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045 温泉の考え方が変わりました
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別荘の裏口から出ると森林が迫っていた。しかし見ると一人なら通る事が出来る小道がある。ザックに手を引かれたままその道を歩く事三分。
小道が広く開けたかと思うと目の前に広がったのは幅一メートルほどの小川が流れる畔だった。しかし、見た事のない風景が広がっている。
川と言えば上流に行けば行くほどゴツゴツした石があるはずなのに、小川の側には大きな石はない。背の低い草、芝生と呼ぶ方が近いだろうかそれが広がっていた。
その小川に沿う様に大きく窪んだ直径三メートルから五メートル程の池が、大小合わせて10個程並んでいる。
「な、何これ?」
しかも、池を縁取っている岩と言うよりも石は全て丸くツルンとしている。そして、白い色をしていた。後、池はまるで入浴剤で色をつけた様な薄いブルーの色がついている。
「これが言ってた温泉さ。ノア達、領主一家はあまり興味がないみたいで放置されているんだけどな。外で風呂に入るの落ち着かないんだと。ほら見ろ」
ザックが跪いてお湯をすくってみせた。よく見ると水は色がついているだけではなく、パールがかかっていて、月明かりでキラキラしている。
「これが温泉? 本当に大丈夫なの、何だか薬品でも入っているみたいだけど」
「大丈夫さ、ナツミの世界には温泉ないのか?」
「いや、あるけど。もっとこう……違う様な」
近くに火山があったり硫黄臭かったりとかするのだけれど。もしかして温泉の定義が違うのかな?
「言い伝えでは、昔この森に住んでいた魔術師が病気を治す為の実験をした名残なんだとか。ネロが教えてくれたけど、本当かどうかは分からないな」
「なるほど……」
その言い伝えも嘘ではないかもしれない。だって自然のものとは思えない色だから。
私は目の前の湧き出る池に目を見張っていたが、横を見ると早速シャツやズボンを脱いで素っ裸になったザックが立っていた。
「え」
脱ぐの早くないですか? 長身で鍛え抜かれた背中と、腰からお尻にかけてのしなやかな肉付き。そして長い足。さらに月明かりに照らされて、日焼けした肌が光っていて、金髪も輝きを増していた。どれも見惚れる要素しかない。
「ナツミも早く脱げよ。一緒に入ろうぜ」
そう言って一人目の前の池……ではなかった、温泉にドボンと入っていた。
「は、はい……」
私はウットリしながら洋服を脱いでザックの後を追った。
ザックは両腕を縁にある白い石にかけた。そして、胡坐をかいて寛いでいた。うーん、このお湯の中も白い丸くなったツルンとした石だけだ。汚れとかはない様で不思議だ。
私も怖々と湯船に体を沈めザックの隣に座る。ザックは私の肩に手をかけて自分の方に引き寄せると空を見る様に顎でしゃくった。
「凄い。星空!」
雨が降った事もあるからなのか空には満天の星が見えた。月明かりも眩しいがとても綺麗だ。
「ああ、何か色々考えるのがどうでも良くなる様な空だな……」
ザックも同じ様に視線をあげて呟いていた。
お湯加減は温めと言った方がいい。長時間入っている事が出来る。丁度お尻を底につけて座るとお湯の高さが胸の辺りになる。
そして、驚いたのだが人が入ると反応してこの不思議なお湯が、体に小さな気泡を作ってくっついてくる。そして数秒するとジュワッと音を立てて水面にのぼってくる。それを繰り返していく。
「……もしかしてこの気泡が体を綺麗にしてくれるのかな?」
繰り返して泡がついては弾けていく。何か肌に感じる様な事はない。
「ああ、それにほら腕のひっかかれた傷のところも見てみろ」
「わっ。凄い泡だらけ!」
見るとひっかかれた三センチほどの傷が全て泡で塞がれている。しかし痛いわけではない。
「直ぐに治る事はないが、治る事を早めて助けてくれるのさ」
ザックが私の腕を取ってマジマジと傷を見つめていた。
「そうなんだ……」
凄いなぁ。魔術師が病気を治す為に実験したと言うのは本当なのかもしれない。
驚いて隣のザックを見つめると、彼の前髪がお湯で濡れて垂れていた。
その金髪の向こうから彫りの深い濃いグリーンの瞳が見えた。くっきりと分かる二重に少し垂れた瞳、つり上がり気味の眉はよくみると金髪がフサフサしていた。
間近に迫ったザックの顔をジッと見つめる。ザックは何も言わずに観察する様な私の瞳を捕らえて放さない。
「ねぇ。ザックは自分で眉毛を手入れしているの?」
「突然妙な質問をしてくるなぁ。たまに整えないと何故かフサフサ長さが出てくる。爺さんがよく眉毛を伸ばしているの何でかなぁって思っていたけど伸びるんだよな」
視線は逸らさずに私の頬を撫でてきた。太くてゴツゴツした大きな手だ。
「フサフサ……じゃぁ、ヒゲは?」
「ヒゲなぁ、格好良くはやしてみたいんだがあんまり揃って伸びてくれなくてなぁ」
「そうなんだ、じゃぁ──」
今度は右の上腕部に視線を移し、蔦が絡まった様なタトゥーについて聞こうとした。
しかしザックが私の口の前に人差し指を立てて遮る。
「何だか急に質問攻めだなぁ。どうしたんだ」
「だって……」
私は俯いて月明かりが輝かせている湯船を見つめる。不思議な青いお湯に私の顔が映る。
ザックの事が好きだと意識したら、色々知りたくなったから。
思い切って伝えようと口を開こうとした時だった。
「よし! こうしよう。ナツミの質問に答える。その代わり俺の指示するところにキスな」
ザックはそう言うと鼻息を荒くして腕を組んだ。
「えぇ~」
私が不満そうに声をあげるとザックが寂しそうに眉を垂れた。
ああ、その顔。何でもお願いを聞きたくなるからズルい。
「良いじゃないか。キスが出来るし俺の答えも聞けるし、な?」
「指示するところって、変なところにキスしろって指示しないよね?」
