【R18】ライフセーバー異世界へ

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088 たくさん泣いた日 その1

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 ザック達がオベントウを販売する為の移動式売店の制作に取りかかって数日。『ファルの町』には短い雨季が訪れていた。
 移動式店舗はザック、ノア、シン、そして設計図を描いたネロに料理人のダンさんも加わり様々な壁にぶつかっていた。
「重さに耐えられる様、強化するのは車軸だけではなく車輪も必要だな」
「商品の見栄えが良くなる様、並べる部分を段にするべきだ」
「オベントウはおにぎり以外を並べるかもしれない」
 等々。
 毎晩ベッドの上で私にザックが子守歌代わりに報告してくれる。つまり、想定する事が意外と多くて難航している様だった。


 また、ミラの水着制作も新作の女性用水着の他に、男性用水着という課題を自ら増やした事で時間がかかっていた。とは言うものの、ジルさんから予算を獲得したのでミラは喜び、創作意欲は燃えに燃え寝食を忘れる程没頭していた。
「素材をネロさんが新たに開発してくれたの! この素材ならナツミが持っていた『みずぎ』に近づけるから泳ぐ時にも気にならないし。それに色んな形を作る事が出来るからもう楽しくて!」
 目をキラキラと輝かせて私とミラの手を取った。
「新作『みずぎ』着てもらうからねっ! そこ、ニコも逃げないで!」
 抜き足差し足で逃げようとしたニコの後ろ姿にも声を上げる。ニコが小さく震えていたのは言うまでもない。
 しかし張りきっているミラも、夜はお店ではいつもの様に踊り、歌い、訪れた男性客を楽しませる。それだけよく働くものだと感心していたが、先日とうとう風邪をひいてしまった。早く元気なミラに戻って欲しいが夏風邪はかなり厄介で三日ほど寝込んでいる。

 次に、ダンさんのおにぎりだが、これまたどうやって携帯させるかについてダンさんが考え込んで無言になる事が多かった。おにぎりが基本冷えている事を含めて、おいしそうに見せるというのが一つの課題でもあった。『ジルの店』のシェフでもあるダンさんは試行錯誤に没頭していた。お陰で私のお昼はパンやパスタではなくおにぎりになる事が多かった。

 と言う訳で、ファルの町が短い雨季に突入したと同時に『ジルの店』でも新たなチャレンジに向けてそれぞれが壁にぶつかっている状況だった。
 あと一週間程度で半月ほどの短い雨季が終わる。それと同時にオベントウ大作戦を開始したいところだ。
 ジルさんのカンでは『ファルの町』でなりを潜めている凶暴な奴隷商人も、雨季明けに活動を始めるのではないかと言っていたからだ。



 私はと言うとミラがダウンした事で、彼女の雑務を肩代わりする事が多くなり、多忙を極め、ザックとコミュニケーションやスキンシップを取る時間がなくなっていた。
 つまり、ザックは優しく私を抱きしめて眠りについてくれるが、抱き合う時間を取る事が出来ていなかった。私が気がついたら寝ているという状態だからだ。

 私は、ザックにマリンとの事について尋ねたいと思う反面、聞く機会がなくて何となく安堵しているところもある。何故そんな気持ちになるのかには理由があった。
 私は朝方には悪夢を見て飛び起きるという事態に陥っていたのだ。
 それは、私が『ファルの町』に来る前と同じ、元カレのしゆうとお姉ちゃんであるはるの浮気を知った日から始まった悪夢と同じだった。



「はぁ……」
 肺一杯の空気を吐き出す様に私は溜め息をついた。
 外は雨が降り続けている。午前中は少し晴れていたが、お昼になったらあっという間に鼠色の雲が空を覆い雨が降り始めた。だんだんと激しくなっていく雨音が聞こえる。遠くでゴロゴロと嫌な音まで聞こえる。

 大量に干したシーツを慌てて取り込み難を逃れたが、午後に控えていた洗濯分は室内で干すしかない。使用していない時間泊の部屋で、家具を取り払いシーツ、タオルその他従業員の洋服など干す。部屋の右から左に洗濯を干す為のロープを張り、どんどん干していく。部屋は魔法石を使っての完全空量管理の為カラッと乾く様に調整さている。

 乾燥室となった部屋で、一人黙々と洗濯を干し続ける。

 実は寝不足で目の辺りがショボショボする。乾燥している部屋にいるせいでもあるのだが、最近の夢見の悪さと言ったらないのだ。
 例のお姉ちゃんの部屋である春見の部屋を開ける夢だ。マリンとザックが派手に私の前でキスシーンを披露した夢を見た翌日からずっと見続けている。しかも毎回内容が少しずつ違うのだ。

