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146 女友達
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ザック達は軍の会議の為城に向かう事となり、一度お別れとなった。
私とマリンはダンさんに連れられて『ジルの店』に戻った。戻る最中、裏町の人達皆から声をかけられる。口々に心配してくれる声に温かい気持ちになる。
途中でミラ、エッバ、トニ、リンダと合流する。
顔を見るなり皆が感激したのは言うまでもない。以外と涙もろいのかツンデレ具合が強い二人──エッバとトニがワンワン泣きはじめた。
「ナツミが死んじゃうかと思った」
「崖から落ちるなんて聞いてないわよ」
只でさえ目立つ集団となっているのに、更に皆の注目を浴びながら『ジルの店』に戻る事になった。おかげで声をかけられる回数が増え、帰るまで倍の時間がかかる事になった。
派手に目立ちながら店に戻るとジルさんが出迎えてくれた。何故か増えた面々にジルさんは目を丸めていたが、私とマリンの顔を見たら優しく微笑んでくれた。
「おかえりなさい。ナツミ、マリン」
ジルさんの珍しくも優しい一言に私とマリンは目を丸めて顔を見合わせてしまった。
そして、改めて無事だった事に安堵して思わず気が緩み涙が溢れてきた。
マリンと二人で手をつなぎ、何度もジルさんに頷いた。
「ただいま」
情けない掠れた声になってしまった。
その返事を聞いたジルさんが、私とマリンを同時に抱きしめて背中をさすってくれた。
私達の姿に少し泣き止んだエッバとトニが再び泣きはじめ、更に無言でついてきてくれたミラ、リンダ、ニコも泣きはじめてしまった。
「泣いてばかりだな」
ダンさんが溜め息をついて呆れ両手を上げ『お手上』と表現した。それでも優しく笑っていてくれるダンさんだ。
トニの泣き声を聞いて、店の中から強面の男性が顔を出した。トニとリンダが働いている『ゴッツの店』店主、ゴッツさんだった。
白髪交じりの赤い髪を束ね削がれた右耳を撫でながら優しく笑っていた。
「泣ける時に泣いておく方がいいさ。そうしたら心が救われる」
そう言って扉に背を預けて眩しそうに私達を見つめてくれた。
気がつくと辺りは夕方になっていた。白い石畳が薄く赤い色に染まっていく。
「さて料理人達がナツミとマリンの為に食事を用意して待っているわよ。今日は営業してもこの奴隷商人の騒ぎで客も来やしないわ。私はゴッツと飲みはじめていたのよ。エッバ達もよく頑張ったわね。私の奢りだから、食事をして泊まっていきなさい」
そのジルさんの一言に皆が泣き止み歓声を上げた。
「アルの隠れている場所が、例の水泳教室をした別荘だったなんてね。ノアも自分の家の別荘にいるなんて思いつきもしなかったでしょうに」
ジルさんが向かい側の席に座って足を組むと、グラスに入ったワインを飲み干した。
ネロさんの口から告げられたアルさんの居場所は、何を隠そうザック達と泊まりがけで水泳教室をした別荘だったのだ。
その答えをウツさんのお店で聞いた時は皆が無言になり、その後すぐ大声で「何だって?!」と叫ぶ始末だった。それから病状を聞き出そうとしたが、詳しくは後でという事になってしまった。よい状態ではない事だけがネロさんの表情から伝わってきた。
「そうなんですよ。あの別荘だそうです。使用人であるアルマさんがアルさんの看病をしていたそうです」
私は二皿目のパスタを平らげ、レモン水で喉を潤した。
「言われてみれば別荘に行った時にアルマさんがアルさんが『訪れた』と言っていたわね」
マリンも隣で白身魚のマリネを小皿に取りながらポンと手を叩いていた。
「確かに。お母さんの命日でアルさんとオーガさんが一緒に来たって言っていたわね。その話から推測するに随分前から何回か別荘に出入りしていた可能性があるわよね。分からないものね」
ミラもお肉を切り分けていたナイフの動きを止め分析していた。
アルマさんは基本的に別荘の掃除や管理をしている領主に仕える使用人だ。ノアの事を『坊ちゃん』と呼ぶが、祖母のような存在だと言っていた。別荘に水泳の練習をしに行った時、食事や身の回りのお世話をしてくれた。アルマさんの焼いたパンがとても美味しく印象的だった。そう言えばザックを竹箒で叩いていたっけ。
アルマさんはノアのお母さんのお世話をする為やって来た使用人だった。ノアのお母さんが亡くなった後も、ずっとノアの世話をする為に別荘に留まっていた。