「俺の体に変なところはない」
「プッ。何それ」
「なっ。早速やろうぜ。まず俺にまたがれよ」
「え」
笑った私に気をよくしたザックは、両手を差し出して自分にまたがって座り向かい合わせになる様に指示を出す。
抗議をしようと口を開いたが、ザックの顔がニッコリ笑って白い歯を見せていた。
この顔……抵抗するだけ無駄な様だ。
「……分かった」
私は膝立ちで立ちあがると、ザックの両太股をまたぐ様に向かい合わせに座った。
ザックの両肩に手をそれぞれ置き、あまり意味がないと思うが少しだけ距離を取ってみる。
「ふーん。そうくるか。まぁ、いいか。で、質問は何だ?」
ザックは距離を取った事に不満そうに声をあげるが直ぐに気を取り直した。
「質問はね、右腕のタトゥーって何か意味はあるのかなって。確かザックの持っている剣の鞘に描かれている彫り物と似てるよね?」
確かベッドサイドに剣を置く時彫っている絵が似ているなと思っていた。
「そこまで観察していたのか。まぁ、俺の持ち物だっていう印ってかな。このタトゥーを彫った人間じゃないとあの剣の鞘は抜けない」
「そうなの。知らなかった」
そんな仕組みになっていたとは。
「ノアやシンにも同じ様なタトゥーがあるが少しずつ形が違うんだ」
「そうだよね、皆タトゥーがあるから、私は貧民街でグループでも組んでいる時の印かと……」
私は貧民街にもきっとそういうチーム(?)を組んでいるに違いないと考えていたのだ。
「ははっ、何だそりゃ。そんなもんはなかったな。じゃ、1つ答えたぜ、ここにキスな」
私の推測がおかしかったのか、ザックは軽く笑うと自分の右頬を指差した。
良かった、ほっぺたで。
私は体を傾けてザックのほっぺたにチュッと音を立ててキスをした。
うっ。自分からするのって結構照れくさいかも。
「ちゃんとしたから、次の質問しても良い?」
「よし。じゃぁ、次の質問は何だ?」
そんな感じで私は次から次へと質問を重ねていく。
「好きな食べ物は?」
「肉全般。他には魚も好きだな。野菜も喰うし果物も喰う」
「……それじゃぁ全部じゃん」
「だな」
そして今度は鼻の先にキス1つ。
「いつもつけているベルガモットの香水はいつからつけているの?」
「気が付いたら」
「ざっくりな答えだね」
「でも答えたぞ」
そうして今度は左頬にキス1つ。
「そういえばファルの町の人は香水好きだよね~皆結構良い匂い」
「それは質問なのか? 男は特につけるな。自分の匂いが女に移るってのがマナーみたいなもん、イテッ! 殴るなよ」
「コホン、これは質問じゃないのっ」
「チェッ。分かったよ」
ザックは小さく口を尖らせた。
そんな質問を繰り返す。そうして私は少しずつザックという人を知っていく。
誕生日はいつ?
丁度夏が終わる頃さ。
そんなの答えになっていない。
だって何月何日とは聞かれなかったし。
血液型は?
何だそりゃ。ああ、確かネロが何か言っていたかも。でも覚えていない。
私の小さな質問は続いていく。その度にザックの顔の様々な場所にキスを落とす様に指示が飛ぶ。
きっとザックにはつまらない質問だろう。
だけれど私にとっては1つ1つがキラキラ輝いていた。
星空みたいな欠片だった。私の中に少しずつ降り積もっていく。
ザックが好きっていう気持ちに降り積もっていく。
今度は首筋にキスをする様に指示された。
ザックの首筋も凄く綺麗。くっきりとした顎のラインからの太くて長い首。肌はさらりとしているし、今はしっとりとお湯に濡れていてとても色っぽい。男の人に色っぽいっておかしいかな。
その時視線に入ったのはザックの耳タブだった。耳も綺麗な形だ。その綺麗な耳に小さなピアスホールが見えた。
「ザックってピアスをしていたの?」
「穴が見えるか? とっくに塞がったと思ったのにな……」
そう言って左耳を引っぱっていた。確かにピアスホールが開いているかまでは分からない。
「へぇ。そうなんだ。いつ頃?」
「生まれた時にピアスを開ける風習があったんだ」
「どんなピアスをしていたの?」
「俺の瞳と同じグリーンの石さ」
「そうなんだぁ」
日焼けした肌にグリーン石のピアスをしたザック。私はぼんやりと想像してみる。格好良いだろうなぁ。
「じゃぁ、今度はココにキスしてくれ」
「あ、はい。って」
ピアスをした格好良いザックを想像していたが、本物のザックに引き戻された。ザックは自分の唇を指差していた。
「もちろん唇を合わせるだけじゃない。深ーいやつな」
「えぇ~さっきまで軽いキスだったのに」
「今のは質問の回数が多かったから。ほら、早く」
そう言ってザックは目を閉じて口を突き出す。
「わ、分かった……」
私は顔を傾けてゆっくりとザックに近づいた。ザックの金髪から雫が垂れて水面に着地していた。
瞳を閉じたザックの睫は金髪で、それでいて長い。染み1つない精悍な頬に自分の頬をくっつけて唇を合わせる。
合わせるだけでは駄目なんだよね。深いやつって言っていたし。
その割にザックは唇を閉じている。
私はザックの薄い唇を柔らかく噛んだ。ザックはピクッと肩を揺らして口を少し開けてくれた。その隙間に唇を差し入れてみる。恐る恐る差し入れると、奥にザックの肉厚な舌が待ち構えていた。待ち構えるだけではなく、ザックが私の舌を甘く噛もうとする。
私はスルッと抜け出て、少しだけ唇を離す。
そして一度だけ軽く唇にキスをした。次にはザックがゆっくりと口を開けて私の舌を受け入れてくれる。舌を絡め合ってお互いのだ液を吸いあげる。
最後にザックがいつもする様に上顎を舐めあげる。するとザックが湯船につかっているのに大きく体を震わせていた。この部分を舐められると体全体が震える様になるのはザックに教えてもらった1つかも。
そう思って、いつもされている様にザックに返すが、ザックみたいに上手くは進まないたどたどしい動きになった。
「ハァッ」
名残惜しい様にザックから離れると、ザックがゆっくりと瞳を開いて微笑んだ。
「はぁ。エロかった……」
