剣も魔法も使えない【黒蝶少女】は、異世界に来ても無双する?

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第6蝶 冒険者ギルド騒乱編

スミカとユーアの合体技?双子姉妹に炸裂!?

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「それじゃ、みんな揃ったね?」


 みんながテーブルセットに着いたのを確認して、そう切り出す。

「はい、スミカお姉ちゃん!」

 元気良く手を挙げるユーア。

「はい、ユーア何?」
「ル、ルーギルさんがいませんっ!」
「え、いるよ? ユーア」
 
 私は視線を上に向けてルーギルの存在を確認する。
 何か騒いでるけどちゃんといるよね?

「え、で、でもぉ!」

「ユーアちゃん、あんなハレンチ極まりない男は、でいいのですよっ!」

「そうだぜっあいつはワタシたちの胸の大きさをランク付けしたんだぜっ! あんな変態、で反省していろっつうんだっ!」

 姉妹が上を見上げて言う、とは…………


「――――オイッ! 俺が悪かったから、降ろしてくれやァッ! もうお前たちのをランク付けしねえよォ! て聞こえてんのかァ? お――いッ!!」

 それは地上から約50メートル上空のルーギルの姿だった。

「ギルド長…………」

 私たちの逆鱗に触れたルーギルは、私にぶっ飛ばされて気絶した後、そのまま私のスキルで、長さ50メートルのポールの先端に引っ掛かっている。手足をぷらんとさせて。

 ユーアは、ルーギルの惨状に心配しているみたいだけど、ナゴナタ姉妹は、私の行動に賛同してくれた。

 今までだったら悪者扱いで、私一人が落ち込んでたはずなのに。

『うううっ『仲間』が増えて嬉しいよぉ~』

 でも、

 チラっと、二人の『ランク』を覗き見る。

『……………………仲間』

 なのか? これが?

 私は正確なランク(戦闘力)を計測する為。
 二人のある一点を凝視する。

 チキチキチキッ

 Aランク? 『NO!』
 Bランク? 『NO!』
 Cランク? 『NO!』

『くっ!』 
 
 まだ上がるというのかっ!

 D? 『NO!』
 E? 『NO!』

『も、もうそろそろっ!』

 F? 『NO!』
 
『って、もういい加減にっ!』

 G? 『YES! YES!』


『ウヌヌヌヌッ…………!』

 
 私は二人の高ランクを目の当たりにし、おもむろにその二人に近付く。

「なんですか? スミカお姉さま」
「どうした? スミカ姉」

 ユーアと仲良く談笑していたナゴナタ姉妹は
 そんな私に気が付いて顔を上げる。


 ガシッガシッ!

 ムギュムギュッ!


「い、痛いですスミカお姉さまっ! なぜ私たちの胸を鷲掴みに!?」
「痛てぇっ! スミカ姉っ! なんだってワタシたちの胸をっ!」

 モミモミ。
 ムニュムニュ!

「ちょ、スミカお姉さまっ!」
「ああっ!スミカ姉っ!」

 チッ!

 見事にたわわに実りやがって。

 そんな手の平から溢れるものなんて邪魔でしょう?
 いっそ私がしてやる!

 ギュッ!
 ギュッ!

「痛いっ痛いですっ! スミカお姉さまっ!? で、でも……」
「うぎゃっ! 痛い痛いっ! スミカ姉っ!? あああっ……」

 そんな痛みに声を上げる二人から手を離す。

 ペタ、ペタ、

「……………………」
「どうしたの、スミカお姉ちゃん、ボクのお胸触って?」
「…………やっぱり私の味方は、ユーア。あなただけだよ」

 そう言って私は、ギュッとユーアを抱きしめる。


 その抱き合った私と、ユーアとの体の間には、あの姉妹には真似できないような『スキマ』が空いているのだった。

 勿論「ムギュ」とか「ポヨン」とかの擬音が出る事もなかった。

 もし音が出るとしたらそれは――――

 いや、そんなものは一切出ない。
 だって接触すら出来ていないのだから。
 そこには空間があるだけなのだから。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、お姉さまっ突然どうして――」
「ふー、ふー、ふー、ふー、スミカ姉、一体なんで――」

 収穫されそうになった姉妹は、俯き気味で頬を赤く染めていた。
 ちょっとだけ息も荒くして。

「……………………」

 ちょっとやり過ぎだったよ。
 大人げなかったよね?

