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02 油断ならない
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「……三人で集まらない週末があったって良いのよ?」
私は気を取り直すけれども、そう告げる事が精一杯になってしまった。
すると、私の頭上でお皿を持ったままの天野がギロリと岡本を睨む。
「馬鹿言うな。そんなの俺は嫌だからな。そんな事をしてみろ。絶対、岡本は倉田と二人きりで過ごそうとするに決まっている」
低くお腹に響く声で天野が呟いた。
「え」
私はぽかんとして天野を見上げる。
「それはこっちの台詞ですよ。僕だって絶対嫌です。天野さんだってそうでしょ。僕が不在だったら絶対、倉田さんと二人きりで過ごしますよね」
黒縁眼鏡の奥、切れ長の瞳をスッと細め天野を睨みつける。
「え」
私はぽかんとしたまま今度は岡本を見上げる。
天野と岡本は私の頭の上でお互いのおでこを擦り付ける様にして睨み合う。
「そりゃそうだ。そんなチャンスないんだからな」
「油断なりませんね。そんなチャンスは自分にあったとしても天野さんには与えたくないですよ」
「何だと。やんのかコラァ」
「それはこっちの台詞ですよ」
ぐるるる……と、二匹の狼がうなり声を上げて睨み合う。一触即発──そんな言葉がピッタリくる睨み合いだ。
「何なのよ二人して。もう」
私が心配している事とは全く別の事が気になっている二人だった。私は思わず脱力してしまう。
私はその二人を見ながら、ホッとして微笑んだ。こういうところは相変わらず仲が良いのか悪いのか。三人でいる事を気にしていないのが分かる。
私は上を向いたまま二人に声をかける。
「とにかく、そんなわけの分からない意地を張っている場合じゃないでしょ。もっとお互いの家族を大切にしないと駄目よ」
私は空の鍋を持って台所へ向かう為に歩き出した。すると私の後ろを天野と岡本が追いかけてきた。
天野が私の隣に並ぶと犬歯を見せながらブツブツと呟く。
「だってさ、岡本のヤツは俺がいないのを良い事に、二人でしっとり抱き合おうとするに決まってる。俺の勘ではそうだな……倉田にコスプレを要求すると思う。ほら、例の日本に来るきっかけになったアダルトビデオのヤツ」
「プッ。まさか」
私は思わず吹き出してしまった。
岡本が日本で働こうと決めたのは、あるアダルトビデオを見たからなのだ。内容は社内恋愛もので、仕事の出来る美人でスタイル抜群の女性が同僚とひょんな事から関係を持ってしまうというストーリーなのだとか。
そうだとしてもそんなの無理だ。だって会社でエッチに及ぶのだから出来るはずはない……等と考える私もどうかしている。
「絶・対、俺がいない間に倉田と再現するつもりだぜこいつ。うわぁ……岡本ってば会社でヤるなんて最低、最低、最低」
天野は岡本に向かって最低と連呼する。すると岡本が顔を真っ赤にして叫んだ。
「なっ、何で天野さんは僕の考えている事分かるんですか!」
「本当に?」
「マジかよ!」
岡本の声に私と天野は頭の天辺から声を上げた。
「本当でマジですよ……体のラインがはっきり分かるシャツに、いやノーブラのニットでも良いかも。そして短いタイトスカート。下着は──ああ……何度想像した事か。倉田さんの少しだけ横に流れる65のGカップが、その日は僕だけのものに。考えただけで興奮します」
真っ赤になりながらも最後は想像して悦には入る岡本だ。あっちの世界に行ってしまっている。
さすがに私も笑えなくなって慌てる。
「どうして私が65のGって知ってるのよ!」
サイズを伝えた事なんて一度もなかったのに……って。抱いていればさすがに分かるわよね。一応下着メーカーに勤めているのだし。
「マジかよ『僕だけのもの』って油断ならないヤツだなホント」
煽った本人である天野がギリギリと歯ぎしりをした。
すると今度は岡本が私の側に寄ってきて天野に向かって口を尖らせた。
「天野さんだって絶対に僕がいないのを良い事に、二人でどっぷり快楽に浸かろうとしていますよね。僕の勘では、倉田さんにと新たな大人の玩具を試すつもりですよ。ほら、例のハロウィンの時に玩具を使った事で味を占めて」
「ふふ。そんなのないわよ」
私は思わず微笑んでしまった。