「嘘ばっかり」
少し頬を染めているザックだが、彼にとっては大した事ないはずだ。
「最初に付き合う前約束しただろ? 嘘は言わないって」
ザックがおでこをつき合わせて笑っていた。
そうだ、ザックは嘘は言わないって約束してくれたんだった。
私は嬉しくてザックの首に手を回してお湯の中で密着する。膝立ちだった腰をザックの太股におろしたら、丁度そこはザックの股間で彼の熱い分身がぬるいお湯の中でスクッと勃ちあがっていた。
わっ。凄い、こんなに固いの……
私の股間にも当たるので驚いてザック顔を真正面から見つめる。
「バレたか」
ザックは悪戯がバレた子供が笑う様に微笑んだ。そこでふと思い出した。
「ねぇ。さっき寝ている私に、何をしたの?」
「お? それが知りたかったら今度は俺のお願いを先に聞いて欲しいなぁ」
「何でよ。そんなのズルい」
「だって、それは質問だろ? とても大きな質問なので、今度は答える前に俺のお願いを聞いてくれないと答えない」
「えぇ~」
私は眉を下げてザックを見つめるが、ザックはどうする? と、視線だけで問うてくる。
何をされたか知りたい。しかし、知らなくても良いって事も。
色々悩んでいるとザックが湯船の中で長い指で私の足のつけ根をゆっくりと撫ではじめた。
「あっ、ん。駄目だったら」
節くれ立った太くて長い指が、ぬかるみを見つけると自分の指に塗りつける様に擦った。
「あれ~? お湯とは違う何かがヌルヌルしているのが分かる。もしかして色んなところにキスしながら感じたのか? ナツミ嫌らしい~」
「ち、違うから。これはお湯につかる前からっ、あっ」
しまった! 余計な事喋ってしまった! 慌てて自分の口を手で塞いだが遅かった。
ザックに視線を移すとニヤリと笑った。そして、そのまま、ゆるゆると指を動かして、緩い動きでぷっくり膨れた花芯に触れる。
「そこは、あっ……」
「ココさぁ、すっごくパンパンなんだよ。こんなに膨らませて辛いだろ? 意地張るな。ほら、質問に答えるから俺のお願いを聞いてくれよ……」
そう言いながら、指をゆっくりと動かす。花芯の周辺を円を描いて何周かすると中心をタップしはじめる。
「あっ、ああ」
堪らず膝立ちで立ちあがると、今度はザックの目前に固く尖った胸の頂を晒してしまい、パクッと吸いつかれた。
「チュッ。ここも凄く固いな」
掠れた意地悪な声が響く。
駄目だ。かなわない。この気持ちよさには抗えない。
「わ、分かったよ。お願いを聞くから」
「お、じゃぁ。止める」
「え……止めるの?」
ピタッと動きを止めたザックを思わず怨めしそうに見つめる。これではまた体の中に熱が籠もってしまう。
「俺のお願いを聞いてくれたら、続きをするさ」
「わ、分かった」
あれ? 何だかあべこべになっている様な。
何で私がお願いする側に回っているの?
荒くなった息を整えて、おかしいと考えるが次のザックのセリフに全てが飛んでしまう。
「ここにゆっくり座って」
「えっ」
指差したのは湯船の下の熱くなった杭だった。目が点になり、見つめる事数秒。ザックは自分の分身をピクンと湯船の中で動かしてみせる。
「ナツミが自分に俺のを入れて」
「こんな大きいの、じっ、自分で入れるのっ?」
「大丈夫、大丈夫。いつも入っているだろ。いやぁ、大きいって言ってもらえると興奮するなぁ。ほら、今朝も入れて凄く気持ちよささそうに喘いで、ムグッ」
「分かったから。その気持ちよい話はしなくて良いからっ」
私はザックのほっぺたを両方から挟むと間近で話した。その後にどれだけ私が、気持ちよさそうだったかを声高に話しはじめるのが分かったので、慌てて制止する。
「そうか、じゃぁ、来いよ」
手を引かれ、ゆっくりとザックのツルッとした杭の先を足のつけ根のぬかるんだところに当てる。
「そうそう。それでゆっくりと座って。んっ、はっ」
驚くほど私は湯船の中で濡れほそっていて、大きなぼってりとした先をツルンと飲み込んでいく。しかし、やはり大きいので、ゆっくり腰を落としていく。
ザックも顔をゆがめて私の腰を両手で掴んで挿入を助けてくれる。
「ん、このまま。ほら、もう少しっ。あっ」
ザックが誘導しながら語尾をあげたり息を荒くしている。その様子が珍しくて思わず聞き返す。
「あっ、はぁ。んっ。ザック……痛い?」
「俺は全く痛くないっ。あっ、はぁ。痛いどころが、気持ちよすぎて、もってかれそう……」
顔をゆがめながら苦笑いするザックだった。つり上がり気味の眉が困った様に八の字になっている。
「あっ。私も何か。駄目。ヤダ、どうしよう、これ以上は進めないよぅ」
スルスルと比較的根元に近いところまで挿入できたが、最後に腰を落とす事が出来ない。
だって、ザックの熱い杭が私の中を満たした状態だ。少し体をずらして、擦られるだけで気持ちが良くて嬌声をあげてしまいそうなのだ。
それなのに、私の状況を知ってか知らずかザックがビクビクと中で動く。あんなに大きかったのに。少しずつ大きくなっている様な気がする。
駄目ッ。奥まで突き破る様に腰を落とすとどうなるのか──想像できてしまい、怖くて腰が落とせない。だけれど、戻る事も出来ない。
「こらこら、腰が揺れてる。もう少し根元まで食いついてくれよ。ほらっ、はっ。もうちょっとだ頑張れ、せーの」
ザックはそう言うとグッと私の腰を掴んで落とした。その瞬間目の前に火花が散らばって私はいとも簡単に達してしまった。首と背中を反らせて目を見開いた。
「!!!」
引きつったせいで声が上手く出せなかった。
「っはぁ、入れただけでイッたか? んぅ」
目に涙が溢れてきてコクコクと頷く。見上げるとザックが苦しそうに呻いた。
「こっ、こら。俺のを根元からそんなに絞り上げるなよ。俺だって直ぐにイッてしまう」
「べ、別に絞り上げてない」
「嘘つけ、まだ奥があるのか? はぁ。ヤバかった。俺のを優しく誘う様に締め上げるのな。ナツミってテクニシャン」
「ちゃ、茶化さないでよ」
テクニシャンなわけはない。