 そんな姉妹を見て、私は、

「ごめんね二人とも。ちょっと魔が差したっていうか? 裏切られたっていうか? ロリ巨〇なんて、需要あり過ぎだっていうか? ん~なんだろう。一言じゃ言い表せないよ。とりあえず痛くしてごめんなさい」

 頭を深く下げて謝る。
 これは私が悪い。

 きっとアバターが、子供の姿のせいで性格も子供に戻ってしまったんだろう。元々の私はそんな事を気にしてなんかいなかったのだから。高ランクだったし。多分。


「い、いいえ、スミカお姉さまっ! そんな頭を下げなくてもっ!」
「い、いいんだぜスミカ姉! なんかワタシたちに悪いとこがあったんだろっ!」

 少し潤んだ目で、私を見上げてフォローを入れてくれる。
 この姉妹は、冒険者が絡んでないと結構いい子なんだよね。

 そんな姉妹を見下ろしてみると、

「っ!?」

 なにそれっ?

 姉のナゴタは、胸の前で手を合わせるように私を見上げているけど、その腕からはみ出そうな、柔らか物体が「ムギュ」とその形を変えていた。

 妹のゴナタは、テーブルに肘をついて、姉のように見上げてるけど、その二つの大きな丸いものは、重力のせいでテーブルの上に「ズン」と鎮座していた。


「…………………………」


「スミカお姉さまっ、もし宜しければ、そ、その、もっと私のものを、ら、乱暴にして頂いても、いいのですよ! そ、それでお姉さまの気が晴れるのでしたら、よ、喜んで! 私はっ!」

「スミカ姉っ! ワタシもだぜっ! も、もし、それで、スミカ姉が、すっきりするなら協力するぜっ! な、だからな、ほら、す、好きにしてもいいよっ!」

 私が黙っていたのを何か勘違いした二人が、目を閉じて、今度はその物体を強調するように上体を後ろに逸らした。

 何故かその二人の顔は赤かった。
 そして目を閉じていた。

 イラッ!

 そんな姉妹を見て、私は――

「ユーア、ちょっと目をつむっていて」
「え、なんでですか?」
「ユーアに素晴らしいお肉に触らせてあげる」
「お肉ですかっ! わかりました!」

 全面的に私を信じたように目を閉じる。

「………………」

 この子、毎回お肉に釣られて大丈夫かな?
 お肉をエサに、変な人に付いて行っちゃうんじゃないかな?
 そこら辺もキチンと教えないと危ないよね。

 私は目を閉じたユーアの小さい手を後ろから掴む。

 そして――

 ユーアっ! ぱ――――んちっ!!

 ボヨンッ!ボヨンッ!

「んっ!?」
「!?」

『くっ! これもダメか! ならそのまま繋げてっ!』

 ユーアっ! アイアンクローっ!!

 ムギュムギュ!

「んんんっ!」
「ッッッッ!」
 
 続いて、

 ユーアっ!チョ――ップっ!!

 ボヨヨーンッ!ボヨヨーンッ!

「はぁはぁっ~~」
「ふぅふぅふぅ――」

『こ、これでもまだっ! こうなったらユーア奥義っ!』

 ユーア乱舞っっ!!!!

 ガシッ!
 ビシッ!
 ブシッ!

 ドゴォォォ――ンッ!!

 プニュ
 ポヨ
 グニュ

 ムギュムギュギュッ!!

「っ!? んあああああああああっ――――!!」
「っ!? あんんんんんんんんんっ――――!!」

『よしっ!』

 これならダメージを与える事が出来たっ!!
 
 (なんとなく)頬を赤く染めて、その端正な顔を歪めている。

『よ、よしっ!』 

 更に奥義で追撃だっ!

『最終究極アルティメット、グレートユーア、ジ・エンド。ファイナルアトミックバス――――』

 
「あのぅ、スミカさん。そろそろギルド長を、降ろしていただけるとありがたいのですが……ギルド長も反省しているみたいですし、後程わたしからも、注意いたしますから」

「え?」

 ユーアの最終奥義を放とうとした私にクレハンが声を掛けてくる。

「うん、わかったよ。クレハン」

 適当にクレハンにそう返事する。
 そしてユーアの最終奥義を放つべく手を握り直す。

 更に続けてクレハンが、

「それと、技名ですか? 同じ言葉が重複していましたよ?」

「…………………………え?」

 また声に出してたの?
 どこから?

 その一言でフッと我に返り、周りを見る。


「スミカお姉ちゃん…………」

「はぁはぁっ! ユーアちゃんもなかなかやりますね……」
「ふぅふぅっ! 小さいのにやるなっ! ユーアちゃん……」

 手をワキワキさせながら、ジト目で私を見るユーア。そしてなぜか潤んだ目をさせて、ユーアを見つめるナゴナタ姉妹がそこにいた。


「オイッ! 聞こえてんのかァッ! 謝るから、いい加減降ろしてくれよォ! てか降ろしやがれッ!!」

 そして、上空ではルーギルがジタバタ暴れていた。

『はぁ~~』

 この姉妹のせいで、全然話が進まないんだけど。



 〇6章〇冒険者ギルド騒乱編 『完』


 
 
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