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04 最後に岡本
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数十秒だったと思う。
天野と岡本は体を硬直させ、大きな溜め息をついた。
ズルリと熱く果てた杭を抜く。二人共無言だった。
男性二人はスッキリしたから、興奮が落ち着いて『何をやっているのだろう』と、突然我に返ったのかもしれない。
私の痴態や自分の痴態に改めて我に返り、三人でした事を後悔しているのかもしれない。
そう感じて怖くなって体を起こす。
浴衣とショーツ。全て布団の傍らに放り投げられている。ブラジャーも捲り上がったままだし。
急に恥ずかしくなった私は、四つん這いになる。
どうしよう……と考えながら、思わずゴクンと岡本の吐き出した体液を飲み込む。
「んんっ、はぁ」
これでようやく声が出せる。
こんな事になるなんて。
随分彼氏もいないし、浮いた話もない私が何故こんな事に……
それにしても、男性二人はどうして未だに無言なのよ。
とにかく口も漱ぎたいし下半身も清めたい。
けれど……とにかく服を着ようと、手を伸ばした途端その手をギュッと岡本に握られる。
「え?」
驚いて見上げると、無言だった岡本がニッコリ笑って四つん這いになる私を上から覗き込んでいた。
「倉田さん僕のを飲んじゃったんだ……」
「だ、だって」
「あんまり気持ちが良すぎて大量に出したから絶対吐き出すと思ったのに」
そうだ、飲み込むのじゃなくて吐き出せばよかったんだ! 確かに大量だったけれど。
何も考えず思わず飲み込んだ自分が急激に恥ずかしくなってしまった。
「そ、それは。気が動転したというか……」
私がもごもご言い訳を考えていると、岡本が私の唇にゆっくりと自分のそれを重ねる。
岡本の舌が私の唇と歯の間を割って入り、まだ岡本の味が残る口内を舐め上げ私が引っ込めた舌を絡めて吸い上げる。
「んんっ」
ちょっとぉ! 岡本の体液を飲んだ直後で口も漱いでいないのに! 岡本は自分の体液などお構いなしに私の口内をゆっくりと舐め上げる。
「ワオ。岡本は平気なんだそういうの。俺は嫌だなぁ自分のを出した直後のキスって」
ごそごそとコンドームの後始末をしながら天野が後方で呆れた声を上げる。
その声を聞いて岡本がキスをゆっくりと止めた。最後私の下唇をゆっくりと舐めて離れていく。
「はぁ。だって倉田さん、僕のを飲んでくれたんですよ。こんな興奮する事ってあります?」
「そりゃぁ倉田はハイヒールで男を踏むタイプっぽく見えるのになぁ。飲んだの見ると支配した気になるもんな」
「どういう意味よっ。私はハイヒールで踏まないわよ」
私は慌てて否定する。
そうだ。背が高くてそこそこ顔も整っていて羨ましいと言われる事はよくあるけれども、そのイメージは男性を服従させるタイプだと思われがちなのだ。
そんな事はない、特に尽くすタイプではないけれども。至って普通のはずなのに。
「分かってるって。倉田の外見は女王様っぽいって話だよ。ほい、じゃぁ倉田こっち向けよ」
天野は軽く笑って四つん這いになっていた私をコロリと転がす。今度は岡本の方に下半身を向ける様に布団の上で回転させた。
「きゃぁ! やだ、ちょっと。転がさないでよ。それに、終わりじゃないの? こんなの……二人共呆れて無言だったんじゃ」
そうだ二人共呆れて我に返ったから無言だったんではないの?
「何で呆れるんだよ。俺は気持ちが良くって余韻に浸ってただけだ。だって三人同時にイクって普通ないぜ」
「え。そ、そうなの。確かに気持ちが良かったけど」
同時にイクとかそもそも経験ないから分からない──
そう言おうとしたが、三人でするなんて経験があっても困るし。というか、天野は経験者って事?