それはザックの事を指すはずだ。
「あー。もの凄く気持ちいい。ナツミは肌も吸いつくみたいだし。それに、もちろん中だって、もう少しこのままで……」
ザックはウットリしながら、金髪をかき上げ私の背中に両手を回す。ピッタリと抱き合うと、2人の間には隙間がなくなり1つになった事を実感する。
数秒だったか数分だったか、どれぐらい溶け合おうとしたのか分からないが、私はザックの肩に頭をも垂れかけて気怠げに声をあげた。
「ねぇ、質問は?」
「おっと、そうだった……じゃぁ、答えるから、まずはこうやって」
「ん? あっ」
ザックは私を軽々抱き上げると湯船から立ちあがった。私は抱き上げられた状態で向かい合う足を大きく広げた状態で、嫌と言うほどザックのものが奥まで挿入される。
「あっ、や、ヤダこんなのっ。重いんだから降ろしてよっ! あっ」
いわゆる駅弁と呼ぶスタイルなんじゃ……私は生まれて初めての体位に面食らって降ろしてとお願いしたが、ザックは全く気にせず、私を軽々と揺さぶってきた。
「あっ、嫌ぁっ。奥、深いっ!」
思った以上に奥に突き立てられる。さらに、ゆっくりと揺さぶってくる。先ほど達したばかりの体は敏感であっという間に昇り詰めようとする。振り落とされない様にザックの首に両手を回して必死に抱きつく。
「はっ。いいなぁ。これ。気持ちいい。落ちそうになるからなのか? ナツミの中凄くまとわりついてくるっ。あっ、今キュンってなった」
「実況中継しなくて良いからっあああっ。あっ。ヤダ、駄目ッ。またイッちゃうよっ。駄目ッ、嫌。質問を、聞いてるのにっ!」
言っている事が支離滅裂だ。しかしザックは容赦なく私を確実に責め立てる。
「質問なっ。ナツミが寝てる時、ムラムラしてきて、我慢できなくてこう、抱きしめたり、っ。おっぱいを触ったりしていたらっ、っ」
ザックも息を荒くして所々息を詰めながら突き立てる。段々抽送のスピードが速くなる。
「も、もう何でそんな事、あっ、はぁ」
そういえば夢の中で砂漠を歩いているとフードを目深に被った男に抱きつかれたりした様な。
「ナツミが『ザック助けて』って、呟くから……つい指で、そのかき混ぜたりしたらっ、はぁ。ナツミが突然軽く痙攣して意識がないのにっ、達して俺の指、も、パンツもグショグショに濡れてっ」
確か夢の中で男に抱きしめられたら痙攣して気持ちよくて夢の中でも朦朧とした様な。アレは現実でのザックの仕業だったのね。
だけれどザックは限界が近いのか激しく腰を振って私を揺さぶる。必死にしがみつくが、もう私も限界。今度は先ほど挿入されたものとは比べものにならないうねりがやってくる。
「も、もう! ザックの馬鹿っ。 アーッ、あっあっ。駄目、イクッ。イッちゃうからっ。あっ!!!!」
「!!!」
内太股を震わせて首が仰け反る。大きく叫んで息が止まる。そして目の前が白くなったと思ったら、ザックが私の体の奥で大きく膨らんで弾けたのが分かった。しかし、まだ気持ちよくて私は余韻と言うよりも、飛んでいったまま着地できずにいた。
「あっ。駄目なんかまだガクガクが止まんない」
「んっ。はぁ、分かった、じゃぁ」
ザックは大きく肩で息をしながら、何度も息を吸ったり吐いたりを繰り返している。それからゆっくりと私を温泉の縁にある丸い大きな石に横たえて私の片足を担いだ。
「えっ。あっ。駄目今まだおさまってないからっ。ああああ!!」
ザックはまだ自分の杭を抜かずにゆっくりと抽送を繰り返してきた。
嘘。何でザックは動けるの? 先ほど達したんじゃ。
ザックの体液だろうか抽送を繰り返すごとに凄く大きな水音をあげる。
「あっ、もう、イッてるの、イッてるからっ。もう、止めてよっ。こんなの怖いっあっ。ああ!」
そう言って揺さぶり続けられる。何故だか分からないがザックの熱い杭は先ほどと同じぐらい固くて大きくなり私を責め立てる。擦られる内壁が気持ちよすぎて内側の太股がブルブル震えている。
「ハァッ。俺、ナツミ相手だと直ぐに勃っちまう。俺、壊れたのか? って、ああっ」
ザックも盛大に喘ぎながら覆い被さった私の上でウットリ瞳を細くするとボタボタと大量の汗を雨の様に降らせる。
「あっ、はぁ。んっ」
声が掠れて出なくなってきた、そこでザックが私の奥にある一番弱いところに自分の先端を擦りつけてきた。
「ここ、恐ろしいほど俺も飛ぶんだ。なぁ、一緒に! ッッ」
「!!!」
息が詰まる、息が出来ないっ。駄目ッ。その先なんて何もないよっ。
気持ちいいの言葉の先は何だろう? 痛さにも似た様な何かだけれど。
私はその言葉を知らない。
突然目の前がシャットダウンしたみたいに私は意識を手放した。
小道が広く開けたかと思うと目の前に広がったのは幅一メートルほどの小川が流れる畔だった。しかし、見た事のない風景が広がっている。
川と言えば上流に行けば行くほどゴツゴツした石があるはずなのに、小川の側には大きな石はない。背の低い草、芝生と呼ぶ方が近いだろうかそれが広がっていた。
その小川に沿う様に大きく窪んだ直径三メートルから五メートル程の池が、大小合わせて10個程並んでいる。
「な、何これ?」
しかも、池を縁取っている岩と言うよりも石は全て丸くツルンとしている。そして、白い色をしていた。後、池はまるで入浴剤で色をつけた様な薄いブルーの色がついている。
「これが言ってた温泉さ。ノア達、領主一家はあまり興味がないみたいで放置されているんだけどな。外で風呂に入るの落ち着かないんだと。ほら見ろ」
ザックが跪いてお湯をすくってみせた。よく見ると水は色がついているだけではなく、パールがかかっていて、月明かりでキラキラしている。
「これが温泉? 本当に大丈夫なの、何だか薬品でも入っているみたいだけど」
「大丈夫さ、ナツミの世界には温泉ないのか?」
「いや、あるけど。もっとこう……違う様な」
近くに火山があったり硫黄臭かったりとかするのだけれど。もしかして温泉の定義が違うのかな?
