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06 普通じゃないぜ!
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「ヒッ!」
私は驚いて悲鳴を上げる。慌てて前を向いてタオルケットを握りしめた。振り向いてすぐに前を向いた私を早坂が吹き出して笑っていた。
「お前は一人扇風機か?」
「だっ、だって」
いつもはモザイク越しに見える男性器をまともに見てしまい驚いた。
(何あれ? あんなに色が赤黒いの?)
早坂は色白なのに何故か性器の部分だけ赤黒いと表現した方が良かった。
(先端はつるっとしているのに何だかぼってりとしたキノコ……ヤダ、ホントにあんな形なんだ。嘘でしょ? あんなの私に入るの?)
初めて見る形と大きさに、卒倒してしまいそうになる。
「何だよ。その『ゴムつけるの遅い~』みたいな不満な態度。興奮しすぎて先端が入りにくかったんだよ。ほら、用意出来たから腰上げろ」
早坂は私が黙り込んでしまった事に不満気味だった。
「興奮しすぎて先端が入りにくい? ってどういう意味。それにいつの間にコンドームなんて」
不満なんて何もない。パニックになっているだけなのに。早坂は私のむき出しになった臀部をペチリと叩いて再び膝で立つ様に促す。
「だから、こういう事があったら困るだろ。俺の準備の良さに感謝しろよ。まーなかったらなかったで俺は別にいいけどさ。色々やり様もあるし」
とんでもない事を早坂は口走る。
(って、早坂ってこんな性格だったのっ? 知らなかった。同期はみんな知っているのだろうか。早坂の真の姿を)
ピタリと私のグズグズになった入り口に早坂自身をあてがった。その熱量と大きさに驚く。
「かっ、感謝する。感謝するから。お願い。ちょっと待ってよ!」
私は小さく泣き声の悲鳴を上げた。
(待って、そんなの準備もなく入らない! だから心の中では何度も言うけど私は処女──)
心の声は追いつかず言葉にならない。
「待てと言われて待つ男がいるかよ。ほーら、入って」
グズグズになった部分にプ、ツンという音と共に早坂の熱い杭が潜り込んできた。
「いっ!」
流石に指と違って大きさが異なる。さっきの指と違い痛みが走る。
「ああイイ……ん?」
ゆっくりと早坂は腰を揺らす様に進めて潜り込んで来たが、あるところで行き止まりになり動きを止める。
(バレた! 処女って分かったのかも)
さっきの早坂の指が人生初めての挿入物だ。だからなかなか奥に入らないのかも。早坂の動きが止まったのは、処女と分かり呆れたのかも。
(処女のくせにAV鑑賞しまくって、一人で慰めるくせに指一つ入れられないなんて。馬鹿で気持ち悪い女だよね)
そう考えると何だか辛くて涙が溢れてきた。
「ふっ、うっ……」
嗚咽をこらえて泣いている事がバレない様にタオルケットに顔を埋める。
そんな私を後ろからぎゅっと早坂は抱きしめる。
そしてチュッチュと音を立てて、私の首筋、背中にキスを落とし始める。二の腕を擦る様に触れる。指の腹で優しく。さっきみたいに、お尻を叩く事はない。
まるで恋人にするみたいに優しく触れる早坂に私は驚いて顔を上げた。
「は、はやさかぁ?」
「やっと顔を上げた。ほら、もっと俺に触らせろ」
「え? あっ……んっ」
私の顔を後ろに向く様にねじると唇を奪う。
優しく吸い上げて後ろからやわやわと乳房を持ち上げて乳首だけを人差し指で弾き始める。
「あっ、そ、れ」
触れるか触れないかぐらいのソフトなタッチで触れるから堪らない。思わず腰を揺らす。
「ハハ。お前は乳首を弄られるの好きなんだな」
「そ、それは大体誰でもでしょ。んんっ」
「そんな事ないさ。それにさ、ここも……ほら」
早坂は右手で私の股の間に手を差し込み、膨らんだ花芯を指の腹で撫でる。
「んんっ」
私はフルリと震えて背を反らした。
「ほら二ヶ所を弄りながらだとさ、お前の中が俺をゆっくりと飲み込んでいくから。ほら……ゆっくりと、あっ……」
優しく触れられるとそれはそれで堪らない。もっと痛くして欲しいとか思うけど、そのもどかしさが良くて私は腰を揺らす。
揺らすと先端だけしか入らなかった早坂の杭がゆっくりと私の中に潜っていく。隘路をゆっくりと進む。私に苦痛は一切なかった。
「あっはっ……あああっ」
むしろズブズブと私の泥濘に沈む早坂の分身が熱くて、固くて、気持ちよくて。私は自ら腰を前後に揺らしていた。
(う、そ、全部入った? なのに痛くないし痛くないどころか)
あまりの快感に私は小さく何度も喘いだ。
