剣も魔法も使えない【黒蝶少女】は、異世界に来ても無双する?

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第9蝶 妹の想いと幼女の願い2

SSユーアちゃんのお風呂講座2(双子幼女編)

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※今話は、スラムのボウ視点のお話です。
 (ボウ=双子姉妹の姉の方です)

 ちょっとだけ性的な表現もありますのでご了承ください。




 わしゃわしゃわしゃ

「お客さんどうですか? 痒いところはないですかぁ?」

 ユーアちゃんがわたしとホウの頭を泡で洗ってくれる。

 これは『しゃんぷー』というものだそうだ。
 もの凄く泡も出て、いい匂いもする不思議な液体だ。

「か、痒くないけど、なんか――――」
「痒くはないですけど、なにか――――」

 ((気持ちいい~~っ!!))


 痒いかどうか訊かれたんだけど、最後の言葉だけは言いたくなかった。
 きっと隣の妹のホウも同じ気持ちだったと思う。

 だって初めて会った人だし、いくらスミカ姉ちゃんの妹と言っても……

 わたしたちとそんなに変わらない子供なんだもん。



「次に『りんす』をします。これはせんさいな女の人の髪をしがいせんから守ったり、きゅーてぃくるを補修してくれたり、潤いも与えてくれます。それと輝きもツヤも出してくれるものです。サラサラです」

「う、うん」
「は、はい……」

 お風呂に入ってから、たまに説明口調になるユーアちゃん。
 わたしもホウも何一つ理解していない。だって知らない単語ばかりだし。
 きっとスラムの外では当たり前なんだろうなと思った。


「目に入っても痛くないけど、あまり良くないから目を瞑ってね」

 見た事もない容器から何かを手に付けて、髪に塗ってくれるユーアちゃん。
 やっぱりしゃんぷーと一緒で花のいい匂いがする。

「………………」
「………………」

 目を瞑っているとユーアちゃんの小さな手が、わたしの頭に触れる。
 ゆっくりと優しく頭を揉んでいるみたいだ。

「あ、ああ――――」
「ん、んん――――」

 本当は我慢したいんだけど、自然と声がでちゃった。
 何でユーアちゃんに洗われると、こんなに気持ちがいいんだろう。

 いい匂いとなのと、暖かいのとが混ざって、まるで夢の中みたいだ。
 それと優しい手つきで揉まれてるのもそうかもしれない。

『チラ』

 わたしは薄目を開けてみる。
 こんなにしてくれるユーアちゃんを見てたかったから。

『………………』

 サワサワと両手を使って頭を優しく揉んでくれてる姿が目に入る。
 その姿はわたしたちと一緒でもちろん裸だ。

 わたしたちより真っ白な肌に、細くて小さい足が見える。
 その上はきれいなおへそに一直線の腰。そして何もない平らな胸。

『………………』

 どう見ても、わたしとホウと一緒か、もう少し小さいと思う。

『でも、これでも年上だし、冒険者だし、スミカ姉ちゃんが凄いって言ってたんだよなぁ? あと、あのモフモフの魔物を飼ってるし……』


 でも見た目からは全然感じない。

 わたしとホウの方が胸も大きいし、絶対に大人だと思う。
 だからわたしとホウは『ちゃん付け』で呼んじゃってるんだもん。

 だからか、声なんか出しちゃうと負けみたいなルールができた。
 スミカ姉ちゃんの妹っていうのと、なんか思ってたより普通だったから。
 もしかしたらホウも一緒なのかもしれない。
 

