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メドの収納魔法!?
しおりを挟む「あー、痛ててっ!ったく何で俺ばっか……」
頭や腕をさすりながらルーギルが上半身を起こす。
どうやら大事には至らなかったみたい。
「ほっ」
良かったぁ!どこも怪我してないみたいで。
と、それを見て知らず知らず胸をなで降ろす。
『それにしても……』
私に風圧で飛ばされて、次にメドに投げ飛ばされて、それでも大丈夫なんだからこの世界の人間って強いんだなとも思った。
「フーナさま」
「なに?メドって、ああっ!?」
私は思わず口を塞ぐ。
そ、そういえばロックバードを退治した後に、メドが怒ってアド連れて離れようとしてたよねっ?また私を置いて。
『うう…………』
そんな事を思いだす。
『ど、どうしよう、まだきっと怒ってるよね?すぐに謝った方がいいよね……』
チロチロとメドに視線を這わす。
そんなメドはジッと私の顔を見ている。
うううっ、恐いっ!
ゆ、許してくれるかなぁっ?
「ねぇフーナさま。話しの途中」
「へ?途中って」
「ワタシの話の途中だった」
「え、あ、そうだっけ?な、なら続けてっ」
な、なぁんだ、それでこっち見てたのねっ。
「この水が入った大きな地面の穴なんだけど」
ギクッ
そう言ってジト目を私に向けてくる。
元々ギルドがあっただろう場所を指さして。
因みに今は大きな水溜まり。
「うっ。そ、それは―――――」
ヤ、ヤバいこれは完璧に怒られるし、嫌われる。
そうしたら私はこの世界で独りぼっちだ。
「おおーいっ!フーナとメドっ!」
冒険者ギルドの人たちに看病されていたルーギルが起き上がり、
私とメドの近くに来る。
「な、何?ルーギル」
「何?」
「メド、何で俺を投げ飛ばしたんだよっ!」
と、開口一番メドに食って掛かるルーギル。
「ん、ゴメン」
「お、おうっ!」
「?」
えっ?終わり?
あれだけ派手にぶっ飛んでたのに?
「あっ!」
私はメドの手を引いて、すぐさま私の後ろに隠す。
「どうしたの?フーナさま」
「あ、あいつエロイ顔してたから」
「ばっ、お、お前何言ってっ!」
「だって、鼻の下伸びてたもん?メドに謝られた時さ」
「えろい?鼻の下?なんで?」
「ち、違うっ!俺はもっとこう胸がだなぁっ!」
そういって言い訳がましく、両手で大きな二つの丸を作って見せる。
ついでに離れて見ているアドの胸部を見ながら。
「でも、ちょっと照れたのは間違いないよね?」
「うっ、そ、それは……」
そう。
この男は確かにメドを見て言い淀んでいた。
一瞬目も泳いでもいた。
「メドが小さくて白くて可愛い幼女だからって、しかも上目遣いで謝られたからって勘違いしないでよね?メドはわたしのお嫁さん候補なんだから。あなたみたいなロリ男なんかに危なくて近づけさせないんだからねっ!」
「だから俺は違うって言ってるだろっ!」
「違くないっ!絶対にメドを狙ってる目だっ!わたしにはわかるもんっ!」
だってあの目は鏡に映った私とおんなじ目だったから。
「い、いやそれよりも、お前の嫁さん候補ってなんだよっ!あっ!も、もしかしてお前って実は男だったのか?ノーパンだったし」
「な、なんだってまだそんなこと言うのっ!もう本気で怒るかんねっ!」
私は両手をジタバタ振って目いっぱい頬を膨らませる。
激おこなのだっ!
