剣も魔法も使えない【黒蝶少女】は、異世界に来ても無双する?

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第13蝶 影の少女の解放と創造主

SS純真な妹と不純な姉

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新章第2話!

と言いたいところですが、今回は閑話的なお話になります。
本編は来週中にはギリ間に合う予定です。
(なら先に本編書けって言うツッコミは無しでお願いします)


===========================



 わしゃわしゃ

『がう♪』

 ブルンブルンッ!

「こ、こら、ハラミっ! そんなに尻尾を振らないでよっ! こっちまで泡だらけになっちゃうじゃないのよっ!」 

『が、がう?』

「ラブナちゃん、ハラミは喜んでいるんだよ? ボク以外の人にも洗ってもらって、とっても嬉しいみたいだよ。スミカおねえちゃんの時もそうだからね」

 文句を言いながらも、楽しそうなラブナを見て、満面の笑みで答えるユーア。


 嵐のようなフーナの家族が去った、その翌日。
 孤児院の大浴場では、朝からユーアとラブナがハラミを洗っていた。

 ラブナが手伝うのは元々昨日の予定だったが、ユーアを含め、ハラミも慣れない戦いでの疲れか、昨夜はそのまま寝てしまい、結果として、子供たちが起きる前の早朝に洗う事となった。


「それは見てわかるけど、ちょっとはしゃぎ過ぎなのよっ! お風呂場で裸だったからいいけど、外で洗ったらパンツまでビショビショよっ!」 

『がう~っ!』 

「あと、なんでわざわざ大きくなってるのよ? 小さい方が洗うの楽じゃない?」

 ハラミの腕に着けているアイテム『フレキシブルSバンド』を恨みがましげに見る。 
 このバンドの効果は、最小1/10から、最大10倍まで大きさを変えられるものだ。
 
 ならハラミを小さくした方が、洗いやすいとのラブナの主張なのだが、今はその逆で、いつもの2倍の大きさになっていた。


「え? だってその方が洗いやすいよ? 大きいと、お手手の間や尻尾の付け根もキレイに洗えるんだ。スミカお姉ちゃんのお家だとちょっと狭いから、孤児院ではいつもこうだよ?」

「う、うん? なら良いのかな? でも大きい分、手間もかかるんじゃない? 小さいよりも体力も使うし」

 これ見よがしに、わしゃわしゃと力を入れて洗うラブナ。

「ああ、そういう時はね――――」
「ん? 何やってるのよ? ユーア」

 ペタペタと自分の胸に洗剤を塗りたくっている姿を、不思議そうに眺める。
 相変わらず、姉妹揃ってぺったんこだなと思ったのは、ここだけの話。

 なんて思っていると、


「ハラミ、ゴロンだよっ!」
『がうっ!』

 ごろん
 たたんっ!

「いっ!?」

 ボフッ!

「ほら、こうすると洗うのも早いよっ!」
『がう~っ!』

 お腹を上に向け、ヘソ天になったハラミの上にダイブしだしたユーア。
 そしてそのまま体を擦り付けるように、わしゃわしゃと動き回る。

 平らな胸がハラミのお腹を擦り、小さいお尻は泡まみれで可愛く揺れている。

 
「ちょ、ちょっとユーアっ!」
「なに?」
「なにじゃないわよっ! そんな洗い方誰に教えてもらったのよっ!」
「え? スミカお姉ちゃんだけど」
「ス、スミ姉が?」
「うん。こうした方が早いって言ってたよ? よっと」

 ラブナに答えながら、今度はハラミの上に足を広げて、跨るユーア。 
 そしてそのまま手を付き、今度は前後に動き始める。


「うんしょ、うんしょ――――」

 わしゃわしゃ

「ちょ、ちょ、ま、待ったぁ~っ!」 

 どこか煽情的に見えるユーアに耐え切れずに、堪らずストップをかける。

「なに?」

「なにじゃないわよっ! って、何度このやり取りさせるのよっ! じゃなくて、本当にスミ姉がそんな事教えたの? どう見てもユーアには早い…… いや、そうじゃなくて、それが早いわけないわよっ!」

 寧ろ遅い。
 ってか、スミ姉は、なんて事を教えてるんだと、内心では焦る。


「そうかな? だってこうすると一緒に出来るんだよ?」
『がう』

「一緒って…… なによ?」

 嫌な予感がしながらも、興味本位で聞いてみる。

「ハラミの毛皮が泡だらけになるから、ボクも一緒に洗えるんだ。ハラミ、次は手を挙げてね?」
『がう』

 主人のお願いを聞いて、ハラミがちょこんと前足を上げる。
 その前足の位置が、ユーアの胸の上だったのだが、 

「?」

 状況が飲み込めず、ラブナはジッとその成り行きを眺める。
 更に嫌な予感が増しながらも、何故か目を離せずにいると、
 
 ゴシゴシ

「いっ!?」

「ほらね? こうやって洗うと、ハラミの肉球もボクの体も一緒に洗えるんだよっ! だから早いんだよっ!」
『がう~っ!』

 どこか誇らしげな表情を浮かべ、ボク凄いアピールをするユーア。
 そして、肉球を胸で洗うと同時に、更に下半身を前後に動かし始める。


「はっ? へっ? あ? ええええええ――――っ!?」

 その光景を見て大絶叫を上げる。
 何をするかと思えば、更におかしな状況になったからだ。


『え? え? え?』

 なにこれ?
 何を見せられてるのアタシはっ!

