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第一章 冒険屋
第二話 旅の馬車
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前回のあらすじ
十四話目にしてようやく名前を名乗りあった主人公ズ。
これから説明回がガンガン増えそうな気配に怯える作者だった。
境の森には三つの街道が通っている。どれもほどほどに整備され、馬車が行き交うだけの道幅はある。整備費も兼ねた通行税は課されるが、それも主な使用者である商人たちにとってはさほどのものでもないし、多少値が張ろうともわざわざ深い森の中に踏み入るよりは余程安全だし、早い。
男もそうして真ん中に当たる二の街道を通って渡ったが、他の商人たちと違うのは、そのまま街道を進んでいかず、森を出たところで道をそれ、森沿いに少し南へと下って行ったのだった。別にそちらに何があるという訳でもない。だが男は商いで境の森を渡るときは必ずこの道を使っていた。
というのは、何もないとはいえ、そこにはいちおう細道があるのだった。人の足で踏み固められた、馬車で通るには少し細い道だったが、男の馬車を引く甲馬は若く創建で、この程度は悪路とも思わずのしのし進む。
細道にたどり着くと、男は手綱を引いて細道を歩かせ始めた。この道は別に、近道という訳ではない。むしろ少し遠回りになる。だが別に急ぐ旅でもない。男は息子に店を手渡してすでに引退し、こうして若い頃のように旅商人をしているのは、商い先の情報を足で稼ぐという建前で、実際は半ば趣味のようなものでしかない。力は強いが歩みは早くない甲馬を用いるのも、道理だ。
男にとって生涯は旅だった。
いつかどこかの町に定住し、自分の店を持ちたい。そんな夢を持って辛い旅商人を続けていたが、いざ店を構えるとなると途端に旅の空が恋しくてたまらなくなった。
はじめこそ慣れない町暮らしに疲れているんだろうと笑っていたが、子供が独り立ちするころになると、また旅をしたいものだと再び思い始めた。
息子が嫁を貰い、店を譲り渡して引退し、長らく助けてくれた妻が亡くなると、もういいかな、とそう思った。周りからは随分止められたが、旅暮らしが性だった。
結局止められないとわかると、息子たちは馬車を用立て、送り出してくれた。いくつか仕事も頼まれ、商いの一環として送り出すのだと言われたが、それが建前であることはみんなわかっていた。
いい息子を持った。それに、息子もいい嫁を貰ってくれた。
男の趣味は旅をすること自体にもあったが、旅の中での出会いにもあった。町での暮らしも刺激はあるが、旅暮らしの刺激にはかなわない。街で顔を合わせるものは限られているが、旅の空には出会いが無数に転がっている。
男がこの道を選ぶのも、それが理由だった。
というのもこの道は、金がないとか、森を通り抜けられるだけの力量があるとか、森の中の素材を集めたいからとか、そういった理由で街道を使わずあえて森を抜ける旅人や冒険屋たちが使う道なのだった。こういった連中の話は、単調な日々を生きる町人よりも面白い。もちろん、ただで話を聞こうというのではない。森を抜けて疲れ切った旅人を馬車に載せてやり、ついでに害獣や野盗が出た時は、手を貸してもらう。その合間に、ちょっとばかり話を聞く。このような具合で、男はもう何年もこの道を使っていた。
もちろん、いつもいつでも旅人が通るわけではない。寂しい旅路になるときもあるし、馬車に乗り切れない大所帯になるときもある。
今回は、あたりだった。
少し進んだあたりを、鞄を背負った小柄な人影が歩いている。珍しいことに、一人旅だ。いくら旅慣れていても、一人旅というのは、珍しい。それも年経た男ならこうして愛馬を頼りに旅をすることもあるが、成人したてそこそこの年若い娘が一人というのは、まず見ない。
とはいえ、旅事情に首を突っ込むのは、野暮だ。
男は馬車に気づいた娘が道の端に寄ったので、帽子を軽く上げて会釈した。
「おうい娘さん。森を通ってきなすったのかね」
