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第八章 旅の始まり
最終話 旅の始まり
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前回のあらすじ
巨大な犬が仲間に加わった!
果たしてどちらが賢いだろう。
チベタン・マスティフって知ってる?
超大型犬なんだけど、あれをもうちょっとでかくした感じだよね、大熊犬ってのは。熊と犬の合いの子っていうか、熊がやや勝ってる感じ。
私は何しろ無駄に背が高いから、小型犬とか見下ろすと、躾けのなってない犬だとよくキャンキャン吠えられてね。かといって大型犬ってそのキャンキャン吠える小型犬にかみつかれたりするもんだからなかなか近所の人散歩のタイミング合わなくて、っていうかそもそも犬の散歩させてる早朝とか深夜に出退勤してる私は何だったんだろうな。
何の話だっけ。ああ、そうそう、犬。これだけ大型だとさあ、やっぱり私くらいの身長でもそんなに怯えないでくれるみたいで、むしろ私の方がこれ大丈夫な奴かなってビビるくらいのサイズだったんだけど、屈んで手を出してみたらふんすふんす匂い嗅いで覚えてくれて、おまけにお手までしてくれて、本当にこいつはいいやつだよ。
そのくらいのことで気持ちが傾くくらいに私はちょろいやつなんだよ。
最初この世界に来た当時だったらまず無理だったろうね、この接触。
まず怖いし。
でかいし。
あとなんか衛生的にって気になってただろうし。
最近なんかもうそこまで潔癖ではなくなってきた自覚がある。朝起きて胸元にリリオのよだれが垂れてた時はさすがにぶん殴ったけど、犬とか触る分には気にしなくなってきた。
あ、手は洗うけどね、ご飯食べる前とか。
しかしこの、ボイと名付けた犬は本当に賢い子だった。馬車と馬具でつなげるときも自分からつなげやすいような体勢とってくれるし、走る速さを指定したら律義に守るんだけど、障害物とか変わったものがあったら足を緩めて注意喚起してくれるし、御者が多少あれでもきちんと街道に沿って走ってくれるし、便利すぎる。
下手するとリリオより賢いんじゃないかしらんと思ってしまったくらいだ。
そのリリオは今、御者席で酸っぱい林檎を齧りながら、暢気に鼻歌なんて歌いながらどこか私の知らない旅路の果てを見ている。こういう時のリリオの横顔は、少したくましいなって最近は思う。やんちゃ少年だったのがわんぱく小僧になったというか、あれ、上がったのか下がったのか。まあいいか。
「次はなんていう町に行くんだっけ」
「次はムジコという町ですね。ランタネーヨと同じプラート男爵領で、音楽で有名な町らしいですよ」
「音楽ねえ」
「ウルウは音楽、あんまり興味ありません?」
「こっちに来てから、酒場で吟遊詩人が歌ってるのくらいしか聞いてないからなあ」
「ちゃんとした音楽家っていうのは素晴らしいものですよ」
「まあ、期待しないで待ってるけどね」
もともと音楽なんて、《エンズビル・オンライン》のBGMくらいしかまともに聴いたことがない。いや、あれだってあくまでも背景に流している音楽に過ぎないんだから、真面目に聴いていたわけではないよな。思えば私が生きていたあの町は、音楽には満ちていたかもしれないけれど、音楽を聴こう、楽しもうという精神には欠けていたのかもしれない。
「その次はレモの町です」
「聞かない名前だね」
「ウルウはみんな聞いたことないでしょうに。レモの町は東部でもまあそれなりの規模ですけれど、なんとあの放浪伯の領地の一つですね」
「放浪伯……ああ、あの、旅してないと死ぬ人だったね」
「言い方!?」
正確には旅の神に愛され、旅をしている間は死ぬことがないという加護を受けているんだった。
「でもまあその人ですね。名産は蜂蜜酒で、最近は癒しの聖女様が現れたとかで、長患いの人々が集まっているそうですよ」
「またなんか胡散臭いねえ」
「まあ多少は盛っているでしょうからね。それでも、医療がよく発達しているという噂は聞こえますよ」
盛っていると言えば、まあ、私たち《三輪百合》も結構噂話の内容は盛られているからなあ。
前に聞いた時は、なんだっけ、乙種魔獣を主食にしてる身の丈六尺を超える大女たちだっけ。私はまあ六尺、一八〇センチメートルは超えてるし、乙種魔獣を主な稼ぎとはしているけど、うん、あれ、そんなに違わないのか。
「もともとレモの町は温泉でも有名だそうで、これから冷えてくる時期は、ゆっくり温泉につかって休むというのもいいかもしれませんね」
「温泉……温泉かあ。いいね」
「たまにはウルウの即席温泉じゃない温泉にも入りたいものね」
「あれも高いんだよ」
「必要経費なんでしょ」
「まあね」
