【R18】ライフセーバー異世界へ

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081 カイ大隊長の話

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 カイ大隊長が立ち上がり私を見下ろす。カイ大隊長が動いた瞬間にふわりとジルさんと同じムスクの香りがした。

 確かミラが私に耳打ちして教えてくれた。
「ジルさんはね、軍の最高幹部の一人カイ大隊長と恋人みたいなの。噂だけどね。噂よ!」
 ジルさんに恋人がいる事は理解したが、まさか軍の最高幹部とは思ってもいなくて私は今日一番の大声で驚いたのは夕方前の出来事だ。
 
 私の想像も勝手で、ジルさんは元女海賊だから恋人はアウトローな男性だと想像していたのだ。だがこんなにエリートとは。
 どんな男性なのか全く想像がつかなかったが、本人を目の前にしたら何だか納得してしまった。

 カイ大隊長の強面で迫力のある風貌。海の底の様と表現された瞳の色。私にはとても優しさを感じる。意志を強く持って輝く様子はジルさんと同じだ。

 カイ大隊長の顔をジッと見つめながら色々考えている私の顔がおかしかったのだろうか。カイ大隊長の瞳が優しそうに笑った。
 そして、そのカイ大隊長の様子を見て微笑んだのはジルさんだった。

 二人の微笑む様子を見て、私はどうしてミラが噂と言ったのか私は理解できないでいた。
 どう見たって恋人同士なのに何故『噂』なのだろう。

 まさか! 人に言えない関係とか?
 人に言えない関係とは──カイ大隊長は既婚者?
 それじゃぁジルさんは不倫関係!

 私は悪い方に考えてしまい冷や汗をダラダラとかいた。
 何て事を知ってしまったの! 浮気なんて周囲の人も傷つくだけなのに!

 そうではなくても今日はザックとマリンの過去の関係について疑惑があるのに。

 私が急に気分が落ち込み下唇を噛んで悩んでいると、カイ大隊長が溜め息をついて去ろうとした。しかし、通路側に座っている揉み上げ長めの二重巨人、レオ大隊長が大股を広げて座っている為、通路に出る事も出来ない。
「何だ?」
 行く手を遮るレオ大隊長の真上からカイ大隊長は声を掛ける。
「もう奥に引っ込むつもりか? 早すぎるだろ。もっとナツミと話をしたらいいと思うが」
「俺の様な上官がいては盛り上がる事も出来ないだろう。それに、ナツミは困っている様だ」
 私を一瞥してレオ大隊長に視線を戻す。
「そんな事はないだろう。なぁ、ナツミ」
 レオ大隊長に話を急に振られて私は慌ててテーブルに両手をついて身を乗り出した。
 勢いよく立ち上がったので、隣でザックに殴られて意識を飛ばしているネロさんが再び傾いて椅子から転げ落ちそうになった。それをザックが慌てて支えた。
「わっ、私はよくないと思います!」
「は?」
 カイ大隊長が私の唐突な食いつきに首を傾げた。
「あの! 不貞行為と言うかとかそういうのはっ。どんなに、ファルの町で男性が強くても、そんなの誰も幸せになりません!」
「……不貞?」
「行為?」
 カイ大隊長の次にレオ大隊長が呟く。二人が顔を見合わせて首を傾げる。
「だから! どんなにカイ大隊長が偉くても、ジルさんとの関係はちゃんと諸々を清算してからじゃないと」
「待て待て、ナツミ。何か勘違いしてないか?」
 ザックは椅子から転げ落ちたネロさんを抱き起こし小声で呟く。
 何故小声?
 やはり何か大きな声で言えない理由があるの?
 私は小声のザックに尋ねる。
「勘違いって何?」
「あのなぁ。不貞行為も何も……カイ大隊長は独身だぞ」
「独身って、えぇ?!」
 私は驚いて口を押さえるとカイ大隊長の頭からつま先までを眺めてみてから呆然とした。
 ザックの話は小声だったので、カイ大隊長は私が驚いた理由については伝わらず首を傾げていた。

 私は盛大な勘違いをしていた事に気がついて謝ろうと思うのだが、よく考えなくて発した物言いに気がつき、口の中が一気に乾いてしまった。私は一度口を閉じて何とか口内を湿らせて大声を上げた。
「すみませんでした!」
 慌てて頭を下げるが、ゴン! と、しこたまテーブルにおでこを打ち付けた。
「痛いっ!」
 私は今度は涙目になりながらおでこを押さえフラフラと長椅子に座り込んだ。
「ナ、ナツミ」
 ザックが声を上げて私の方に手を伸ばしてくれた。
 