「…………で、結局何で呼び止めた?ワタシが狙い?」
「へっ?メド?」
「お、おう、そうだったっ!フーナのせいで話がズレちまったっ!礼の他にフーナの事を言っておかねえとと思ったんだよ。なんか二人が喧嘩っぽく見えたかんなっ!」
と、ルーギルは頭の後ろを掻きながらそう答える。
「それで?」
「で、フーナの事は怒らねえでくれやっ!フーナは危険を承知でロックバードを退治してくれたんだ。それに冒険者ギルドも無事だろう?」
「うん。分かってる。だから戻ってフーナさまに聞こうと思った」
と、淡々とメドはそう答えた。
「??」
「??」
正直何が言いたいのか良く分からない。
「メド、戻るって何?」
「フーナさまのところ」
「あ、さっきアド連れて離れたって事?」
「そう」
「で、聞く事って?」
「あの水溜まり直せるかどうか」
「あっ!」
私はポフッと手を叩いた。
それで最初の話に戻るわけね。
でもそれって一体どういう意味があるの?
「水溜まり埋めてくれたらワタシが建物出すから」
「へっ?建物って?」
「あの水溜まりの前に合った建物の事」
あっ!それって私が跡形もなく壊したと思った……
「そうだ冒険者ギルドの建屋がフーナの魔法で破壊される寸前に、そのメドが魔法で消したんだよっ!だからさっき無事だって話に出したろっ!」
ルーギルが見かねて、私とメドの話に割って入りそう説明をする。
「あっ!ならメドが収納魔法を使って?」
「そう。フーナさまの見て真似てみた」
「マ、マジッ!」
「まじ?」
「………………」
「………………」
感動して見つめあう私とメド。
でも、あれを埋める魔法って……
「あ、あのさ、メドは埋める魔法使えないの?」
だって出来ると思うけど
私の場合更に被害が――
「ん、慣れない魔法で魔力と集中してないとダメ」
「あ、そうなんだっ!ごめんねっ、無理言っちゃってっ」
「ん、ワタシがフーナさまみたいに上手くないだけ」
そう言ってチョットだけ視線を落とす。
落ち込んでる?のかな。
「な、何言ってんのっ!メドのお陰でわたしは怒られないで済むかもなんだから、これくらいわたしがやるよぉっ!」
私はそんなメドを抱きしめてそう宣言する。
ここまでメドが頑張ってくれたんだもん。
私が自分の後かたずけ出来なくてどうするの?
メドに全部頼ってはダメだっ!
「よ、よしっ!」
私は腕まくりをしようと袖を捲り上げるが
「………………」
中々手の先が出てこないので諦めた。
※
「え、えーと先ずは水を蒸発させないとダメだよね?」
私は直径約20メートルの水溜まりを見つめる。
「ふぁ『ふぁいあ』?」
私は水の中に火を灯すイメージで魔法を唱える。
もちろん小声で。
水中でも発動できるかなんて知らないけど。
途端――――
ボフッ!!!!
ジュッ!!!!
「フ、フーナさま?」
「は、はぁっ!?」
「よ、よしっ!」
一瞬で水が無くなったっ!
「つ、次はっ!『ろっくうぉーる』?」
ズズズッ!
「よ、よしっ!」
瞬く間に盛り上がり平らな地面になったっ!
「………………」
「………………」
「ふぅ、何とか出来たよっ!後はメドお願いねっ!」
「ん、分かった」
私はそう言ってメドと位置を変わる。
これでメドが冒険者ギルドの建物を出せば一件落着だ。
「ん、んんんっ」
おっ!メドが目と口を噤んで集中してる。
そんな真剣なメドも可愛いよねっ!
なんてメドに見蕩れていると――――
「あっ!」
「は、はぁっ!」
「ん、間違った」
冒険者ギルドの建物らしきものが10メートル上空に現れた。
しかも上下逆さまで。
このまま地面に激突したら、粉微塵どころか周りにも被害が――
シュンッ
「は、はぁっ!?」
「ん、消えた」
「ふぅ、間に合ったよぉ」
何とか落下する前に私が魔法で収納し事なきを終えた。
どうやら、メドの慣れない魔法の反動は
出すときにも出てしまったみたいだ。
こうして無事にギルドの建物も、そしてロックバードも退治して
ようやくメドに合流することが出来た。
『つ、疲れたぁ~』
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