「そうですよ。相性が良いとしか言いようがないですよ。それにここで止めるなんて酷いです。僕まだ入れてないのに。それに気持ちが良いって天野さんので?」
岡本がいそいそと自分の分身にコンドームを装着していた。
「そ、それはその……っていうか、何でもう大きくなってるの?」
思わず素直に気持ちが良かったと答えそうになり慌てて首を振る。それよりも、先ほど達したばかりだというのに岡本の分身は既にそそり立っていた。
「そりゃぁそうでしょ。だってこんなに綺麗な倉田さんの裸体を見て興奮しないわけないですよ。僕あと二回ぐらい軽いと思いますけど。ゴムが一個しかないですからねぇ。今度は四つん這いになってもらえます?」
「はっ、二回?! えっ、ちょっとぉ」
とんでもない回数を述べた岡本の顔を見て私は目を丸くした。
が、仰向けになっていたが岡本に軽々と持ち上げられ四つん這いにさせられる。
すると今度は目の前に天野が膝立ちで立っていた。当然天野の股間部分が目の前にあり、こちらも再びそそり立っていた。
「えっ、な、何?! 嘘でしょぉ」
セックスってこんなに一晩に何度もするものだったかしら。
思えば学生時代彼氏がいたのが最後でこういう事から遠ざかっていた。
その時は一晩に一回だったと思うけれど。
「何が嘘なんだよ。さぁ、今度は岡本だってよ。俺はそうだなキスから──っていうか。取りあえず岡本の飲んだままだな。じゃぁ、水を飲もうか」
そう言うと天野はペットボトルから水を含み、四つん這いになった私の顎を持ち上げ口移しで水を注ぎ込む。
いきなり口づけで水を注ぎ込まれるが、先程散々喘いだ上に岡本のを飲んだままだったので喉の通りがよくなり一息つけた。
「はぁ。ありが、とう? んんっ」
お礼を言うのもおかしい。が、再び天野に口を塞がれる。
チュッチュっとワザと音を立てて天野が唇に吸いついてくる。そして唇を深く合わせて舌を絡めるキスをしたかと思うと、再び離れて舌だけを絡めるキスを交互に繰り返される。
その間天野に顎を支えられ、四つん這いになったままだ。
「なぁ……舌出して。ほら、チュ」
天野が唇を合わせながら囁く。低い声と吐息で唇を撫でられると堪らない。
「あっ、んんっ」
苦しいのに止めてと言えない。
気持ちが良いキスってこういうのを言うのかな。深くキスをしているとお腹の奥が熱くなってくる。私の体も再び体が熱を帯びていく。
キスに夢中になっていると岡本が私の右手を後ろに引っ張る。
「ああ、いい眺めです。倉田さんってばそんなに腰を揺らして。後ろ丸見えですよ。天野さんのキスが気持ち良いんですね? 妬けるなぁこんなに雫が垂れている」
そうウットリ呟いたかと思うと岡本は私の四つん這いになった足を大きく開かせ、たっぷり濡れた入り口に熱く反り返った杭をあてがった。
そして──ゆっくりと潜り込んできた。
「んんんっ! あああ!」
突然の衝撃に天野から離れて思わず声を上げる。
「ああっ、入ったっ……動きますよ」
岡本は私の右手を後ろに引っ張りながら左手で腰を押さえ、ゆっくりと抽送を始めた。
「あっ、やん。急にそんな。あっ、ああっ」
私は目の前の天野をよそに布団に崩れ落ちそうになる。
しかし、天野が支えてくれた。
天野は私の体を支えながら左胸を大きな手で包みこんで、人指し指と中指の間で乳首を挟んだ。
「ああっ、いやぁ! そんなのっっあっんっ」
「倉田のおっぱい大きいの知ってるのは、この会社で俺と岡本だけかな。あ、でもさっき島田さんと鈴木さんにもチラ見せしたっけ? 今度は俺のも挟んで貰おうかなぁ」
天野は絶妙なタッチで私の胸を岡本の抽送に合わせて揉み、乳首を挟み刺激を与える。
挟んで貰うって、私の胸であなたのものを挟むって意味だったのか!