「言い伝えでは、昔この森に住んでいた魔術師が病気を治す為の実験をした名残なんだとか。ネロが教えてくれたけど、本当かどうかは分からないな」
「なるほど……」
その言い伝えも嘘ではないかもしれない。だって自然のものとは思えない色だから。
私は目の前の湧き出る池に目を見張っていたが、横を見ると早速シャツやズボンを脱いで素っ裸になったザックが立っていた。
「え」
脱ぐの早くないですか? 長身で鍛え抜かれた背中と、腰からお尻にかけてのしなやかな肉付き。そして長い足。さらに月明かりに照らされて、日焼けした肌が光っていて、金髪も輝きを増していた。どれも見惚れる要素しかない。
「ナツミも早く脱げよ。一緒に入ろうぜ」
そう言って一人目の前の池……ではなかった、温泉にドボンと入っていた。
「は、はい……」
私はウットリしながら洋服を脱いでザックの後を追った。
ザックは両腕を縁にある白い石にかけた。そして、胡坐をかいて寛いでいた。うーん、このお湯の中も白い丸くなったツルンとした石だけだ。汚れとかはない様で不思議だ。
私も怖々と湯船に体を沈めザックの隣に座る。ザックは私の肩に手をかけて自分の方に引き寄せると空を見る様に顎でしゃくった。
「凄い。星空!」
雨が降った事もあるからなのか空には満天の星が見えた。月明かりも眩しいがとても綺麗だ。
「ああ、何か色々考えるのがどうでも良くなる様な空だな……」
ザックも同じ様に視線をあげて呟いていた。
お湯加減は温めと言った方がいい。長時間入っている事が出来る。丁度お尻を底につけて座るとお湯の高さが胸の辺りになる。
そして、驚いたのだが人が入ると反応してこの不思議なお湯が、体に小さな気泡を作ってくっついてくる。そして数秒するとジュワッと音を立てて水面にのぼってくる。それを繰り返していく。
「……もしかしてこの気泡が体を綺麗にしてくれるのかな?」
繰り返して泡がついては弾けていく。何か肌に感じる様な事はない。
「ああ、それにほら腕のひっかかれた傷のところも見てみろ」
「わっ。凄い泡だらけ!」
見るとひっかかれた三センチほどの傷が全て泡で塞がれている。しかし痛いわけではない。
「直ぐに治る事はないが、治る事を早めて助けてくれるのさ」
ザックが私の腕を取ってマジマジと傷を見つめていた。
「そうなんだ……」
凄いなぁ。魔術師が病気を治す為に実験したと言うのは本当なのかもしれない。
驚いて隣のザックを見つめると、彼の前髪がお湯で濡れて垂れていた。
その金髪の向こうから彫りの深い濃いグリーンの瞳が見えた。くっきりと分かる二重に少し垂れた瞳、つり上がり気味の眉はよくみると金髪がフサフサしていた。
間近に迫ったザックの顔をジッと見つめる。ザックは何も言わずに観察する様な私の瞳を捕らえて放さない。
「ねぇ。ザックは自分で眉毛を手入れしているの?」
「突然妙な質問をしてくるなぁ。たまに整えないと何故かフサフサ長さが出てくる。爺さんがよく眉毛を伸ばしているの何でかなぁって思っていたけど伸びるんだよな」
視線は逸らさずに私の頬を撫でてきた。太くてゴツゴツした大きな手だ。
「フサフサ……じゃぁ、ヒゲは?」
「ヒゲなぁ、格好良くはやしてみたいんだがあんまり揃って伸びてくれなくてなぁ」
「そうなんだ、じゃぁ──」
今度は右の上腕部に視線を移し、蔦が絡まった様なタトゥーについて聞こうとした。
しかしザックが私の口の前に人差し指を立てて遮る。
「何だか急に質問攻めだなぁ。どうしたんだ」
「だって……」
私は俯いて月明かりが輝かせている湯船を見つめる。不思議な青いお湯に私の顔が映る。
ザックの事が好きだと意識したら、色々知りたくなったから。
思い切って伝えようと口を開こうとした時だった。
「よし! こうしよう。ナツミの質問に答える。その代わり俺の指示するところにキスな」
ザックはそう言うと鼻息を荒くして腕を組んだ。
「えぇ~」
私が不満そうに声をあげるとザックが寂しそうに眉を垂れた。
ああ、その顔。何でもお願いを聞きたくなるからズルい。
「良いじゃないか。キスが出来るし俺の答えも聞けるし、な?」
「指示するところって、変なところにキスしろって指示しないよね?」
「俺の体に変なところはない」
「プッ。何それ」
「なっ。早速やろうぜ。まず俺にまたがれよ」
「え」
笑った私に気をよくしたザックは、両手を差し出して自分にまたがって座り向かい合わせになる様に指示を出す。
抗議をしようと口を開いたが、ザックの顔がニッコリ笑って白い歯を見せていた。
この顔……抵抗するだけ無駄な様だ。
「……分かった」
私は膝立ちで立ちあがると、ザックの両太股をまたぐ様に向かい合わせに座った。
ザックの両肩に手をそれぞれ置き、あまり意味がないと思うが少しだけ距離を取ってみる。
「ふーん。そうくるか。まぁ、いいか。で、質問は何だ?」
ザックは距離を取った事に不満そうに声をあげるが直ぐに気を取り直した。
「質問はね、右腕のタトゥーって何か意味はあるのかなって。確かザックの持っている剣の鞘に描かれている彫り物と似てるよね?」
確かベッドサイドに剣を置く時彫っている絵が似ているなと思っていた。