「はっ……イイ。凄え、まだ奥があるのかよ」
そう言ってゆっくりと腰を突き出すのは早坂だ。
早坂の立派な杭は私の奥までズブリと入り込んだ。堪らずお腹とお尻に力を入れると私の後ろで早坂が呻いた。
「うっ。待て。そんな根元から俺を締め上げるなよ。今から動くからさ」
「し、締め上げるって」
そんな事していないとわめく前に、大きく早坂が腰を引いてズンと奥まで再び入り込む。
「かっ、はっ!」
私が呻くと早坂は奥まで腰を沈めたまま小さく横八の字を描いてみせる。
「やっ。駄目、それ!」
絶妙にいいところに当たって私は悲鳴を上げた。駄目と言った声を聞いて早坂は笑っていた。
「よし、大丈夫そうだな。今度は俺を楽しませろよ。動くから頑張れよ?」
「え? 頑張るって、あっあああ!」
突然私の腰を後ろから掴んで早坂はガツガツと腰をぶつけ抽挿を始めた。
中に潜り込んだ熱い杭が縁取られる。形が分かる。大きく開いた傘の部分が私の膣内をひっかいて刺激する。たまに角度を変えてお腹を突き破るかの様に内壁に擦りつける。
「ヒッ。あっあああっ!」
私は気がつくと嬌声を上げていた。
馬鹿みたいな声なので必死にこらえようとするのに、後ろから早坂が私の髪の毛を優しく引っ張り顔を上げる様に促す。
「いいぜ。何か今日はお前の声が聞きたい気分。盛大に聞かせろよ、ほら」
「や、ヤダよ! 止めて引っ張らないで!」
そう訴えると髪の毛を引っ張るのは止めてくれたけど、今度は突き上げるだけじゃなくて、後ろから片手は乳首を、もう片方の手で花芯を弄り始める。
まるでジェットコースターの一番上まで到達したかと思うと、直滑降で落とされた感覚だ。感じやすいところを全て弄られ、わけが分からなくなる。
(もう、もう、駄目、駄目)
私は息を詰めて体をブルブル震わせてあっけなく達した。
カクンと体の力が抜ける。本当に気持ちよくなると体が硬直して、力が抜け声が出なくなる事を私は知った。
力の入らない人形になった私の腰を掴んだまま、早坂は私の背中にボタボタと汗を落とした。
「あっ、俺も、もう! 出るっ……っっっ!」
ガツガツと激しく腰を後ろから突き上げると、早坂は突然動きと息を止めた。そして私の中でこれでもかと杭を膨らませ弾けさせた。
◇◆◇
私と早坂のセックスは終わった。
気がつくと愛撫から早坂が達するまで一時間以上経っていた。かかった時間に早坂が驚いていた。
「俺こんなに長くやってたの初めて。ハハハ、最高」
「そうなの?」
「そうなんだ。愛撫にあんな時間かけた事ないし。入れてからも頑張ったよな俺。それに、俺さ、あれ何だ? 言葉責めみたいな事してなかった? ハハハ我ながら、馬鹿じゃねぇの? 笑える」
「そうね……そうかもね」
普通のセックスが分からない私は、ベッドで脱力し素っ裸で放心状態だった。
(早坂ってこんな話方じゃなかったのに。男らしいしゃべり方だけどもっとソフトだったはずなのに。今の姿が本当の早坂なのかな)
やっぱり早坂は私が思っていた通り裏表のある男だった。それに、相当口が悪いという事は理解出来た。
私が泥の様になっている間に早坂はコンドームを始末し、突然私の頬に優しくキスをしてきた。その恋人の事後であるかの行動に私はわめいた。
「な、何するのよ!」
「何ってキスだけど?」
「恋人じゃあるまいし。取り引きは完了でしょ?」
「え?」
「だから『え?』じゃないでしょ。私のAV鑑賞という趣味を黙っている代わりの取り引きよ」
私は上半身だけ起こしてパンパンとベッドの上を叩いた。
ベッドの傍らに座る早坂は「ああ」と軽く声を上げる。
「お前、今日の一回で取り引き終了と思ってんの?」
「え」
「お前こそ『え』じゃねぇよ。お前『黙っててもらえるなら何でもする』って言ったじゃないか」
「あ」
私は呆然としてしまう。
(しまったー! 『何でもする』じゃ確かに今後ずっと奴隷みたいな関係でも我慢します、みたいな事じゃないの私ったら)
自分の言った事だが秘密を握られている以上どうにも出来ないので頭を抱えてしまう。その姿を見て早坂は痛快とばかりに笑う。
「ハハハ! 当面、週末一緒に過ごそうぜ。俺さお前の部屋が凄く気に入ったんだ。イイよな、心地いいし」
早坂はあんなに目の下にクマがあって、青白い顔だったのに。一転元気になっていた。頬には生気が戻っている。
「え。な、何言ってるの? タワマン住まいのくせして、頭がおかしくなったの? 週末一緒に過ごすって……まさか、週末はエッチな事をするって言うの?」
「うん」
(うん。じゃねーよ! 何を言ってるのこの男は!)
