上 下
160 / 581
第9蝶 妹の想いと幼女の願い1

玄関開けたら……絡まれる?

しおりを挟む



「ただいまーっ!」
「只今戻りました」
「帰ったのじゃっ!」

 私とナゴタとナジメはレストエリアを設置してすぐさま帰ってきた。
あまり長居してもユーアたちが心配しそうだったから。

「おかえりなさいっ!スミカお姉ちゃんたちっ!」
「お、おかえりっ!さっさと座りなさいよっ!」
「ううん? あ、ああ、お帰りスミ姉ぇたち。ふあぁっ~」

 そんな私たちを見て出迎えてくれる居残り組のユーアたち。

「どうしたの?ゴナタ。何か眠そうだね」

 ユーアとラブナは快活に出迎えてくれたけど、ゴナタは何やら目を擦って眠そうだった。ハラミに寄りかかって気怠そうにしていた。

「あ、すいません、お姉さま。ゴナタは昨日の疲れがまだ取れないみたいなんです。いつも以上に能力を使ってしまったらしくて。お姉さまから頂いた全回復のお菓子も食したのですが……」

「ううん、それは仕方ないよ。後、謝らなくていいからね? ゴナタもそうだけど、ナゴタも頑張ったんだから。きっと気が抜けちゃったんだよ」

 申し訳なさそうに私を見るナゴタにそう告げる。

『きっと精神的なものだね。色々神経使ってたから尚更だよ。さすがにレーションでも回復しないからね、少し気晴らしが必要なのかな?二人には』

 私はリーダーとしても姉と呼ぶ皆の事を一番に考えないといけないのだ。


「あ、あのスミカお姉ちゃん。孤児院ってどうなったの?」

「そ、そうよスミ姉ぇっ!ナジメを連れてさっさと外に行っちゃうから、気になってユーアと話してたんだからねっ!」

 ナゴタとの話が終わったとみるや否や、そわそわしていたユーアとラブナが私とナジメに詰め寄ってくる。やはり二人とも孤児院の件は気になっていたようだ。
 
「え―とね、孤児院は取り壊して新しくなったんだよ。うん?じゃなくて、これから新しく建て替える予定だよ」

 一応今は、私の小隊規模のレストエリアになっているけど、約1か月後には返してもらう予定だ。孤児院が建て替えられたら。

「え? もうなくなっちゃったの? 新しくなったのに予定って??」
「取り壊した? さっき出て行ったばかりで? 一体どうなってんのよっ!?意味がわからないわよっ!」

 私の話を聞いた二人は目を丸くして混乱する。

 そりゃそうだよね?

 私たちが出て行ったと思ったら、もう取り壊して新しくなってるとか、これから建て替えるってな話だし。私じゃなくても困惑する話だ。

「ごめんごめん、新しくなったてのは私の家を代わりに設置してあるからだよ」

 とユーアを撫でながらラブナにも説明する。少し説明が足らなかった。

「へっ? も、もしかしてスミカお姉ちゃんが持ってる快適お家ですかっ!?」
「はぁ? ス、スミ姉ぇっ!まだこんなヤバい家持ってたのっ!?」

「う、うんまぁ一応は……」

 二人更に食い気味に質問を浴びせてくる。
私は若干押され気味に返答する。 

「で、でも孤児院の子はいっぱいいるんだよっ?このお家じゃみんな住めないよね?どうしちゃったの?」

「そ、そうよっ!精々住めたって10人くらいでしょっ? 残りの子供達はっ!?」

「わ、わ、ちょっと待って二人ともっ! お家は60人は住めるくらいの大きいのだよっ!それと子供たちは今はいないんだよっ」

「ええっ! い、いないって何処にいるの?スミカお姉ちゃんっ!」
「ちょっと、スミ姉ぇっ!一体どこに連れて行ったのよっ!」

 ユーアとラブナは両脇から私に抱き着き、追加で質問を浴びせかけてくる。

『ど、どれだけ孤児院の子たちを大事にしてるの?ふたりともっ!』

「うわわっ」

 私はそんな二人にグイグイと押されながら、壁際まで追いやられる。

「ちょっと落ち着くのじゃ二人ともっ!ねぇねも困っておろう?孤児院の子たちの事はわしから説明するから、ねぇねを開放してやってくれなのじゃっ!」

 とそんな私に見かねてナジメが助け船を出してくれたが、

「ナジメちゃんが知ってるんだね? それと『ねぇね』って何?」
「ナジメが保護してるって事っ!? それと『ねぇね』って何よっ!」
「やはり私の聞き間違えじゃなかったです?『ねぇね』って何の事でしょう?」
「ナジメっ! いつの間に『ねぇね』何て呼んでいるんだいっ!?」

「な、なんじゃあっ!!」

 その場を更に掻き混ぜる結果になるのだった。


■ □ ■ □ ■ □ ■ □

 


「ナジメとの戦闘中にレベルアップしたたスキルの詳細だよっ!」


防具スキル
LV.5 

最大数 10
距離  0-50M
大きさ 0.1-50M(展開後に変更可)
形状  図形(展開後に変更可)
色   自由
重量  0ー100t(展開後に変更可。振り分け可)

※カッコ内と重量がUP。

「最大数と距離が上がって欲しかったんだけど、残念ながら今回はダメだったんだよ。でも大きさと形状を展開した後で変えられるのと、重量が1機単位じゃなくなって合計になったのは面白いよ。これでも十分使い幅が広がったと思うよ」


追加能力 

連結 透明壁スキル同士を連結する事が可能。
湾曲 図形の形状のまま、ある程度湾曲可能(180度可)

「う~ん、どうなんだろうね?これは。戦闘に使えるかどうかはまだ想像できないな?でも発想と訓練次第では使えそう。 かな?」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

アラヒフおばさんのゆるゆる異世界生活

ゼウママ
ファンタジー
50歳目前、突然異世界生活が始まる事に。原因は良く聞く神様のミス。私の身にこんな事が起こるなんて…。 「ごめんなさい!もう戻る事も出来ないから、この世界で楽しく過ごして下さい。」と、言われたのでゆっくり生活をする事にした。 現役看護婦の私のゆっくりとしたどたばた異世界生活が始まった。 ゆっくり更新です。はじめての投稿です。 誤字、脱字等有りましたらご指摘下さい。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

処理中です...