『こ、これはまるであれじゃないっ! 男を悦ばせるあれじゃないのっ!?』

 数年前まで、ラブナも貴族の一員だった。
 そう言った知識(テクニック)も一応教えられていた。

 だからかこの行為がマズいものだと知っている。
 ユーアみたいな純真無垢な子供には、到底早い行為だって事を。


『あ、で、でも、ハラミはメスだからいいのよねっ? しかも人間じゃないからセーフよね? でもこれを教えたのってスミ姉よね…… って事は、ユーアとスミ姉もこんな事を? ま、まさか、女同士、なのに?…… ゴク』

 余計に想像を掻き立てられてしまう。
 興味のない異性よりも、目の前にいる、一糸まとわぬ姿の可愛いユーアを見て。


「ラブナちゃん、どうしたの? お顔赤いよ?」

「ふぁっ!?」

 いきなり声を掛けられて、思わず変な声が出てしまう。

「もう少しで終わるからちょっと待っててね」

「お、終わる? 何が?」

「? ハラミとボクの洗いっこだよ。本当にどうしたの? 具合悪いの?」

「な、何でもないわっ! それよりも本当にスミ姉が教えてくれたの? そ、その、洗いっこってやつ……」
 
 視線を外しながら、ボソボソと答える。 
 心配してくれたユーアに対し、少しだけ罪悪感を感じながら。


「うん、そうだよ。スミカお姉ちゃんが教えてくれたんだ~っ! 背中と背中を一緒に洗うやつ」

「や、やっぱりスミ姉って、そう言うあれなのね…… ん? 背中と背中ってなによ?」

 一瞬聞き間違いかと思い、オウム返しする。

「うん、背中と背中ってのは、ボクとスミカお姉ちゃんの背中に、ぼでぃしゃんぷーを塗って、お互いに背中合わせて洗うやり方だよ」

「へ? う、うん? じゃ、じゃぁ、さっきのは?」

「さっきの?」

「ほ、ほら、あれよっ! ハラミの上に乗って、胸とか腰を動かすやつっ!」

 答えながら、あの光景が脳裏に浮かび、更に顔が熱くなるのを感じる。
 一体何がどう変化したら、あんな卑猥な行為になるのかと。


「ああ、あれはね、ボクが考えたんだよ?」

「ユ、ユーアが?」

 マジマジと無邪気な笑顔をガン見する。
 背中を洗う行為が、何故あそこまで発展したのか。


「うん、その方がみんなくすぐったいみたいで喜ぶんだもん。ボウちゃんとホウちゃんも喜んでくれたよ? あ、それと、ナゴタさんとゴナタさんもねっ!」

 向日葵のような笑顔で、その過程を無邪気に話す。
 だがその理由を聞くと同時に、ある事実が露呈することとなった。

 それは――――


『じゃ、じゃあ、なにっ!? 孤児院の子たちと、ボウとホウ、そして師匠たちはユーアとあんな事をしてたの? あんなエッチな行為をアタシの知らないところでしてたのっ!?』

 愕然とする。
 そして混乱する。

 その行為をどこか羨ましく思う自分に。
 それと、子供たちはいいとして、師匠たちはどう思ったのだろうと。

 
『こ、これは、師匠が起きたら相談しないとダメだわっ! こんな事間違ってるって、一緒にユーアに教えなくちゃだわっ! そもそもスミ姉はなんでこんな事教えたのよっ! もうっ!』

 この場にいない悪の元凶の、スミカの顔が浮かび上がる。
 そしてそんな姉を恨むと同時に、


「ラブナちゃん大丈夫? まだお顔が赤いよ?」

「え? な、何でもないわっ! 大丈夫よっ!」

 純粋に自分を心配するユーアには、そう答えるしかなかった。


 そして、そんな妹分に直接言えない自分は――――


「そ、それよりもそろそろ上がるわよっ! 子供たちも起きてくるわっ!」
「うんっ!」


 ――――ユーアに比べて不純だなと思った。


 そんな無垢で純粋なユーアだからこそ、みんなから好かれてるんだと思った。
 もちろんその中には、当然アタシも含まれているわ。


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