先日ハロウィンの時に初めて大人の玩具を経験した。岡本がわざわざ取り寄せたものらしい。そのバイブの衝撃と言ったらなかった。あれ以来使用する事は封印されているけれども、興味があるのは確かだ。
そうだとしても使うと天野は言い出さない……と思う。だって天野は直ぐにその玩具を取り上げたのだし。天野が言うには、玩具に夢中になったら駄目だって。
「絶・対、天野さんは玩具に興味あるはずなんですよ。だってあの時やたらしつこくバイブで責めたの天野さんですし。この間だって『使ってみるか?』とか言ってましたし。結局使いませんでしたけど。だから僕がいないに間に玩具で倉田さんを責め立てるつもりですよ。最・低ですよね」
岡本は天野に向かって最低と吐き捨てた。すると天野が顔を真っ赤にして叫んだ。
「なっ、何で岡本は俺の考えている事が分かったんだ」
「本当に?」
「当たりですか!」
天野の声に私と岡本は頭の天辺から声を上げた。
「本当で当たりだよ。俺はなグズグズになる倉田がもう一度見たいんだわ。それにさ最近思うんだ。下着姿も良いけどさ水着姿って言うのもなかなか。ああ……やべぇ想像すると興奮するな。倉田の盛大な潮吹き……ハメ潮、出来るかも」
興奮で鼻息を荒くしながらも最後は想像して悦には入る天野だ。あっちの世界に行ってしまっている。
さすがに私も笑えなくなって慌てる。
「もう止めてよね! そうじゃなくても私、最近汁っぽいのに」
二人に抱かれる時は必ず潮吹きをしてしまう。結局、潮ってお漏らしと変わらないらしい。となると、週末毎回お漏らししているようなものだ。恥ずかしくて死にそう。
「え~まさかとは思っていましたけど本当だったんですね。ハメ潮って狡いですよ。僕だってやりたいです」
何故か最後岡本が悔しがっていた。
「何を言ってるのよ。もう! とにかくそれぞれの連絡をくれている家族にちゃんと会う時間を取ってね。大切にしないと駄目よ?」
私は二人の会話に半ば呆れながら、改めて家族と会う様に約束を取り付ける様促す。
すると、天野と岡本が再び海よりも深い溜め息をついた。
「分かっているさ。それで俺も岡本も、約束を取り付けたんだけどさ」
「どうしても倉田さんに協力をして貰わないといけない事になったんですよ」
「え、私?」
肩を落とす二人が縋る様に私を見つめた。
私は気を取り直すけれども、そう告げる事が精一杯になってしまった。
すると、私の頭上でお皿を持ったままの天野がギロリと岡本を睨む。
「馬鹿言うな。そんなの俺は嫌だからな。そんな事をしてみろ。絶対、岡本は倉田と二人きりで過ごそうとするに決まっている」
低くお腹に響く声で天野が呟いた。
「え」
私はぽかんとして天野を見上げる。
「それはこっちの台詞ですよ。僕だって絶対嫌です。天野さんだってそうでしょ。僕が不在だったら絶対、倉田さんと二人きりで過ごしますよね」
黒縁眼鏡の奥、切れ長の瞳をスッと細め天野を睨みつける。
「え」
私はぽかんとしたまま今度は岡本を見上げる。
天野と岡本は私の頭の上でお互いのおでこを擦り付ける様にして睨み合う。
「そりゃそうだ。そんなチャンスないんだからな」
「油断なりませんね。そんなチャンスは自分にあったとしても天野さんには与えたくないですよ」
「何だと。やんのかコラァ」
「それはこっちの台詞ですよ」
ぐるるる……と、二匹の狼がうなり声を上げて睨み合う。一触即発──そんな言葉がピッタリくる睨み合いだ。
「何なのよ二人して。もう」
私が心配している事とは全く別の事が気になっている二人だった。私は思わず脱力してしまう。
私はその二人を見ながら、ホッとして微笑んだ。こういうところは相変わらず仲が良いのか悪いのか。三人でいる事を気にしていないのが分かる。
私は上を向いたまま二人に声をかける。
「とにかく、そんなわけの分からない意地を張っている場合じゃないでしょ。もっとお互いの家族を大切にしないと駄目よ」
私は空の鍋を持って台所へ向かう為に歩き出した。すると私の後ろを天野と岡本が追いかけてきた。
天野が私の隣に並ぶと犬歯を見せながらブツブツと呟く。
「だってさ、岡本のヤツは俺がいないのを良い事に、二人でしっとり抱き合おうとするに決まってる。俺の勘ではそうだな……倉田にコスプレを要求すると思う。ほら、例の日本に来るきっかけになったアダルトビデオのヤツ」
「プッ。まさか」
私は思わず吹き出してしまった。