「彼女はどうするのよ!」
「え? 彼女? 何の事だ。俺、今は彼女いないし。問題ないぜ」
「えぇ~彼女はいないの?」
「……俺に彼女がいないのが何で残念なんだよ。彼女がいるのにお前を抱く男かよ俺は」
「にしたって、私の体なんて大したことないのに何で」
「たいした事ないって自分で言うか普通?」
「胸もお尻も平均……いや、むしろ足りないのに。欲情している場合じゃないよ。止めておいた方がいいよ、私なんて」
「そんな事ないさ。あちこち足りないけど」
「失礼ね!」
「自分で言ったんだろうが。それより……お前、処女だったんだな」
「あっ……」
(やっぱりバレてた!)
「処女のくせにあんなドエロい趣味ってどんなだよそれ。その馬鹿な頭に俺は興味があるんだよ。それになーんかお前結構ノリノリじゃん? 面白セックス出来そうだし」
「お、面白セックスって。外見をぼろくそに言われるよりひどい!」
(遊ばれてる。玩具にされている!)
私はベッドの上で再びうなだれる。だけど早坂はそんな私を抱き寄せて再び深いキスをする。
「んんんっ。だから何でキスなのよ! あんたの頭こそどうなってるの?」
「いや何かな。俺とお前の相性、凄くいいと思ってさ」
「相性?!」
確かに初めてなのに全然痛くなかったけれども……それは早坂が上手だったからだろうし。早坂の経験を考えて何だか胸が痛くなった。
(くっ! 胸が痛くなるなんて。ときめくなんて! 屈辱的)
それなのに暢気に早坂は話を進める。
「だからイイじゃん。お互い恋人もいないんだし。ん? いないって事は、お前の処女を貰ったんだし、ついでに俺と付き合えよ」
そう言って早坂は私の肩を抱き寄せた。その言葉に私は顔を青くした。
「恐ろしい事言わないで! 絶対付き合わないわよ。女性社員を敵に回す様な事出来るわけない!」
「敵? 直原なら大丈夫だろ」
「何が大丈夫なのよ?!」
「それに……ほら、ばらされたくないだろ~? AV鑑賞をする趣味」
「くっ!」
(全然大丈夫じゃないのに! ばらされたくないだろって、狡い)
必死に否定するのに、全く聞いてもらえない。早坂の中で付き合う事は確定らしい。付き合わないと趣味をばらすなんて。
「早坂は整った顔して、あ、あ」
「あ?」
「悪魔よ! あんたは」
私は早坂を睨みつけるが早坂は鼻で笑った。
こんな馬鹿にする様な笑い方初めて見た。くっそー今まで会社では猫をかぶっていたのね。
「馬鹿を言うな。天使だろ? お前処女だったんだぞ、普通は痛いんだぞ。それを気持ちよく絶頂させたんだからなー? 那波」
「なっ、那波なんて! 名前で呼ばないでよ」
「いいだろ、那波も俺を和馬って呼んでいいぜ。特別に許す」
「許すって。その上から目線。嫌だから。遠慮するから」
「えー? 地味原、卒業だぞ? いいじゃん。あっ、そうだシャワー浴びようぜ。俺、体がベタベタで気持ち悪い」
そう言いながら早坂は私をひょいと抱き上げた。
最悪。顔だけいいこの男が私の初体験の相手だなんて。それでもいいと思った私は馬鹿だった!