 その一、ノアとマリンが喧嘩をしていて、最後必ずザックがマリンを慰めるという夢。

 その二、ノアが私に言いより、それを見たマリンがザックに乗り換えるという夢。

 その三、実はマリンはザックに片思いだと言い出し、ザックもそうだと言い出す夢。

 その四、ザックとマリンは遠い昔から体だけの関係を続けているという夢。

 どのパターンも最初は姉の春見と元カレの秋が登場するのに、気がつくと春見がマリンになって、秋がノアになったりザックになったりする。

 しかも日を追うごとに、姉の春見とマリンの境目がなくなってくる。昨日見た最新版の夢では、姉の春見とマリンが美しいお人形さんの様な顔を意地悪く歪めて笑ってこう言った。

「ナツミは良いわよね皆から好かれて。羨ましくて仕方ないの」
 何が良いものか。私こそあなた達が羨ましくて仕方ないのに。私がなりたかった女性らしさを持っているのはむしろあなた達なのに。

「だって、秋もノアもザックだって──ナツミが凄いって。大好きだって」
 そんな事はない。秋はお姉ちゃんのところに行ってしまった。
 ノアは良くて私を弟か、犬や猫の様に思っているみたいだし。
 ザックは──ザックだけは私を好きでいてくれているけれど、マリンと関係があるかもしれないし。

「狡い狡い狡いナツミは狡い。水泳だって出来るし面白い提案もするし」
 狡い? 水泳だって選手としては鳴かず飛ばずで就職もまともに出来なかったのに。面白い提案と言うけれど、ファルの町と日本の文化が違うから私の提案が単に珍しいだけだよ。

 私は──私の出来る事を精一杯やっているだけだよ。

「分かってないのはナツミの方。狡いナツミからは、大切なものを一つぐらい貰っても良いわよね?」
 そう言ってお姉ちゃんは秋と、マリンはザックと抱き合った。

 悲鳴を上げて飛び起きる。身の毛がよだつ様な夢。
 隣で眠っているザックが私を抱きしめてくれる。

 凄く苦しい胸が張り裂けそう。それなのに──涙が一つも出ていない。
 どんなに最悪な場面を見ても私は──泣く事すら出来ない。
 ああ。思いっきり泣けたら、自分の気持ちをさらけ出したら楽になるのかな?
 そんな事をザックの腕の中で思う様になっていた。



「よし。これで終わりっと」
 一人で洗濯を干し終わり、ポツリと声を上げる。それから、壁に設置している全身が映る鏡に、自分の姿を映してみる。
「酷い顔」
 目の下にうっすらクマが浮かんでいる。疲れたと感じると余計色が濃くなった様に感じる。私は鏡に映った自分の顔が酷いので無理に笑って見せた。
「気持ちが悪いな一人で笑って」
 気がつくと私の真後ろにノアが立っていた。
「ヒッ! いつの間に」
 私は驚いて振り向いた。ノアが口をへの字にして両腕を組んで立っていた。白いシャツの裾はいつもと違いズボンには入れず出したままだ。「雨の時は蒸すなぁ」と言いながらシャツのボタンをもう一つ大きく開けた。鍛えた胸元がチラリと見える。いい男はこんな着こなしも素敵だ。

「部屋に入る時と、後ろに立った時に名前を呼んだんだぞ? それなのに、ボンヤリして挙げ句の果てに目の下にクマを作った顔で笑われたら気持ち悪いだろ」

 気持ち悪い……確かにそうだが。
 いつもの私なら「酷い」とか口答えするところだが、今はそんな元気もなかった。

「疲れているだけだよ」
 私はノアから視線を逸らし、床を見つめて口を尖らせた。

 夢でうなされている事も説明しにくいし、何よりその夢に登場しているノアの立場も散々なので私はごまかせる様な答えを口にした。

 私の様子にノアが頭上で溜め息をついた。
「お前達なんかあったのか? ザックも溜め息が多かったぞ」
「え?」
 私は意外なノアの言葉に驚いて顔を上げた。
「例の移動式売店があと少しで完成というところで、一部設計図が変更になってな。部品の調整をしているんだが」
 と、ノアは続けた。
「ザックのヤツ。いつもなら器用で間違えないくせに、今日に限って予定にない場所を鋸で切り落としそうになったりしてな。それに、昼は厨房で野菜の千切りって言っているのに、途中でざく切りにしたりさ」
「通りで、昼食の野菜が千切りからざく切りになったと思った」
 私の前ではザックはいつもの通りなのに。そんなに上の空だなんて知らなかった。私は肩をすくめながら心当たりがないか探ってみる。