今は死病に冒され倒れたアルさんの看病をしているとは。
アルマさんもアルさんが幼い頃に傷つき育った事を知っている一人だから、アルさんの事を思って看病をしていたのだろうか。
そしてアルさんと共に女性が別荘でアルマさんの手伝いをしているそうだ。
女性の名はオーガさんと言う。
実は私にマリンとザックが昔関係していた事を告げたのもオーガさんだった。『ジルの店』と同じ公的宿屋兼酒場である『オーガの店』で店長をしていたオーガさんは、アルさんと深い関係だった。恋人同士と呼べるのかどうかは本人達しか分からない。
病気に蝕まれていくアルさんを支えていて、アルさんの悪事にも加担していた。オーガさんは利用していた人間が捕まると、自分達の事を軍にばらしたりしない様に毒殺していたのだろうとネロさんが推測していた。知識がないと取り扱えない珍しい薬を用いていたから、オーガさんのはずだとネロさんが分析していた。
「オーガはね、女だけど呪いや暗示といった魔法が得意なのよ。男だったらチヤホヤされてもしかしたら軍人の一人だったかもね。だけど、魔法が使えても女と言う事で異端児扱いされ、世間からつまはじきにされて生きてきたと言っていたわ。私の真似ばかりしていたのは、私と似ていると思ったのでしょうね」
ジルさんは空になったワイングラスの縁を指で触れていた。
異端児扱いか。ジルさんもまわりにそんな風に思われてきたのだろうか。
オーガさんは同じ様に辛い目に遭い生きてきたアルさんと気が合ったのだろう。私はそんな事を感じてしまった。
「アルさんとオーガさんという人を『ファルの町』が、世の中が生み出したと言えるのかもしれませんね」
ニコが私の前に取り分けたローストビーフとマッシュポテトを盛り付けたお皿を差し出してくれた。
何気なくポツリと呟いたニコの言葉に、ジルさんがゆっくりと首を左右に振った。
「つまはじきにされてもそれが何だって言うのよ。自分は自分なのよ。他人を傷つけて好き勝手していい事にはならないわよ」
ワインを自らのグラスに注ぐ。そのワインボトルをヒョイと隣で取り上げたのはジルさんと同じ公的宿屋兼酒場の『ゴッツの店』店主のゴッツさんだった。白髪交じりの赤い髪を後ろで一つに縛り、削がれた右耳を晒して呆れた声を上げる。
「海賊で好き勝手していたヤツが言う台詞かよ。ジルだって昔は大暴れしていただろ」
取り上げたワインをゴッツさんは自分のグラスに注いでいた。最後の一滴までグラスに注ぐ。
「奴隷上がりの大物盗賊ゴッツに言われたくないわよ。あんただって私と似たり寄ったりのくせに」
フンとジルさんが鼻息を荒くして呟いていた。
ジルさんもゴッツさんも、壁にぶつかりながら生きてきた人間として思うところがあるのだろう。壁にぶつかっても、目の前の二人はオーガさんとは事なり、辛くても強く生きる道を歩んでいる。
「これからどうなるんでしょうね」
私は誰に尋ねる事なく呟くと、目の前にある山盛ローストビーフをパクリと一切れ食べた。
アルさんの病状はどうなのかな。助かる見込みはないのかな。
助かったとして、アルさんやオーガさんはどうやって罪を償うのか。
奴隷商人達も精神的にも肉体的にも傷ついているのに、罪を償えるのかな。
そして、最後に一つ気になる事がある。
カイ大隊長とレオ大隊長が動いているけれども、今回の件は領主の耳に入っているのだろうか。入っているとしたら領主はどう思っているのだろう。だって自分の息子が諸悪の根元なのだ。ショックを受けるに違いない。
ひとまずザック達が戻って来てから話を聞くしかなさそうだ。と言うか、話してもらえるのかな。意外とトップシークレットの出来事だよねこれって。
私は足りない頭でグルグルと考え、次から次へと忙しなく口を動かす。やけに周りの皆が静かになったので思わず私は顔を上げる。
気がつくと一緒にテーブルを囲んでいるジルさん、ゴッツさん、エッバ、トニ、リンダ、マリン、ミラ、ニコが私をじっと見つめていた。何事かと思い、無意識に食べ続けていたローストビーフの咀嚼を終え喉を動かして飲み込む。私は皆を見渡して首を傾げた。
「どうしたのみんな?」
「どうしたと言うか、ナツミが凄い勢いで次から次へと食べていくから。だってパスタ、二皿食べたのよね?」
私の顔を見ながらエッバがパスタを綺麗にフォークに巻いて目を丸めていた。
「パスタは凄く美味しそうに食べていたし、今度はローストビーフを一心不乱に食べてるし」
トニもまだリゾットがお皿に半分残っている状態で私の顔をマジマジと見ていた。