『でも、見た目の事言ったら、スミカ姉ちゃんだって、ナジメさまだって、見た目じゃ凄いのなんかわからないもんなぁ』

 一瞬、ナゴタさんたちも浮かんだけど、あれは違う気がする。
 見た目は双子の少女だけど、ある部分が大人過ぎだから。
 大人のニカ姉さんの10倍ぐらいあるし。

 そんな流れで、ユーアちゃんには負けたくないと思った。
 声を出すときっとそれが敗北宣言に繋がるから。

 でもその考えは、凄いお姉ちゃんがいるのが羨ましかったせいだと思う。





「それじゃりんすを流すから、まだ目をつむっててね」

「うんっ」
「はい」

 そう言って今度は、髪の液体を優しくユーアちゃんが流してくれた。
 
「あれ?」

 洗い流してくれた後で、ちょっとだけ髪に触ったけど、

「な、何これっ!? 髪が柔らかくなってるぞっ!」
「わ、わたしもだよっ! ボウお姉ちゃんっ!」

 その変化に気付き、すぐさまホウの顔を見る。
 そんなホウも驚いてわたしを見ていた。
 きっとわたしもホウみたいな顔なんだろうと思った。


「それがりんすの効果なんだよっ! ボクもそれを使ってたらきれいになってきたんだっ! でもスミカお姉ちゃんはもっときれいだもんねっ!」

 ニコニコしてそう話すユーアちゃん。
 気のせいかちょっとだけ自慢げにも見える。

『う~ん…… これを使っていると、スミカ姉ちゃんみたく――』

 きれいになるのかな?

 わたしはユーアちゃんの話を聞いて少しだけ悩んだ。
 あの憧れのお姉ちゃんにちょっとでも近付けるなら。


「次は体を洗うよっ! この『ぼでぃーそーぷ』でねっ!」

 今度はタオルに違う洗剤を垂らすユーアちゃん。
 そしてゴシゴシすると、大量の泡といい匂いがまたしてきた。


「それじゃ背中向いてね、ボウちゃんとホウちゃん」

「う、うんっ!」
「は、はいっ!」

「う~んとね、体を洗う時はねぇ――――」

 そうして、ユーアちゃんのまた説明が始まった。

 ゴシゴシ強くしないでとか、ひし成分がどうとか、指の間はとか。
 でもさっきみたくわからない言葉が多くて覚えられなかった。


「それじゃ、今日はスミカお姉ちゃんがボクにやってくれる洗い方をするねっ! あんまり他の人にやらないでって言ってたんだけど特別だよ? ボクも仲良くして欲しいもんねっ!」

 するとユーアちゃんは、自分の体にぼでぃーそーぷを塗っていく。
 それも胸やお腹や両手にたくさん使って、べったりと。

「スミカ姉ちゃんがしてくれる洗い方だってさ、ホウ。ヒソヒソ」 
「うん、一体何だろうね? ボウお姉ちゃん。ヒソヒソ」

 わたしはユーアちゃんが準備している間に内緒話をする。

「なんでもいいんだけど、わたし我慢するんだ、だって――」
「あ、ボウお姉ちゃんも、もしかして今まで?」
「え? やっぱりホウもかっ」
「う、うん、なんか言いづらいんだけど普通の子みたいなんだもん」
「うん、ホウもそうなんだな、だったら――――」
「うん、だったら姉妹で協力して――――」