「何言ってるのよぉ。挟まないからっ。だ、駄目だってば、そこを同時に触られたら私、私……ああっ」
胸の先を弄られる感触がすぐにお腹の奥に伝わる。
その刺激が元になって、私に潜り込んだ岡本を根元から締め上げてしまう。
「ああっ凄い。僕のそんなに奥に誘い込んでくれるんですか?」
岡本が嬉しそうに声を上げて腰を突き上げる。
「あっ、あっ、んんっ、んんっ。奥ッ! そこ、あっ、あっ、気持ち良いっ」
岡本にガツガツと突き上げられて体の奥がうねる。
熱くて溶ける。
岡本と繋がる接合部分からは泡立った様な水音が聞こえる。凄く自分が濡れているのが分かる。恥ずかしいと思うが、止めないでとも思う。
「そんな可愛い声を上げるなよ。なぁ倉田頼むわ。俺のもさ、舐めて?」
天野は私の胸を優しく撫でながら再びそそり立った分身を目の前に差し出す。先端からにじみ出ている体液が見えた。
「はっ、あっ。ムゥ。んんっ」
揺らされているので反動で天野の分身を思わず深く飲み込んでしまった。
「口の中も熱いっ。ははっ、二回目なのにすぐ出そう」
天野が熱い溜め息をつきながら軽く笑った。
「駄目ですよ天野さん。咥えさせたら声が聞けなくなるじゃないですか」
突然岡本が不満そうに声を上げる。
岡本はスピードに乗った腰遣いを少し緩めて体勢を再び整えていた。挿入されたままクルリと横抱きにされる。その間も私の中のイイところに岡本の怒張が当たってブルリと震えた。
「ああっ!」
気持ちが良くて喘ぎながら布団に横になる。天野は私の頭を優しく持ち布団に横たえてくれた。
「勝手な事を言うな岡本は。まぁいいか。俺も倉田の声が聞きたいし。じゃぁ咥えないで握ってもらえる?」
天野は私の目の前に再び分身を差し出し私の手を重ねる。
そして、扱く様に私の手の上から自分の手を握りしめる。節くれ立った大きな手だった。体の大きな私の手でもすっぽり収まる。
片足を岡本に担がれたまま、再び抽送がはじまる。
今度は横抱きの分、更に奥に差し込まれ私は我慢出来ずに声を上げる。
「あっ、あっ、あっ、ああ。何これ。駄目っ。すぐイッちゃう。あっあっ」
「良かった。はぁ……僕も実はもう持ちそうにないんです。さぁ一緒に。ね?」
「俺も……ほらしっかり握って動かしてくれよ」
岡本と天野がそれぞれ動き始める。
ああっ、だめ。やだ、イッちゃう。
今日で何度目かの火花が散る。そう思った瞬間、私は喘ぎながら──
「あっ、ああ、イクっ、イッちゃう、イクッ!」
息を詰めると軽く内太股が痙攣した。岡本はピッタリと腰をつけ熱い杭は奥まで潜り込む。
「あっ、はぁ……っっ、あ……」
岡本は黒縁眼鏡が汗のせいで曇っていた。苦しそうに顔を歪ませ腰を二、三度動かすと、精を放った。岡本は口を少し開いて溜め息の様に息を吐き出した。
ズルリと力がなくなった杭を抜かれた瞬間接合部分から弧を描く様な飛沫が飛んだのを見た。
「ははっ、潮吹きって……あっ、はぁっ──」
そして天野も、ブルブルと体を震わせて私に握らせた手を自分で握りしめ先端部分を三回ほど擦ると白濁した体液を吐き出した。
「何でこんな事に」
部屋に備えついていたお風呂で汗やその他の体液を洗い流した私達三人は、テーブルを囲んで反省会を開いた。