「山盛りなのにどんどん減っているから。ローストビーフが凄く美味しいの? 私も食べてみようかな。でも、その体の何処にそれだけの量が入っているのかと思って」
リンダも白身魚の香草焼きをお皿に取ったまま驚いていた。
「気持ちのいい喰いっぷりだな。人が喰うのを見るのが気持ちがいいなんて。何だかずっと見ていられる様な気がするな」
ゴッツさんは新しいワインのコルクを開けながら驚いていた。
「今日のナツミの食べっぷりはいいわねぇ。久しぶりに見たわ。ナツミが食べている時の顔を観察すると面白いのよ。どんな味がしているのか大体想像出来るのよね」
ミラがカラカラと笑って隣に座るニコに同意を求めていた。ニコも笑いながら近くのピザに手を伸ばしていた。
「そうなんだよね。ナツミが食べのを見てから、僕はどれを食べるか決めるんだ。さっきナツミが食べて目を丸めていた四種類のチーズのピザにしようかな。あっこれ蜂蜜がかかってる」
「なるほど。確かにこれだけ食事が並んでいると全部は食べられないものね。私もそのピザにしようっと」
エッバがピザに手を伸ばしていた。
それから各々「酸っぱそうな顔をしていた」とか「ニッコリ笑っていた」と言いながら次々食事に手を伸ばしていく。
「だから私の顔を見て何を食べるか決めなくてもいいのに」
私はフォークを囓り改めて恥ずかしくなった。
私がよく食べているのはこの傷のせいだ。先ほど医療魔法を施してもらった時、ネロさんが言っていた。
「ナツミは、ここ三日ぐらいはお腹が減ったり眠くなったりを繰り返すと思う。それは無意識に自己修復をしているからだ。自分自身に医療魔法をかけているんだ。僕達が施す治療はその手助けをするだけだ。普通なら一、二週間かかる治療が三日か四日ぐらいで終わると思う。ほら墨を入れたぐらいはっきりとしていた魔法陣が薄墨になっている。この魔法陣が消えたら完全完治だからね」
私の叩かれた右の頬と左の肩に大きく入っている円上の魔法陣は、マリンが顎から首にかけて施された傷の上に描かれている魔法陣と色が違う。マリンの魔法陣はまだ黒いのに私の施されたものは薄墨になりつつある。
「沢山食べて早く元気にならないとね?」
私が恥ずかしそうにしているのが分かったマリンは、肘で私をついて微笑んだ。私の医療魔法が発動している事を知っているので助け船のつもりなのだろう。
「そうよね。大食いなのも早く治るならいいわよ。多分これから忙しくなるのだから」
ジルさんが軽くウインクしてくれた。
「……はい」
私は短く答えた。
早く元気になってこれからの事をザック達と一緒に考えていかないと。
アルさんの命を助ける事が出来るのはネロさんの薬だ。だが未完成だと言っていた。後一歩の為には、時間が足りないのだと。
時間は早回しする事も戻す事も出来ない。しかし──足りない時間を埋める方法を私は一つだけ知っている。
私はある事を心に決めていた。
再びローストビーフを口いっぱいに頬張った。
「ご飯を食べて、大きなお風呂に入るってさぁ。最高よね」
従業員用の大浴場で両手両足を上げるのはエッバだった。湯船に浸かってすっかりご満悦だ。
「エッバ、それ大胆すぎ。もー全部見えているわよ」
ミラが嫌そうに声を上げるとエッバが慌てて小さくなった。
「だってさぁ私、奴隷商人から香辛料をもらってソルと出来上がってるっていう状態を演じていたから外を出歩けなくて。いつもならザームが経営している湯屋に行くんだけど、それも行けなかったしさ。大きなお風呂が久しぶりなのよ許してよ」
エッバがお湯を肩にかけながらゆっくりと背中を縁に預けた。
「そうだよね。エッバとソルの演技が奴隷商人を騙す切っかけになったって聞いたよ。お手柄だね」
私も湯船に浸かりながらエッバに親指を立てる。
左肩は大きく動かさなければ特に痛みもない。医療魔法って便利だなぁ。包帯とか全くしなくていいし。
「そうよね。そのおかげで奴隷商人がすんなりウツさんの事を信じたのだと、ノアも言っていたわ。エッバの演技が上手かったのね。これがノアだったら騙せていないと思うし」
何気にノアの演技下手についてダメ出しをするマリンだったが、しっかりとエッバを称えた。
「そ、そんな事ないわよ。その後は『ジルの店』に裏町の人間が出入りすると怪しまれるからってトニやリンダ達が、裏町のザームと連携を取っていたって聞いたわ」
照れたエッバが湯船の上でパシャパシャと手を振った。
「私も聞いたわ。普通なら男同士がする様な危ない情報交換をしてくれていたんだってね」
ミラがトニの背中を泡立てた海綿でゴシゴシと洗いながら褒めていた。
