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09 新たな発見
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ベッド側にあるスタンドライトはアンティークなのかヨーロッパの街並みにある街灯のデザインで綺麗だった。
そのスタンドの側で立った天野は手招きをして岡本を呼ぶ。
「どうしたんですか?」
岡本は早々に上半身のシャツを脱ぎながらGパン一枚になる。スタンドライトのもと、白い肌が灯されて影を作る。痩せ型と言ってもしっかり鍛えているので腹筋が綺麗に割れている。
天野は側まで来た岡本の片手に岡本のポケットから取り出した玩具の手錠を手早くかける。
「え?」
岡本は目を丸めながら、手錠と天野の顔を言ったり来たりしている。
天野はニッコリ笑いライトのスタンド部分に玩具の手錠の鎖部分をクルリと一回転させて、もう片方の岡本の手首に手錠をかけた。
両手を拘束された岡本が目を丸めて天野に文句を言う。
「天野さんどうして僕だけここに繋げておくんですか。この手錠は相手と片手ずつはめるんですよ」
「馬鹿か。岡本と俺とが手錠で繋がったら誰が倉田を気持ちよくさせるんだよ」
天野は岡本の言葉に呆れていた。
「違います。天野さんと僕が繋がるんじゃないですよ。僕が倉田さんと繋がるんです」
岡本は幼い顔の頬を膨らませる。
「お前なぁ。俺の事をスパイスと考えているんだろ? よっと」
天野は横目で見ながらシャツを一人さっさと脱ぎ捨てて、傍らで立ったままの私の膝裏と脇の下に手を入れてお姫様抱っこで抱き上げる。
こんなに軽々と。
身長167センチの私がこんな簡単に抱き上げられるとは夢の様だわ。
気がつけば頬を天野の胸板に当てて思わず頬を染めてしまう。
「それは……スパイスっていうか刺激っていうか。倉田さんは独り占めしたいですけれども、そこに天野さんがいても不快じゃないっていうか」
岡本がガチャガチャと手錠をこねくり回しながら呟いていた。どうやら玩具なので簡単に外れないか考えているみたいだ。
「それ褒め言葉か? とにかくさ今からその「スパイス」の役割を果たしてやる。少しそこで俺と倉田を見ていろよ」
天野は私を抱き上げたまま岡本を見つめてニヤリと笑う。
「まぁそれなら」
納得したのか無言になり、黒縁眼鏡の下少し鋭くなった岡本の視線が私と天野に向けられた。
「じゃぁ倉田。まず俺が気持ちよくさせるからさ」
「えっ。きゃぁ」
天野は私をキングサイズのベッドの上にボンと落っことす。スプリングで跳ねて私の体はジャンプした。慌てて体を起こして膝を立てて座ると、ベッドの上に乗り上がった天野が、あっという間に私の後ろに回り込んで両肩を掴んだ。
大きな手。
節々がはっきりしていて指が太く長い。爪のところはツルッとしていた。爪も日焼けするのに、ちゃんと手入れしているのだろう。思わず鎖骨の方までまわった手を見つめながら考え込んでしまった。
あの慰安旅行の一夜と同じ事が起こる。
夢に見るぐらい待ちに待った快感に再び包まれるのかな。
そう思うと、それだけで私は体が熱くなっていくのが分かった。
凄く求めている。どうなるの。これ以上先に突き進んだら私は後戻り出来ない。
今この瞬間だけは恥も外聞もない程抱かれたいと思うのに、この先待っている快感に飲まれた後の自分はどうなるのか不安で思わず俯いてしまう。
「緊張しているのか。そんなに構えるなよ……少し力が入ってるなぁ。それとも、あんなガチガチのボディースーツを仕事中着続けるからなのか。肩とか結構ガチガチだな。ほら」
そんな私の様子が理解出来たのか天野は優しく囁く。
そして鎖骨に四本の指を添えて、そして背中部分には親指を添えて首の根元から肩に向かってゆっくりと力を入れて揉みほぐす。
「あっ」
優しく揉まれると体が強張っていたのが分かった。力を出来るだけ抜く。
すると凝っていた部分がゆっくりと揉みほぐされていく。喉を反らせて気が抜けた声を上げてしまう。
「ほら。気持ちだけじゃないな。いつも綺麗に背筋を伸ばして座っているけれども、少し凝り固まってるみたいだな。肩甲骨の辺りもガチガチだな。太極拳も練習に行けてないんじゃないのか」
天野は親指で肩甲骨の内側を少し揉みほぐしてくれる。強い力ではなくて優しく。しかしポイントを突いているので気持ちがいい。
「うん。太極拳の教室には行けてないのよ。よく分かるわね。ああそこ、気持ちがいい」
私はうっとりしながら後ろの天野に体重を預けた。
「……」
その間、無言で岡本は私と天野を見つめていた。
その視線が鋭くてたまに振り向くのが怖くなる。私は岡本の視線から逃れる様に天野と視線を合わせた。
天野と視線が合うと白い歯を見せて無邪気に笑ってくれた。それから私の右肩に顎を乗せて低い声で呟いた。
「じゃぁ今度は両腕を上げて。腕を揉んでやる」
「ん」
私は素直に天野が指示する様に、バンザイをした。
その瞬間Tシャツの裾を引き上げてスポンと上に引っ張られた。まるでテーブルクロス引きの様な勢いでTシャツを脱がされてしまう。
「あっ」
私は驚いて岡本が用意してくれた下着。白の総レースのブラジャーを隠す様に腕をクロスする。しかし、両腕を後ろから天野に掴まれてしまう。
部屋の灯りは最小限に抑えられているが、私のほぼ裸体の輪郭は浮かび上がっているだろう。
「!!」
その瞬間スタンドライトの下で立ったままの岡本が小さく息を飲んだ音が聞こえた。
「隠すな。ほら、岡本が折角用意してくれたんだからさ。岡本にしっかり見せてやろうぜ」
そう言いながら腕を左右に開いて岡本の方に下着姿を晒す。
「だって、この下着パットもないし乳首も丸見えだし。ショーツだって、その、あの。かろうじて大切な部分が隠れるだけなのに」
私はサッと頬を染めて、横に顔をつける天野の方を見上げる。すると天野が肩を揺らして笑う。
「気にするな。凄く似合ってるし可愛い」
「かっ可愛い?!」
今まで男性女性に関わらず、言われた事がない台詞だ。
予想外で思わず私は膝を擦り合わせて大きな体を縮めてしまう。
「慰安旅行の時には何度も可愛いって言ったのに……忘れたのか?」
「それは……言ってくれたけれども、あの時と今とでは私の気持ちの持ちようが違うっていうか」
私はしどろもどろになってしまった。
「ハハ。なぁ、岡本どうだ? そこから倉田を見てさ」
天野は私の乱れた髪の毛を改めてアップに結い直しながら岡本に問いかける。
天野は私の体には揉みほぐすだけの為に触れただけだ。しかし背中に感じる天野の胸板や素肌の感触が心地よくて思わず身を預けてしまいそうになる。
「はい凄く可愛くて、ずっと眺めていたいです」
岡本はゴクンと唾を飲み込みぼそりと呟く。
最後に再びゴクンと唾を飲むと黙り込んでしまった。黒縁眼鏡奥の瞳が私の足の先から頭の先まで何度も行ったり来たり。視線を動かしている。
「倉田。岡本はお前を視線で犯すつもりだぜ。流石変態は違うな。ずっと目に焼き付けてまた一人夢精でもするつもりか?」
わざと天野は岡本の気持ちを逆なでする様な言葉を吐くのに、岡本は無言で私達をジッと見つめる。
「ふぅん。そうかまだ足りないか。なぁ、倉田そんな体を硬くするなよ。ほら腕も揉みほぐすからさ力抜いて」
天野が私の耳元で囁く。
「んん」
私は瞳を細めた。天野は私の両腕を天野の頭の後ろに持ってくる様に動かす。
腋を岡本に向かって晒す。
再び大きな天野の手がゆっくりと私の肘辺りから二の腕脇の下へ向かって柔らかく揉みほぐす。そして腋の辺りをゆっくり撫でると今度は腰に向かってゆっくりと指を下ろしてゆく。背中の方に親指を這わせたままゆっくりと腰まで下ろすと、腰の後ろ辺りをぐりぐりと押す。
そんな風にゆっくりと揉みほぐす事数回。
気持ちいい……
しかしこれって普通のマッサージだと思うけれど。気持ちがよくて私はうっとりしながら背中を天野に預けた。