「ええ、そうです。つい先ほどやっと出られたところで」
「それじゃあお疲れだろう。どうだね、狭い馬車だが乗ってくかね」
「え、いいんですか!?」
「いいとも、いいとも。幌があるから日除けにもなるし、楽にしなされ。儂も話し相手が欲しいしね。それにちょっと護衛の真似事もしてくれりゃ十分さ」
訳を隠しても、いいことはない。男が素直にそう話すと、娘の方でも頷いて、話はついた。
娘は馬車の後ろに回り込んで、幌付きの荷車に上がり込んで腰を下ろした。重たげな背負い鞄を下ろして、水筒の水をあおって、ぷはあと一息。見れば見るほど、とてもではないが森を抜けられるようには見えない、ほとんど子供のようななりだ。
「娘さん、ずいぶん若いねえ」
「この春、成人を迎えました」
「そりゃ本当に若い。よく森を抜けられたもんだ。大したもんだねえ」
境の森の東側は、護りの川を隔てて辺境領とすぐ隣であるから、人々はみな創建で、恩恵も強い。そこからやってきたのだからこの娘も見た目より随分手練れなのだろう。
男が感心したように頷くと、娘は照れたようにあどけない笑顔を見せた。
「いやあ、運が良かったんですよ。それに頼れる連れもいますから。ねえ、ウルウ」
男がきょとんとして思わず振り向くと、娘が虚空に手を伸ばしている。
「ウルウがいなければ大変でしたからね。これもきっと境界の神プルプラの思し召しでしょう」
もう、ウルウったら恥ずかしがり屋さんなんですからと虚空に話しかける娘の姿に、男は黙って前を向き直し、手綱を握った。
かわいそうに。
きっと森の中で仲間を失ったのだろう。大切な仲間の死を認められず、ああして心を壊してしまう者も時にはいるのだ。しかし、それがあのような年若い娘とは。神とはかくも残酷なことをなさるものか。
男は名も知らぬ娘の仲間に黙祷を捧げ、とっておきの蜂蜜酒を飲ませてやろうかと後ろの荷物入れに手を伸ばし、そして娘の隣にひょろりと長い体を縮めるように座り込んだ影に初めて気づいた。
なんだこりゃあ、とぼんやり眺めると、そいつは頭巾の下から生気のうかがえない目でじっとりと見返してくるではないか。
男は荷物入れの中から蜂蜜酒の瓶を取り出して、黙って前を向いて手綱を取った。瓶の栓を抜き、ごくりと呷る。黄金色の酒精が流れ込み、爽やかな甘さと酒精の辛さ、それに香草のぴりりとした香りが広がった。
かわいそうに。
きっと森で死んだ仲間が亡霊や幽鬼になって憑いてきてしまったのだろう。もしくは旅で疲れてこの儂にも幻が見えるようになったのか。男はこの懊悩を蜂蜜酒でさっぱり洗い流した。いるものはいる。見えるものは見える。昨日のことは考えない。深く考えない方がいいこともある。念仏のように商売哲学を諳んじて、男は何の不審も見なかったということにした。
後ろから聞こえてくるきゃいきゃいと楽しげな娘の話し声と、それに一切返すことのない、返したとしても枯れ木に風の通るような聞こえるとも聞こえないとも言えない囁き声を、男は熱心に女同士の姦しい会話という風に意識した。
‡ ‡
宿場とやらまでどのくらいなのかと尋ねると、事前に聞いた話では二里くらいだと返ってきた。
一里はどれくらいだと聞くと、半刻歩いたくらいですかねと返ってくる。
では半刻とはどれくらいかと首を傾げれば、日が出て沈むまでが六刻なので、その十二分の一が半刻だという。どうやら不定時法を採用しているようだ。
そうなると正確ではなくなるが、まあ大体半刻で一時間くらいとみて、二里ということは半刻が二回で一刻、つまり二時間くらいということになる。人間の歩く速度は大体時速四キロメートルかそこらと本で読んだことがあるから、一里というのはその位と考えていいだろう。
まあそれもこの世界の一日が二十四時間と仮定した場合だが、体感ではもう少し長そうな気もする。とはいえ比べる方法がないので詳細はわからないが。
まあざっくり二時間くらいと考えると、森の中での道行きを考えると一度休憩をはさんで宿場とやらに到着することになるだろうか。森の中はなんだかんだ見るものがあったのでそこまで飽きなかったが、こうも何もない野原を二時間も歩くというのは現代人にはいささか厳しいものがあった。情報過多時代に生きていた身としては、こうも情報が少ないとかえって落ち着かない。
