剣も魔法も使えない【黒蝶少女】は、異世界に来ても無双する?

べるの

文字の大きさ
上 下
152 / 586
第8蝶 ちょうちょの英雄編2

SSユーアの放送禁止用語?

しおりを挟む


 ※このお話は少々性的表現が含まれています。
  あまりお好きでない方はご遠慮ください。

 そしてこのお話はここではない、ある記念のお話です。



「よく来たね。三人とも」

「こんにちはお姉さまっ! 今日は私たちに何かご用がおありだとか」
「こんにちはっ! お姉ぇっ!お邪魔するよっ!」
「お邪魔するわねっ! ユーア聞いてよ昨日師匠ったらねっ!」

 レストエリアに尋ねてきたナゴタとゴナタと弟子のラブナを出迎える。


「どうしたのスミカお姉ちゃんっ? あ、ラブナちゃん! ちょっと待ってぇ!」

 何も聞いていないユーアは慌てて玄関口に姿を現すが、ラブナに手を引かれ部屋の中に引っ張り込まれていった。

 その手にはハラミ用のブラシを持っていた。
 どうやらブラッシングの最中だったようだ。


「まぁ適当に座ってよ。飲み物は何がいい?」
「あ、ボクも手伝いますっ! ラブナちゃんハラミをぶらっしんぐしてあげて」
「うん、わかったわよユーア、アタシに任せてっ!」

 そして私は三人に席を促して、キッチンに向かう。

「あ、私たちあまり甘くないものでお願いします」
「うん、ワタシもナゴ姉ちゃんと同じでお願いなっ!」
「アタシはユーアと同じ物でいいわよっ!」

「わかったよ。それじゃユーアも手伝ってね。後は適当に摘まめるもの出すから」
「はい、スミカお姉ちゃんっ!」


※※※※


「で、今日集まって貰った訳はちょっとした200の記念なんだよ。それでみんなに色々と質問していくから答えて欲しいんだよ。まぁ、あまり変なのは聞かないから構えなくていいよ」

 みんなが飲み物を一口入れてから、簡単に説明してそう切り出した。

「200の記念? ですか。スミカお姉ちゃん」
「それって凄いの?」
「ううん、私には良く分かりませんね?」
「ワタシもだけど、記念なんだから別に悪い事じゃないからいいと思うなっ!」

 そんな私の説明にちょっとだけ首を傾げ、困惑するみんな。


『まぁ、そりゃそうだろうね? 数字の意味は言ってないし。それに実際は私も凄いかは知らないんだけどね? でもいい事だと思うからさ』

 疑問符を浮かべるみんなを見てそう思った。



「それじゃ最初はお決まりの年齢からね。私は30歳。で、ユーアは」
「へ? スミカお姉ちゃんそんな年上なんですか?」

「あっ!?」

「確かスミ姉ぇは15歳って言ってなかった? 前に?」
「私もそう認識していましたが、本当にお姉さんだったんですか?」
「30歳?そうは見えないけどなぁ」

 4人の視線が私に集まる。

 そしてラブナの視線は胸部に向けられていた。
 また、あの事を言い出すつもりなのだろうか。ぺったん娘と。


「あ、ゴメンゴメンっ! ラブナの言う通り15歳だよ私は。なんか勘違いしちゃったよ。あまり気にしてないからさっ! あはは」 

『設定上だけどね……』

 とだけは言わない。


「そうですよね? スミカお姉ちゃんはそんな大人じゃないですよね?」
「はぁ、倍以上間違える勘違いって…… スミ姉ぇ大丈夫?」

「ぐっ」

 相変わらずラブナの突っ込みは鋭い。毎回心を抉られるようだ。

 それとユーアは何をもってそう思ってたの?大人じゃないって?


「私たちはお姉さまがいくつでもお姉さまなので気にしませんよ?」
「うん、うんっ!」

「なんか私のせいで話がズレちゃったけど、で、みんなは?」

「12歳で、冒険者になって半年くらいですっ!」
「ア、アタシは一応13歳だからっ! ユーアのお姉さんだからっ!」
「私たち姉妹は同い年なので、ゴナちゃんも16歳です」
「うん、そうだなっ!」

