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071 9月1日 再び、ガールズトーク 1/2
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「ウソ! その日にやっちゃったって事?」
紗理奈が匍匐前進するかのごとく胸元をテーブルに擦り付けて私の顔の前で呟く。
「う、うん」
私はようやく赤らみが引いた頬に、ドリンクの入った紙コップをピタリとつけた。氷がたくさん入ったドリンクは更に私の熱を奪ってくれる。
洗いざらいとは言わないけれども、七緖くんと告白と同時に経験してしまった事を私は紗理奈に話した。と言うか、話す事になってしまった。
「はー今日は何度驚かされるのかしら、私」
「ごめん」
私と七緖くんが付き合う事になりクラスの中で質問攻めにあった紗理奈には申し訳ない気持ちで一杯だ。
私の最後の一言を聞いた紗理奈は、よろよろとテーブルから体を起こし椅子の背もたれに深く背中を預ける。傍らには食べかけの冷えてしまったハンバーガーが置かれたままだ。
「だけど七緖がしっかりしていて良かった。状況を聞くとさ、そういうのって避妊せずに勢いでやっちゃいそうじゃん?」
ぼそぼそと周りに聞こえないぐらいの小声で紗理奈が呟いた。
「そ、そうだよね。うん」
手短に避妊具もあったし。七緖くんが博さんのを拝借したから博さんにもバレちゃったのだけど。拝借しなければそれはそれで困る事態になる訳だし。
(今後は自分でちゃんと用意しておかないとだよね? って言うか……あれ?)
そんな事を考えて私はある事にふと気がついた。
(そういえば。二回目って、どうなるのかな。と言うよりも二回目ってどのぐらいのタイミングなの)
たった一回の体験に舞い上がって、あれこれ思い出し私は顔を赤くして一人ぼんやりする事があるが、よく考えたらその後七緖くんとはキス一つない。
私は両肘をテーブルについて手を組むと親指の辺りに自分の唇を当てて考え込んだ。
クラスメイトや友達の話では、一度エッチしちゃうと次から次へと体を求められて困るとか……そんな勢いづいた話を聞いた事がある。場合によっては外で(何て事!)エッチをしたという話を聞いたのに。
私は夏休み七緖くんと二人きりになる事が多かったけれども、七緖くんに求められる事は一度もなかった。後にも先にも夏休みはあの玄関先で押し倒された一回だけだ。
(二人きりの時は……勉強を教えて貰ってアルバイトをして、チョコレートを食べて。それからそれから、アルバイト帰りにバス停まで送ってくれるのは前と一緒だし。あれ? あれ?)
私はエッチをする前、お付き合いする前とあまりにも変わらない七緖くんとの行動に、サーッと血の気が引く様な感じになった。
(よく考えたら七緖くんはあれ以来、私と二人きりになる事を避けているよね?)
喫茶店「銀河」の二階で昼休み以降、二人きりで勉強をしていたのに何故かお店の中にあるテーブル席でやる事が増えた。その時も──
「やっぱり椅子とテーブルがある方がええやんな?」
確かに正座とか胡座とかよりも椅子に座る方が楽だから──そんな七緖くんの言葉にも疑問を持たなかった。
それに……七緖くんの家にあれ以来入った事がない。ご両親が留守がちだからだと思うが、七緖くんの部屋にある本をとってくる時も──
「あ、僕とってくるから待っといてな。運ぶ手伝い? 大丈夫や結構重いけど僕一人で持てるで」
結構な冊数持ってくる時だってあるのに。言われてみればお手伝いで家に上げてもらえても良いはずだ。
(あれ? あれ? あれれれ?)
益々不安や焦りが心の中にシミの様に広がる。
比べるのは良くないが、怜央と付き合っている時はやたらキスや手を繋ぐというスキンシップが多かったから。七緖くんは手を繋ぐ訳でもキスなんて……当然ない。
(もしかして。七緖くんあんまりそういう事に興味ないとか? それとも初めての時、シャワーも浴びずに……私が臭かったとか?! いやいやいやいや、良い匂いって言っていたよね? そうじゃなければ、私の事本当は好みじゃないとか?)