 もちろん、向かい側に座る大人達は私の大騒ぎに目を丸めていた。



「──それでナツミは俺が既婚者だと思ったのか?」
「はい。それでジルさんと関係があるのはよくないと思って」
 仕方なく私は大騒ぎしたいきさつを話した。もう穴の中に更に穴を掘った墓穴に言い訳も立たず小さくなるしかない。

 カイ大隊長は再び席につくと両腕を組んで俯いた。その隣ではジルさんがキセルをふかしながら横目でカイ大隊長を見つめていた。それも無言だ。
 レオ大隊長は既に私の話を聞いている時から腕を組んだまま俯いている。

 私は軍の中でも最高幹部の偉い人に向かって何て勘違いを……そもそも、最初から「左目がないと思って」等と、大変失礼な事を言っている。いたたまれずに私は首をかくんと垂れる。

 どうしよう。これでザックの軍での仕事に影響があったりしたら。いやいや、その前に私自身どんな罰が与えられるのか。侮辱罪? とか──
 私が一人顔を青ざめた時、私の隣から暢気な声が聞こえて来た。
「そうですか。ナツミさんはカイ大隊長がジルさんと不貞行為に及んでいると思って、そんな関係や止めるようにと伝えようとしたのですね」
 復活したネロさんが例の如く眼鏡のブリッジを上げながらニヤリと笑った。
「ま、毎晩なんて思ってません!」
「いえいえ、否定しなくてもいいんですよ。想像してしまいますよねぇ~ムフフ」
「そ、想像なんて。そんなのしてませんっ」
「そんな顔を真っ青にしてから、直ぐに真っ赤にして言わなくても。可愛いですねぇナツミさんは。ねぇ? ザック」
「ネロ……もう、お前は話を混ぜっ返してややこしくするなよ」
 はぁ、と呆れた声を上げたのはザックだった。
 なのに懲りずにネロさんは続ける。
「混ぜっ返してややこしく等してないです。だって僕も想像してしまいますよ。長年ベールに包まれたカイ大隊長の恋愛事情ですからねぇ。何故かファルの町の住人、当然軍人の仲間、部下ですら聞くに聞けないと言うか。だからナツミさんが早合点したのも分かりますよ。既婚者ならば周囲の人に言えない関係ですよね。まぁ、ファルの町の男性は結構そういうのあけすけですけれども。そもそも、何となくお二人はコソコソしている感じがしますし。それに二人でいるところを見ると、カイ大隊長が睨みつけるんですよねぇ。だからナツミさんもこうやって勘違いしてしまったワケで」
「もう、もう。ネロさん、止めてください」
 ネロさんは息継ぎをしたかと思うと次々に話しはじめ、やたら私の名前を登場させる。私はそこまで言っていないし思っていないのに。

 頼むからネロさんの口を誰か塞いで欲しい。
 私はそう思いながら恐る恐る、向かい側に座る三人の様子を見た。

 すると俯いたままブルブルと肩を震わせていたのは渦中のカイ大隊長だった。
 何故か隣のレオ大隊長もテーブルに振動が伝わるぐらい震えている。

 ああ、怒りの為に震えているのだろうか。
 そう思った矢先、カイ大隊長が腕を組んだまま天を仰いで息を吸い込んだ。

 怒られる! 私は肩を上げて怒鳴られると思い目をきつく閉じた。
 
「フッ。フフ。ハハハッ。あっはっはっ! 何だそれは!」
 カイ大隊長は怒るどころか大きく笑いはじめた。冷徹という言葉で表現していたのだが、雰囲気があっという間に変わった。
 天を仰ぎ左手で傷を負った目を覆い隠して豪快に笑う。震えていたのは怒りからではなく単に笑いをこらえていただけだった。

 続いて「ブハッ」と吹き出してレオ大隊長も笑いはじめる。

 その様子にポカンと口を開けたのは私だけではなく、ザックとネロさんも同じだった。
 
「何で笑うんですか」
 私はワケが分からなくてこの展開について行けず涙目でジルさんを見つめる。ジルさんもキセルの煙がうまくはけず咽せながら笑っていた。
「ゴホッ! ケホッ。だって、勘違いも勘違いでしかも私と不倫だなんて。傑作だわ! もうナツミの勘違いが面白いったら──」
 それから大人達(?)三人組は顔を改めて見合わせてもう一度豪快に笑う。
 一番奥の仕切りを設けた個室の席なのに、これだけ笑えば酒場のフロアにいた軍人も気付いた様だ。