「いいじゃないか。そんなに気にするなよ。運動したとでも思えばいいさ。俺は楽しかったし、何より気持ち良かった」
一人で飲もうと思って買い溜めていた缶ビールを天野にとられた。グビグビと飲んで腹がたつ程爽やかな笑みを浮かべ美味いと呟いていた。
「そうですよ。僕は倉田さんの事とても好きになりましたし」
下戸の岡本はペットボトルの炭酸水を飲んでいた。
「へぇ好きねぇ。でも岡本残念だな。お前の好きな倉田は俺の事が好きだと思うぜ。だって俺のをあんなにグイグイ締めつけたし」
缶ビールをドンと置くと胡坐をかいた天野が岡本に絡み始めた。
「えぇ? 違いますよ。僕も同じでした。倉田さんの中って凄く蠢くんですよね。それに僕の時最後にピュッって潮吹きしましたよね?」
今度は岡本がペットボトルをドンとテーブルに置く。
「それは倉田が連続で絶頂したからだろうがっ」
「違いますよ僕のが良かったんですよっ!」
「もう、静かにしてっ!」
反省会を開こうと思ったのはどうやら私だけだった様だ。
私が怒ると二人は口を閉ざした。
「もう……とにかく、本当に今日の事は忘れましょう。うん、そうしましょう」
そうだ、そうする方がいい。
こんな三人で乱れた事なんてとてもではないけれど人には言えない。言うつもりもないけれど。
私はビールをグイッと仰いで一人納得しようとした。
すると私の発言を受けて天野が私の顔をまっすぐ見つめた。
「な、何よ」
無言の圧力に私は正座をしたまま背中を反らした。
「倉田それは無理だ。なかった事には出来ない」
精悍な頬に真剣な眼差し。天野の二重の瞳が私を射貫いた。
「どうして?!」
「だって俺達こんなに相性が良いのにさ、忘れられないだろ」
「あ、相性?!」
思わず声をひっくり返してしまった。
「そうですよ倉田さん。あれだけ乱れておきながら、なかった事なんて酷いですよ!」
岡本が低いうなり声を上げる。黒縁眼鏡が光る。
「それなら、とにかく。口外しないって事で」
こんな事が社内に広がろうものなら私は白い眼で見られるだろう。
とにかくこの人気ナンバー、ワン、ツーの二人の本性を知った今、ただのイケメンでは済ませられない。
とんでもない男達だった。そして自分もそのうちの一人だって事を。
私は普通に経験して、普通に付き合って、それは最近御無沙汰だったけれども。
今後彼氏が出来たり、結婚したりした時に今日の事は何て言えばいいの?!
しかも、あんなにも乱れるなんて。今後を考えたら恐ろしい。
高い年齢で性に目覚めたら、ハマってしまうって聞いた事があるけれど。
っていうか、私もしかしてハマっているの?
と、グルグル考えた時だった。岡本がニッコリ笑った。
整った顔に切れ長の瞳が緩み可愛い笑顔になった。
「はい。口外はしませんよ。当たり前じゃないですか。でも、次回は是非僕のを挟んでくださいね」
「は?」
岡本は可愛い満面の笑みで何か凄い事を言ってらっしゃる。
その言葉を聞いて天野もカラカラと笑う。
「そうだな、俺のも挟んで貰いたいわ。あ、岡本の言ってたAVのシチュエーション全部制覇したいなぁ。確か社内で声を潜めてのセックスとか」
「はぁっ?!」
天野も普通に笑いながら何を言っているの?!