「そこまで観察していたのか。まぁ、俺の持ち物だっていう印ってかな。このタトゥーを彫った人間じゃないとあの剣の鞘は抜けない」
「そうなの。知らなかった」
そんな仕組みになっていたとは。
「ノアやシンにも同じ様なタトゥーがあるが少しずつ形が違うんだ」
「そうだよね、皆タトゥーがあるから、私は貧民街でグループでも組んでいる時の印かと……」
私は貧民街にもきっとそういうチーム(?)を組んでいるに違いないと考えていたのだ。
「ははっ、何だそりゃ。そんなもんはなかったな。じゃ、1つ答えたぜ、ここにキスな」
私の推測がおかしかったのか、ザックは軽く笑うと自分の右頬を指差した。
良かった、ほっぺたで。
私は体を傾けてザックのほっぺたにチュッと音を立ててキスをした。
うっ。自分からするのって結構照れくさいかも。
「ちゃんとしたから、次の質問しても良い?」
「よし。じゃぁ、次の質問は何だ?」
そんな感じで私は次から次へと質問を重ねていく。
「好きな食べ物は?」
「肉全般。他には魚も好きだな。野菜も喰うし果物も喰う」
「……それじゃぁ全部じゃん」
「だな」
そして今度は鼻の先にキス1つ。
「いつもつけているベルガモットの香水はいつからつけているの?」
「気が付いたら」
「ざっくりな答えだね」
「でも答えたぞ」
そうして今度は左頬にキス1つ。
「そういえばファルの町の人は香水好きだよね~皆結構良い匂い」
「それは質問なのか? 男は特につけるな。自分の匂いが女に移るってのがマナーみたいなもん、イテッ! 殴るなよ」
「コホン、これは質問じゃないのっ」
「チェッ。分かったよ」
ザックは小さく口を尖らせた。
そんな質問を繰り返す。そうして私は少しずつザックという人を知っていく。
誕生日はいつ?
丁度夏が終わる頃さ。
そんなの答えになっていない。
だって何月何日とは聞かれなかったし。
血液型は?
何だそりゃ。ああ、確かネロが何か言っていたかも。でも覚えていない。
私の小さな質問は続いていく。その度にザックの顔の様々な場所にキスを落とす様に指示が飛ぶ。
きっとザックにはつまらない質問だろう。
だけれど私にとっては1つ1つがキラキラ輝いていた。
星空みたいな欠片だった。私の中に少しずつ降り積もっていく。
ザックが好きっていう気持ちに降り積もっていく。
今度は首筋にキスをする様に指示された。
ザックの首筋も凄く綺麗。くっきりとした顎のラインからの太くて長い首。肌はさらりとしているし、今はしっとりとお湯に濡れていてとても色っぽい。男の人に色っぽいっておかしいかな。
その時視線に入ったのはザックの耳タブだった。耳も綺麗な形だ。その綺麗な耳に小さなピアスホールが見えた。
「ザックってピアスをしていたの?」
「穴が見えるか? とっくに塞がったと思ったのにな……」
そう言って左耳を引っぱっていた。確かにピアスホールが開いているかまでは分からない。
「へぇ。そうなんだ。いつ頃?」
「生まれた時にピアスを開ける風習があったんだ」
「どんなピアスをしていたの?」
「俺の瞳と同じグリーンの石さ」
「そうなんだぁ」
日焼けした肌にグリーン石のピアスをしたザック。私はぼんやりと想像してみる。格好良いだろうなぁ。
「じゃぁ、今度はココにキスしてくれ」
「あ、はい。って」
ピアスをした格好良いザックを想像していたが、本物のザックに引き戻された。ザックは自分の唇を指差していた。
「もちろん唇を合わせるだけじゃない。深ーいやつな」
「えぇ~さっきまで軽いキスだったのに」
「今のは質問の回数が多かったから。ほら、早く」
そう言ってザックは目を閉じて口を突き出す。
「わ、分かった……」
私は顔を傾けてゆっくりとザックに近づいた。ザックの金髪から雫が垂れて水面に着地していた。
瞳を閉じたザックの睫は金髪で、それでいて長い。染み1つない精悍な頬に自分の頬をくっつけて唇を合わせる。
合わせるだけでは駄目なんだよね。深いやつって言っていたし。
その割にザックは唇を閉じている。
私はザックの薄い唇を柔らかく噛んだ。ザックはピクッと肩を揺らして口を少し開けてくれた。その隙間に唇を差し入れてみる。恐る恐る差し入れると、奥にザックの肉厚な舌が待ち構えていた。待ち構えるだけではなく、ザックが私の舌を甘く噛もうとする。
私はスルッと抜け出て、少しだけ唇を離す。
そして一度だけ軽く唇にキスをした。次にはザックがゆっくりと口を開けて私の舌を受け入れてくれる。舌を絡め合ってお互いのだ液を吸いあげる。
最後にザックがいつもする様に上顎を舐めあげる。するとザックが湯船につかっているのに大きく体を震わせていた。この部分を舐められると体全体が震える様になるのはザックに教えてもらった1つかも。
そう思って、いつもされている様にザックに返すが、ザックみたいに上手くは進まないたどたどしい動きになった。
「ハァッ」
名残惜しい様にザックから離れると、ザックがゆっくりと瞳を開いて微笑んだ。
「はぁ。エロかった……」
「嘘ばっかり」
少し頬を染めているザックだが、彼にとっては大した事ないはずだ。
「最初に付き合う前約束しただろ? 嘘は言わないって」
ザックがおでこをつき合わせて笑っていた。
そうだ、ザックは嘘は言わないって約束してくれたんだった。