「あれ背中はもういいのか? じゃぁほら。足を開いて」
「うん……えっ足?」
ボンヤリしながら答えたが遅かった。今度は膝下を抱えて大きく足を開かせる。
私の足を天野の足にひっかける。すると足を開いたまま閉じる事が出来なくなった。しかも天野はGパンを履いているので、布が上手く引っかかってしまい足を解く事が出来ない。
つまりM字開脚したままになった。
「待ってよ? あっ!」
天野は私を抱えこんだまま今度は足の付け根辺りを長い指で押さえる様にする。
「ここはリンパが溜まるところだ。だから揉みほぐすといいんだ」
「そうだけど! そんな際どいところ」
かろうじて隠れているショーツの部分に天野の指が触れそうになる。
「確かに際どいけれどもさ。これは揉みほぐす為だから」
天野は優しく呟きながら決してショーツの隠れている部分を触れる事はない。
だけれど足の付け根の際どいところを何度も揉みながら、今度は内太股の辺りをゆっくりと揉みはじめる。
「んっ。ふっ。ふあぁっ。そこは! くぐったい!」
今度は足の付け根から内太股をゆっくりと指で押して膝の方に向かって流していく。
私は内太股に触れられた瞬間おかしくて笑い出してしまう。
「くすぐったい? 腋から腰を触った時は笑わなかったのになぁ」
天野がクスクス笑いながら一番くすぐったい内太股の部分を微妙なタッチで触れる。
「駄目駄目! くすぐったいからっ! ふふふっふっ」
私はくすぐったくて体をよじる。止めて笑いが止まらなくなる。触られるって想像するだけで笑いが溢れそう。
すると天野が触れていた手を突然放した。
笑い転げた私の顔を後ろにねじる様に向ける。そして笑っていた口を塞ぎ噛みついてキスをする。
「ふっ。んんっ」
突然のキスに息が苦しくなって、大きく口を開いて酸素を吸い込もうとする。しかし再び天野に追いかけられて塞がれる。
気持ちがいいキス。体がだんだん熱くなって来たところにこんな強引なキスをされると、お腹の奥が熱くなる様な。ムズムズする気持ちよさが溜まっていく。
「んっ、はぁ。んん」
天野の吐息を感じながらキスに夢中になる。
角度を変えて舌を絡め、歯や上顎を舐められる。その度に私は震える。
キスだけなのに先程くすぐられたのも合わせて、乳首が固く尖る。パットのないブラジャーを押し上げているはずだ。
しかも唯一レースのショーツで隠れた部分に隠れる花芯が大きく膨れるのが分かる。
しかし天野はそんな感じやすく分かりやすい部分には触れようとしない。
何で先に進もうとしないのかな。
だから先ほど微妙に触れてくれた部分を思い出して寂しくなる。内太股もくすぐったかったけれども、あれ……? よく考えると気持ちよかったかも。
もっと触れて欲しくて私は腰を少し揺らしたり、天野の髪の毛を乱す様に握り絞めキスに応える。
だけれど天野は触れてはくれなかった。ただ私の胸の下に手を回して私をガッチリと抱きしめるだけ。私はとうとう我慢出来ず、思わずキスから逃れる為に首を振る。
すると天野がすんなりとキスを止めてくれた。
「どうして。その、触ってくれないの?」
思わず呟くと、天野はニヤリと笑って私のこめかみにキスを落とした。
「もっと気持ちよくなる為さ。さぁもう一度俺にキスして」
「んっ」
私はすっかり目の前にいる岡本の存在を忘れて天野のキスに夢中になる。
気がつくと私が天野の舌を追いかけている。天野は口内で少し逃げるとすぐに追いついた私の舌を吸い上げて絡め取る。
その感触が気持ちよくて腰を揺らした時だった。天野が私がくすぐったいと言った内太股部分を再び触れはじめた。
「!?!?」
すると何故だろう。
途端にくすぐったかった部分が少し違う感触になってきた。体全体の毛穴が開く様な感じだった。つまり気持ちがいい。微妙に触れられると堪らなくなる。
驚いてキスを繰り返す天野の瞳を見つめると、天野が瞳を細めて笑った。
もしかして、くすぐったいところが気持ちいいところだって知っている?
だからわざとギリギリまで気持ちよくなるところまで引き上げて触れてきたの?
私は驚いて体を撥ねさせて天野のキスから逃れ声を上げる。
「ああっ! 駄目っ。何でっ突然」
相変わらずM字に開いたままの足を震わせる。
なのに天野は両手で両方の内股の凄くくすぐったかった部分をゆっくり指の腹で撫でる。
「くすぐったいところはさ、こうやって開発するんだよ」
「う、嘘! あっああああ」
私は達する程ではないけれども足の先を震わせて、さざ波様の様な心地よい感触に身を任せた。
これだけではイケない。
イケないのに気持ちがいい。
イケないから熱が溜まる。お腹の奥が熱い。
ショーツの下ぷっくりと花芯が膨らんでいるのが覗き込んで分かった。
それにお尻の辺り天野の熱くなった杭がGパンの前を大きく張っているのが分かる。
天野だってきっと欲しいはずなのに……何故そんなに笑っていられるの?
「なぁ次はどこを触って欲しい? そうじゃないとこのままだぜ」
「ヒッ。あああっお願い」
触れて欲しいし弄って欲しい。どうにかなりそう。腰を前後に思わず振る。
「こら。一人エアセックスするなよ」
「ち、違う。あああ」
エアセックスって何よ。確かに腰を前後に振るのはそうでしょうけれども。
天野にギュッと片手で腰を押さえつけられて、体を動かす事もままならない。苦しくて歯を食いしばった時、パチンと軽く何かが折れる音がした。
「お」
天野がふと力を抜いて私の前に視線を移動した。
私も音の方を見るとそこには玩具の手錠のチェーン部分を引きちぎった岡本が立っていた。
「はぁはぁはぁ。やっとちぎれた。玩具なのになかなかちぎれないなんて」
岡本の目は血走っていて、眼鏡が汗で少し曇っていた。
玩具だったのが幸いしてか手首の部分は少し赤くなっているだけで血は出ていない。まだ金属風の手錠がブレスレットの様に両手にぶら下がっている。
「お、おか、もと」
震える様な内股の微妙に繰り返される快感から逃れた私は、今度は目の前の岡本の異様な雰囲気に息を飲んだ。
だって岡本の股間ははち切れんばかりにGパンを押し上げている。極端に反り上がって斜めに上を向いているのが分かった。岡本はそんなGパンの前ボタンをゆっくり全部外しながら私のM字開脚している前に跪く。それから私の後ろにいる天野に薄笑いを浮かべながら睨み上げる。
「本当に天野さんって飽きさせないですよね僕を。スパイスっていうより爆弾かも知れません」
滑舌のいい声で、うなり声を上げる様に呟く。
「お褒めに預かり光栄だな。なぁ今までにないぐらいクルだろ?」
そう言いながら天野は私の頬を撫でながら、唇の横にキスを落とす。
「ええ、本当にもう我慢出来ないですよ」
そう天野に強く岡本は言った。
それから岡本は私の足を天野引っかかっていた足から解放してくれた。ゆっくりとベッドに横たえると今度は岡本が私の膝を掬い上げてM字に広げさせる。
「えっ、ちょ、ちょっと。そんなに」
広げなくても。そう言おうと思ったのだが、天野が今度は真上から私の目尻にキスを落とした。そして笑う。
「ハハ。今度は岡本が気持ちよくしてくれるぜ。さぁ……三人で一緒に堕ちよう」
「え? あああああっ!」
わけが分からなくて目が点になった瞬間、岡本が何と先程何度も触れられて気が狂いそうなくらい感じやすい内太股にかぶりついた。
堪らなくてなって私は背中を仰け反る。
「んっはぁ。もうこんないいところ天野さんに開発されちゃうなんて。許せない……」
「ああっ、だってそんなにっ?!」
私は痛かったけれどもすぐにキスを繰り返す岡本の顔を太股で挟んでしまう。それなのに真上の天野が挟んだ反対の足を元に戻して仰向けになったままM字開脚をさせる。
すると岡本がスルリとショーツの横から長い指を差し込み、ぐっしょり濡れた蜜壺に触れる。
「あっ」
岡本は指にタップリと蜜を絡めると明らかにショーツの上からでも大きく膨らんでいるのが分かる花芯に触れた。
「ああああっ!」
思わず腰を引いて背中を反る。そんなに強く触れられたら!