「良いですねぇそのアイデア! あとやっていないのは、社内での声を潜めてのセックスでしょ? そして酔っ払っての野獣の様なセックスに、最後は同僚二人と関係を持つんですけど、これは今日経験しちゃいましたからね」
岡本までが軽く笑って天野とハイタッチをする。
「いやいやいや。ない! ないでしょ~!」
私は慌てて否定する。しかし天野と岡本がハイタッチをしたままニタリと笑った。
「へぇ……俺達以外で満足出来るんだ? 倉田は」
「そうですよ。もっと凄い事しちゃいましょうよ。だって──」
「俺達」
「僕達」
「「最高の相性なんだし」」
そう言って二人は私の手を握りしめて離さなかった。
ああ、神様! これは夢だと言って欲しい……
それから私はこのイケメンだが問題児二人に振り回される事になった。
例のAVのプレイが現実になったかどうかは──秘密だ。
── 完 ──
天野と岡本は体を硬直させ、大きな溜め息をついた。
ズルリと熱く果てた杭を抜く。二人共無言だった。
男性二人はスッキリしたから、興奮が落ち着いて『何をやっているのだろう』と、突然我に返ったのかもしれない。
私の痴態や自分の痴態に改めて我に返り、三人でした事を後悔しているのかもしれない。
そう感じて怖くなって体を起こす。
浴衣とショーツ。全て布団の傍らに放り投げられている。ブラジャーも捲り上がったままだし。
急に恥ずかしくなった私は、四つん這いになる。
どうしよう……と考えながら、思わずゴクンと岡本の吐き出した体液を飲み込む。
「んんっ、はぁ」
これでようやく声が出せる。
こんな事になるなんて。
随分彼氏もいないし、浮いた話もない私が何故こんな事に……
それにしても、男性二人はどうして未だに無言なのよ。
とにかく口も漱ぎたいし下半身も清めたい。
けれど……とにかく服を着ようと、手を伸ばした途端その手をギュッと岡本に握られる。
「え?」
驚いて見上げると、無言だった岡本がニッコリ笑って四つん這いになる私を上から覗き込んでいた。
「倉田さん僕のを飲んじゃったんだ……」
「だ、だって」
「あんまり気持ちが良すぎて大量に出したから絶対吐き出すと思ったのに」
そうだ、飲み込むのじゃなくて吐き出せばよかったんだ! 確かに大量だったけれど。
何も考えず思わず飲み込んだ自分が急激に恥ずかしくなってしまった。
「そ、それは。気が動転したというか……」
私がもごもご言い訳を考えていると、岡本が私の唇にゆっくりと自分のそれを重ねる。
岡本の舌が私の唇と歯の間を割って入り、まだ岡本の味が残る口内を舐め上げ私が引っ込めた舌を絡めて吸い上げる。
「んんっ」
ちょっとぉ! 岡本の体液を飲んだ直後で口も漱いでいないのに! 岡本は自分の体液などお構いなしに私の口内をゆっくりと舐め上げる。
「ワオ。岡本は平気なんだそういうの。俺は嫌だなぁ自分のを出した直後のキスって」
ごそごそとコンドームの後始末をしながら天野が後方で呆れた声を上げる。
その声を聞いて岡本がキスをゆっくりと止めた。最後私の下唇をゆっくりと舐めて離れていく。
「はぁ。だって倉田さん、僕のを飲んでくれたんですよ。こんな興奮する事ってあります?」
「そりゃぁ倉田はハイヒールで男を踏むタイプっぽく見えるのになぁ。飲んだの見ると支配した気になるもんな」
「どういう意味よっ。私はハイヒールで踏まないわよ」
私は慌てて否定する。
そうだ。背が高くてそこそこ顔も整っていて羨ましいと言われる事はよくあるけれども、そのイメージは男性を服従させるタイプだと思われがちなのだ。
そんな事はない、特に尽くすタイプではないけれども。至って普通のはずなのに。
「分かってるって。倉田の外見は女王様っぽいって話だよ。ほい、じゃぁ倉田こっち向けよ」
天野は軽く笑って四つん這いになっていた私をコロリと転がす。今度は岡本の方に下半身を向ける様に布団の上で回転させた。
「きゃぁ! やだ、ちょっと。転がさないでよ。それに、終わりじゃないの? こんなの……二人共呆れて無言だったんじゃ」
そうだ二人共呆れて我に返ったから無言だったんではないの?
「何で呆れるんだよ。俺は気持ちが良くって余韻に浸ってただけだ。だって三人同時にイクって普通ないぜ」
「え。そ、そうなの。確かに気持ちが良かったけど」
同時にイクとかそもそも経験ないから分からない──
そう言おうとしたが、三人でするなんて経験があっても困るし。というか、天野は経験者って事?