 私は顎の下に手を添えて考えてみる。
「うーん。ザックとは夜に」
 一日の出来事を二人で話し合うぐらいだ、と説明しようと顔を上げた。しかし、そんな私の顔を見るなりノアは、両手を上に上げるジェスチャーをしながらヤレヤレと声を上げた。
「全くお前達は毎晩抱き合ってんのか。あれほど疲れるなら考えろって言ってやったのに」
「ち、違うよっ。大体、例の倉庫裏以来そういう事はしてない──あっ」
 余計な事を口走ってしまい私は慌てて自分の口を両手で押さえた。私の言葉を聞いてノアは目を丸くした。アイスブルーの瞳がこの上なく大きく見開く。
「へぇ。ザックのヤツ、珍しいな。とうとう早漏から駄目になったか。あとでからかってやろう」
 良い事を聞いたとノアが付け加えた。最近のノアは悪戯っ子の様な笑い方をする様になっていた。

 ごめんねザック余計な事を言ってしまった。駄目になったなんて変な疑惑をかけてしまった。

 私はザックの名誉の為に正直に話をする事にした。
「ザックは……その。やりたいのかもしれない……やりたいと思うんだけど。私が夜ぐっすり眠れなくて。布団に入ると直ぐに眠くなってウトウトするんだけど」

 ザックが大きく張った下半身を私に擦りつけながら抱きしめて、キスを繰り返しながら一日の事を説明してくれるのだが、そんな中私は最悪な事に寝落ちをしてしまう。
 なのに、次の日の朝もザックは嫌な顔一つせず私の事を抱きしめて、悪夢で飛び起きた私の頭と背中を撫でてくれる。

「眠くなるって? 何でだ」
 ノアが首を傾げて私の顔を覗き込む。うっ、そんなに顔を近づけられると整った顔に頬が染まってしまう。私は視線を逸らしながら、思わずポロリと本当の事を言ってしまう。
「実はここ最近、朝日が昇る前におかしな夢を見てね。朝方まで眠れない状態になっていて。私が寝不足になっているって言うか」
「え? 大丈夫なのか」
 私の沈んだ声にノアが低い声で呟いた。逸らしていた視線を無理に合わせる為なのか私の顎を掴んだ。顎ではなく顎だ。無理矢理自分の方に向ける。
「い、いひゃい(痛い)」
 結構な力で上に引きあげられる。干した洗濯物の間で私はノアに無理矢理顎を掴まれてつま先立ちになる。
「それでこのクマなのか。しかし、プッ。酷いツラだな」
「ひょんなの(そんなの)、わかってゆ(分かってる)」
 ノアめ。
 無理矢理顔を向かせておいて笑いながら文句を言うなんて酷いよ。
 しかしノアは笑ってから、細い眉を少し垂れると困った様に首を傾げた。
「眠れなくなる程の夢って何だ。心配事か?」
「ひょ、ひょれは(それは)……」
 まさか、マリンとザックが関係をしている夢を毎晩見ていますとは言えず、私は口籠もった。ノアは視線を逸らす私の様子に溜め息をついて、ようやく顎から手を離してくれた。
 つま先立ちから解放されて私は溜め息をついて俯いた。ノアのサンダルを履いた足元が見える。足の指も長くて美しかった。
「ザックに相談したか?」
「それが……」
 出来たらこんなに困っていない。
 そもそも、ザックに相談したいのだが、どのタイミングで話して良いか分からない。
「じゃぁ、俺に話してみるか?」
「え?」
 私は思わず驚いて顔を上げる。思った以上に優しそうに笑うノアが目の前にいた。首を傾げて私の頭に左手を置いて撫でてくれる。
「ナツミには貸しがあるからな、力になるぜ。何だったら間接的にザックに伝えてもいい」
「貸し?」
 ノアが私に貸しを作った様な事があっただろうか? 訳が分からず首を傾げた私にノアはポンポンと頭を叩いた。
「別荘の早朝で……まぁ、分からなければ別に良いさ。さぁ、俺に話してみろよ」
 そう言ってノアは右手を腰に添えて胸を張った。
 何だか子どもが得意げに自慢をする様な様子に私は開いた口がふさがらずポカンと間抜けな顔をしてしまう。
「何だその顔は。俺だって結構いい助言が出来ると思うぜ」
 そう言って右側の口角を上げて鼻息を荒くつく。格好つけているのについていないその姿に私はおかしくなって笑いながら答える。
「ふふ。坊ちゃんのくせに」
「坊ちゃんって……まぁ、坊ちゃんだがな。プッ」
 ノアは私の言葉を聞いてムキになるが直ぐに認めて笑った。素直になったノアは素敵だった。二人でひとしきり笑い合う。それから一息ついて私はノアの顔を真っすぐ見つめて答える。
「ありがとう。ノアにも相談したいけど、やっぱり最初はザックに相談するよ」
 私が真っすぐノアのアイスブルーの瞳を見つめて話す。ノアはもう一度私の頭の上に手を置いて頭を撫でてくれた。
「ザックもそんなナツミの様子が心配なのかもしれないぞ。あいつ結構気を遣うヤツだから、ナツミから話してくれるのを待っているのかもしれない。ちゃんと相談しろよ?」
 撫でながらノアは私の短い髪の毛を混ぜっ返してぐちゃぐちゃにする。
「うん。そうだよね。ザックは優しいからね。えい!」
 私は茶化してノアの脇腹に空手チョップをお見舞いした。ノアはわざと変な顔をして脇腹を押さえるともう一度一緒に笑った。
「さて、一度時間泊の部屋に戻ろうかな。やっぱり仮眠を取らないと夜も忙しいだろうし」
 私は大きく伸びをして一つあくびをした。
「でっかい口だな……そういえばさっきザックも部屋に戻ると言っていたな。丁度いいじゃないか。相談してみろよ」
 ノアが私の口の大きさに驚きながらも気を遣ってくれた。
「うん……分かった。そうしてみるよ」
 私は素直に頷いた。
「じゃぁ、俺も一度部屋に戻って着替えるかな。この部屋微妙に暑いしな」
 そう言ってノアは大きく開いた胸元のシャツをパタパタとさせていた。



