剣も魔法も使えない【黒蝶少女】は、異世界に来ても無双する?

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第12蝶 異世界最強魔法少女(幼女)との邂逅編

最強魔法少女の攻略法って?

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「………………」

 ピラ 

「うほっ!? じゅる」

 ドゴンッ!

「ぎゃふんっ!」

「………………」

 チラ

「おほぉ~っ! じゅる」

 ボゴッ!

「もげっ!」

「………………うん」

 フワ

「むふ~っ! じゅるる」

 ガギンッ!

「わぎゃっ!」

 ヒュ――――ン

「うん、やっぱり間違いない」

 鼻を膨らませた後で、涎を垂らし、墜落していった姿を見て、衣装の乱れを整えながら、深く頷く。

 これがフーナの攻略法で間違いないのだと。

 フーナは透明壁スキルでの攻撃を立て続けに喰らい続けた。
 それでもダメージはないが、これで弱点らしきものがはっきりとした。

 魔力も体力も無尽蔵に近く、腕力も耐久力も段違いなフーナ。

 そんな規格外の絶対無敵の魔法少女(自称)の弱点とは――――


 それはお色気攻撃に弱い事だった。


 この瞬間だけは攻撃も見切られず、ついでに魔法の効果も弱まっている。 
 鼻を膨らませ、涎を垂らしている時がその状態だ。


 なので私は、スキルに閉じ込められたままで、スカートを捲ったまま攻撃してみた。
 程よく肉付きの良い、健康的で優美な曲線を描く、この自慢の美脚をエサにしてみた。

 そしてその効果は抜群で、私が本来持っていたお色気の効果も相重あいかさなって、フーナは涎を垂らしながら、全ての攻撃を避ける事なく受けていた。

 ここら辺が、変身したってだけのなんちゃって大人と、パーティーでも随一の、お色気け担当の私との実力の差だ。
 
 
『…………にしても、かなり複雑な気分だよ。なんでユーアにじゃなくて、こんな変態に私のとっておきの技を披露しなくちゃいけないの? ある意味、異性よりも危険じゃないの?』

 しつこく私の中身パンツを見ようと、何度も戻ってくるフーナ。
 その執念に感服すると同時に、背筋が薄ら寒くなるのを感じた。
 因みにスカートを捲ってるだけで、肝心の中身は見せてはいない。

 年頃の男性なら―――― ってそっちも嫌だけど、でもまだ理解できる範疇だ。
 が、姿が大人の女性から狙われるのは、かなり理解が追い付かない。
 これが現代ならば確実に訴えられる事案だ。


「はぁ、はぁ、はぁ―――― じゅる」

 そうこう考えている内に、息を切らせながら舞い戻ってくる。
 一体どっちの意味で息が乱れているのだろうか。
 
 最大重量の攻撃を何度も喰らった影響か?
 それかただの発情期か?


『まぁ、絶対に後者なんだけどね。前者だったらどんなに楽になるかって感じだよ…… それにしても攻撃は当たるけど、魔法の効果がこれ以上弱くならないのはなんで?』
 
 術者であるフーナの意識が逸れれば、攻撃が当たるのはわかる。
 何かしらの方法で見切っていたが、それには高い集中力が必要だったのだろう。

 だが回数を重ねるごとに、フリージングの魔法の威力がまた復活してきた。
 あの状態発情期になった当初は、徐々に弱まってきていたのに。


『なんでだろう。あまり考えたくないけど、もしかして――――』

 慣れちゃった、とか?
 何回も美脚を見せたから。


「………………」

 ピラ
 
 もう何度目になるか、少しだけスカートを捲って確かめてみる。
 餌を待つ犬のように、涎を垂らして、私の周りをグルグルと回っている変態の表情に注目しながら。


「うおおお――――っ!」
「うっ」

 大仰に身を乗り出し、プクと鼻を膨らませ、食い入るように美脚に注目する。
 それと同時に得も言われぬ気味悪さが私を襲う。

『くっ』

 ここまではいつも通り。この瞬間だけは攻撃が当たる。
 鼻の膨らみと同時に涎を垂らしているフーナには。

 の、筈なんだけど――――


「………………あれ?」

 でもちょっと違う。
 鼻の穴は膨らんだけど、僅かな違和感がある。


「はぁ、はぁ、はぁ―――― ゴク」

「あっ! わかった」

 ポンと手を叩き、ある事実に気付く。
 発情状態を表すバロメーターに何かが足りない事に。

 それは―――――――― 『涎』だ。
 
 さっきまでは奇声と同時に出ていた、あの唾液が見えない。 
 口の端から溢れていた涎を、今は飲み込んでいる。

 推測ではあるが、刺激と唾液の量は比例しているのだろう。

 その量が飲み込める程に減っているって事はそういう事だ。
 刺激に対して飽きが来ている。簡単に言えば慣れてきている。
 
 
『マジかっ!?』 

 もう一度よくフーナを観察する。
 期待の眼差しで見てはいるが、涎は垂れていない。
 
 きっと脳が反応しているんだろう。これ以上は期待してても無駄だと。 
 だから唾液を出す必要はないと、無意識に脳から体に中断をさせているのだろう。


『こ、こうなったら、もっと刺激を与えるしかないっ! で、でもこれ以上どうすればいいっていうの? 結構今でもギリギリだよっ!』

 フーナは私の真下に陣取っている。
 だから体を捻ったり、足を閉じたりして誤魔化してきた。
 中身がフーナから見えないようにと、かなり気を使いながら。


『で、でもやるしかないっ! じゃないとここから出れないからねっ! でもこれ以上って事は…… 丸見え? あっ! そうだっ! これなら私のじゃないから、そこまで落ち込まないかもっ!』