「そうですよ。相性が良いとしか言いようがないですよ。それにここで止めるなんて酷いです。僕まだ入れてないのに。それに気持ちが良いって天野さんので?」
岡本がいそいそと自分の分身にコンドームを装着していた。
「そ、それはその……っていうか、何でもう大きくなってるの?」
思わず素直に気持ちが良かったと答えそうになり慌てて首を振る。それよりも、先ほど達したばかりだというのに岡本の分身は既にそそり立っていた。
「そりゃぁそうでしょ。だってこんなに綺麗な倉田さんの裸体を見て興奮しないわけないですよ。僕あと二回ぐらい軽いと思いますけど。ゴムが一個しかないですからねぇ。今度は四つん這いになってもらえます?」
「はっ、二回?! えっ、ちょっとぉ」
とんでもない回数を述べた岡本の顔を見て私は目を丸くした。
が、仰向けになっていたが岡本に軽々と持ち上げられ四つん這いにさせられる。
すると今度は目の前に天野が膝立ちで立っていた。当然天野の股間部分が目の前にあり、こちらも再びそそり立っていた。
「えっ、な、何?! 嘘でしょぉ」
セックスってこんなに一晩に何度もするものだったかしら。
思えば学生時代彼氏がいたのが最後でこういう事から遠ざかっていた。
その時は一晩に一回だったと思うけれど。
「何が嘘なんだよ。さぁ、今度は岡本だってよ。俺はそうだなキスから──っていうか。取りあえず岡本の飲んだままだな。じゃぁ、水を飲もうか」
そう言うと天野はペットボトルから水を含み、四つん這いになった私の顎を持ち上げ口移しで水を注ぎ込む。
いきなり口づけで水を注ぎ込まれるが、先程散々喘いだ上に岡本のを飲んだままだったので喉の通りがよくなり一息つけた。
「はぁ。ありが、とう? んんっ」
お礼を言うのもおかしい。が、再び天野に口を塞がれる。
チュッチュっとワザと音を立てて天野が唇に吸いついてくる。そして唇を深く合わせて舌を絡めるキスをしたかと思うと、再び離れて舌だけを絡めるキスを交互に繰り返される。
その間天野に顎を支えられ、四つん這いになったままだ。
「なぁ……舌出して。ほら、チュ」
天野が唇を合わせながら囁く。低い声と吐息で唇を撫でられると堪らない。
「あっ、んんっ」
苦しいのに止めてと言えない。
気持ちが良いキスってこういうのを言うのかな。深くキスをしているとお腹の奥が熱くなってくる。私の体も再び体が熱を帯びていく。
キスに夢中になっていると岡本が私の右手を後ろに引っ張る。
「ああ、いい眺めです。倉田さんってばそんなに腰を揺らして。後ろ丸見えですよ。天野さんのキスが気持ち良いんですね? 妬けるなぁこんなに雫が垂れている」
そうウットリ呟いたかと思うと岡本は私の四つん這いになった足を大きく開かせ、たっぷり濡れた入り口に熱く反り返った杭をあてがった。
そして──ゆっくりと潜り込んできた。
「んんんっ! あああ!」
突然の衝撃に天野から離れて思わず声を上げる。
「ああっ、入ったっ……動きますよ」
岡本は私の右手を後ろに引っ張りながら左手で腰を押さえ、ゆっくりと抽送を始めた。
「あっ、やん。急にそんな。あっ、ああっ」
私は目の前の天野をよそに布団に崩れ落ちそうになる。
しかし、天野が支えてくれた。
天野は私の体を支えながら左胸を大きな手で包みこんで、人指し指と中指の間で乳首を挟んだ。
「ああっ、いやぁ! そんなのっっあっんっ」
「倉田のおっぱい大きいの知ってるのは、この会社で俺と岡本だけかな。あ、でもさっき島田さんと鈴木さんにもチラ見せしたっけ? 今度は俺のも挟んで貰おうかなぁ」
天野は絶妙なタッチで私の胸を岡本の抽送に合わせて揉み、乳首を挟み刺激を与える。
挟んで貰うって、私の胸であなたのものを挟むって意味だったのか!