「大した事ないわよ。私は裏町出身だからね。裏町に出入りするのは怪しまれないし。私がザームから得た情報をリンダが店に来る軍人達に上手くことづけてたのよ。それで、ザックやカイ大隊長に情報がスムーズに流れたのよね」
ミラに背中を洗われているトニが、リンダの背中を同じ様な海綿で洗っている。
「上手くことづけるなんて、私は店の中で伝達係の軍人に話をしただけよ。でも奴隷商人も『ゴッツの店』が情報交換の起点になっていると思っていなかったみたいね。だって『ジルの店』とライバル店なんだから」
トニに背中を洗われているリンダは、ミラの背中を洗っていた。
三人は円を描いてお互いの背中を洗いながらクスクスと笑っていた。
「そうなんだ。全然気がつかなかった。皆協力してくれたんだね。危ない事だってあったと思うのに。本当にありがとう。それを考えると私だけ暢気に海でオベントウ売りしていただけだなんて」
とても恥ずかしくなってきた。私はブクブクと湯船に口まで浸かった。
「私もだわ。ナツミと二人で奴隷商人に連れ去られちゃうし。おまけに怪我をするし」
マリンが湯船を見つめながら少し震えた。連れ去られ乱暴されそうになった瞬間を思い出したのだろう。
だが、それを阻止する様にエッバが湯船を叩いて私とマリンにお湯をかける。
「プッ」
「ゴフッ」
マリンと私は結構なお湯をかぶって鼻や口から吸い込んでしまった。
「何を言っているのよ。それが一番大役だったんじゃないの! 一歩間違えれば乱暴される立場だったのに。ザックとノアの事を疑わず、私達の事も信じて待つっていうのは一番勇気が必要だったと思うわ」
エッバが細い眉をつり上げてツンと横を向きながら怒った。
「エッバ……」
私が思わず名前を呼ぶと、横を向いた顔が少し動いて私をチラ見する。
「だ、だから! マリンとナツミが一番大変な役まわりだったのよ。もっと胸を張るべきだわ」
頬を赤らめてそっぽを向いてしまうエッバだった。
「うん。ありがとうエッバ」
エッバに勇気づけられマリンが瞳を細めて笑った。
そのマリンの声を聞いて泡を洗い流したミラ、トニ、エッバがザブンと湯船に浸かった。
勢いよくお湯をエッバ、私、マリンが再び頭からかぶってしまう。六人入っても余裕のある大浴場だけれど、勢いよく入ったのでお湯が沢山溢れた。
「もう。ゆっくり入ってよねっ! お湯がもったいない」
エッバがいつもの調子で飛び込んで来た三人にプリプリと文句を言っていた。
「ごめんごめん。だけどさぁ今日はマリンもナツミも怖い目にあったんだから仕方がないわ。そんなに目くじら立てないの。エッバこそ怒りすぎて眉間に皺が増えるわよ」
リンダがエッバの唇の前に人指し指を立てた。
エッバはそのまま仰け反って口を尖らせたが、最後は溜め息をついて「分かったわ皺が増えると困るものね」と答えていた。
「そうよ一番の大役だったんだから。それにしても──これからどうなるのか気になる事ばかりよね」
トニが私の湯船に浸かった手を掴みながら見つめた。赤い瞳が優しく輝いていた。
「心配事ばっかりって疲れるわよね。ねぇねぇ~だからって言うわけじゃないけれども、今日は一晩中ベッドの上でおしゃべりして過ごすってのはどう? 不安を吹き飛ばすぐらいのね。男子禁制だってたまにはいいわよね」
ミラがバンザイをして笑った。
「男子禁制っていいわね。馴染みのない言葉だわ」
エッバが両手を胸の前で組んで笑った。
「ナツミの部屋で話しましょ。そしてザックを締めだしてやるの。きっと軍の会議とかで帰って来るの夜中だろうし。ナツミとマリンの一夜は私達のものよ」
トニも手を叩いて笑った。
「いいわねぇ~私、実はマリンとノアの話も聞いてみたいって思っていたのよ」
リンダが珍しくマリンににじり寄っていた。
「それはいいわね。でもあたしはエッバとソルの話も聞いてみたいんだけど。だって騙す為に恋人同士を装ったんでしょ。ねぇねぇホントは、何かあったりしたんじゃないの?」
ミラがエッバに話を戻した。恋人同士と言う言葉を聞いてトニとリンダが色めき立つ。その発言を聞いたエッバが慌て出す。
「えぇ~あんなガキとは何もないわよ。そもそもそんなわけないじゃん!」
エッバは突然早口になり嫌そうに首を振った。
「えー怪しいわねぇその態度」
「そうそう何かあったと言っている様なものよね」
そう言ってトニとリンダがからかい出す。
わぁわぁと騒ぎ出す四人に私とマリンは顔を見合わせ、たっぷりと無言で見つめ合った。そして最後は吹きだして笑ってしまった。