内太股を柔らかく甘噛みされながらあっという間に昇り詰めそうになる。
しかし岡本はすぐに触れていた手を止める。
イキそうだったところを止められて思わず涙がにじむ。岡本は甘噛みしていた内太股から離れるとガッチリと両手で太股を掬い上げる様に抱き込む。そして──
ショーツの上から膨れ上がった花芯を食んで濡れたショーツごと優しく吸い上げた。
「!!!!」
私は突然頂点に押し上げられて目を見開いて天井を仰いだ。
見開いた目の前で火花が散る。その火花の向こう。
真上から天野が覗き込んでいて優しく笑っていた。
一瞬だけ音が聞こえなくなって、自分の心臓の音と激しく息を吸う声が聞こえる。
「はぁっ……凄い……ショーツの当て布の部分グショグショで透けてます」
岡本が私の体液で濡れた口元を拭いながら蜜で濡れてしまったショーツを脱がしてくれた。
「なぁ、気持ちよかった?」
天野がニコニコしながらブラジャーの背中のホックを外して取り除いていた。
「う、ん。だけど突然すぎてついていけなかった……」
焦点が定まらない。ボンヤリしながら笑う天野の顔を見つめる。
くすぐったかったところが突然気持ちよくなって、あっという間に昇り詰める。
何だか自分の体ではないみたい。
気がつくと天野も岡本もGパンと下着を脱いで見事な美しい裸体を晒していた。
岡本の怒張は赤黒く反り返り先を濡らしていた。
肌は白いのにやたら男性部分はグロテスクだ。あっという間にゴムを被せると私の体の間に腰を割り入れる。
「天野さんにしてやられてばかりじゃ悔しいので、今度は天野さんが見ててくださいよ」
「お、いいぜ?」
「余裕たっぷりで嫌味っぽいですよね本当に。僕は天野さんを追いつめる事が出来るかな」
「……」
二人が何やら火花を散らしている。
「あ、あの。あっ」
二人の間に入ろうとした時、岡本が私の腰を掴んでピタリと先端を当ててきた。岡本が黒縁眼鏡奥の瞳をスッと細めて目だけで笑った。
「さぁ行きますよ?」
「ああっ」
岡本の大きくて熱い杭が私の膣内を割って潜り込んで来る。
「ああっ凄くいい……どこも触れていないのに膣内が動くって」
根元までしっかり埋めると岡本が両手を私の顔の横について歯を食いしばった。
私は久しぶりに飲み込んだ衝撃に首を軽く左右に振って快感を逃そうとする。そうしないとすぐに達してしまいそうだから。
「もしかして入れただけでもいい感じですか。嬉しいなぁ、じゃぁはじめますよ」
「きゃぁ」
岡本はそう言うと私の腰を掴んで抱き起こす。
それから岡本がベッドの上に寝転んだ。私は岡本の上に乗る事となり、岡本自身を深く飲み込んだまま体を仰け反った。
「おっと」
岡本が再び私の腰を支えて仰け反る私に、自分の開いた両足の上に手を乗せる様に促す。
「!!」
大きく飲み込んだ部分を岡本の目の前で晒す。
「ああいい眺め……僕のを飲み込んでますね。さぁ動きますよ」
腰を少し上げてゆっくりと上下に動かしはじめる岡本。
「あっ、ああっ。そん、なっ!」
私は仰け反りながら下から突き上げられる衝撃に耐えた。
寝たままより上に乗ると自分の体重で岡本の分身を飲み込む事になる。太くて形がはっきり分かる。しかも根元まで!
「あっ、あっ、あっ」
リズムよく突き上げられて、私は声を上げるばかりになる。その度に胸が揺れ、お尻の肉も揺れる。その振動すら気持ちよくて私は自分の指を噛んだ。
岡本の腰と私の太股が辺りが皮膚と肉がぶつかり大きな音を立てる。
岡本が下から見ながら笑っているけれど頬を染めていた。
感じているのだろう。岡本の手首には相変わらず玩具の手錠がぶら下がったままだ。
突如突かれた部分がとても気持ちよくて明らかに私の体の奥からどっと体液がわき上がるのが分かった。私は大声を上げて思わず叫ぶ。
「あーっ。そこ、駄目ぇ。イッちゃうイッちゃうから」
その声を聞いて突然岡本が腰を振り上げるのを止めてしまう。
「ああっ、何で、止めるの」
私は岡本のお腹の上に手を軽く突いて体を前に倒す。すると岡本が汗を流しながら私の乱れた髪の毛を耳にかけ直してくれた。
「だって駄目だって言ったじゃないですか」
「駄目じゃない、でも駄目なのっ」
「ふふ、でもまだ早すぎますから」
「あっ!」
岡本が私のお尻をギュッと両手で握り絞める。
それすらも気持ちがよくて私は思わず跨がったまま腰を前後に振って岡本自身を自分の膣内のいいところに擦りつける。
「こら駄目ですよ」
岡本が笑いながら私の胸の尖りを両手で弄った。言っている事とやっている事が真逆だ。
「あっ、ああっ。触っちゃ駄目イッちゃうからっ」
先程から駄目な事はないのだが天野が私を開発した時から全く触れられなかった胸の頂を不意に触られて痺れが走る。
思わず腰がガクガクと揺れて先に進もうとした。
すると突然起き上がった岡本が胡坐をかき、繋がったまま私の体をギュッと抱きしめて私の動きを止めた。
「あっ……」
何で止めるの?!
表現するとジェットコースターの一番高いところまで引っ張り上げられて後は下に落ちるのを待つだけ。恐怖も快感も今ここで! と構えているのに突然その頂点が消えて、また先に上らされる様な感じ。
私は思わずブルブルと震えて岡本に縋り付く。側に天野がいる事も忘れて。
「お願い、もう……せて欲しい」
イカせて欲しい。そう言いたいのに、喉が渇いて掠れ、肝心な言葉が言えない。
その情けない声を聞いた岡本がふわりと笑って震える私を抱きしめる。
ゆっくりと私の唇に吸いついてだ液を交換するキスをする。
その間、背中を撫でられ頬を撫でられる。それだけで体が小刻みに震え出す。やはり腰が前後に勝手に動いてしまう。
「う、ふっ、うっ」
気持ちいい。このままでもいいから、ゆっくりでもいいから。しかし、岡本は許してくれなかった。やはりお尻をギュッと掴んで動く事を制する。
私はゆっくりと岡本から離れて怨めしそうに呟く。
「お、お願い、お」
「何を? 僕をほったらかしにして天野さんとキスに没頭していたのに?」
ほったらかしにしたのは私ではなくて天野なのに。
本を正せば私が二人を避けた事が発端なのだけれども。
岡本がゆっくりと身を倒して再び腰を突き上げてきた。しかしゆっくりとしか突き上げてくれない。駄目なのそんなの足りないの。
「もう、もう、もう……お願、い。さ、聡司……」
思わず苗字ではなく名前で呼ぶ。すると突然岡本の目の色が変わった。突然ガツガツと下から猛烈に突き上げられる。
「ああっ! あーっ、あーっ、あっ、あっ、あっ」
私は突然訪れた快感に大声を上げて仰け反った。
凄い! 一番いいところを突かれて私も合わせて腰を振り続ける。ぶつかり合う肉の音が辺りに響いて私はようやく念願の頂点に昇り詰める。
「イッ……」
私が息を詰めて体をブルブルと震える。
止まらない。凄い。突き上げられた時の脳天まで突き抜ける感じが続く。
腰を振り上げた岡本も顔を苦しそうに歪めて息を詰めた。
私は岡本と同時に達した。岡本がまだまだ大きさを保っている杭をズルリと音を立てて抜いたと同時、透明の水が仰向けになる岡本の胸元を濡らした。
「──ハァハァハァ」
岡本は私を上に乗せたまま、横たわって何度も荒い息を繰り返した。それが落ち着くと起き上がりギュッと抱きしめてくれた
「もう、名前を呼ぶなんて反則ですよ……ね? 天野さん」
あ、そういえば天野を忘れていた。
「チッ」
振り向くと天野がイライラした様子で胡坐をかいていた。もちろんゴムを被せた杭が大きく膨らんだままだった。
「ごめん……」
岡本との行為に必死で天野の事を少し。いや、すっかり忘れていた。
先ほど天野に開発された時は岡本を忘れてしまうし。私は快楽に流されるとそれだけになってわけが分からなくなるみたいだ。
天野はギリギリと歯を食いしばりながら呟く。
「くっ。ギリギリに焦らして偶然名前を呼ばれるなんて羨ましい」
「はぁ……僕としては『もっと私の中をぐちゃぐちゃにして』『岡本のでもっと突いて』とか言われるのを狙ったのですが。まさかの突然名前で呼ばれるとは……」
岡本が正座をして胸に手を当てて恍惚とした表情を浮かべる。
「そ、そんな事を狙わないでよ」
私も正座をしながら顔を赤くして喚いた。
が、そこで私は気がついた、シーツの色が一部変わっている事に。
「?」
わけが分からず色の変わっている辺りをそっと触ると濡れている。
ま、まさか──
「それは倉田が潮吹きした痕だぜ」
天野が私を横たえながら、説明してくれた。
「えぇ! こんなのお漏らしと変わらない」
私は天野の顔を見つめて思わず泣きそうになった。
どうしようベッド下のマットは大丈夫だろうか。
「ぷっ。お漏らしって……気にするな。後で掃除してやるから。それぐらい気持ちいいって事だろ?」
「だけどこんなの壊れた蛇口と変わらないからっ!」
天野が私の太股を抱えこんで大きくエラの張った杭を足の付け根に擦りつける。
「壊れた蛇口って。倉田さんって面白い事言いますね。あ? 天野さんいつでも代わりますよ。僕は二回連続ぐらいへっちゃらですし」
岡本が笑いながら眼鏡をかけ直していた。
「馬鹿を言うなよ。さっきから入れたくて入れたくて仕方ないの、に!」
「──ッッ」
天野の怒張に貫かれて私は声が出なくなった。
おおきい! こんなに大きかったっけ。
空気を求めて口を開ける。その瞬間、思い切り腰を引かれて再び奥までねじ込まれる。
「あっ! んんんっ」
「はっ、掻き出されるみたいに泡立った体液が出てきた。岡本のが相当気持ちよかったのか? 妬けるなぁ。凄く感じたんだなこんなに白くなるまで体液が泡立つってさ」
天野が髪を振り乱しながら私と繋がった部分を覗き込む。
「言わなくていいからぁ──ああああっ」
腰を細かく前後に天野は動かすと私の胸を掬い上げる。
私が痛がらない程度に揉み込むと柔らかい胸はいい様に形を変える。無駄に大きいと思っていた胸を優しく触れられると何だか嬉しくなる。こんな胸も役に立つとか?