私は嬉しくてザックの首に手を回してお湯の中で密着する。膝立ちだった腰をザックの太股におろしたら、丁度そこはザックの股間で彼の熱い分身がぬるいお湯の中でスクッと勃ちあがっていた。
わっ。凄い、こんなに固いの……
私の股間にも当たるので驚いてザック顔を真正面から見つめる。
「バレたか」
ザックは悪戯がバレた子供が笑う様に微笑んだ。そこでふと思い出した。
「ねぇ。さっき寝ている私に、何をしたの?」
「お? それが知りたかったら今度は俺のお願いを先に聞いて欲しいなぁ」
「何でよ。そんなのズルい」
「だって、それは質問だろ? とても大きな質問なので、今度は答える前に俺のお願いを聞いてくれないと答えない」
「えぇ~」
私は眉を下げてザックを見つめるが、ザックはどうする? と、視線だけで問うてくる。
何をされたか知りたい。しかし、知らなくても良いって事も。
色々悩んでいるとザックが湯船の中で長い指で私の足のつけ根をゆっくりと撫ではじめた。
「あっ、ん。駄目だったら」
節くれ立った太くて長い指が、ぬかるみを見つけると自分の指に塗りつける様に擦った。
「あれ~? お湯とは違う何かがヌルヌルしているのが分かる。もしかして色んなところにキスしながら感じたのか? ナツミ嫌らしい~」
「ち、違うから。これはお湯につかる前からっ、あっ」
しまった! 余計な事喋ってしまった! 慌てて自分の口を手で塞いだが遅かった。
ザックに視線を移すとニヤリと笑った。そして、そのまま、ゆるゆると指を動かして、緩い動きでぷっくり膨れた花芯に触れる。
「そこは、あっ……」
「ココさぁ、すっごくパンパンなんだよ。こんなに膨らませて辛いだろ? 意地張るな。ほら、質問に答えるから俺のお願いを聞いてくれよ……」
そう言いながら、指をゆっくりと動かす。花芯の周辺を円を描いて何周かすると中心をタップしはじめる。
「あっ、ああ」
堪らず膝立ちで立ちあがると、今度はザックの目前に固く尖った胸の頂を晒してしまい、パクッと吸いつかれた。
「チュッ。ここも凄く固いな」
掠れた意地悪な声が響く。
駄目だ。かなわない。この気持ちよさには抗えない。
「わ、分かったよ。お願いを聞くから」
「お、じゃぁ。止める」
「え……止めるの?」
ピタッと動きを止めたザックを思わず怨めしそうに見つめる。これではまた体の中に熱が籠もってしまう。
「俺のお願いを聞いてくれたら、続きをするさ」
「わ、分かった」
あれ? 何だかあべこべになっている様な。
何で私がお願いする側に回っているの?
荒くなった息を整えて、おかしいと考えるが次のザックのセリフに全てが飛んでしまう。
「ここにゆっくり座って」
「えっ」
指差したのは湯船の下の熱くなった杭だった。目が点になり、見つめる事数秒。ザックは自分の分身をピクンと湯船の中で動かしてみせる。
「ナツミが自分に俺のを入れて」
「こんな大きいの、じっ、自分で入れるのっ?」
「大丈夫、大丈夫。いつも入っているだろ。いやぁ、大きいって言ってもらえると興奮するなぁ。ほら、今朝も入れて凄く気持ちよささそうに喘いで、ムグッ」
「分かったから。その気持ちよい話はしなくて良いからっ」
私はザックのほっぺたを両方から挟むと間近で話した。その後にどれだけ私が、気持ちよさそうだったかを声高に話しはじめるのが分かったので、慌てて制止する。
「そうか、じゃぁ、来いよ」
手を引かれ、ゆっくりとザックのツルッとした杭の先を足のつけ根のぬかるんだところに当てる。
「そうそう。それでゆっくりと座って。んっ、はっ」
驚くほど私は湯船の中で濡れほそっていて、大きなぼってりとした先をツルンと飲み込んでいく。しかし、やはり大きいので、ゆっくり腰を落としていく。
ザックも顔をゆがめて私の腰を両手で掴んで挿入を助けてくれる。
「ん、このまま。ほら、もう少しっ。あっ」
ザックが誘導しながら語尾をあげたり息を荒くしている。その様子が珍しくて思わず聞き返す。
「あっ、はぁ。んっ。ザック……痛い?」
「俺は全く痛くないっ。あっ、はぁ。痛いどころが、気持ちよすぎて、もってかれそう……」
顔をゆがめながら苦笑いするザックだった。つり上がり気味の眉が困った様に八の字になっている。
「あっ。私も何か。駄目。ヤダ、どうしよう、これ以上は進めないよぅ」
スルスルと比較的根元に近いところまで挿入できたが、最後に腰を落とす事が出来ない。
だって、ザックの熱い杭が私の中を満たした状態だ。少し体をずらして、擦られるだけで気持ちが良くて嬌声をあげてしまいそうなのだ。
それなのに、私の状況を知ってか知らずかザックがビクビクと中で動く。あんなに大きかったのに。少しずつ大きくなっている様な気がする。
駄目ッ。奥まで突き破る様に腰を落とすとどうなるのか──想像できてしまい、怖くて腰が落とせない。だけれど、戻る事も出来ない。
「こらこら、腰が揺れてる。もう少し根元まで食いついてくれよ。ほらっ、はっ。もうちょっとだ頑張れ、せーの」
ザックはそう言うとグッと私の腰を掴んで落とした。その瞬間目の前に火花が散らばって私はいとも簡単に達してしまった。首と背中を反らせて目を見開いた。
「!!!」
引きつったせいで声が上手く出せなかった。