私が野外泊をするときに必ず使用しているお風呂セット。あれに使っている温泉の水精晶は、普通の水精晶の倍以上の値段がする。それを肩まで浸かれるくらいたっぷり使うっていうのは、正気の冒険屋が行うべきではない沙汰であるのは私も重々承知の上だ。
でもなにしろ私たちは魔獣狩りで意外と結構儲けているし、私個人で言えば、まだゲーム内通貨を一枚も両替していないのだ。リリオもビビッて両替してないのでいくらくらいになるのかわからないという不安はあるけれど、金は金だろう。多分。
「その次がようやくバージョですね。南部の港町です」
「港町かあ。ヴォーストも港ではあったけど、海の港は初めてだね」
「海はいいですよお。海水浴の時期ではないですけれど、ちょうど脂の乗ったのが獲れるころ合いですかね」
「リリオはいつでも食べ盛りだねえ」
「今から楽しみですよぉ! なんでもカヴィアーロとかいう、鮭の卵を塩漬けにしたものがおいしいらしいですよ!」
「魚の卵なんておいしいの?」
「トルンペートは海の幸がわかってないんですよ!」
「あんただってはじめてでしょうに」
まあ、多分カヴィアーロというのはイクラのことだろう。私が食べたことがあるのは甘口の醤油漬けだからちょっと違う感じになるだろうけれど、楽しみだ。
「そしてその次が、ハヴェノです!」
「リリオのお母さんの実家があるんだっけ」
「そうです! 私も初めてですけれど、メザーガには覚悟していけと言われてます」
「実家とは思えない物言い」
「いやまあ、なにしろ八代も冒険屋やってるような酔狂な一族ですし」
「これ以上ない冷静な物言い」
「自分が冒険屋やっているのであれですけど、正直子供に勧めようとは思いませんもんね」
「自分に子供ができると思ってる辺り現実が見えてないんじゃない?」
「なんですとー!?」
車輪は巡り、くるくる回り、旅して次はムジコへと。
用語解説
・放浪伯
ヴァグロ・ヴァグビールド・ヴァガボンド(Vagulo Vagbirdo Vagabondo)放浪伯。
帝国各地に、大きくはないが点在する形で飛び地領地を数多く持つ大貴族。
過去の戦争中にあちらこちらで転戦して領地を獲得していった結果らしい。
本来であれば利便性の為にもどこかにまとめる筈だったらしいが、本人の放浪癖とあまりに力を持ち過ぎる事への懸念からあえて分散させている。
当人はいたって能天気で権力に興味はない。
旅の神ヘルバクセーノの加護により、一所に長くとどまることが出来ない代わりに、旅を続ける限り不死である。
巨大な犬が仲間に加わった!
果たしてどちらが賢いだろう。
チベタン・マスティフって知ってる?
超大型犬なんだけど、あれをもうちょっとでかくした感じだよね、大熊犬ってのは。熊と犬の合いの子っていうか、熊がやや勝ってる感じ。
私は何しろ無駄に背が高いから、小型犬とか見下ろすと、躾けのなってない犬だとよくキャンキャン吠えられてね。かといって大型犬ってそのキャンキャン吠える小型犬にかみつかれたりするもんだからなかなか近所の人散歩のタイミング合わなくて、っていうかそもそも犬の散歩させてる早朝とか深夜に出退勤してる私は何だったんだろうな。
何の話だっけ。ああ、そうそう、犬。これだけ大型だとさあ、やっぱり私くらいの身長でもそんなに怯えないでくれるみたいで、むしろ私の方がこれ大丈夫な奴かなってビビるくらいのサイズだったんだけど、屈んで手を出してみたらふんすふんす匂い嗅いで覚えてくれて、おまけにお手までしてくれて、本当にこいつはいいやつだよ。
そのくらいのことで気持ちが傾くくらいに私はちょろいやつなんだよ。
最初この世界に来た当時だったらまず無理だったろうね、この接触。
まず怖いし。
でかいし。
あとなんか衛生的にって気になってただろうし。
最近なんかもうそこまで潔癖ではなくなってきた自覚がある。朝起きて胸元にリリオのよだれが垂れてた時はさすがにぶん殴ったけど、犬とか触る分には気にしなくなってきた。
あ、手は洗うけどね、ご飯食べる前とか。
しかしこの、ボイと名付けた犬は本当に賢い子だった。馬車と馬具でつなげるときも自分からつなげやすいような体勢とってくれるし、走る速さを指定したら律義に守るんだけど、障害物とか変わったものがあったら足を緩めて注意喚起してくれるし、御者が多少あれでもきちんと街道に沿って走ってくれるし、便利すぎる。
下手するとリリオより賢いんじゃないかしらんと思ってしまったくらいだ。
そのリリオは今、御者席で酸っぱい林檎を齧りながら、暢気に鼻歌なんて歌いながらどこか私の知らない旅路の果てを見ている。こういう時のリリオの横顔は、少したくましいなって最近は思う。やんちゃ少年だったのがわんぱく小僧になったというか、あれ、上がったのか下がったのか。まあいいか。
「次はなんていう町に行くんだっけ」