私とマリンが怖くない様に一緒にいてくれるのだろう。
優しくて心強い女友達に私は満面の笑みで応えた。
私とマリンはダンさんに連れられて『ジルの店』に戻った。戻る最中、裏町の人達皆から声をかけられる。口々に心配してくれる声に温かい気持ちになる。
途中でミラ、エッバ、トニ、リンダと合流する。
顔を見るなり皆が感激したのは言うまでもない。以外と涙もろいのかツンデレ具合が強い二人──エッバとトニがワンワン泣きはじめた。
「ナツミが死んじゃうかと思った」
「崖から落ちるなんて聞いてないわよ」
只でさえ目立つ集団となっているのに、更に皆の注目を浴びながら『ジルの店』に戻る事になった。おかげで声をかけられる回数が増え、帰るまで倍の時間がかかる事になった。
派手に目立ちながら店に戻るとジルさんが出迎えてくれた。何故か増えた面々にジルさんは目を丸めていたが、私とマリンの顔を見たら優しく微笑んでくれた。
「おかえりなさい。ナツミ、マリン」
ジルさんの珍しくも優しい一言に私とマリンは目を丸めて顔を見合わせてしまった。
そして、改めて無事だった事に安堵して思わず気が緩み涙が溢れてきた。
マリンと二人で手をつなぎ、何度もジルさんに頷いた。
「ただいま」
情けない掠れた声になってしまった。
その返事を聞いたジルさんが、私とマリンを同時に抱きしめて背中をさすってくれた。
私達の姿に少し泣き止んだエッバとトニが再び泣きはじめ、更に無言でついてきてくれたミラ、リンダ、ニコも泣きはじめてしまった。
「泣いてばかりだな」
ダンさんが溜め息をついて呆れ両手を上げ『お手上』と表現した。それでも優しく笑っていてくれるダンさんだ。
トニの泣き声を聞いて、店の中から強面の男性が顔を出した。トニとリンダが働いている『ゴッツの店』店主、ゴッツさんだった。
白髪交じりの赤い髪を束ね削がれた右耳を撫でながら優しく笑っていた。
「泣ける時に泣いておく方がいいさ。そうしたら心が救われる」
そう言って扉に背を預けて眩しそうに私達を見つめてくれた。
気がつくと辺りは夕方になっていた。白い石畳が薄く赤い色に染まっていく。
「さて料理人達がナツミとマリンの為に食事を用意して待っているわよ。今日は営業してもこの奴隷商人の騒ぎで客も来やしないわ。私はゴッツと飲みはじめていたのよ。エッバ達もよく頑張ったわね。私の奢りだから、食事をして泊まっていきなさい」
そのジルさんの一言に皆が泣き止み歓声を上げた。
「アルの隠れている場所が、例の水泳教室をした別荘だったなんてね。ノアも自分の家の別荘にいるなんて思いつきもしなかったでしょうに」
ジルさんが向かい側の席に座って足を組むと、グラスに入ったワインを飲み干した。
ネロさんの口から告げられたアルさんの居場所は、何を隠そうザック達と泊まりがけで水泳教室をした別荘だったのだ。
その答えをウツさんのお店で聞いた時は皆が無言になり、その後すぐ大声で「何だって?!」と叫ぶ始末だった。それから病状を聞き出そうとしたが、詳しくは後でという事になってしまった。よい状態ではない事だけがネロさんの表情から伝わってきた。
「そうなんですよ。あの別荘だそうです。使用人であるアルマさんがアルさんの看病をしていたそうです」
私は二皿目のパスタを平らげ、レモン水で喉を潤した。
「言われてみれば別荘に行った時にアルマさんがアルさんが『訪れた』と言っていたわね」
マリンも隣で白身魚のマリネを小皿に取りながらポンと手を叩いていた。
「確かに。お母さんの命日でアルさんとオーガさんが一緒に来たって言っていたわね。その話から推測するに随分前から何回か別荘に出入りしていた可能性があるわよね。分からないものね」
ミラもお肉を切り分けていたナイフの動きを止め分析していた。
アルマさんは基本的に別荘の掃除や管理をしている領主に仕える使用人だ。ノアの事を『坊ちゃん』と呼ぶが、祖母のような存在だと言っていた。別荘に水泳の練習をしに行った時、食事や身の回りのお世話をしてくれた。アルマさんの焼いたパンがとても美味しく印象的だった。そう言えばザックを竹箒で叩いていたっけ。
アルマさんはノアのお母さんのお世話をする為やって来た使用人だった。ノアのお母さんが亡くなった後も、ずっとノアの世話をする為に別荘に留まっていた。
今は死病に冒され倒れたアルさんの看病をしているとは。
アルマさんもアルさんが幼い頃に傷つき育った事を知っている一人だから、アルさんの事を思って看病をしていたのだろうか。
そしてアルさんと共に女性が別荘でアルマさんの手伝いをしているそうだ。