「っはぁ、入れただけでイッたか? んぅ」
目に涙が溢れてきてコクコクと頷く。見上げるとザックが苦しそうに呻いた。
「こっ、こら。俺のを根元からそんなに絞り上げるなよ。俺だって直ぐにイッてしまう」
「べ、別に絞り上げてない」
「嘘つけ、まだ奥があるのか? はぁ。ヤバかった。俺のを優しく誘う様に締め上げるのな。ナツミってテクニシャン」
「ちゃ、茶化さないでよ」
テクニシャンなわけはない。
それはザックの事を指すはずだ。
「あー。もの凄く気持ちいい。ナツミは肌も吸いつくみたいだし。それに、もちろん中だって、もう少しこのままで……」
ザックはウットリしながら、金髪をかき上げ私の背中に両手を回す。ピッタリと抱き合うと、2人の間には隙間がなくなり1つになった事を実感する。
数秒だったか数分だったか、どれぐらい溶け合おうとしたのか分からないが、私はザックの肩に頭をも垂れかけて気怠げに声をあげた。
「ねぇ、質問は?」
「おっと、そうだった……じゃぁ、答えるから、まずはこうやって」
「ん? あっ」
ザックは私を軽々抱き上げると湯船から立ちあがった。私は抱き上げられた状態で向かい合う足を大きく広げた状態で、嫌と言うほどザックのものが奥まで挿入される。
「あっ、や、ヤダこんなのっ。重いんだから降ろしてよっ! あっ」
いわゆる駅弁と呼ぶスタイルなんじゃ……私は生まれて初めての体位に面食らって降ろしてとお願いしたが、ザックは全く気にせず、私を軽々と揺さぶってきた。
「あっ、嫌ぁっ。奥、深いっ!」
思った以上に奥に突き立てられる。さらに、ゆっくりと揺さぶってくる。先ほど達したばかりの体は敏感であっという間に昇り詰めようとする。振り落とされない様にザックの首に両手を回して必死に抱きつく。
「はっ。いいなぁ。これ。気持ちいい。落ちそうになるからなのか? ナツミの中凄くまとわりついてくるっ。あっ、今キュンってなった」
「実況中継しなくて良いからっあああっ。あっ。ヤダ、駄目ッ。またイッちゃうよっ。駄目ッ、嫌。質問を、聞いてるのにっ!」
言っている事が支離滅裂だ。しかしザックは容赦なく私を確実に責め立てる。
「質問なっ。ナツミが寝てる時、ムラムラしてきて、我慢できなくてこう、抱きしめたり、っ。おっぱいを触ったりしていたらっ、っ」
ザックも息を荒くして所々息を詰めながら突き立てる。段々抽送のスピードが速くなる。
「も、もう何でそんな事、あっ、はぁ」
そういえば夢の中で砂漠を歩いているとフードを目深に被った男に抱きつかれたりした様な。
「ナツミが『ザック助けて』って、呟くから……つい指で、そのかき混ぜたりしたらっ、はぁ。ナツミが突然軽く痙攣して意識がないのにっ、達して俺の指、も、パンツもグショグショに濡れてっ」
確か夢の中で男に抱きしめられたら痙攣して気持ちよくて夢の中でも朦朧とした様な。アレは現実でのザックの仕業だったのね。
だけれどザックは限界が近いのか激しく腰を振って私を揺さぶる。必死にしがみつくが、もう私も限界。今度は先ほど挿入されたものとは比べものにならないうねりがやってくる。
「も、もう! ザックの馬鹿っ。 アーッ、あっあっ。駄目、イクッ。イッちゃうからっ。あっ!!!!」
「!!!」
内太股を震わせて首が仰け反る。大きく叫んで息が止まる。そして目の前が白くなったと思ったら、ザックが私の体の奥で大きく膨らんで弾けたのが分かった。しかし、まだ気持ちよくて私は余韻と言うよりも、飛んでいったまま着地できずにいた。
「あっ。駄目なんかまだガクガクが止まんない」
「んっ。はぁ、分かった、じゃぁ」
ザックは大きく肩で息をしながら、何度も息を吸ったり吐いたりを繰り返している。それからゆっくりと私を温泉の縁にある丸い大きな石に横たえて私の片足を担いだ。
「えっ。あっ。駄目今まだおさまってないからっ。ああああ!!」
ザックはまだ自分の杭を抜かずにゆっくりと抽送を繰り返してきた。
嘘。何でザックは動けるの? 先ほど達したんじゃ。
ザックの体液だろうか抽送を繰り返すごとに凄く大きな水音をあげる。
「あっ、もう、イッてるの、イッてるからっ。もう、止めてよっ。こんなの怖いっあっ。ああ!」
そう言って揺さぶり続けられる。何故だか分からないがザックの熱い杭は先ほどと同じぐらい固くて大きくなり私を責め立てる。擦られる内壁が気持ちよすぎて内側の太股がブルブル震えている。
「ハァッ。俺、ナツミ相手だと直ぐに勃っちまう。俺、壊れたのか? って、ああっ」
ザックも盛大に喘ぎながら覆い被さった私の上でウットリ瞳を細くするとボタボタと大量の汗を雨の様に降らせる。
「あっ、はぁ。んっ」
声が掠れて出なくなってきた、そこでザックが私の奥にある一番弱いところに自分の先端を擦りつけてきた。
「ここ、恐ろしいほど俺も飛ぶんだ。なぁ、一緒に! ッッ」
「!!!」
息が詰まる、息が出来ないっ。駄目ッ。その先なんて何もないよっ。
気持ちいいの言葉の先は何だろう? 痛さにも似た様な何かだけれど。
私はその言葉を知らない。
突然目の前がシャットダウンしたみたいに私は意識を手放した。
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