剣も魔法も使えない【黒蝶少女】は、異世界に来ても無双する?

べるの

文字の大きさ
上 下
73 / 586
第6蝶 冒険者ギルド騒乱編

スミカとユーアの合体技?双子姉妹に炸裂!?

しおりを挟む



「それじゃ、みんな揃ったね?」


 みんながテーブルセットに着いたのを確認して、そう切り出す。

「はい、スミカお姉ちゃん!」

 元気良く手を挙げるユーア。

「はい、ユーア何?」
「ル、ルーギルさんがいませんっ!」
「え、いるよ? ユーア」
 
 私は視線を上に向けてルーギルの存在を確認する。
 何か騒いでるけどちゃんといるよね?

「え、で、でもぉ!」

「ユーアちゃん、あんなハレンチ極まりない男は、でいいのですよっ!」

「そうだぜっあいつはワタシたちの胸の大きさをランク付けしたんだぜっ! あんな変態、で反省していろっつうんだっ!」

 姉妹が上を見上げて言う、とは…………


「――――オイッ! 俺が悪かったから、降ろしてくれやァッ! もうお前たちのをランク付けしねえよォ! て聞こえてんのかァ? お――いッ!!」

 それは地上から約50メートル上空のルーギルの姿だった。

「ギルド長…………」

 私たちの逆鱗に触れたルーギルは、私にぶっ飛ばされて気絶した後、そのまま私のスキルで、長さ50メートルのポールの先端に引っ掛かっている。手足をぷらんとさせて。

 ユーアは、ルーギルの惨状に心配しているみたいだけど、ナゴナタ姉妹は、私の行動に賛同してくれた。

 今までだったら悪者扱いで、私一人が落ち込んでたはずなのに。

『うううっ『仲間』が増えて嬉しいよぉ~』

 でも、

 チラっと、二人の『ランク』を覗き見る。

『……………………仲間』

 なのか? これが?

 私は正確なランク(戦闘力)を計測する為。
 二人のある一点を凝視する。

 チキチキチキッ

 Aランク? 『NO!』
 Bランク? 『NO!』
 Cランク? 『NO!』

『くっ!』 
 
 まだ上がるというのかっ!

 D? 『NO!』
 E? 『NO!』

『も、もうそろそろっ!』

 F? 『NO!』
 
『って、もういい加減にっ!』

 G? 『YES! YES!』


『ウヌヌヌヌッ…………!』

 
 私は二人の高ランクを目の当たりにし、おもむろにその二人に近付く。

「なんですか? スミカお姉さま」
「どうした? スミカ姉」

 ユーアと仲良く談笑していたナゴナタ姉妹は
 そんな私に気が付いて顔を上げる。


 ガシッガシッ!

 ムギュムギュッ!


「い、痛いですスミカお姉さまっ! なぜ私たちの胸を鷲掴みに!?」
「痛てぇっ! スミカ姉っ! なんだってワタシたちの胸をっ!」

 モミモミ。
 ムニュムニュ!

「ちょ、スミカお姉さまっ!」
「ああっ!スミカ姉っ!」

 チッ!

 見事にたわわに実りやがって。

 そんな手の平から溢れるものなんて邪魔でしょう?
 いっそ私がしてやる!

 ギュッ!
 ギュッ!

「痛いっ痛いですっ! スミカお姉さまっ!? で、でも……」
「うぎゃっ! 痛い痛いっ! スミカ姉っ!? あああっ……」

 そんな痛みに声を上げる二人から手を離す。

 ペタ、ペタ、

「……………………」
「どうしたの、スミカお姉ちゃん、ボクのお胸触って?」
「…………やっぱり私の味方は、ユーア。あなただけだよ」

 そう言って私は、ギュッとユーアを抱きしめる。


 その抱き合った私と、ユーアとの体の間には、あの姉妹には真似できないような『スキマ』が空いているのだった。

 勿論「ムギュ」とか「ポヨン」とかの擬音が出る事もなかった。

 もし音が出るとしたらそれは――――

 いや、そんなものは一切出ない。
 だって接触すら出来ていないのだから。
 そこには空間があるだけなのだから。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、お姉さまっ突然どうして――」
「ふー、ふー、ふー、ふー、スミカ姉、一体なんで――」

 収穫されそうになった姉妹は、俯き気味で頬を赤く染めていた。
 ちょっとだけ息も荒くして。

「……………………」

 ちょっとやり過ぎだったよ。
 大人げなかったよね?

 そんな姉妹を見て、私は、

「ごめんね二人とも。ちょっと魔が差したっていうか? 裏切られたっていうか? ロリ巨〇なんて、需要あり過ぎだっていうか? ん~なんだろう。一言じゃ言い表せないよ。とりあえず痛くしてごめんなさい」

 頭を深く下げて謝る。
 これは私が悪い。

 きっとアバターが、子供の姿のせいで性格も子供に戻ってしまったんだろう。元々の私はそんな事を気にしてなんかいなかったのだから。高ランクだったし。多分。


「い、いいえ、スミカお姉さまっ! そんな頭を下げなくてもっ!」
「い、いいんだぜスミカ姉! なんかワタシたちに悪いとこがあったんだろっ!」

 少し潤んだ目で、私を見上げてフォローを入れてくれる。
 この姉妹は、冒険者が絡んでないと結構いい子なんだよね。

 そんな姉妹を見下ろしてみると、

「っ!?」

 なにそれっ?