そして天野は最後両脇から真ん中に寄せると、頂きの固い尖りを両方から寄せる。
「大きいとさこんな事出来るんだな。同時に咥えられるって俺も初めてかも」
「え、同時って? あああっ、あんっ」
天野が上半身を倒して両方の乳首を同時に咥える。
嘘?! そんな事ってあるの? 一人なら片方しか口に咥えて愛撫が出来ないはずなのに両方を一気に含まれて、腰がガクガクと震えた。
天野が長い舌で同時に尖りを舐めて転がす。舌のざらざらした部分で先端を擦られるとあっという間に私は息を詰めて達してしまった。
元々天野、岡本に散々焦らされた体は快楽の先が見えると簡単に達してしまう。
「っ! 膣内が凄く絡みつくって言うか」
天野が腰をユルユルと動かすと信じられない水音が聞こえた。あっという間に達したので内壁から分泌された体液でタップリ濡れたのだ。
「ああああっ、んっ」
スポンと天野が分身が私の体の中から出て行ってしまう。そしていきなり指を三本入れてきた。
「何で抜いちゃうの。あっ、な、何? あっ! あっ、あっ、あっ、あああっ」
三本の指を激しく出し入れして、お腹の裏側辺りの膣内を指の腹で擦られる。私の声と共にあっという間に湧き水みたいな飛沫が飛んで辺りにまき散らす。
その間何というか、漏れそうなのを耐える事なく漏らしてしまった感覚と似ているのに、気持ちがよくて抵抗する事もなくされるがままになった。
数秒の出来事だが天野が目の前で手を見せて肘まで流れた体液を見せる。
「はぁはぁ、凄い。だけど俺の事を待ってるんだな。下の口がさ、ぱっくり開いて蠢いてるのが見える」
天野はボタボタと垂れる私の体液を舐め取りながら、艶やかに笑う。
「も、もう。そんな事言わなくてイッ! ああああー!」
すると再び天野の大きな杭がぬるりと入り込む。腰を目一杯引いてガツガツと抽送する。
その度に体が振動して胸が大きく揺れる。
今、漏らす様に気持ちがよかったばかりなのに突き上げられて、再び頂点を目指そうとする自分のについていけず思わず天野にしがみつく。
「今、イッたばかりだから。お願い、お願いだから。もっとゆっくり、お願い、お願い、あっ、ああっ、壊れちゃう」
天野はそんな私の言う事を聞いてくれない。
駄目だ、また凄い波が来ちゃう。
脳が溶けて体が溶けて、天野と一つになりそう。
喉を反らせて天野の顔を見つめると、天野も眉間に皺を寄せて苦しそうにしていた。それなのに私の顔を見た途端困った様に笑った。
それから、耳元で囁いた。
「涼音」
私の名前──優しくて甘い声。耳元で一つキスを落とされる。
その瞬間私は声も出せず息を詰めて達した。
それは突然で自分でも驚く。
腰を天野に押しつけて広げた足の内太股が、ブルブルと震えてあっという間だった。
息が詰まったみたいになって瞬間、意識が飛びそうになったけれど。
天野がそんな私を抱き留めてくれたから意識は保っていられた。
そして、天野はその後腰を二三度打ち付けボタボタと雨を降らせる様に汗を私の体に落として呻く。
「──っ! はぁ」
最後止めていた息を一気に吐き出すとドサリと私の体の上に覆い被さって来た。
はぁ、はぁ、はぁ。二人で息を整えると天野が肩を揺らせて笑った。
「あー、搾り取られた」
それではまるで私だけが天野を締め上げた様ではないか。
私はペチと天野の肩を叩いて、抱き込まれた下から体を起こした。
「イテッ」
天野がベッドで仰向けになり笑っていた。
「凄いの見せつけられた気がします。あんなに蕩けた様な顔の倉田さんを引き出すし。天野さんって余裕ですよね」
岡本がポツリと呟いて肩をすくめていた。
「ああ? 余裕ねぇよ俺には岡本の方が余裕に見えるぜ。倉田にお強請りをさせるの上手いしさぁ。それに俺はそこまで倉田を焦らせないわ」
心外だと言わんばかりに天野が口を尖らせた。
「じゃぁ、今度は──」
そうやって岡本が私に振り向いた。
「ま、待ってよ。ストップ、ストップ! もう少し休ませてよ……身が持たない」
既に何度か達したのに、連続なんて。
「えぇ……でもまぁいいですか。夜は長いですし。明日は土曜日でしょ。それに次の日も日曜でお休みですからね」
岡本は笑いながら私の腰を横から抱いて優しくキスをしてくれた。
啄むキスを一つ二つすると最後下唇だけを噛んでいった。
「そんな明日とか明後日とかの事を言われても恐怖だけど……」
どれだけ抱かれるのだろう。見当もつかない。
「お、そういえば挟む挟むって言ってて挟むの忘れていたな」
そう言って反対側から天野が私の腰を抱き寄せ尖った胸の頂を片方の指で弾いた。
「んんっ。もう……」
私は体を揺らせて笑った。
「なぁ、休むのはいいけどさ、キスだけはさせて。んっ。後さ俺も名前を呼んで」
天野が私にキスを強請った。
「んっ……悠司。ああっ」
名前を呼ぶと天野が私の胸を後ろから抱きしめて尖りを指で弾く。
途端に少し落ち着いた体の熱が再び灯りはじめる。
「ねぇ、腰も気持ちがよかったりしませんか?」
岡本が向かい側から私の横の腰にカプッとかじりつく。甘噛みだ。
「んっ!」
体が跳ねると岡本は面白そうに笑って腰からお尻に向かって指を滑らせる。
「涼音」
最後に岡本が私の名を呼んで再び指を足の付け根のぬかるみに滑らせた。
避妊具が沢山あるからなのか二人はなかなか休ませてくれない。
慰安旅行より過激な夜は、はじまったばかりだ。
大学時代の彼氏が最後で、しかも一人しか経験のなかった私。見た目の派手さとは真逆の地味な生活を送ってきた。きっと天野と岡本の二人によって目覚めてしまったのだろう。
二人に連続で抱かれるってこんなに気持ちがいいとか。知らなかった世界。
人には言えない秘密の関係。言えないというより理解されないであろう不思議な関係。
こんな常識外れでもいいのだろうかと思い悩んだし、二人に同時に嫉妬するのも最低だと思ったけれども。
天野と岡本が言った通り。
複数だって気にしなくてもいい。
私達は普通ではないけれど、それならそれで別にかまわない。
今後、この関係がいつまで続くのか分からないけれども。
しかし今は。
こういう関係もいいかもしれないって私は思うの。
── 完 ──
そのスタンドの側で立った天野は手招きをして岡本を呼ぶ。
「どうしたんですか?」
岡本は早々に上半身のシャツを脱ぎながらGパン一枚になる。スタンドライトのもと、白い肌が灯されて影を作る。痩せ型と言ってもしっかり鍛えているので腹筋が綺麗に割れている。
天野は側まで来た岡本の片手に岡本のポケットから取り出した玩具の手錠を手早くかける。
「え?」
岡本は目を丸めながら、手錠と天野の顔を言ったり来たりしている。
天野はニッコリ笑いライトのスタンド部分に玩具の手錠の鎖部分をクルリと一回転させて、もう片方の岡本の手首に手錠をかけた。
両手を拘束された岡本が目を丸めて天野に文句を言う。
「天野さんどうして僕だけここに繋げておくんですか。この手錠は相手と片手ずつはめるんですよ」
「馬鹿か。岡本と俺とが手錠で繋がったら誰が倉田を気持ちよくさせるんだよ」
天野は岡本の言葉に呆れていた。
「違います。天野さんと僕が繋がるんじゃないですよ。僕が倉田さんと繋がるんです」
岡本は幼い顔の頬を膨らませる。