岡本が日本で働こうと決めたのは、あるアダルトビデオを見たからなのだ。内容は社内恋愛もので、仕事の出来る美人でスタイル抜群の女性が同僚とひょんな事から関係を持ってしまうというストーリーなのだとか。
そうだとしてもそんなの無理だ。だって会社でエッチに及ぶのだから出来るはずはない……等と考える私もどうかしている。
「絶・対、俺がいない間に倉田と再現するつもりだぜこいつ。うわぁ……岡本ってば会社でヤるなんて最低、最低、最低」
天野は岡本に向かって最低と連呼する。すると岡本が顔を真っ赤にして叫んだ。
「なっ、何で天野さんは僕の考えている事分かるんですか!」
「本当に?」
「マジかよ!」
岡本の声に私と天野は頭の天辺から声を上げた。
「本当でマジですよ……体のラインがはっきり分かるシャツに、いやノーブラのニットでも良いかも。そして短いタイトスカート。下着は──ああ……何度想像した事か。倉田さんの少しだけ横に流れる65のGカップが、その日は僕だけのものに。考えただけで興奮します」
真っ赤になりながらも最後は想像して悦には入る岡本だ。あっちの世界に行ってしまっている。
さすがに私も笑えなくなって慌てる。
「どうして私が65のGって知ってるのよ!」
サイズを伝えた事なんて一度もなかったのに……って。抱いていればさすがに分かるわよね。一応下着メーカーに勤めているのだし。
「マジかよ『僕だけのもの』って油断ならないヤツだなホント」
煽った本人である天野がギリギリと歯ぎしりをした。
すると今度は岡本が私の側に寄ってきて天野に向かって口を尖らせた。
「天野さんだって絶対に僕がいないのを良い事に、二人でどっぷり快楽に浸かろうとしていますよね。僕の勘では、倉田さんにと新たな大人の玩具を試すつもりですよ。ほら、例のハロウィンの時に玩具を使った事で味を占めて」
「ふふ。そんなのないわよ」
私は思わず微笑んでしまった。
先日ハロウィンの時に初めて大人の玩具を経験した。岡本がわざわざ取り寄せたものらしい。そのバイブの衝撃と言ったらなかった。あれ以来使用する事は封印されているけれども、興味があるのは確かだ。
そうだとしても使うと天野は言い出さない……と思う。だって天野は直ぐにその玩具を取り上げたのだし。天野が言うには、玩具に夢中になったら駄目だって。
「絶・対、天野さんは玩具に興味あるはずなんですよ。だってあの時やたらしつこくバイブで責めたの天野さんですし。この間だって『使ってみるか?』とか言ってましたし。結局使いませんでしたけど。だから僕がいないに間に玩具で倉田さんを責め立てるつもりですよ。最・低ですよね」
岡本は天野に向かって最低と吐き捨てた。すると天野が顔を真っ赤にして叫んだ。
「なっ、何で岡本は俺の考えている事が分かったんだ」
「本当に?」
「当たりですか!」
天野の声に私と岡本は頭の天辺から声を上げた。
「本当で当たりだよ。俺はなグズグズになる倉田がもう一度見たいんだわ。それにさ最近思うんだ。下着姿も良いけどさ水着姿って言うのもなかなか。ああ……やべぇ想像すると興奮するな。倉田の盛大な潮吹き……ハメ潮、出来るかも」
興奮で鼻息を荒くしながらも最後は想像して悦には入る天野だ。あっちの世界に行ってしまっている。
さすがに私も笑えなくなって慌てる。
「もう止めてよね! そうじゃなくても私、最近汁っぽいのに」
二人に抱かれる時は必ず潮吹きをしてしまう。結局、潮ってお漏らしと変わらないらしい。となると、週末毎回お漏らししているようなものだ。恥ずかしくて死にそう。
「え~まさかとは思っていましたけど本当だったんですね。ハメ潮って狡いですよ。僕だってやりたいです」
何故か最後岡本が悔しがっていた。
「何を言ってるのよ。もう! とにかくそれぞれの連絡をくれている家族にちゃんと会う時間を取ってね。大切にしないと駄目よ?」
私は二人の会話に半ば呆れながら、改めて家族と会う様に約束を取り付ける様促す。
すると、天野と岡本が再び海よりも深い溜め息をついた。
「分かっているさ。それで俺も岡本も、約束を取り付けたんだけどさ」
「どうしても倉田さんに協力をして貰わないといけない事になったんですよ」
「え、私?」
肩を落とす二人が縋る様に私を見つめた。
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