「何言ってるのよぉ。挟まないからっ。だ、駄目だってば、そこを同時に触られたら私、私……ああっ」
胸の先を弄られる感触がすぐにお腹の奥に伝わる。
その刺激が元になって、私に潜り込んだ岡本を根元から締め上げてしまう。
「ああっ凄い。僕のそんなに奥に誘い込んでくれるんですか?」
岡本が嬉しそうに声を上げて腰を突き上げる。
「あっ、あっ、んんっ、んんっ。奥ッ! そこ、あっ、あっ、気持ち良いっ」
岡本にガツガツと突き上げられて体の奥がうねる。
熱くて溶ける。
岡本と繋がる接合部分からは泡立った様な水音が聞こえる。凄く自分が濡れているのが分かる。恥ずかしいと思うが、止めないでとも思う。
「そんな可愛い声を上げるなよ。なぁ倉田頼むわ。俺のもさ、舐めて?」
天野は私の胸を優しく撫でながら再びそそり立った分身を目の前に差し出す。先端からにじみ出ている体液が見えた。
「はっ、あっ。ムゥ。んんっ」
揺らされているので反動で天野の分身を思わず深く飲み込んでしまった。
「口の中も熱いっ。ははっ、二回目なのにすぐ出そう」
天野が熱い溜め息をつきながら軽く笑った。
「駄目ですよ天野さん。咥えさせたら声が聞けなくなるじゃないですか」
突然岡本が不満そうに声を上げる。
岡本はスピードに乗った腰遣いを少し緩めて体勢を再び整えていた。挿入されたままクルリと横抱きにされる。その間も私の中のイイところに岡本の怒張が当たってブルリと震えた。
「ああっ!」
気持ちが良くて喘ぎながら布団に横になる。天野は私の頭を優しく持ち布団に横たえてくれた。
「勝手な事を言うな岡本は。まぁいいか。俺も倉田の声が聞きたいし。じゃぁ咥えないで握ってもらえる?」
天野は私の目の前に再び分身を差し出し私の手を重ねる。
そして、扱く様に私の手の上から自分の手を握りしめる。節くれ立った大きな手だった。体の大きな私の手でもすっぽり収まる。
片足を岡本に担がれたまま、再び抽送がはじまる。
今度は横抱きの分、更に奥に差し込まれ私は我慢出来ずに声を上げる。
「あっ、あっ、あっ、ああ。何これ。駄目っ。すぐイッちゃう。あっあっ」
「良かった。はぁ……僕も実はもう持ちそうにないんです。さぁ一緒に。ね?」
「俺も……ほらしっかり握って動かしてくれよ」
岡本と天野がそれぞれ動き始める。
ああっ、だめ。やだ、イッちゃう。
今日で何度目かの火花が散る。そう思った瞬間、私は喘ぎながら──
「あっ、ああ、イクっ、イッちゃう、イクッ!」
息を詰めると軽く内太股が痙攣した。岡本はピッタリと腰をつけ熱い杭は奥まで潜り込む。
「あっ、はぁ……っっ、あ……」
岡本は黒縁眼鏡が汗のせいで曇っていた。苦しそうに顔を歪ませ腰を二、三度動かすと、精を放った。岡本は口を少し開いて溜め息の様に息を吐き出した。
ズルリと力がなくなった杭を抜かれた瞬間接合部分から弧を描く様な飛沫が飛んだのを見た。
「ははっ、潮吹きって……あっ、はぁっ──」
そして天野も、ブルブルと体を震わせて私に握らせた手を自分で握りしめ先端部分を三回ほど擦ると白濁した体液を吐き出した。
「何でこんな事に」
部屋に備えついていたお風呂で汗やその他の体液を洗い流した私達三人は、テーブルを囲んで反省会を開いた。
「いいじゃないか。そんなに気にするなよ。運動したとでも思えばいいさ。俺は楽しかったし、何より気持ち良かった」
一人で飲もうと思って買い溜めていた缶ビールを天野にとられた。グビグビと飲んで腹がたつ程爽やかな笑みを浮かべ美味いと呟いていた。
「そうですよ。僕は倉田さんの事とても好きになりましたし」
下戸の岡本はペットボトルの炭酸水を飲んでいた。
「へぇ好きねぇ。でも岡本残念だな。お前の好きな倉田は俺の事が好きだと思うぜ。だって俺のをあんなにグイグイ締めつけたし」
缶ビールをドンと置くと胡坐をかいた天野が岡本に絡み始めた。