「で、ハラミは…………ああ、寝てるのね」

 ハラミはユーアにブラッシングを変わってそのまま寝てしまったようだ。

「そう言えばハラミってオスなのメスなの? 確認したことなかったけど」

 ふと気になって、ユーアとラブナの座椅子となっているハラミに視線を向ける。
 ハラミもシスターズの一員だけど、オスかメスかは気にしてなかった。


「えっ? ハラミは女の子ですよ?」

 ユーアが即座に私の疑問に答えてくれた。

「あ、そうか、ユーアはハラミの言葉が少しわかるんだよね?」

 そうそう。ユーアは正体不明な能力?でハラミと意思疎通できるんだった。
 ならユーアはわかっていても不思議はなかったって事だ。


「ううん、違うよ? ボクはハラミと初めて会った時から知ってたよ?」

 きょとんとした顔でそう答える。

「あれ、最近じゃなかったの? ハラミと話せるようになったのは」

「そうですけど、最初に会った時にハラミを見てみたんです。付いてるか付いていないか、それですぐにわかっちゃいますから」

「ユーア、それってもしかして……」

「うん、ハラミには付いてなかったよ? おちんち〇。だから女の子だよ?」

 当たり前のようにあっけらかんと言い放った。

「~~~~~~っ!!」

「ユ、ユーアいくら女の集まりだからって、そんなあからさまに言うことないじゃないっ! ア、アタシが恥ずかしくなっちゃうじゃないのっ!」

「ええっ、なんでっ! ラブナちゃんも孤児院の子のおちん〇ん洗って上げてたでしょう? ボクと一緒にっ!」

「そ、それとこれは話が別でしょうっ! 声に出すのと洗ってあげるのは全然違うわよっ! それに相手は子供だしっ!」

「ユ、ユーアちゃんっ! 年頃の女の子がそんなに、おちん―――― くっ言えませんっ! ゴナちゃんに任せたわっ!」

「へ? えええっ! ワ、ワタシかいっ!? ユ、ユーアちゃん、ワタシたちは女の子なんだ。あまり、そのぉ、おちんち―――― って、お姉ぇに任せたっ!!」

「はあぁぁっ!? わ、私ぃっ! ユ、ユーアあのね、ここではいいけどっ、てっ、それほど良くもないけど、外ではあまり言わないでねっ。特に変な大人の前では、お、お、ちん、――――」

「お、お姉さま頑張ってくださいっ! 後一息ですっ!!」
「お姉ぇ頑張れっ! ワタシたちが付いてるぞっ!」
「スミ姉ぇなら言えるわっ! アタシが保証するわっ!」

「ええっ!?」

『くっ、一体何これっ! なんで私はこんなに応援されてるのよぉ!』


 私はナゴタとゴナタとラブナの声援を一身に受けている。
 ここまで誰かに応援されたのは初めてだった。

 だったら私はバタフライシスターズのリーダーとしても、
 そしてユーアの姉として教育の為にも、私は――――

「うん? どうしたんですか? スミカお姉ちゃん。それにみんなもお顔赤くなってるよ?  ボクがお〇んちんのお話したから? おちんち〇の事言ったから?」

「~~~~っ!!」
「ちょ、ちょっとユーアっ!!」
「ユ、ユーアちゃんっ!」
「お、おちん――――ってダメだぁっ!!」

 またもやユーアは私たちの心中も分からずにそれを連呼する。
 それを聞いて、またもや悶絶するユーア以外の年頃の女の子たち。


『や、やっぱり私がきちんと教えないとユーアの身に危険がぁっ!』


「ユ、ユーア、あのね、おちん………ち……」
「うん、何ですか? スミカお姉ちゃん」

「行けえぇ――っ! スミ姉ぇっ!!」
「お姉さまっ――!!」
「お姉ぇっ――!!」

 未だに言いよどむ私に三人が勇気をくれる。
 背中を力強く押してくれる。

 よし、今の追い風ならっ!
 それにこの中では一番のお姉さんなんだから、

 だからきっと私は――― 言えるっ!!

「お、おちんち――」

 ガチャッ

「なんじゃ先ほどから、おちんちんと連呼しておって。一体何を話しておるのじゃ? 廊下まで聞こえておったぞ。それとユーア、あまり外では言う出ないぞ? 変な輩が勘違いするやもしれぬのでな」

「うん、わかりましたっ! ナジメちゃん。ボク気を付けるよっ!」

 突然乱入してきたシスターズで一番の年長者にハッキリと言われてしまった。
 さすがは100以上も生きているナジメ様だ。


「はぁ~~~~ なんかどっと疲れたよ。殆ど質問してないよ」

「ふうぅ~~~~もうユーアったらさっ! はぁ」
「…………ゴナちゃん大丈夫? 随分顔赤くしてたわよ?」
「う、うん、何とか落ち着いたから大丈夫。はぁ~~~~」

 ユーアとナジメを抜いた私たちはどっと疲れ果て、それぞれが、安堵の溜息を漏らすのであった。ナジメのお陰で助かった。


『まぁ、ナジメもその容姿で、外でそんなこと言ったら危ないんだけどね』

 スク水幼女を見ながらそう思った。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

前世の記憶さん。こんにちは。

満月
ファンタジー
断罪中に前世の記憶を思い出し主人公が、ハチャメチャな魔法とスキルを活かして、人生を全力で楽しむ話。 周りはそんな主人公をあたたかく見守り、時には被害を被り···それでも皆主人公が大好きです。 主に前半は冒険をしたり、料理を作ったりと楽しく過ごしています。時折シリアスになりますが、基本的に笑える内容になっています。 恋愛は当分先に入れる予定です。 主人公は今までの時間を取り戻すかのように人生を楽しみます!もちろんこの話はハッピーエンドです! 小説になろう様にも掲載しています。

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中

四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。

婚約破棄された上に国外追放された聖女はチート級冒険者として生きていきます~私を追放した王国が大変なことになっている?へぇ、そうですか~

夏芽空
ファンタジー
無茶な仕事量を押し付けられる日々に、聖女マリアはすっかり嫌気が指していた。 「聖女なんてやってられないわよ!」 勢いで聖女の杖を叩きつけるが、跳ね返ってきた杖の先端がマリアの顎にクリーンヒット。 そのまま意識を失う。 意識を失ったマリアは、暗闇の中で前世の記憶を思い出した。 そのことがきっかけで、マリアは強い相手との戦いを望むようになる。 そしてさらには、チート級の力を手に入れる。 目を覚ましたマリアは、婚約者である第一王子から婚約破棄&国外追放を命じられた。 その言葉に、マリアは大歓喜。 (国外追放されれば、聖女という辛いだけの役目から解放されるわ!) そんな訳で、大はしゃぎで国を出ていくのだった。 外の世界で冒険者という存在を知ったマリアは、『強い相手と戦いたい』という前世の自分の願いを叶えるべく自らも冒険者となり、チート級の力を使って、順調にのし上がっていく。 一方、マリアを追放した王国は、その軽率な行いのせいで異常事態が発生していた……。

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結

処理中です...