女性の名はオーガさんと言う。
実は私にマリンとザックが昔関係していた事を告げたのもオーガさんだった。『ジルの店』と同じ公的宿屋兼酒場である『オーガの店』で店長をしていたオーガさんは、アルさんと深い関係だった。恋人同士と呼べるのかどうかは本人達しか分からない。
病気に蝕まれていくアルさんを支えていて、アルさんの悪事にも加担していた。オーガさんは利用していた人間が捕まると、自分達の事を軍にばらしたりしない様に毒殺していたのだろうとネロさんが推測していた。知識がないと取り扱えない珍しい薬を用いていたから、オーガさんのはずだとネロさんが分析していた。
「オーガはね、女だけど呪いや暗示といった魔法が得意なのよ。男だったらチヤホヤされてもしかしたら軍人の一人だったかもね。だけど、魔法が使えても女と言う事で異端児扱いされ、世間からつまはじきにされて生きてきたと言っていたわ。私の真似ばかりしていたのは、私と似ていると思ったのでしょうね」
ジルさんは空になったワイングラスの縁を指で触れていた。
異端児扱いか。ジルさんもまわりにそんな風に思われてきたのだろうか。
オーガさんは同じ様に辛い目に遭い生きてきたアルさんと気が合ったのだろう。私はそんな事を感じてしまった。
「アルさんとオーガさんという人を『ファルの町』が、世の中が生み出したと言えるのかもしれませんね」
ニコが私の前に取り分けたローストビーフとマッシュポテトを盛り付けたお皿を差し出してくれた。
何気なくポツリと呟いたニコの言葉に、ジルさんがゆっくりと首を左右に振った。
「つまはじきにされてもそれが何だって言うのよ。自分は自分なのよ。他人を傷つけて好き勝手していい事にはならないわよ」
ワインを自らのグラスに注ぐ。そのワインボトルをヒョイと隣で取り上げたのはジルさんと同じ公的宿屋兼酒場の『ゴッツの店』店主のゴッツさんだった。白髪交じりの赤い髪を後ろで一つに縛り、削がれた右耳を晒して呆れた声を上げる。
「海賊で好き勝手していたヤツが言う台詞かよ。ジルだって昔は大暴れしていただろ」
取り上げたワインをゴッツさんは自分のグラスに注いでいた。最後の一滴までグラスに注ぐ。
「奴隷上がりの大物盗賊ゴッツに言われたくないわよ。あんただって私と似たり寄ったりのくせに」
フンとジルさんが鼻息を荒くして呟いていた。
ジルさんもゴッツさんも、壁にぶつかりながら生きてきた人間として思うところがあるのだろう。壁にぶつかっても、目の前の二人はオーガさんとは事なり、辛くても強く生きる道を歩んでいる。
「これからどうなるんでしょうね」
私は誰に尋ねる事なく呟くと、目の前にある山盛ローストビーフをパクリと一切れ食べた。
アルさんの病状はどうなのかな。助かる見込みはないのかな。
助かったとして、アルさんやオーガさんはどうやって罪を償うのか。
奴隷商人達も精神的にも肉体的にも傷ついているのに、罪を償えるのかな。
そして、最後に一つ気になる事がある。
カイ大隊長とレオ大隊長が動いているけれども、今回の件は領主の耳に入っているのだろうか。入っているとしたら領主はどう思っているのだろう。だって自分の息子が諸悪の根元なのだ。ショックを受けるに違いない。
ひとまずザック達が戻って来てから話を聞くしかなさそうだ。と言うか、話してもらえるのかな。意外とトップシークレットの出来事だよねこれって。
私は足りない頭でグルグルと考え、次から次へと忙しなく口を動かす。やけに周りの皆が静かになったので思わず私は顔を上げる。
気がつくと一緒にテーブルを囲んでいるジルさん、ゴッツさん、エッバ、トニ、リンダ、マリン、ミラ、ニコが私をじっと見つめていた。何事かと思い、無意識に食べ続けていたローストビーフの咀嚼を終え喉を動かして飲み込む。私は皆を見渡して首を傾げた。
「どうしたのみんな?」
「どうしたと言うか、ナツミが凄い勢いで次から次へと食べていくから。だってパスタ、二皿食べたのよね?」
私の顔を見ながらエッバがパスタを綺麗にフォークに巻いて目を丸めていた。
「パスタは凄く美味しそうに食べていたし、今度はローストビーフを一心不乱に食べてるし」
トニもまだリゾットがお皿に半分残っている状態で私の顔をマジマジと見ていた。
「山盛りなのにどんどん減っているから。ローストビーフが凄く美味しいの? 私も食べてみようかな。でも、その体の何処にそれだけの量が入っているのかと思って」
リンダも白身魚の香草焼きをお皿に取ったまま驚いていた。