「お前なぁ。俺の事をスパイスと考えているんだろ? よっと」
天野は横目で見ながらシャツを一人さっさと脱ぎ捨てて、傍らで立ったままの私の膝裏と脇の下に手を入れてお姫様抱っこで抱き上げる。
こんなに軽々と。
身長167センチの私がこんな簡単に抱き上げられるとは夢の様だわ。
気がつけば頬を天野の胸板に当てて思わず頬を染めてしまう。
「それは……スパイスっていうか刺激っていうか。倉田さんは独り占めしたいですけれども、そこに天野さんがいても不快じゃないっていうか」
岡本がガチャガチャと手錠をこねくり回しながら呟いていた。どうやら玩具なので簡単に外れないか考えているみたいだ。
「それ褒め言葉か? とにかくさ今からその「スパイス」の役割を果たしてやる。少しそこで俺と倉田を見ていろよ」
天野は私を抱き上げたまま岡本を見つめてニヤリと笑う。
「まぁそれなら」
納得したのか無言になり、黒縁眼鏡の下少し鋭くなった岡本の視線が私と天野に向けられた。
「じゃぁ倉田。まず俺が気持ちよくさせるからさ」
「えっ。きゃぁ」
天野は私をキングサイズのベッドの上にボンと落っことす。スプリングで跳ねて私の体はジャンプした。慌てて体を起こして膝を立てて座ると、ベッドの上に乗り上がった天野が、あっという間に私の後ろに回り込んで両肩を掴んだ。
大きな手。
節々がはっきりしていて指が太く長い。爪のところはツルッとしていた。爪も日焼けするのに、ちゃんと手入れしているのだろう。思わず鎖骨の方までまわった手を見つめながら考え込んでしまった。
あの慰安旅行の一夜と同じ事が起こる。
夢に見るぐらい待ちに待った快感に再び包まれるのかな。
そう思うと、それだけで私は体が熱くなっていくのが分かった。
凄く求めている。どうなるの。これ以上先に突き進んだら私は後戻り出来ない。
今この瞬間だけは恥も外聞もない程抱かれたいと思うのに、この先待っている快感に飲まれた後の自分はどうなるのか不安で思わず俯いてしまう。
「緊張しているのか。そんなに構えるなよ……少し力が入ってるなぁ。それとも、あんなガチガチのボディースーツを仕事中着続けるからなのか。肩とか結構ガチガチだな。ほら」
そんな私の様子が理解出来たのか天野は優しく囁く。
そして鎖骨に四本の指を添えて、そして背中部分には親指を添えて首の根元から肩に向かってゆっくりと力を入れて揉みほぐす。
「あっ」
優しく揉まれると体が強張っていたのが分かった。力を出来るだけ抜く。
すると凝っていた部分がゆっくりと揉みほぐされていく。喉を反らせて気が抜けた声を上げてしまう。
「ほら。気持ちだけじゃないな。いつも綺麗に背筋を伸ばして座っているけれども、少し凝り固まってるみたいだな。肩甲骨の辺りもガチガチだな。太極拳も練習に行けてないんじゃないのか」
天野は親指で肩甲骨の内側を少し揉みほぐしてくれる。強い力ではなくて優しく。しかしポイントを突いているので気持ちがいい。
「うん。太極拳の教室には行けてないのよ。よく分かるわね。ああそこ、気持ちがいい」
私はうっとりしながら後ろの天野に体重を預けた。
「……」
その間、無言で岡本は私と天野を見つめていた。
その視線が鋭くてたまに振り向くのが怖くなる。私は岡本の視線から逃れる様に天野と視線を合わせた。
天野と視線が合うと白い歯を見せて無邪気に笑ってくれた。それから私の右肩に顎を乗せて低い声で呟いた。
「じゃぁ今度は両腕を上げて。腕を揉んでやる」
「ん」
私は素直に天野が指示する様に、バンザイをした。
その瞬間Tシャツの裾を引き上げてスポンと上に引っ張られた。まるでテーブルクロス引きの様な勢いでTシャツを脱がされてしまう。
「あっ」
私は驚いて岡本が用意してくれた下着。白の総レースのブラジャーを隠す様に腕をクロスする。しかし、両腕を後ろから天野に掴まれてしまう。
部屋の灯りは最小限に抑えられているが、私のほぼ裸体の輪郭は浮かび上がっているだろう。
「!!」
その瞬間スタンドライトの下で立ったままの岡本が小さく息を飲んだ音が聞こえた。
「隠すな。ほら、岡本が折角用意してくれたんだからさ。岡本にしっかり見せてやろうぜ」
そう言いながら腕を左右に開いて岡本の方に下着姿を晒す。
「だって、この下着パットもないし乳首も丸見えだし。ショーツだって、その、あの。かろうじて大切な部分が隠れるだけなのに」
私はサッと頬を染めて、横に顔をつける天野の方を見上げる。すると天野が肩を揺らして笑う。
「気にするな。凄く似合ってるし可愛い」
「かっ可愛い?!」
今まで男性女性に関わらず、言われた事がない台詞だ。
予想外で思わず私は膝を擦り合わせて大きな体を縮めてしまう。
「慰安旅行の時には何度も可愛いって言ったのに……忘れたのか?」
「それは……言ってくれたけれども、あの時と今とでは私の気持ちの持ちようが違うっていうか」
私はしどろもどろになってしまった。
「ハハ。なぁ、岡本どうだ? そこから倉田を見てさ」
天野は私の乱れた髪の毛を改めてアップに結い直しながら岡本に問いかける。
天野は私の体には揉みほぐすだけの為に触れただけだ。しかし背中に感じる天野の胸板や素肌の感触が心地よくて思わず身を預けてしまいそうになる。
「はい凄く可愛くて、ずっと眺めていたいです」
岡本はゴクンと唾を飲み込みぼそりと呟く。
最後に再びゴクンと唾を飲むと黙り込んでしまった。黒縁眼鏡奥の瞳が私の足の先から頭の先まで何度も行ったり来たり。視線を動かしている。
「倉田。岡本はお前を視線で犯すつもりだぜ。流石変態は違うな。ずっと目に焼き付けてまた一人夢精でもするつもりか?」
わざと天野は岡本の気持ちを逆なでする様な言葉を吐くのに、岡本は無言で私達をジッと見つめる。
「ふぅん。そうかまだ足りないか。なぁ、倉田そんな体を硬くするなよ。ほら腕も揉みほぐすからさ力抜いて」
天野が私の耳元で囁く。
「んん」
私は瞳を細めた。天野は私の両腕を天野の頭の後ろに持ってくる様に動かす。
腋を岡本に向かって晒す。
再び大きな天野の手がゆっくりと私の肘辺りから二の腕脇の下へ向かって柔らかく揉みほぐす。そして腋の辺りをゆっくり撫でると今度は腰に向かってゆっくりと指を下ろしてゆく。背中の方に親指を這わせたままゆっくりと腰まで下ろすと、腰の後ろ辺りをぐりぐりと押す。
そんな風にゆっくりと揉みほぐす事数回。
気持ちいい……
しかしこれって普通のマッサージだと思うけれど。気持ちがよくて私はうっとりしながら背中を天野に預けた。
「あれ背中はもういいのか? じゃぁほら。足を開いて」
「うん……えっ足?」
ボンヤリしながら答えたが遅かった。今度は膝下を抱えて大きく足を開かせる。
私の足を天野の足にひっかける。すると足を開いたまま閉じる事が出来なくなった。しかも天野はGパンを履いているので、布が上手く引っかかってしまい足を解く事が出来ない。
つまりM字開脚したままになった。
「待ってよ? あっ!」
天野は私を抱えこんだまま今度は足の付け根辺りを長い指で押さえる様にする。
「ここはリンパが溜まるところだ。だから揉みほぐすといいんだ」
「そうだけど! そんな際どいところ」
かろうじて隠れているショーツの部分に天野の指が触れそうになる。
「確かに際どいけれどもさ。これは揉みほぐす為だから」