 姉のナゴタは、胸の前で手を合わせるように私を見上げているけど、その腕からはみ出そうな、柔らか物体が「ムギュ」とその形を変えていた。

 妹のゴナタは、テーブルに肘をついて、姉のように見上げてるけど、その二つの大きな丸いものは、重力のせいでテーブルの上に「ズン」と鎮座していた。


「…………………………」


「スミカお姉さまっ、もし宜しければ、そ、その、もっと私のものを、ら、乱暴にして頂いても、いいのですよ! そ、それでお姉さまの気が晴れるのでしたら、よ、喜んで! 私はっ!」

「スミカ姉っ! ワタシもだぜっ! も、もし、それで、スミカ姉が、すっきりするなら協力するぜっ! な、だからな、ほら、す、好きにしてもいいよっ!」

 私が黙っていたのを何か勘違いした二人が、目を閉じて、今度はその物体を強調するように上体を後ろに逸らした。

 何故かその二人の顔は赤かった。
 そして目を閉じていた。

 イラッ!

 そんな姉妹を見て、私は――

「ユーア、ちょっと目をつむっていて」
「え、なんでですか?」
「ユーアに素晴らしいお肉に触らせてあげる」
「お肉ですかっ! わかりました!」

 全面的に私を信じたように目を閉じる。

「………………」

 この子、毎回お肉に釣られて大丈夫かな?
 お肉をエサに、変な人に付いて行っちゃうんじゃないかな?
 そこら辺もキチンと教えないと危ないよね。

 私は目を閉じたユーアの小さい手を後ろから掴む。

 そして――

 ユーアっ! ぱ――――んちっ!!

 ボヨンッ!ボヨンッ!

「んっ!?」
「!?」

『くっ! これもダメか! ならそのまま繋げてっ!』

 ユーアっ! アイアンクローっ!!

 ムギュムギュ!

「んんんっ!」
「ッッッッ!」
 
 続いて、

 ユーアっ!チョ――ップっ!!

 ボヨヨーンッ!ボヨヨーンッ!

「はぁはぁっ~~」
「ふぅふぅふぅ――」

『こ、これでもまだっ! こうなったらユーア奥義っ!』

 ユーア乱舞っっ!!!!

 ガシッ!
 ビシッ!
 ブシッ!

 ドゴォォォ――ンッ!!

 プニュ
 ポヨ
 グニュ

 ムギュムギュギュッ!!

「っ!? んあああああああああっ――――!!」
「っ!? あんんんんんんんんんっ――――!!」

『よしっ!』

 これならダメージを与える事が出来たっ!!
 
 (なんとなく)頬を赤く染めて、その端正な顔を歪めている。

『よ、よしっ!』 

 更に奥義で追撃だっ!

『最終究極アルティメット、グレートユーア、ジ・エンド。ファイナルアトミックバス――――』

 
「あのぅ、スミカさん。そろそろギルド長を、降ろしていただけるとありがたいのですが……ギルド長も反省しているみたいですし、後程わたしからも、注意いたしますから」

「え?」

 ユーアの最終奥義を放とうとした私にクレハンが声を掛けてくる。

「うん、わかったよ。クレハン」

 適当にクレハンにそう返事する。
 そしてユーアの最終奥義を放つべく手を握り直す。

 更に続けてクレハンが、

「それと、技名ですか? 同じ言葉が重複していましたよ?」

「…………………………え?」

 また声に出してたの?
 どこから?

 その一言でフッと我に返り、周りを見る。


「スミカお姉ちゃん…………」

「はぁはぁっ! ユーアちゃんもなかなかやりますね……」
「ふぅふぅっ! 小さいのにやるなっ! ユーアちゃん……」

 手をワキワキさせながら、ジト目で私を見るユーア。そしてなぜか潤んだ目をさせて、ユーアを見つめるナゴナタ姉妹がそこにいた。


「オイッ! 聞こえてんのかァッ! 謝るから、いい加減降ろしてくれよォ! てか降ろしやがれッ!!」

 そして、上空ではルーギルがジタバタ暴れていた。

『はぁ~~』

 この姉妹のせいで、全然話が進まないんだけど。



 〇6章〇冒険者ギルド騒乱編 『完』


 
 
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

前世の記憶さん。こんにちは。

満月
ファンタジー
断罪中に前世の記憶を思い出し主人公が、ハチャメチャな魔法とスキルを活かして、人生を全力で楽しむ話。 周りはそんな主人公をあたたかく見守り、時には被害を被り···それでも皆主人公が大好きです。 主に前半は冒険をしたり、料理を作ったりと楽しく過ごしています。時折シリアスになりますが、基本的に笑える内容になっています。 恋愛は当分先に入れる予定です。 主人公は今までの時間を取り戻すかのように人生を楽しみます!もちろんこの話はハッピーエンドです! 小説になろう様にも掲載しています。

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜

AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。 そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。 さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。 しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。 それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。 だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。 そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

処理中です...