「気持ちのいい喰いっぷりだな。人が喰うのを見るのが気持ちがいいなんて。何だかずっと見ていられる様な気がするな」
ゴッツさんは新しいワインのコルクを開けながら驚いていた。
「今日のナツミの食べっぷりはいいわねぇ。久しぶりに見たわ。ナツミが食べている時の顔を観察すると面白いのよ。どんな味がしているのか大体想像出来るのよね」
ミラがカラカラと笑って隣に座るニコに同意を求めていた。ニコも笑いながら近くのピザに手を伸ばしていた。
「そうなんだよね。ナツミが食べのを見てから、僕はどれを食べるか決めるんだ。さっきナツミが食べて目を丸めていた四種類のチーズのピザにしようかな。あっこれ蜂蜜がかかってる」
「なるほど。確かにこれだけ食事が並んでいると全部は食べられないものね。私もそのピザにしようっと」
エッバがピザに手を伸ばしていた。
それから各々「酸っぱそうな顔をしていた」とか「ニッコリ笑っていた」と言いながら次々食事に手を伸ばしていく。
「だから私の顔を見て何を食べるか決めなくてもいいのに」
私はフォークを囓り改めて恥ずかしくなった。
私がよく食べているのはこの傷のせいだ。先ほど医療魔法を施してもらった時、ネロさんが言っていた。
「ナツミは、ここ三日ぐらいはお腹が減ったり眠くなったりを繰り返すと思う。それは無意識に自己修復をしているからだ。自分自身に医療魔法をかけているんだ。僕達が施す治療はその手助けをするだけだ。普通なら一、二週間かかる治療が三日か四日ぐらいで終わると思う。ほら墨を入れたぐらいはっきりとしていた魔法陣が薄墨になっている。この魔法陣が消えたら完全完治だからね」
私の叩かれた右の頬と左の肩に大きく入っている円上の魔法陣は、マリンが顎から首にかけて施された傷の上に描かれている魔法陣と色が違う。マリンの魔法陣はまだ黒いのに私の施されたものは薄墨になりつつある。
「沢山食べて早く元気にならないとね?」
私が恥ずかしそうにしているのが分かったマリンは、肘で私をついて微笑んだ。私の医療魔法が発動している事を知っているので助け船のつもりなのだろう。
「そうよね。大食いなのも早く治るならいいわよ。多分これから忙しくなるのだから」
ジルさんが軽くウインクしてくれた。
「……はい」
私は短く答えた。
早く元気になってこれからの事をザック達と一緒に考えていかないと。
アルさんの命を助ける事が出来るのはネロさんの薬だ。だが未完成だと言っていた。後一歩の為には、時間が足りないのだと。
時間は早回しする事も戻す事も出来ない。しかし──足りない時間を埋める方法を私は一つだけ知っている。
私はある事を心に決めていた。
再びローストビーフを口いっぱいに頬張った。
「ご飯を食べて、大きなお風呂に入るってさぁ。最高よね」
従業員用の大浴場で両手両足を上げるのはエッバだった。湯船に浸かってすっかりご満悦だ。
「エッバ、それ大胆すぎ。もー全部見えているわよ」
ミラが嫌そうに声を上げるとエッバが慌てて小さくなった。
「だってさぁ私、奴隷商人から香辛料をもらってソルと出来上がってるっていう状態を演じていたから外を出歩けなくて。いつもならザームが経営している湯屋に行くんだけど、それも行けなかったしさ。大きなお風呂が久しぶりなのよ許してよ」
エッバがお湯を肩にかけながらゆっくりと背中を縁に預けた。
「そうだよね。エッバとソルの演技が奴隷商人を騙す切っかけになったって聞いたよ。お手柄だね」
私も湯船に浸かりながらエッバに親指を立てる。
左肩は大きく動かさなければ特に痛みもない。医療魔法って便利だなぁ。包帯とか全くしなくていいし。
「そうよね。そのおかげで奴隷商人がすんなりウツさんの事を信じたのだと、ノアも言っていたわ。エッバの演技が上手かったのね。これがノアだったら騙せていないと思うし」
何気にノアの演技下手についてダメ出しをするマリンだったが、しっかりとエッバを称えた。
「そ、そんな事ないわよ。その後は『ジルの店』に裏町の人間が出入りすると怪しまれるからってトニやリンダ達が、裏町のザームと連携を取っていたって聞いたわ」
照れたエッバが湯船の上でパシャパシャと手を振った。
「私も聞いたわ。普通なら男同士がする様な危ない情報交換をしてくれていたんだってね」
ミラがトニの背中を泡立てた海綿でゴシゴシと洗いながら褒めていた。
「大した事ないわよ。私は裏町出身だからね。裏町に出入りするのは怪しまれないし。私がザームから得た情報をリンダが店に来る軍人達に上手くことづけてたのよ。それで、ザックやカイ大隊長に情報がスムーズに流れたのよね」