天野は優しく呟きながら決してショーツの隠れている部分を触れる事はない。
だけれど足の付け根の際どいところを何度も揉みながら、今度は内太股の辺りをゆっくりと揉みはじめる。
「んっ。ふっ。ふあぁっ。そこは! くぐったい!」
今度は足の付け根から内太股をゆっくりと指で押して膝の方に向かって流していく。
私は内太股に触れられた瞬間おかしくて笑い出してしまう。
「くすぐったい? 腋から腰を触った時は笑わなかったのになぁ」
天野がクスクス笑いながら一番くすぐったい内太股の部分を微妙なタッチで触れる。
「駄目駄目! くすぐったいからっ! ふふふっふっ」
私はくすぐったくて体をよじる。止めて笑いが止まらなくなる。触られるって想像するだけで笑いが溢れそう。
すると天野が触れていた手を突然放した。
笑い転げた私の顔を後ろにねじる様に向ける。そして笑っていた口を塞ぎ噛みついてキスをする。
「ふっ。んんっ」
突然のキスに息が苦しくなって、大きく口を開いて酸素を吸い込もうとする。しかし再び天野に追いかけられて塞がれる。
気持ちがいいキス。体がだんだん熱くなって来たところにこんな強引なキスをされると、お腹の奥が熱くなる様な。ムズムズする気持ちよさが溜まっていく。
「んっ、はぁ。んん」
天野の吐息を感じながらキスに夢中になる。
角度を変えて舌を絡め、歯や上顎を舐められる。その度に私は震える。
キスだけなのに先程くすぐられたのも合わせて、乳首が固く尖る。パットのないブラジャーを押し上げているはずだ。
しかも唯一レースのショーツで隠れた部分に隠れる花芯が大きく膨れるのが分かる。
しかし天野はそんな感じやすく分かりやすい部分には触れようとしない。
何で先に進もうとしないのかな。
だから先ほど微妙に触れてくれた部分を思い出して寂しくなる。内太股もくすぐったかったけれども、あれ……? よく考えると気持ちよかったかも。
もっと触れて欲しくて私は腰を少し揺らしたり、天野の髪の毛を乱す様に握り絞めキスに応える。
だけれど天野は触れてはくれなかった。ただ私の胸の下に手を回して私をガッチリと抱きしめるだけ。私はとうとう我慢出来ず、思わずキスから逃れる為に首を振る。
すると天野がすんなりとキスを止めてくれた。
「どうして。その、触ってくれないの?」
思わず呟くと、天野はニヤリと笑って私のこめかみにキスを落とした。
「もっと気持ちよくなる為さ。さぁもう一度俺にキスして」
「んっ」
私はすっかり目の前にいる岡本の存在を忘れて天野のキスに夢中になる。
気がつくと私が天野の舌を追いかけている。天野は口内で少し逃げるとすぐに追いついた私の舌を吸い上げて絡め取る。
その感触が気持ちよくて腰を揺らした時だった。天野が私がくすぐったいと言った内太股部分を再び触れはじめた。
「!?!?」
すると何故だろう。
途端にくすぐったかった部分が少し違う感触になってきた。体全体の毛穴が開く様な感じだった。つまり気持ちがいい。微妙に触れられると堪らなくなる。
驚いてキスを繰り返す天野の瞳を見つめると、天野が瞳を細めて笑った。
もしかして、くすぐったいところが気持ちいいところだって知っている?
だからわざとギリギリまで気持ちよくなるところまで引き上げて触れてきたの?
私は驚いて体を撥ねさせて天野のキスから逃れ声を上げる。
「ああっ! 駄目っ。何でっ突然」
相変わらずM字に開いたままの足を震わせる。
なのに天野は両手で両方の内股の凄くくすぐったかった部分をゆっくり指の腹で撫でる。
「くすぐったいところはさ、こうやって開発するんだよ」
「う、嘘! あっああああ」
私は達する程ではないけれども足の先を震わせて、さざ波様の様な心地よい感触に身を任せた。
これだけではイケない。
イケないのに気持ちがいい。
イケないから熱が溜まる。お腹の奥が熱い。
ショーツの下ぷっくりと花芯が膨らんでいるのが覗き込んで分かった。
それにお尻の辺り天野の熱くなった杭がGパンの前を大きく張っているのが分かる。
天野だってきっと欲しいはずなのに……何故そんなに笑っていられるの?
「なぁ次はどこを触って欲しい? そうじゃないとこのままだぜ」
「ヒッ。あああっお願い」
触れて欲しいし弄って欲しい。どうにかなりそう。腰を前後に思わず振る。
「こら。一人エアセックスするなよ」
「ち、違う。あああ」
エアセックスって何よ。確かに腰を前後に振るのはそうでしょうけれども。
天野にギュッと片手で腰を押さえつけられて、体を動かす事もままならない。苦しくて歯を食いしばった時、パチンと軽く何かが折れる音がした。
「お」
天野がふと力を抜いて私の前に視線を移動した。
私も音の方を見るとそこには玩具の手錠のチェーン部分を引きちぎった岡本が立っていた。
「はぁはぁはぁ。やっとちぎれた。玩具なのになかなかちぎれないなんて」
岡本の目は血走っていて、眼鏡が汗で少し曇っていた。
玩具だったのが幸いしてか手首の部分は少し赤くなっているだけで血は出ていない。まだ金属風の手錠がブレスレットの様に両手にぶら下がっている。
「お、おか、もと」
震える様な内股の微妙に繰り返される快感から逃れた私は、今度は目の前の岡本の異様な雰囲気に息を飲んだ。
だって岡本の股間ははち切れんばかりにGパンを押し上げている。極端に反り上がって斜めに上を向いているのが分かった。岡本はそんなGパンの前ボタンをゆっくり全部外しながら私のM字開脚している前に跪く。それから私の後ろにいる天野に薄笑いを浮かべながら睨み上げる。
「本当に天野さんって飽きさせないですよね僕を。スパイスっていうより爆弾かも知れません」
滑舌のいい声で、うなり声を上げる様に呟く。
「お褒めに預かり光栄だな。なぁ今までにないぐらいクルだろ?」
そう言いながら天野は私の頬を撫でながら、唇の横にキスを落とす。
「ええ、本当にもう我慢出来ないですよ」
そう天野に強く岡本は言った。
それから岡本は私の足を天野引っかかっていた足から解放してくれた。ゆっくりとベッドに横たえると今度は岡本が私の膝を掬い上げてM字に広げさせる。
「えっ、ちょ、ちょっと。そんなに」
広げなくても。そう言おうと思ったのだが、天野が今度は真上から私の目尻にキスを落とした。そして笑う。
「ハハ。今度は岡本が気持ちよくしてくれるぜ。さぁ……三人で一緒に堕ちよう」
「え? あああああっ!」
わけが分からなくて目が点になった瞬間、岡本が何と先程何度も触れられて気が狂いそうなくらい感じやすい内太股にかぶりついた。
堪らなくてなって私は背中を仰け反る。
「んっはぁ。もうこんないいところ天野さんに開発されちゃうなんて。許せない……」
「ああっ、だってそんなにっ?!」
私は痛かったけれどもすぐにキスを繰り返す岡本の顔を太股で挟んでしまう。それなのに真上の天野が挟んだ反対の足を元に戻して仰向けになったままM字開脚をさせる。
すると岡本がスルリとショーツの横から長い指を差し込み、ぐっしょり濡れた蜜壺に触れる。
「あっ」
岡本は指にタップリと蜜を絡めると明らかにショーツの上からでも大きく膨らんでいるのが分かる花芯に触れた。
「ああああっ!」
思わず腰を引いて背中を反る。そんなに強く触れられたら!