「次はムジコという町ですね。ランタネーヨと同じプラート男爵領で、音楽で有名な町らしいですよ」
「音楽ねえ」
「ウルウは音楽、あんまり興味ありません?」
「こっちに来てから、酒場で吟遊詩人が歌ってるのくらいしか聞いてないからなあ」
「ちゃんとした音楽家っていうのは素晴らしいものですよ」
「まあ、期待しないで待ってるけどね」
もともと音楽なんて、《エンズビル・オンライン》のBGMくらいしかまともに聴いたことがない。いや、あれだってあくまでも背景に流している音楽に過ぎないんだから、真面目に聴いていたわけではないよな。思えば私が生きていたあの町は、音楽には満ちていたかもしれないけれど、音楽を聴こう、楽しもうという精神には欠けていたのかもしれない。
「その次はレモの町です」
「聞かない名前だね」
「ウルウはみんな聞いたことないでしょうに。レモの町は東部でもまあそれなりの規模ですけれど、なんとあの放浪伯の領地の一つですね」
「放浪伯……ああ、あの、旅してないと死ぬ人だったね」
「言い方!?」
正確には旅の神に愛され、旅をしている間は死ぬことがないという加護を受けているんだった。
「でもまあその人ですね。名産は蜂蜜酒で、最近は癒しの聖女様が現れたとかで、長患いの人々が集まっているそうですよ」
「またなんか胡散臭いねえ」
「まあ多少は盛っているでしょうからね。それでも、医療がよく発達しているという噂は聞こえますよ」
盛っていると言えば、まあ、私たち《三輪百合》も結構噂話の内容は盛られているからなあ。
前に聞いた時は、なんだっけ、乙種魔獣を主食にしてる身の丈六尺を超える大女たちだっけ。私はまあ六尺、一八〇センチメートルは超えてるし、乙種魔獣を主な稼ぎとはしているけど、うん、あれ、そんなに違わないのか。
「もともとレモの町は温泉でも有名だそうで、これから冷えてくる時期は、ゆっくり温泉につかって休むというのもいいかもしれませんね」
「温泉……温泉かあ。いいね」
「たまにはウルウの即席温泉じゃない温泉にも入りたいものね」
「あれも高いんだよ」
「必要経費なんでしょ」
「まあね」
私が野外泊をするときに必ず使用しているお風呂セット。あれに使っている温泉の水精晶は、普通の水精晶の倍以上の値段がする。それを肩まで浸かれるくらいたっぷり使うっていうのは、正気の冒険屋が行うべきではない沙汰であるのは私も重々承知の上だ。
でもなにしろ私たちは魔獣狩りで意外と結構儲けているし、私個人で言えば、まだゲーム内通貨を一枚も両替していないのだ。リリオもビビッて両替してないのでいくらくらいになるのかわからないという不安はあるけれど、金は金だろう。多分。
「その次がようやくバージョですね。南部の港町です」
「港町かあ。ヴォーストも港ではあったけど、海の港は初めてだね」
「海はいいですよお。海水浴の時期ではないですけれど、ちょうど脂の乗ったのが獲れるころ合いですかね」
「リリオはいつでも食べ盛りだねえ」
「今から楽しみですよぉ! なんでもカヴィアーロとかいう、鮭の卵を塩漬けにしたものがおいしいらしいですよ!」
「魚の卵なんておいしいの?」
「トルンペートは海の幸がわかってないんですよ!」
「あんただってはじめてでしょうに」
まあ、多分カヴィアーロというのはイクラのことだろう。私が食べたことがあるのは甘口の醤油漬けだからちょっと違う感じになるだろうけれど、楽しみだ。
「そしてその次が、ハヴェノです!」
「リリオのお母さんの実家があるんだっけ」
「そうです! 私も初めてですけれど、メザーガには覚悟していけと言われてます」
「実家とは思えない物言い」
「いやまあ、なにしろ八代も冒険屋やってるような酔狂な一族ですし」
「これ以上ない冷静な物言い」
「自分が冒険屋やっているのであれですけど、正直子供に勧めようとは思いませんもんね」
「自分に子供ができると思ってる辺り現実が見えてないんじゃない?」
「なんですとー!?」
車輪は巡り、くるくる回り、旅して次はムジコへと。
用語解説
・放浪伯
ヴァグロ・ヴァグビールド・ヴァガボンド(Vagulo Vagbirdo Vagabondo)放浪伯。
帝国各地に、大きくはないが点在する形で飛び地領地を数多く持つ大貴族。
過去の戦争中にあちらこちらで転戦して領地を獲得していった結果らしい。
本来であれば利便性の為にもどこかにまとめる筈だったらしいが、本人の放浪癖とあまりに力を持ち過ぎる事への懸念からあえて分散させている。
当人はいたって能天気で権力に興味はない。
旅の神ヘルバクセーノの加護により、一所に長くとどまることが出来ない代わりに、旅を続ける限り不死である。
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