そして私はこの悪魔──早坂 和馬に『普通でいたい』から『普通じゃない』に振り回される事になったのだ。
私は驚いて悲鳴を上げる。慌てて前を向いてタオルケットを握りしめた。振り向いてすぐに前を向いた私を早坂が吹き出して笑っていた。
「お前は一人扇風機か?」
「だっ、だって」
いつもはモザイク越しに見える男性器をまともに見てしまい驚いた。
(何あれ? あんなに色が赤黒いの?)
早坂は色白なのに何故か性器の部分だけ赤黒いと表現した方が良かった。
(先端はつるっとしているのに何だかぼってりとしたキノコ……ヤダ、ホントにあんな形なんだ。嘘でしょ? あんなの私に入るの?)
初めて見る形と大きさに、卒倒してしまいそうになる。
「何だよ。その『ゴムつけるの遅い~』みたいな不満な態度。興奮しすぎて先端が入りにくかったんだよ。ほら、用意出来たから腰上げろ」
早坂は私が黙り込んでしまった事に不満気味だった。
「興奮しすぎて先端が入りにくい? ってどういう意味。それにいつの間にコンドームなんて」
不満なんて何もない。パニックになっているだけなのに。早坂は私のむき出しになった臀部をペチリと叩いて再び膝で立つ様に促す。
「だから、こういう事があったら困るだろ。俺の準備の良さに感謝しろよ。まーなかったらなかったで俺は別にいいけどさ。色々やり様もあるし」
とんでもない事を早坂は口走る。
(って、早坂ってこんな性格だったのっ? 知らなかった。同期はみんな知っているのだろうか。早坂の真の姿を)
ピタリと私のグズグズになった入り口に早坂自身をあてがった。その熱量と大きさに驚く。
「かっ、感謝する。感謝するから。お願い。ちょっと待ってよ!」
私は小さく泣き声の悲鳴を上げた。
(待って、そんなの準備もなく入らない! だから心の中では何度も言うけど私は処女──)
心の声は追いつかず言葉にならない。
「待てと言われて待つ男がいるかよ。ほーら、入って」
グズグズになった部分にプ、ツンという音と共に早坂の熱い杭が潜り込んできた。
「いっ!」
流石に指と違って大きさが異なる。さっきの指と違い痛みが走る。
「ああイイ……ん?」
ゆっくりと早坂は腰を揺らす様に進めて潜り込んで来たが、あるところで行き止まりになり動きを止める。
(バレた! 処女って分かったのかも)
さっきの早坂の指が人生初めての挿入物だ。だからなかなか奥に入らないのかも。早坂の動きが止まったのは、処女と分かり呆れたのかも。
(処女のくせにAV鑑賞しまくって、一人で慰めるくせに指一つ入れられないなんて。馬鹿で気持ち悪い女だよね)
そう考えると何だか辛くて涙が溢れてきた。
「ふっ、うっ……」
嗚咽をこらえて泣いている事がバレない様にタオルケットに顔を埋める。
そんな私を後ろからぎゅっと早坂は抱きしめる。
そしてチュッチュと音を立てて、私の首筋、背中にキスを落とし始める。二の腕を擦る様に触れる。指の腹で優しく。さっきみたいに、お尻を叩く事はない。
まるで恋人にするみたいに優しく触れる早坂に私は驚いて顔を上げた。
「は、はやさかぁ?」
「やっと顔を上げた。ほら、もっと俺に触らせろ」
「え? あっ……んっ」
私の顔を後ろに向く様にねじると唇を奪う。
優しく吸い上げて後ろからやわやわと乳房を持ち上げて乳首だけを人差し指で弾き始める。
「あっ、そ、れ」
触れるか触れないかぐらいのソフトなタッチで触れるから堪らない。思わず腰を揺らす。
「ハハ。お前は乳首を弄られるの好きなんだな」
「そ、それは大体誰でもでしょ。んんっ」
「そんな事ないさ。それにさ、ここも……ほら」
早坂は右手で私の股の間に手を差し込み、膨らんだ花芯を指の腹で撫でる。
「んんっ」
私はフルリと震えて背を反らした。
「ほら二ヶ所を弄りながらだとさ、お前の中が俺をゆっくりと飲み込んでいくから。ほら……ゆっくりと、あっ……」
優しく触れられるとそれはそれで堪らない。もっと痛くして欲しいとか思うけど、そのもどかしさが良くて私は腰を揺らす。
揺らすと先端だけしか入らなかった早坂の杭がゆっくりと私の中に潜っていく。隘路をゆっくりと進む。私に苦痛は一切なかった。
「あっはっ……あああっ」
むしろズブズブと私の泥濘に沈む早坂の分身が熱くて、固くて、気持ちよくて。私は自ら腰を前後に揺らしていた。
(う、そ、全部入った? なのに痛くないし痛くないどころか)
あまりの快感に私は小さく何度も喘いだ。
「はっ……イイ。凄え、まだ奥があるのかよ」