 マリンは時間泊の廊下を一人歩いていた。先程からノアのを探しているのだが見つからない。何だか今日に限って凄く不安になる。
 先日も望んだ通り激しくノアに抱かれたばかりなのに。その瞬間だけはノアは自分のものだと実感できた。
 しかし、次の日もその次の日もノアはナツミの話を楽しそうにする。まるでナツミの日記を聞いている様な気がしてきた。

 ナツミと出会った頃は自分からナツミの事を話していたのに。気がついたらノアの方がお喋りになっている。
 そういえばナツミと出会う前のノアとの会話ってどうだったのかしら。余り思い出せないのはそれだけノアが他の女性の話をしていなかったからなのか。

「もっと私の話も聞いて欲しい……」
 マリンは思わず口に出していて驚いて立ち止まる。

 そんな事今まで一度も思った事なかったのに。よく考えたら自分の話を余りしていない事に気がつく。だって自分の話をすると過去の事まで露呈しそうだったから。
 つまり、ノアとつきあいだしてから一番印象に残る話はナツミの事になってしまう。
 自分が取り繕う為に黙っていたのに、会話が増えると嬉しい反面自分の事も聞いて欲しくなるなんて欲張りだ。

「アハハ」
 そこに丁度探していたノアの声が聞こえた。ドアの開いている時間泊の部屋だ。

「ノア!」
 会えた事に嬉しくてマリンは部屋のドアに駆け寄る。部屋を覗くと壁と壁の間にロープを張ってたくさんの洗濯物が干されている。洗濯洗剤の良い香りがする中、背の高いノアの顔が洗濯物の中から見えた。

「ノ」
 もう一度ノアの名前を呼んで駆け寄ろうとした時、ノアの屈託なく少年の様に笑う向かい側に黒髪のナツミがいる事に気がついた。

 ああ、まただ。
 ノアはナツミの前では、ああやって笑う。私の前では──あんな風に笑っている?

 マリンはドアの前で立ちつくして下唇を噛んだ。

 駄目だ、このままじゃ。
 もしノアに、ザックと関係していた事がバレたら。ノアはもっと私から離れていくのでは?


 外で雷が大きく鳴り響き雨がバケツをひっくり返した様に降り始めた。


 そういえばザックはどう思っているのだろう。再会した時から私の素知らぬ態度に何も言わないでいてくれたが。
 やはりザックに改めて口止めをしておくべきではないのだろうか?
「うん……そうしよう」
 マリンは水色のワンピースの裾を翻して今度は、ザックを探しに廊下を早足で歩き始めた。
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