ミラに背中を洗われているトニが、リンダの背中を同じ様な海綿で洗っている。
「上手くことづけるなんて、私は店の中で伝達係の軍人に話をしただけよ。でも奴隷商人も『ゴッツの店』が情報交換の起点になっていると思っていなかったみたいね。だって『ジルの店』とライバル店なんだから」
トニに背中を洗われているリンダは、ミラの背中を洗っていた。
三人は円を描いてお互いの背中を洗いながらクスクスと笑っていた。
「そうなんだ。全然気がつかなかった。皆協力してくれたんだね。危ない事だってあったと思うのに。本当にありがとう。それを考えると私だけ暢気に海でオベントウ売りしていただけだなんて」
とても恥ずかしくなってきた。私はブクブクと湯船に口まで浸かった。
「私もだわ。ナツミと二人で奴隷商人に連れ去られちゃうし。おまけに怪我をするし」
マリンが湯船を見つめながら少し震えた。連れ去られ乱暴されそうになった瞬間を思い出したのだろう。
だが、それを阻止する様にエッバが湯船を叩いて私とマリンにお湯をかける。
「プッ」
「ゴフッ」
マリンと私は結構なお湯をかぶって鼻や口から吸い込んでしまった。
「何を言っているのよ。それが一番大役だったんじゃないの! 一歩間違えれば乱暴される立場だったのに。ザックとノアの事を疑わず、私達の事も信じて待つっていうのは一番勇気が必要だったと思うわ」
エッバが細い眉をつり上げてツンと横を向きながら怒った。
「エッバ……」
私が思わず名前を呼ぶと、横を向いた顔が少し動いて私をチラ見する。
「だ、だから! マリンとナツミが一番大変な役まわりだったのよ。もっと胸を張るべきだわ」
頬を赤らめてそっぽを向いてしまうエッバだった。
「うん。ありがとうエッバ」
エッバに勇気づけられマリンが瞳を細めて笑った。
そのマリンの声を聞いて泡を洗い流したミラ、トニ、エッバがザブンと湯船に浸かった。
勢いよくお湯をエッバ、私、マリンが再び頭からかぶってしまう。六人入っても余裕のある大浴場だけれど、勢いよく入ったのでお湯が沢山溢れた。
「もう。ゆっくり入ってよねっ! お湯がもったいない」
エッバがいつもの調子で飛び込んで来た三人にプリプリと文句を言っていた。
「ごめんごめん。だけどさぁ今日はマリンもナツミも怖い目にあったんだから仕方がないわ。そんなに目くじら立てないの。エッバこそ怒りすぎて眉間に皺が増えるわよ」
リンダがエッバの唇の前に人指し指を立てた。
エッバはそのまま仰け反って口を尖らせたが、最後は溜め息をついて「分かったわ皺が増えると困るものね」と答えていた。
「そうよ一番の大役だったんだから。それにしても──これからどうなるのか気になる事ばかりよね」
トニが私の湯船に浸かった手を掴みながら見つめた。赤い瞳が優しく輝いていた。
「心配事ばっかりって疲れるわよね。ねぇねぇ~だからって言うわけじゃないけれども、今日は一晩中ベッドの上でおしゃべりして過ごすってのはどう? 不安を吹き飛ばすぐらいのね。男子禁制だってたまにはいいわよね」
ミラがバンザイをして笑った。
「男子禁制っていいわね。馴染みのない言葉だわ」
エッバが両手を胸の前で組んで笑った。
「ナツミの部屋で話しましょ。そしてザックを締めだしてやるの。きっと軍の会議とかで帰って来るの夜中だろうし。ナツミとマリンの一夜は私達のものよ」
トニも手を叩いて笑った。
「いいわねぇ~私、実はマリンとノアの話も聞いてみたいって思っていたのよ」
リンダが珍しくマリンににじり寄っていた。
「それはいいわね。でもあたしはエッバとソルの話も聞いてみたいんだけど。だって騙す為に恋人同士を装ったんでしょ。ねぇねぇホントは、何かあったりしたんじゃないの?」
ミラがエッバに話を戻した。恋人同士と言う言葉を聞いてトニとリンダが色めき立つ。その発言を聞いたエッバが慌て出す。
「えぇ~あんなガキとは何もないわよ。そもそもそんなわけないじゃん!」
エッバは突然早口になり嫌そうに首を振った。
「えー怪しいわねぇその態度」
「そうそう何かあったと言っている様なものよね」
そう言ってトニとリンダがからかい出す。
わぁわぁと騒ぎ出す四人に私とマリンは顔を見合わせ、たっぷりと無言で見つめ合った。そして最後は吹きだして笑ってしまった。
私とマリンが怖くない様に一緒にいてくれるのだろう。
優しくて心強い女友達に私は満面の笑みで応えた。
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