内太股を柔らかく甘噛みされながらあっという間に昇り詰めそうになる。
しかし岡本はすぐに触れていた手を止める。
イキそうだったところを止められて思わず涙がにじむ。岡本は甘噛みしていた内太股から離れるとガッチリと両手で太股を掬い上げる様に抱き込む。そして──
ショーツの上から膨れ上がった花芯を食んで濡れたショーツごと優しく吸い上げた。
「!!!!」
私は突然頂点に押し上げられて目を見開いて天井を仰いだ。
見開いた目の前で火花が散る。その火花の向こう。
真上から天野が覗き込んでいて優しく笑っていた。
一瞬だけ音が聞こえなくなって、自分の心臓の音と激しく息を吸う声が聞こえる。
「はぁっ……凄い……ショーツの当て布の部分グショグショで透けてます」
岡本が私の体液で濡れた口元を拭いながら蜜で濡れてしまったショーツを脱がしてくれた。
「なぁ、気持ちよかった?」
天野がニコニコしながらブラジャーの背中のホックを外して取り除いていた。
「う、ん。だけど突然すぎてついていけなかった……」
焦点が定まらない。ボンヤリしながら笑う天野の顔を見つめる。
くすぐったかったところが突然気持ちよくなって、あっという間に昇り詰める。
何だか自分の体ではないみたい。
気がつくと天野も岡本もGパンと下着を脱いで見事な美しい裸体を晒していた。
岡本の怒張は赤黒く反り返り先を濡らしていた。
肌は白いのにやたら男性部分はグロテスクだ。あっという間にゴムを被せると私の体の間に腰を割り入れる。
「天野さんにしてやられてばかりじゃ悔しいので、今度は天野さんが見ててくださいよ」
「お、いいぜ?」
「余裕たっぷりで嫌味っぽいですよね本当に。僕は天野さんを追いつめる事が出来るかな」
「……」
二人が何やら火花を散らしている。
「あ、あの。あっ」
二人の間に入ろうとした時、岡本が私の腰を掴んでピタリと先端を当ててきた。岡本が黒縁眼鏡奥の瞳をスッと細めて目だけで笑った。
「さぁ行きますよ?」
「ああっ」
岡本の大きくて熱い杭が私の膣内を割って潜り込んで来る。
「ああっ凄くいい……どこも触れていないのに膣内が動くって」
根元までしっかり埋めると岡本が両手を私の顔の横について歯を食いしばった。
私は久しぶりに飲み込んだ衝撃に首を軽く左右に振って快感を逃そうとする。そうしないとすぐに達してしまいそうだから。
「もしかして入れただけでもいい感じですか。嬉しいなぁ、じゃぁはじめますよ」
「きゃぁ」
岡本はそう言うと私の腰を掴んで抱き起こす。
それから岡本がベッドの上に寝転んだ。私は岡本の上に乗る事となり、岡本自身を深く飲み込んだまま体を仰け反った。
「おっと」
岡本が再び私の腰を支えて仰け反る私に、自分の開いた両足の上に手を乗せる様に促す。
「!!」
大きく飲み込んだ部分を岡本の目の前で晒す。
「ああいい眺め……僕のを飲み込んでますね。さぁ動きますよ」
腰を少し上げてゆっくりと上下に動かしはじめる岡本。
「あっ、ああっ。そん、なっ!」
私は仰け反りながら下から突き上げられる衝撃に耐えた。
寝たままより上に乗ると自分の体重で岡本の分身を飲み込む事になる。太くて形がはっきり分かる。しかも根元まで!
「あっ、あっ、あっ」
リズムよく突き上げられて、私は声を上げるばかりになる。その度に胸が揺れ、お尻の肉も揺れる。その振動すら気持ちよくて私は自分の指を噛んだ。
岡本の腰と私の太股が辺りが皮膚と肉がぶつかり大きな音を立てる。
岡本が下から見ながら笑っているけれど頬を染めていた。
感じているのだろう。岡本の手首には相変わらず玩具の手錠がぶら下がったままだ。
突如突かれた部分がとても気持ちよくて明らかに私の体の奥からどっと体液がわき上がるのが分かった。私は大声を上げて思わず叫ぶ。
「あーっ。そこ、駄目ぇ。イッちゃうイッちゃうから」
その声を聞いて突然岡本が腰を振り上げるのを止めてしまう。
「ああっ、何で、止めるの」
私は岡本のお腹の上に手を軽く突いて体を前に倒す。すると岡本が汗を流しながら私の乱れた髪の毛を耳にかけ直してくれた。
「だって駄目だって言ったじゃないですか」
「駄目じゃない、でも駄目なのっ」
「ふふ、でもまだ早すぎますから」
「あっ!」
岡本が私のお尻をギュッと両手で握り絞める。
それすらも気持ちがよくて私は思わず跨がったまま腰を前後に振って岡本自身を自分の膣内のいいところに擦りつける。
「こら駄目ですよ」
岡本が笑いながら私の胸の尖りを両手で弄った。言っている事とやっている事が真逆だ。
「あっ、ああっ。触っちゃ駄目イッちゃうからっ」
先程から駄目な事はないのだが天野が私を開発した時から全く触れられなかった胸の頂を不意に触られて痺れが走る。
思わず腰がガクガクと揺れて先に進もうとした。
すると突然起き上がった岡本が胡坐をかき、繋がったまま私の体をギュッと抱きしめて私の動きを止めた。
「あっ……」
何で止めるの?!
表現するとジェットコースターの一番高いところまで引っ張り上げられて後は下に落ちるのを待つだけ。恐怖も快感も今ここで! と構えているのに突然その頂点が消えて、また先に上らされる様な感じ。
私は思わずブルブルと震えて岡本に縋り付く。側に天野がいる事も忘れて。
「お願い、もう……せて欲しい」
イカせて欲しい。そう言いたいのに、喉が渇いて掠れ、肝心な言葉が言えない。
その情けない声を聞いた岡本がふわりと笑って震える私を抱きしめる。
ゆっくりと私の唇に吸いついてだ液を交換するキスをする。
その間、背中を撫でられ頬を撫でられる。それだけで体が小刻みに震え出す。やはり腰が前後に勝手に動いてしまう。
「う、ふっ、うっ」
気持ちいい。このままでもいいから、ゆっくりでもいいから。しかし、岡本は許してくれなかった。やはりお尻をギュッと掴んで動く事を制する。
私はゆっくりと岡本から離れて怨めしそうに呟く。
「お、お願い、お」
「何を? 僕をほったらかしにして天野さんとキスに没頭していたのに?」
ほったらかしにしたのは私ではなくて天野なのに。
本を正せば私が二人を避けた事が発端なのだけれども。
岡本がゆっくりと身を倒して再び腰を突き上げてきた。しかしゆっくりとしか突き上げてくれない。駄目なのそんなの足りないの。
「もう、もう、もう……お願、い。さ、聡司……」
思わず苗字ではなく名前で呼ぶ。すると突然岡本の目の色が変わった。突然ガツガツと下から猛烈に突き上げられる。
「ああっ! あーっ、あーっ、あっ、あっ、あっ」
私は突然訪れた快感に大声を上げて仰け反った。
凄い! 一番いいところを突かれて私も合わせて腰を振り続ける。ぶつかり合う肉の音が辺りに響いて私はようやく念願の頂点に昇り詰める。
「イッ……」
私が息を詰めて体をブルブルと震える。
止まらない。凄い。突き上げられた時の脳天まで突き抜ける感じが続く。
腰を振り上げた岡本も顔を苦しそうに歪めて息を詰めた。
私は岡本と同時に達した。岡本がまだまだ大きさを保っている杭をズルリと音を立てて抜いたと同時、透明の水が仰向けになる岡本の胸元を濡らした。
「──ハァハァハァ」
岡本は私を上に乗せたまま、横たわって何度も荒い息を繰り返した。それが落ち着くと起き上がりギュッと抱きしめてくれた
「もう、名前を呼ぶなんて反則ですよ……ね? 天野さん」
あ、そういえば天野を忘れていた。
「チッ」
振り向くと天野がイライラした様子で胡坐をかいていた。もちろんゴムを被せた杭が大きく膨らんだままだった。
「ごめん……」
岡本との行為に必死で天野の事を少し。いや、すっかり忘れていた。
先ほど天野に開発された時は岡本を忘れてしまうし。私は快楽に流されるとそれだけになってわけが分からなくなるみたいだ。
天野はギリギリと歯を食いしばりながら呟く。
「くっ。ギリギリに焦らして偶然名前を呼ばれるなんて羨ましい」
「はぁ……僕としては『もっと私の中をぐちゃぐちゃにして』『岡本のでもっと突いて』とか言われるのを狙ったのですが。まさかの突然名前で呼ばれるとは……」
岡本が正座をして胸に手を当てて恍惚とした表情を浮かべる。
「そ、そんな事を狙わないでよ」
私も正座をしながら顔を赤くして喚いた。
が、そこで私は気がついた、シーツの色が一部変わっている事に。
「?」
わけが分からず色の変わっている辺りをそっと触ると濡れている。
ま、まさか──
「それは倉田が潮吹きした痕だぜ」
天野が私を横たえながら、説明してくれた。
「えぇ! こんなのお漏らしと変わらない」
私は天野の顔を見つめて思わず泣きそうになった。
どうしようベッド下のマットは大丈夫だろうか。
「ぷっ。お漏らしって……気にするな。後で掃除してやるから。それぐらい気持ちいいって事だろ?」
「だけどこんなの壊れた蛇口と変わらないからっ!」
天野が私の太股を抱えこんで大きくエラの張った杭を足の付け根に擦りつける。
「壊れた蛇口って。倉田さんって面白い事言いますね。あ? 天野さんいつでも代わりますよ。僕は二回連続ぐらいへっちゃらですし」
岡本が笑いながら眼鏡をかけ直していた。
「馬鹿を言うなよ。さっきから入れたくて入れたくて仕方ないの、に!」
「──ッッ」
天野の怒張に貫かれて私は声が出なくなった。
おおきい! こんなに大きかったっけ。
空気を求めて口を開ける。その瞬間、思い切り腰を引かれて再び奥までねじ込まれる。
「あっ! んんんっ」
「はっ、掻き出されるみたいに泡立った体液が出てきた。岡本のが相当気持ちよかったのか? 妬けるなぁ。凄く感じたんだなこんなに白くなるまで体液が泡立つってさ」
天野が髪を振り乱しながら私と繋がった部分を覗き込む。
「言わなくていいからぁ──ああああっ」
腰を細かく前後に天野は動かすと私の胸を掬い上げる。
私が痛がらない程度に揉み込むと柔らかい胸はいい様に形を変える。無駄に大きいと思っていた胸を優しく触れられると何だか嬉しくなる。こんな胸も役に立つとか?