そう言ってゆっくりと腰を突き出すのは早坂だ。
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「うっ。待て。そんな根元から俺を締め上げるなよ。今から動くからさ」
「し、締め上げるって」
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「かっ、はっ!」
私が呻くと早坂は奥まで腰を沈めたまま小さく横八の字を描いてみせる。
「やっ。駄目、それ!」
絶妙にいいところに当たって私は悲鳴を上げた。駄目と言った声を聞いて早坂は笑っていた。
「よし、大丈夫そうだな。今度は俺を楽しませろよ。動くから頑張れよ?」
「え? 頑張るって、あっあああ!」
突然私の腰を後ろから掴んで早坂はガツガツと腰をぶつけ抽挿を始めた。
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「ヒッ。あっあああっ!」
私は気がつくと嬌声を上げていた。
馬鹿みたいな声なので必死にこらえようとするのに、後ろから早坂が私の髪の毛を優しく引っ張り顔を上げる様に促す。
「いいぜ。何か今日はお前の声が聞きたい気分。盛大に聞かせろよ、ほら」
「や、ヤダよ! 止めて引っ張らないで!」
そう訴えると髪の毛を引っ張るのは止めてくれたけど、今度は突き上げるだけじゃなくて、後ろから片手は乳首を、もう片方の手で花芯を弄り始める。
まるでジェットコースターの一番上まで到達したかと思うと、直滑降で落とされた感覚だ。感じやすいところを全て弄られ、わけが分からなくなる。
(もう、もう、駄目、駄目)
私は息を詰めて体をブルブル震わせてあっけなく達した。
カクンと体の力が抜ける。本当に気持ちよくなると体が硬直して、力が抜け声が出なくなる事を私は知った。
力の入らない人形になった私の腰を掴んだまま、早坂は私の背中にボタボタと汗を落とした。
「あっ、俺も、もう! 出るっ……っっっ!」
ガツガツと激しく腰を後ろから突き上げると、早坂は突然動きと息を止めた。そして私の中でこれでもかと杭を膨らませ弾けさせた。
◇◆◇
私と早坂のセックスは終わった。
気がつくと愛撫から早坂が達するまで一時間以上経っていた。かかった時間に早坂が驚いていた。
「俺こんなに長くやってたの初めて。ハハハ、最高」
「そうなの?」
「そうなんだ。愛撫にあんな時間かけた事ないし。入れてからも頑張ったよな俺。それに、俺さ、あれ何だ? 言葉責めみたいな事してなかった? ハハハ我ながら、馬鹿じゃねぇの? 笑える」
「そうね……そうかもね」
普通のセックスが分からない私は、ベッドで脱力し素っ裸で放心状態だった。
(早坂ってこんな話方じゃなかったのに。男らしいしゃべり方だけどもっとソフトだったはずなのに。今の姿が本当の早坂なのかな)
やっぱり早坂は私が思っていた通り裏表のある男だった。それに、相当口が悪いという事は理解出来た。
私が泥の様になっている間に早坂はコンドームを始末し、突然私の頬に優しくキスをしてきた。その恋人の事後であるかの行動に私はわめいた。
「な、何するのよ!」
「何ってキスだけど?」
「恋人じゃあるまいし。取り引きは完了でしょ?」
「え?」
「だから『え?』じゃないでしょ。私のAV鑑賞という趣味を黙っている代わりの取り引きよ」
私は上半身だけ起こしてパンパンとベッドの上を叩いた。
ベッドの傍らに座る早坂は「ああ」と軽く声を上げる。
「お前、今日の一回で取り引き終了と思ってんの?」
「え」
「お前こそ『え』じゃねぇよ。お前『黙っててもらえるなら何でもする』って言ったじゃないか」
「あ」
私は呆然としてしまう。
(しまったー! 『何でもする』じゃ確かに今後ずっと奴隷みたいな関係でも我慢します、みたいな事じゃないの私ったら)
自分の言った事だが秘密を握られている以上どうにも出来ないので頭を抱えてしまう。その姿を見て早坂は痛快とばかりに笑う。
「ハハハ! 当面、週末一緒に過ごそうぜ。俺さお前の部屋が凄く気に入ったんだ。イイよな、心地いいし」
早坂はあんなに目の下にクマがあって、青白い顔だったのに。一転元気になっていた。頬には生気が戻っている。
「え。な、何言ってるの? タワマン住まいのくせして、頭がおかしくなったの? 週末一緒に過ごすって……まさか、週末はエッチな事をするって言うの?」
「うん」
(うん。じゃねーよ! 何を言ってるのこの男は!)