 とある作戦を思いつき、グッと強く拳を握る。
 私が傷つかない事と、フーナを発情させる一石二鳥の方法がある事に。


「えっ!? あっ! お、お姉さんが二人っ!?」

「うふんっ!」
「………………」

 突如分裂した私の姿を見て、目を見開き驚くフーナ。


「あれれ~、どうして固まっちゃったのかな? くふふ」
「どうした? なぜそんなに驚いている」

「だ、だって、蝶のお姉さんが白と黒に分かれちゃったんだもんっ!」

 正面に浮いてきたフーナは、かなり困惑しながら見比べている。


 そう。

 今の説明通り、私が使ったのは【実態分身2.0(7大罪ver)】
 これならある程度意思もあるし、私の本心とは違う行動も取れる。

 なので今はこの能力に賭けて見る事にした。
 未だに慣れない厄介な能力だけど、今はこれが最善だと信じて。

 因みに二人の本能は『色欲』寄りにしてある。  


「なになに~、フーナたんは私のパンツを見たいんだって? きゃはは」

「うえっ!?」

 白の私は後ろを振り向きながら、スカートに指をかける。

「どうやらそうらしい。なら期待に応えるとしよう」

「えっ!?」

 一方黒の私は、真正面を向いたままで、同じくスカートを掴み、そして二人揃って焦らす様に、ゆっくりと捲り上げ――――


 ガバ――――ッ!! ×2


『え? えええええええ――――――っ!!』

 る、ものだと思ったら、一気に全部捲り上げた。
 その影響で、パンツどころか、お尻とおへそまで曝け出してしまった。

 それを目撃したフーナは、と言うと、

「うひゃぁっ!」

 ブシュッ!

 ひゅ――――ん

 ドサッ

 盛大に鼻血を噴出しながら、地上に向かって落ちていった。
 しかもショックで気を失ったらしく、そのまま地面に叩きつけられても動かなかった。


「よし今だっ! 魔法が無くなったっ!」

 タンッ!

 急いで実体分身を解除し、透明壁スキルを足場に一気にここを離れる。
 私を囲んでいた魔法の効力が薄まって、思った通り難なく脱出することができた。

 トン

「よ、ようやく抜け出せることが出来た。 けど、余りにも犠牲が大き過ぎた気がするよ…… まさか私があんな破廉恥な事をするだなんて…… ううう」

 犠牲が大きいところではない。
 ある意味では捨て身の行動だったとも言える。
  
 下着だけならまだしも、よりにもよって、少女好きなフーナの前で、ほぼ下半身を露出してしまったのだから。
 生肉を咥えてライオンの檻に飛び込むのと一緒だ。
 

「ま、まぁ、それはもう忘れよう。幸い見られたのはフーナ一人だし、Tバックの事も知ってる人は限られてるし。いつまでも落ち込んでる暇はないからね。でも――――」

 にやけたままで横たわっているフーナを見る。 
 気を失ったまま落ちた影響か、乱れたローブから生足が見えている。

「――――でも、私だけ見られたってのは不可抗力であっても、正直悔しいよね? ならおあいことして、フーナの中身を見てやる」

 膝まで捲れ上がった、ピンクのローブに手を掛ける。
 一瞬、この変態と同じなんじゃないかと思ったけど、このままでは私の気が済まない。

 ピラ

「どれどれ………… ん? あれ? もしかしてフーナも私と同じの履いてるの? あんなに私の事からかってたのに?」

 太もも付近まであらわになるが、中々布地が見えない。

 なので、

「よっ!」

 ガバッ!

 一気に腰まで捲り上げて、中身を確認するが、

「あっ! こ、この女は――――」

 バッ!

 すぐさま下半身から視線を逸らし、フーナの顔をマジマジと見る。
 予想外の物を見てしまい、ちょっとだけ罪悪感を感じる。

 その理由は――――


「よ、よりにもよって、今日も下着忘れてるじゃんっ!」
 
 あろうことか、フーナの下半身を覆うものはなかった。
 パンツを見るどころか、身に着けるはずのそのものが存在しなかった。

 ノーパン疑惑を掛けた本人が、実はノーパンだったなんて笑えない。
 ましてや一応女なのだから、誰にも知られたくないだろうし。


「う、うん…… あれ? 私なんで寝てたの?」

 そうこうしている内に、フーナが目を覚ました。
 頭を振って、キョロキョロと辺りを見渡す。

 ただし、目が覚めたと同時に、
 
 シュン

「あっ!」
「え? なにっ!」

 ちんまい姿の元のフーナに戻っていたけど。


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