そして天野は最後両脇から真ん中に寄せると、頂きの固い尖りを両方から寄せる。
「大きいとさこんな事出来るんだな。同時に咥えられるって俺も初めてかも」
「え、同時って? あああっ、あんっ」
天野が上半身を倒して両方の乳首を同時に咥える。
嘘?! そんな事ってあるの? 一人なら片方しか口に咥えて愛撫が出来ないはずなのに両方を一気に含まれて、腰がガクガクと震えた。
天野が長い舌で同時に尖りを舐めて転がす。舌のざらざらした部分で先端を擦られるとあっという間に私は息を詰めて達してしまった。
元々天野、岡本に散々焦らされた体は快楽の先が見えると簡単に達してしまう。
「っ! 膣内が凄く絡みつくって言うか」
天野が腰をユルユルと動かすと信じられない水音が聞こえた。あっという間に達したので内壁から分泌された体液でタップリ濡れたのだ。
「ああああっ、んっ」
スポンと天野が分身が私の体の中から出て行ってしまう。そしていきなり指を三本入れてきた。
「何で抜いちゃうの。あっ、な、何? あっ! あっ、あっ、あっ、あああっ」
三本の指を激しく出し入れして、お腹の裏側辺りの膣内を指の腹で擦られる。私の声と共にあっという間に湧き水みたいな飛沫が飛んで辺りにまき散らす。
その間何というか、漏れそうなのを耐える事なく漏らしてしまった感覚と似ているのに、気持ちがよくて抵抗する事もなくされるがままになった。
数秒の出来事だが天野が目の前で手を見せて肘まで流れた体液を見せる。
「はぁはぁ、凄い。だけど俺の事を待ってるんだな。下の口がさ、ぱっくり開いて蠢いてるのが見える」
天野はボタボタと垂れる私の体液を舐め取りながら、艶やかに笑う。
「も、もう。そんな事言わなくてイッ! ああああー!」
すると再び天野の大きな杭がぬるりと入り込む。腰を目一杯引いてガツガツと抽送する。
その度に体が振動して胸が大きく揺れる。
今、漏らす様に気持ちがよかったばかりなのに突き上げられて、再び頂点を目指そうとする自分のについていけず思わず天野にしがみつく。
「今、イッたばかりだから。お願い、お願いだから。もっとゆっくり、お願い、お願い、あっ、ああっ、壊れちゃう」
天野はそんな私の言う事を聞いてくれない。
駄目だ、また凄い波が来ちゃう。
脳が溶けて体が溶けて、天野と一つになりそう。
喉を反らせて天野の顔を見つめると、天野も眉間に皺を寄せて苦しそうにしていた。それなのに私の顔を見た途端困った様に笑った。
それから、耳元で囁いた。
「涼音」
私の名前──優しくて甘い声。耳元で一つキスを落とされる。
その瞬間私は声も出せず息を詰めて達した。
それは突然で自分でも驚く。
腰を天野に押しつけて広げた足の内太股が、ブルブルと震えてあっという間だった。
息が詰まったみたいになって瞬間、意識が飛びそうになったけれど。
天野がそんな私を抱き留めてくれたから意識は保っていられた。
そして、天野はその後腰を二三度打ち付けボタボタと雨を降らせる様に汗を私の体に落として呻く。
「──っ! はぁ」
最後止めていた息を一気に吐き出すとドサリと私の体の上に覆い被さって来た。
はぁ、はぁ、はぁ。二人で息を整えると天野が肩を揺らせて笑った。
「あー、搾り取られた」
それではまるで私だけが天野を締め上げた様ではないか。
私はペチと天野の肩を叩いて、抱き込まれた下から体を起こした。
「イテッ」
天野がベッドで仰向けになり笑っていた。
「凄いの見せつけられた気がします。あんなに蕩けた様な顔の倉田さんを引き出すし。天野さんって余裕ですよね」
岡本がポツリと呟いて肩をすくめていた。
「ああ? 余裕ねぇよ俺には岡本の方が余裕に見えるぜ。倉田にお強請りをさせるの上手いしさぁ。それに俺はそこまで倉田を焦らせないわ」
心外だと言わんばかりに天野が口を尖らせた。
「じゃぁ、今度は──」
そうやって岡本が私に振り向いた。
「ま、待ってよ。ストップ、ストップ! もう少し休ませてよ……身が持たない」
既に何度か達したのに、連続なんて。
「えぇ……でもまぁいいですか。夜は長いですし。明日は土曜日でしょ。それに次の日も日曜でお休みですからね」
岡本は笑いながら私の腰を横から抱いて優しくキスをしてくれた。
啄むキスを一つ二つすると最後下唇だけを噛んでいった。
「そんな明日とか明後日とかの事を言われても恐怖だけど……」
どれだけ抱かれるのだろう。見当もつかない。
「お、そういえば挟む挟むって言ってて挟むの忘れていたな」
そう言って反対側から天野が私の腰を抱き寄せ尖った胸の頂を片方の指で弾いた。
「んんっ。もう……」
私は体を揺らせて笑った。
「なぁ、休むのはいいけどさ、キスだけはさせて。んっ。後さ俺も名前を呼んで」
天野が私にキスを強請った。
「んっ……悠司。ああっ」
名前を呼ぶと天野が私の胸を後ろから抱きしめて尖りを指で弾く。
途端に少し落ち着いた体の熱が再び灯りはじめる。
「ねぇ、腰も気持ちがよかったりしませんか?」
岡本が向かい側から私の横の腰にカプッとかじりつく。甘噛みだ。
「んっ!」
体が跳ねると岡本は面白そうに笑って腰からお尻に向かって指を滑らせる。
「涼音」
最後に岡本が私の名を呼んで再び指を足の付け根のぬかるみに滑らせた。
避妊具が沢山あるからなのか二人はなかなか休ませてくれない。
慰安旅行より過激な夜は、はじまったばかりだ。
大学時代の彼氏が最後で、しかも一人しか経験のなかった私。見た目の派手さとは真逆の地味な生活を送ってきた。きっと天野と岡本の二人によって目覚めてしまったのだろう。
二人に連続で抱かれるってこんなに気持ちがいいとか。知らなかった世界。
人には言えない秘密の関係。言えないというより理解されないであろう不思議な関係。
こんな常識外れでもいいのだろうかと思い悩んだし、二人に同時に嫉妬するのも最低だと思ったけれども。
天野と岡本が言った通り。
複数だって気にしなくてもいい。
私達は普通ではないけれど、それならそれで別にかまわない。
今後、この関係がいつまで続くのか分からないけれども。
しかし今は。
こういう関係もいいかもしれないって私は思うの。
── 完 ──
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私も続きが読みたかったので嬉しいです!
エロくて面白いです。個人的に天野が好きです!
ご覧頂きありがとうございます。
エロいとの感想は大感激です❗
凄く嬉しいですありがとうございます。
天野君が喜びます。実は料理が得意なイイ男です(^o^)
続き読みたいなーって思ってたらあってすっごく嬉しいです!!
更新楽しみに待ってます。
ご覧頂きありがとうございます(^-^)
夜遅くの更新ですがお付き合い頂き嬉しいです❗
またお立ち寄り下さいね。