 『ユーアちゃんに負けないように堪えるんだっ!』
 『ユーアちゃんに声を出したら負けなんだ』


 そう姉妹で結託して、勝手にユーアちゃんと勝負する事になった。


「はい、それじゃ背中からだよっ!」

「う、うん」
「は、はい」

 わたしは全身に力を入れる。
 ユーアちゃんの技に負けないように気を張る。

 ぷに

『ひゃっ!』
『ひやぁっ!?』

 すると背中にぬるっとした感触と、つるっとした感触が同時にやって来た。
 びっくりしたけど、何とか声を出さずに堪えた。

「ちょっと動くけど我慢してね~っ!」

「って、ちょっと待ってユーアちゃんもしかして?」
「裸でわたしとボウお姉ちゃんを洗うんですかっ?」

 バッと後ろを振り向き聞いてみる。

 すると真っすぐなテカテカしたユーアちゃんの裸が目に入る。
 つもり何も、裸でわたしたちを洗うつもりだ。

「え? だってこの方が良いって、スミカお姉ちゃんやってくれるよ? 固いタオルとかじゃ肌が傷ついちゃうからって」

「えっ! そ、そうなの? ほんと?」
「し、知らなかったです……」

 ぬりぬりと体に液体を伸ばしながら教えてくれるユーアちゃん。

 でもスミカ姉ちゃんはそんな事しなさそうだけど……
 だって大人だし、普段の態度もなんかカッコいいし……

 ぴと

『あっ!?』
『ひゃっ!!』

「ちょっとだけくすぐったいけど、少しだけ我慢してねっ!」

 スミカ姉ちゃんの事を考えていると、ユーアちゃんが動き出した。
 背中にちょっとだけ柔らかい温もりとぬるぬるを感じる。

『な、何これっ! く、くすぐったいけど、なんか――――』

 背中で肌が上下に擦れるたびに気持ち良くなる。
 でも何か変な感じもする。

「どう? 気持ちいいでしょ? これなら傷もつかないできれいになるんだ」

「ま、まぁ、そこそこかな? わたしは」
「わ、わたしもですっ」

 わたしは強がってそう答える。きっとホウも同じだ。

「えっと、それじゃね、次は手を挙げてね」

「う、うん」
「はい」

 手を挙げると、後ろからユーアちゃんに握られた。
 そして指の間に小さな指が侵入してくる。ユーアちゃんが指を絡めたからだ。

「今度は指の間もきれいにって、指先まで丁寧にって~っ!」

『ぐっ!?』
『ぐぅっ!?』

 楽しそうに指の間を洗うユーアちゃん。
 わたしはそれを我慢する。

「あ、背中も忘れず一緒にね~っ!」

『ああ~~っ!』
『は、はぅ~!』

 さらに背中のつるつると同時に、指の間もぬるぬる洗われる。

『な、何これ~~っ! 絶対スミカ姉ちゃんこんな事やらないよっ!』

 わたしは段々疑い出してきた。そして気が付いた。
 きっとこの子はスミカ姉ちゃんの名前を出して、わたしと勝負しているんだと。

『そ、そうなら絶対に負けないぞっ! ホウも頑張れっ!』

 わたしはそう強く心の中で決心した。この勝負は負けてはならないと。
 きっとこれからの関係に関わる事だと思うから。


 そう思ってたんだけど――――


「指は終わったからこのまま前も洗うね? 少しだけ痛がる子もいるけど、優しく洗うから我慢してねっ!」

 背中からそう言って、ユーアちゃんはわたしたちの前に手を伸ばす。
 脇の下から抱きかかえられる感じだ。

 むにっ

「ひゃあっ!」
「きゃっ!」

「あれ、痛かった? でもまだ動かしてないよ。あ、ボウちゃんもホウちゃんもお胸が大きくなってきてるんだねっ!」

 さわさわ

「んなぁっ!」
「ああっ!」

「あ、先っぽは肌が敏感だからゆっくりと洗うね?」

 くりくり

「うひぃっ!」
「きゃふぅっ!」

「あ、足の指の間もきれいにしないとねっ!」

 にゅるっ

「うひぃ!」
「なああっ!」

「それとお股もきれいにするから足を開いてねっ!」

 ぬるんっ

「あひゃひゃっ!」
「うきゃぁあっ!」

「脇の下も汗かくからねっ!」
 
 しゅるんっ

「うにゃにゃにゃ~~~~っ!!」
「あきゃきゃきゃ~~~~っ!!」

「え~と、次はお尻ね――――」

「~~~~っ!!」
「~~~~っ!!」


――――――


 そうしてわたしたち姉妹はユーアちゃんに徹底的にきれいにされた。
 肌も髪も見た事もないぐらいにきれいになった。

 お風呂にも入ったはずだけど、ボーっとして覚えていなかった。
 まさかユーアちゃんがあんなに強いなんて思わなかったから。
 

 ガアァ――――

『わたしたちは負けちゃったよ……』
『うん、そうだねボウお姉ちゃん』

 変な装置で髪を乾かしてくれるユーアちゃんを見てそう口に出した。
 隣の妹のホウもすぐに分かってくれた。

 ユーアちゃんの戦闘力を思い知ったから。


「うん、熱かった? 大丈夫?」

 コソコソ話す私たちの顔を覗き込むユーアちゃん。
 濡れた銀色の髪がきれいだった。笑顔もとても可愛かった。

 きっともう少し大人になったらスミカ姉ちゃんみたいに…………


「うん、大丈夫だよっ! ユーアっ!」
「はい、大丈夫ですっ! ユーアっ!」


 わたしと妹のホウは敬愛を込めて笑顔でそう答えた。
 これからずっと一緒にいたいと思って。

 そしてまたお風呂を教えて欲しいとも思って。

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