「何だ?」
「誰が笑っているんだ」
「聞いた事がない声だな」
「確かに。しかし酷い馬鹿笑いだな」
 とうとう奥の席に向かって群れをなして歩いてきた。もちろん片手には樽形のジョッキを持ち、皆赤い顔をしている。結構酔っ払っている様だ。


「何だザックか。お前ネロと並んで間抜けな顔でって……あっ」
「お、お前そのネロの隣に座っているの黒髪の! 例のザックの恋人か?」
「本当だ。でもよく見るといつもウエイターしている野郎じゃないか。え? もしかしてお前とうとうそっちに目覚めた?」
「いや、待て待てよく見ると結構可愛い顔して……ヒッ!」
 しまったあれほどザックにフロアに出て来ないように言われていたのに。
 結局面が割れてしまった。
 しかし私の姿を見た後、四人目の軍人が手前に座る軍人に気がつき、慌てて後ろに仰け反った。それからドミノ倒しのように次々軍人が腰を抜かすように倒れた。

「「「「カイ大隊長が──」」」」

「どうした?」
 と、次々フロアから軍人や踊り子までもが顔を出した。その中にもちろんネロやシン、そしてマリンもいた。
 そして皆が声を揃えてこう言い放った。

「何だと? カイ大隊長が笑ってる?!」

 どうやら大事件だったらしい。フロアの皆が静まり、ただひたすらカイ大隊長とレオ大隊長、そしてジルさんの笑い声が響いたのだった。



「まさかカイ大隊長が。ジルと二人でいる時にやたら部下を見つめる理由があんな事だったなんてなぁ。拍子抜けだ」
 ザックが溜め息をついてジャガイモに似た野菜が入った布袋を奥の方から出してきた。
「ハハ……お茶目なんだねカイ大隊長って」
 私は倉庫の奥の備蓄に問題がないかリストとあわせてチェックをする。
 数はピッタリ合っていた。
「そうだなぁ。冗談は通じるとは思っていたけどさ」
 ザックは布袋を持ち上げて倉庫の入り口に移動させた。

 私は食糧を備蓄している倉庫の中でザックと二人、明日の仕込みの食材を取りに来た。
 以前から中庭の端にあるなぁとは思っていた。
 木造づくりの小屋のはずなのに、特殊な魔法陣を壁・地面・天井に埋め込んでおり中を開けるとひんやりとする。つまり倉庫型の冷蔵及び冷凍庫なのだ。
 手前は野菜等が置いて有る冷蔵庫で、奥の扉を開けると更に冷えている冷凍庫がある。
 魔法って便利……。
 私は倉庫の中で涼みながら先程の出来事を思い出していた。


 散々笑った後、ようやく冷静を取り戻したカイ大隊長は話しはじめる。
「はぁ。笑った。そんな風に思われていたとは。それで部下は何も聞いてこなかったのか」
「いや、それはナツミの勘違いなのですが」
 ザックが軍人や店の踊り子が見守る中、私単独の勘違いだった事を説明してくれた。私の不倫説に軍人達皆が目を丸めるが、ノアだけが不謹慎にも吹き出していた。
 それにつられてカイ大隊長がもう一度傑作だったと笑う。
「ハハ。そうか、俺はジルとの関係を部下に説明しようと考えていたが、突然話をするのもおかしいと考えていてな」
「はぁ。まぁ、確かにそうですね」
 ザックも突然話を振られたとしても、ああそうですか。としか言いようがないかもしれない。
「ジルと二人いるのを見かけた部下に、ジッと見つめて質問される事を待っていたのだが、誰も尋ねてもらえなかったのでな」
 そう言いながらカイ大隊長は冷えたココを一口飲んだ。

 その瞬間、群がった軍人達が一生に息を呑んだ。

 ”あれは尋ねて欲しくて見つめていたのか?! 睨んでいたのだとばかり思っていた! ”

 軍人皆が思った事について「分かる分かる」と頷くノアとザック、そしてシンだった。

「それって何年間も話せなかったのですよねぇ? いやぁ、ナツミさん大手柄ですね。こうやって皆に披露できる機会を設けてくれたワケですし」
 何故かのどかな雰囲気でネロさんが和みながら話す。

「そ、そうでしょうか」
 一歩間違えたら大惨事としか言いようがないのだが。
 
「この機会に話す事が出来てよかった。ジルと俺は十年来の付き合いだ」
 カイ大隊長はそう呟いてジルさんの肩を抱き寄せた。ジルさんも笑いながらカイ大隊長の肩に頭をコツンと置いた。
 
