴったりですね」
「当たり前だ。君の手に触れる度に、薬指のサイズを確認していたからな」
「……流石です」
「やはり、俺の見立てに狂いはなかった。細めのリングと大きめのダイヤが、君の華奢な指によく合っている」

 いつもの調子でそう自画自賛するが……彼の言う通り、自分でもよく似合っていると思えた。

「……きれい」

 その輝きに見惚れ、呟くと、彼が微笑みながら尋ねる。

「気に入ってくれたか?」
「はい、とっても。本当に……ありがとうございます」
「どういたしまして」

 そう言ったかと思うと……
 ジンさんはゆっくりと、私の身体をベッドに押し倒した。
 
 急な展開に「えっ、えっ?!」と狼狽えると、彼は未だ熱を孕んだ瞳で妖しく笑い、


「……シナリオを、進めてもいいか?」


 低い声で、囁く。


「俺となら、添い寝でもなんでもすると……エミディオに言っていたな?」


 それを聞き、私は顔を熱くする。
 
 それは、『選定者』に襲撃される直前……ジンさんの姿に化けたエミディオさんに、勢い余って言ってしまった言葉。
 やはり、影の中で聞かれていたのだ。


「あ、あれはっ……なんというか、その……!」
「今度は、ちゃんと……本人おれに向けて言ってくれないか?」
「へっ?!」
「魔法で化けていたとはいえ、あんなセリフを俺以外の男に言ったかと思うと悔しくて仕方がない。もう一度、俺にだけ聞かせてくれ」
「もしかして、ジンさんて……けっこうヤキモチ妬きだったりします?」
「結構じゃない、だ。君のことになると、俺は容易たやすく冷静さを失う。独占欲も強めだと自負しているから……今から覚悟しておくといい」


 そんなことを、何故か堂々と答えるジンさん。
 それはそれで嬉しい気もして……私は照れながら彼を見上げる。


「え、えっと……それじゃあ……」
「…………」
「わ、私……」
「…………」
「……ジンさんになら………………何をされてもいいです」


 きっと、蚊の鳴くような声だったと思う。
 けど、ジンさんの耳には届いたようで……
 言い終わると同時に、再び口付けをされた。

 さっきより余裕のない、いたようなキス。
 時折り響く水音に、私の身体が、知らない熱を帯び始める。

 鼓動が、唇から伝わってしまいそうな程に高鳴っていて、思考も感覚も、全てジンさんに支配されて……
 私は呼吸の仕方も忘れ、みっともなく息を乱した。


「……っは……」
「では、お言葉に甘えて……朝まで、添い寝してもらおうか」


 唇を離すなり、ジンさんが囁く。

 もう、後には引けない。
 そのことを、声で、視線で思い知らされ、私は堪らず目を泳がせる。


「……あ、あの……」
「ん?」
「灯り……消さないのですか? ジンさん、真っ暗じゃないと眠れないでしょう……?」
「……俺が暗闇を好んでいたのは、"影"に隠れられる状況でないと安心して眠れなかったからだ。しかし、今は君がいる。これ以上の安らぎは他にない。それに……」
「……?」
「……灯りがなければ……君がどんな顔で俺に抱かれているか、見えないだろう?」
「っ……!」
「安心しろ。うんと優しくする。俺は……君だけの紳士だからな」


 そう言って、嬉しそうに笑うと……
 
 先ほどよりも深いキスで、私の唇を塞いだ。


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