「彼女はどうするのよ!」
「え? 彼女? 何の事だ。俺、今は彼女いないし。問題ないぜ」
「えぇ~彼女はいないの?」
「……俺に彼女がいないのが何で残念なんだよ。彼女がいるのにお前を抱く男かよ俺は」
「にしたって、私の体なんて大したことないのに何で」
「たいした事ないって自分で言うか普通?」
「胸もお尻も平均……いや、むしろ足りないのに。欲情している場合じゃないよ。止めておいた方がいいよ、私なんて」
「そんな事ないさ。あちこち足りないけど」
「失礼ね!」
「自分で言ったんだろうが。それより……お前、処女だったんだな」
「あっ……」
(やっぱりバレてた!)
「処女のくせにあんなドエロい趣味ってどんなだよそれ。その馬鹿な頭に俺は興味があるんだよ。それになーんかお前結構ノリノリじゃん? 面白セックス出来そうだし」
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私はベッドの上で再びうなだれる。だけど早坂はそんな私を抱き寄せて再び深いキスをする。
「んんんっ。だから何でキスなのよ! あんたの頭こそどうなってるの?」
「いや何かな。俺とお前の相性、凄くいいと思ってさ」
「相性?!」
確かに初めてなのに全然痛くなかったけれども……それは早坂が上手だったからだろうし。早坂の経験を考えて何だか胸が痛くなった。
(くっ! 胸が痛くなるなんて。ときめくなんて! 屈辱的)
それなのに暢気に早坂は話を進める。
「だからイイじゃん。お互い恋人もいないんだし。ん? いないって事は、お前の処女を貰ったんだし、ついでに俺と付き合えよ」
そう言って早坂は私の肩を抱き寄せた。その言葉に私は顔を青くした。
「恐ろしい事言わないで! 絶対付き合わないわよ。女性社員を敵に回す様な事出来るわけない!」
「敵? 直原なら大丈夫だろ」
「何が大丈夫なのよ?!」
「それに……ほら、ばらされたくないだろ~? AV鑑賞をする趣味」
「くっ!」
(全然大丈夫じゃないのに! ばらされたくないだろって、狡い)
必死に否定するのに、全く聞いてもらえない。早坂の中で付き合う事は確定らしい。付き合わないと趣味をばらすなんて。
「早坂は整った顔して、あ、あ」
「あ?」
「悪魔よ! あんたは」
私は早坂を睨みつけるが早坂は鼻で笑った。
こんな馬鹿にする様な笑い方初めて見た。くっそー今まで会社では猫をかぶっていたのね。
「馬鹿を言うな。天使だろ? お前処女だったんだぞ、普通は痛いんだぞ。それを気持ちよく絶頂させたんだからなー? 那波」
「なっ、那波なんて! 名前で呼ばないでよ」
「いいだろ、那波も俺を和馬って呼んでいいぜ。特別に許す」
「許すって。その上から目線。嫌だから。遠慮するから」
「えー? 地味原、卒業だぞ? いいじゃん。あっ、そうだシャワー浴びようぜ。俺、体がベタベタで気持ち悪い」
そう言いながら早坂は私をひょいと抱き上げた。
最悪。顔だけいいこの男が私の初体験の相手だなんて。それでもいいと思った私は馬鹿だった!
そして私はこの悪魔──早坂 和馬に『普通でいたい』から『普通じゃない』に振り回される事になったのだ。
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仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。
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