 それを見た瞬間軍人達がわっと声を上げて騒ぎ出す。

「凄ぇ! ファルの町、史上最強のカップルだ!」
「俺達の上司は最強だぜ!」
「何をっ! レオ大隊長だってなぁ~」
 そうして異常な盛り上がりをみせ、カイ大隊長とジルさんを皆がはやし立てた。
 それからいい加減酔っ払っている軍人達は樽形のジョッキを天に掲げて乾杯をはじめる。
「それより! やっぱりここは勇気を持って尋ねたナツミの凄さだろう!」
「え」
 いきなり話を振られて私は固まってしまう。
「そうだぜ! やっぱりザックの恋人は凄ぇな」
「そうさ、誰も聞けなかった事が今日は解決でスッキリしたぜ!」
 それから皆が私に向かって樽形のジョッキを上げる。
「じゃぁ、全てを祝して最後の乾杯だ!」

 ”カンパーイ”

 そう大声を上げて軍人達が一気にビールを煽りはじめたら、フロアは軍人達の声に包まれ大騒ぎとなった。



「そろそろ宴会も終わりだろ。やっと解放されるぜ。色んな事があったけど俺はナツミの発言には流石に度肝を抜かれたぞ」
 ザックが笑いながら呟いて肩がこったと腕をぐるりと回していた。
 それは「不倫」発言の事だろう。
「い、言わないでよ。恥ずかしい……」
 私はそう言いながらブルリと倉庫の冷気に震えて両腕を抱きしめた。少し冷えてきたかなぁ。

 体も頭も冷えてくると色々な事が思い出された。
 カイ大隊長とジルさんの恋人話はもちろん、医療魔法の件でしょ。
 ああ。そして、ザックとマリンの関係についても。

 今聞くべきなのか? 
 私はどう切り出していいか分からず、ザックの方を振り返る。
 するとドアの側に立っていたザックが気がつくと私の真後ろになっていた。
「どうした寒いか?」
 そう言ってザックが両手で私の頬を包んだ。温かい大きな手が私の頬を包んだ。
「うーん。涼しくていいけど寒くなってきたかな」
 汗をかいているせいかその分熱が奪われるのが早い。
 私とザックの両側には背の高い棚が立ち並ぶ。棚には色々な野菜が布袋に入って、並んでいる。確かチーズが保管されている棚もあったか。
 色々な事を考えながら私はザックにどう切り出していいのか分からず困り顔でザックを見上げる。
 ザックは首を傾げて見つめて、ゆっくり顔を傾け優しくキスを唇に落とす。直ぐに離れると囁くように耳元で呟いた。
 低くて艶のある声は直ぐに腰砕けになりそうだ。
「やっと二人きりになれたのに残念だ……このままだとナツミが風邪を引いてしまうよな。分かっているけど、もう少しだけ……」
 そう言ってもう一度キスをしてきた。今度のキスはザックが深く繋がろうとするキスだった。
「んっ」
「は……」
 お互いのだ液を吸いあげるようにして深くキスを繰り返す。上顎をザックの肉厚な舌で舐められる。瞬時に肌が粟立つ。気持ちいい様な、震える様な不思議な感覚。
 喉の奥がヒュッと息が詰まり、お腹の奥が熱くなってくる。

 私はつま先立ちになり必死にザックのキスに応える。私の頬に添えられた両手は気がつくと私の背中に回されていて引きあげるように抱きしめられる。

 ああ。とても気持ちがいい。
 体温を分け合う行為ってこんなに気持ちがいい。
 
 ここは食糧倉庫なのだからこれ以上の事に及ぶのはとても抵抗がある。
 なのに──ザックとマリンの話を聞いてから心がざわめいているせいなのか中々止める事が出来ない。
 だってこの瞬間はザックの気持ちが私にだけ向いているのだと感じるから。
 
 私はザックへの気持ち貫くしかないって考えながら、思いながら。
 こうやってザックから優しいキスをもらえると、抵抗が出来ない自分の弱さに情けなくなった。

 トニをはじめとするザックの周りにいた女性達も、いつか他の女性のところに行ってしまうザックを独り占めしたくて、こうやって体を差し出していたのだろう。

 私は胸が切なくなった時だった。
 ザックの体が強張った。そして深く繋がっていたキスを弾けるように中断した。
 私の両肩を大きな手で握ると木造倉庫の壁に私を押し付けた。
「え?」
 私はワケが分からず呟く。
 ザックは私の両肩をきつく握りしめて低い声で呟いた。

「何でナツミから、薔薇の香りが……ノアの香りがするんだ」
 見上げるとザックの瞳がスッと細くなって私の瞳を突き刺すように見つめていた。
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