変な汗がだらだらと流れ始める。
「どうしたの? 急に黙り込んで」
再びハンバーガーを食べ始めた紗理奈だが、私が黙り込んだ姿を見て両頬をハムスター並みに膨らませながら首を傾げる。
「ねぇ、二回目ってどうするの」
ぽつりと私は呟く。
「は?」
ゴクンと咀嚼したハンバーガーを飲み込み、紗理奈が眉の根に皺を寄せた。
「だから二回目ってどうやったらいいの」
「何の二回目よ?」
チューッとバニラシェイクを吸い上げながら紗理奈が首を傾げた。
(他の事はすぐに気がついてくれるのに。も~紗理奈の馬鹿)
私は仕方なく身を乗り出し紗理奈の耳に小さく呟いた。
「だから……エッチの二回目よっ」
紗理奈はすぐに目を大きく見開いて、私が呟いた耳を押さえた。
「えーっあんた達二人は夏休みに、やりまくってるんじゃないの」
「そんな訳ないでしょ」
私はテーブル越しに紗理奈の腕をペチリと叩いた。
紗理奈が匍匐前進するかのごとく胸元をテーブルに擦り付けて私の顔の前で呟く。
「う、うん」
私はようやく赤らみが引いた頬に、ドリンクの入った紙コップをピタリとつけた。氷がたくさん入ったドリンクは更に私の熱を奪ってくれる。
洗いざらいとは言わないけれども、七緖くんと告白と同時に経験してしまった事を私は紗理奈に話した。と言うか、話す事になってしまった。
「はー今日は何度驚かされるのかしら、私」
「ごめん」
私と七緖くんが付き合う事になりクラスの中で質問攻めにあった紗理奈には申し訳ない気持ちで一杯だ。
私の最後の一言を聞いた紗理奈は、よろよろとテーブルから体を起こし椅子の背もたれに深く背中を預ける。傍らには食べかけの冷えてしまったハンバーガーが置かれたままだ。
「だけど七緖がしっかりしていて良かった。状況を聞くとさ、そういうのって避妊せずに勢いでやっちゃいそうじゃん?」
ぼそぼそと周りに聞こえないぐらいの小声で紗理奈が呟いた。
「そ、そうだよね。うん」
手短に避妊具もあったし。七緖くんが博さんのを拝借したから博さんにもバレちゃったのだけど。拝借しなければそれはそれで困る事態になる訳だし。
(今後は自分でちゃんと用意しておかないとだよね? って言うか……あれ?)
そんな事を考えて私はある事にふと気がついた。
(そういえば。二回目って、どうなるのかな。と言うよりも二回目ってどのぐらいのタイミングなの)
たった一回の体験に舞い上がって、あれこれ思い出し私は顔を赤くして一人ぼんやりする事があるが、よく考えたらその後七緖くんとはキス一つない。
私は両肘をテーブルについて手を組むと親指の辺りに自分の唇を当てて考え込んだ。
クラスメイトや友達の話では、一度エッチしちゃうと次から次へと体を求められて困るとか……そんな勢いづいた話を聞いた事がある。場合によっては外で(何て事!)エッチをしたという話を聞いたのに。
私は夏休み七緖くんと二人きりになる事が多かったけれども、七緖くんに求められる事は一度もなかった。後にも先にも夏休みはあの玄関先で押し倒された一回だけだ。
(二人きりの時は……勉強を教えて貰ってアルバイトをして、チョコレートを食べて。それからそれから、アルバイト帰りにバス停まで送ってくれるのは前と一緒だし。あれ? あれ?)
私はエッチをする前、お付き合いする前とあまりにも変わらない七緖くんとの行動に、サーッと血の気が引く様な感じになった。
(よく考えたら七緖くんはあれ以来、私と二人きりになる事を避けているよね?)
喫茶店「銀河」の二階で昼休み以降、二人きりで勉強をしていたのに何故かお店の中にあるテーブル席でやる事が増えた。その時も──
「やっぱり椅子とテーブルがある方がええやんな?」
確かに正座とか胡座とかよりも椅子に座る方が楽だから──そんな七緖くんの言葉にも疑問を持たなかった。
それに……七緖くんの家にあれ以来入った事がない。ご両親が留守がちだからだと思うが、七緖くんの部屋にある本をとってくる時も──
「あ、僕とってくるから待っといてな。運ぶ手伝い? 大丈夫や結構重いけど僕一人で持てるで」
結構な冊数持ってくる時だってあるのに。言われてみればお手伝いで家に上げてもらえても良いはずだ。
(あれ? あれ? あれれれ?)
益々不安や焦りが心の中にシミの様に広がる。
比べるのは良くないが、怜央と付き合っている時はやたらキスや手を繋ぐというスキンシップが多かったから。七緖くんは手を繋ぐ訳でもキスなんて……当然ない。
(もしかして。七緖くんあんまりそういう事に興味ないとか? それとも初めての時、シャワーも浴びずに……私が臭かったとか?! いやいやいやいや、良い匂いって言っていたよね? そうじゃなければ、私の事本当は好みじゃないとか?)
変な汗がだらだらと流れ始める。
「どうしたの? 急に黙り込んで」
再びハンバーガーを食べ始めた紗理奈だが、私が黙り込んだ姿を見て両頬をハムスター並みに膨らませながら首を傾げる。
「ねぇ、二回目ってどうするの」
ぽつりと私は呟く。
「は?」
ゴクンと咀嚼したハンバーガーを飲み込み、紗理奈が眉の根に皺を寄せた。
「だから二回目ってどうやったらいいの」
「何の二回目よ?」
チューッとバニラシェイクを吸い上げながら紗理奈が首を傾げた。
(他の事はすぐに気がついてくれるのに。も~紗理奈の馬鹿)
私は仕方なく身を乗り出し紗理奈の耳に小さく呟いた。
「だから……エッチの二回目よっ」
紗理奈はすぐに目を大きく見開いて、私が呟いた耳を押さえた。
「えーっあんた達二人は夏休みに、やりまくってるんじゃないの」
「そんな訳ないでしょ」
私はテーブル越しに紗理奈の腕をペチリと叩いた。
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