「えぇ? 違いますよ。僕も同じでした。倉田さんの中って凄く蠢くんですよね。それに僕の時最後にピュッって潮吹きしましたよね?」
今度は岡本がペットボトルをドンとテーブルに置く。
「それは倉田が連続で絶頂したからだろうがっ」
「違いますよ僕のが良かったんですよっ!」
「もう、静かにしてっ!」
反省会を開こうと思ったのはどうやら私だけだった様だ。
私が怒ると二人は口を閉ざした。
「もう……とにかく、本当に今日の事は忘れましょう。うん、そうしましょう」
そうだ、そうする方がいい。
こんな三人で乱れた事なんてとてもではないけれど人には言えない。言うつもりもないけれど。
私はビールをグイッと仰いで一人納得しようとした。
すると私の発言を受けて天野が私の顔をまっすぐ見つめた。
「な、何よ」
無言の圧力に私は正座をしたまま背中を反らした。
「倉田それは無理だ。なかった事には出来ない」
精悍な頬に真剣な眼差し。天野の二重の瞳が私を射貫いた。
「どうして?!」
「だって俺達こんなに相性が良いのにさ、忘れられないだろ」
「あ、相性?!」
思わず声をひっくり返してしまった。
「そうですよ倉田さん。あれだけ乱れておきながら、なかった事なんて酷いですよ!」
岡本が低いうなり声を上げる。黒縁眼鏡が光る。
「それなら、とにかく。口外しないって事で」
こんな事が社内に広がろうものなら私は白い眼で見られるだろう。
とにかくこの人気ナンバー、ワン、ツーの二人の本性を知った今、ただのイケメンでは済ませられない。
とんでもない男達だった。そして自分もそのうちの一人だって事を。
私は普通に経験して、普通に付き合って、それは最近御無沙汰だったけれども。
今後彼氏が出来たり、結婚したりした時に今日の事は何て言えばいいの?!
しかも、あんなにも乱れるなんて。今後を考えたら恐ろしい。
高い年齢で性に目覚めたら、ハマってしまうって聞いた事があるけれど。
っていうか、私もしかしてハマっているの?
と、グルグル考えた時だった。岡本がニッコリ笑った。
整った顔に切れ長の瞳が緩み可愛い笑顔になった。
「はい。口外はしませんよ。当たり前じゃないですか。でも、次回は是非僕のを挟んでくださいね」
「は?」
岡本は可愛い満面の笑みで何か凄い事を言ってらっしゃる。
その言葉を聞いて天野もカラカラと笑う。
「そうだな、俺のも挟んで貰いたいわ。あ、岡本の言ってたAVのシチュエーション全部制覇したいなぁ。確か社内で声を潜めてのセックスとか」
「はぁっ?!」
天野も普通に笑いながら何を言っているの?!
「良いですねぇそのアイデア! あとやっていないのは、社内での声を潜めてのセックスでしょ? そして酔っ払っての野獣の様なセックスに、最後は同僚二人と関係を持つんですけど、これは今日経験しちゃいましたからね」
岡本までが軽く笑って天野とハイタッチをする。
「いやいやいや。ない! ないでしょ~!」
私は慌てて否定する。しかし天野と岡本がハイタッチをしたままニタリと笑った。
「へぇ……俺達以外で満足出来るんだ? 倉田は」
「そうですよ。もっと凄い事しちゃいましょうよ。だって──」
「俺達」
「僕達」
「「最高の相性なんだし」」
そう言って二人は私の手を握りしめて離さなかった。
ああ、神様! これは夢だと言って欲しい……
それから私はこのイケメンだが問題児二人に振り回される事になった。
例のAVのプレイが現実になったかどうかは──秘密だ。
── 完 ──
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「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
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