リリオの方は気にした様子もなく元気な足取りだし、私に話しかけてくる分にはいくらでも話題がありそうだが、あいにくこちらには話題もなければ受け答えのセンスもないし、それ以上にそんな若さについていけるだけのエネルギーもありはしない。
以前は歩きスマホするだけの元気もなかったが、こうなってくると何か見るもの読むものが欲しい。町中をスマホ見ながら危なげに歩く若者たちをゾンビかよと笑っていたが、彼らは情報に飢えていたんだな。現代病だよ、あれは。
仕方なしに、少し前を行くリリオの白いポニーテールが歩みに合わせてぴょこぴょこ動くのを眺めてみたが、別段面白くもない。おもむろにつかんでみたら面白い反応でもしてくれそうではあるが、さすがにそんな子供っぽいことをする気はない。する気力もない。こちとら人間性を捧げて会社に出勤していた生体由来ロボット(型落ち)なのだ。正直歩いているだけで刻一刻とエネルギーが漏れ出している気がする。
そんなことを考えていると、後ろから何かどすどす言う重たい音と、車輪の音が聞こえる。
振り向けば、馬車らしきものが近づいていた。リリオがちょっとどいて道を開けるので私もそうすると、御者席に座った気のよさそうな老人が、麦藁帽を軽く持ち上げてにこやかに挨拶してくる。
「おうい娘さん。森を通ってきなすったのかね」
「ええ、そうです。つい先ほどやっと出られたところで」
「それじゃあお疲れだろう。どうだね、狭い馬車だが乗ってくかね」
「え、いいんですか!?」
「いいとも、いいとも。幌があるから日除けにもなるし、楽にしなされ。儂も話し相手が欲しいしね。それにちょっと護衛の真似事もしてくれりゃ十分さ」
普通の会話にちょっと感動した。
すごいな。私には無理だ。どれだけ疲れていても、え、いいです、遠慮しますと答える気がする。まず話しかけられた時点で警戒心バリバリの目で見て怯ませる気がする。だって人間と話すとか疲れるし、あいつら何で怒って何で笑うかよくわかんないから怖いじゃないか。
リリオが喜んで馬車らしきものの後ろに回ってよいしょと乗り込むので、よじ登るそのおしりを押し上げて手伝ってやり、私もひょいと乗り込む。
馬車らしきものが動き出すと、ごとごととした揺れが直に尻に突き上げてくる。サスペンションとかついてないんだろうな。よく異世界転生ものとかで訳知り顔に馬車は尻が痛くなるとか乗ったこともないだろうに書いていたのはこういうことなんだなとなんとなく感心しながら揺れに身を任せる。
リリオにとってもこの揺れは一般的な物らしく、鞄を下ろして水筒の水など飲みながら一息ついている。私の方は特に疲れも感じていないし喉も乾いていないから、まったく便利な体だ。
「娘さん、ずいぶん若いねえ」
「この春、成人を迎えました」
「そりゃ本当に若い。よく森を抜けられたもんだ。大したもんだねえ」
リリオと老人の会話を聞いて、この世界の成人事情というものを何となく知った。リリオが、まあ西洋人顔でなんとなく幼いなということしかわからないが、十代前半あたりとみて間違いないだろう。その位で成人を迎えるというのは、文明程度が低くて平均寿命が短い時代ならありがちなんじゃなかろうか。もしくは早熟なのかもしれないが。
「いやあ、運が良かったんですよ。それに頼れる連れもいますから。ねえ、ウルウ」
急に話しかけられてぎょっとした。
「ウルウがいなければ大変でしたからね。これもきっと境界の神プルプラの思し召しでしょう」
やめろ馬鹿と小突くと、もう、ウルウったら恥ずかしがり屋さんなんですからなどと言われて頭痛がした。声を出し慣れていないので大声で怒鳴らずに済んだのは良かったと言えば良かった。
私は背を折って顔を寄せ、久しぶり過ぎて咳をしてから、生返事などではなくまともに声を出した。
「私の姿は、いま君にしか見えてないってこと忘れてるんじゃないのか」
「あ、そうでした」
あっけらかんとしたものである。そりゃあこの娘には私の姿は見えているのだが、見えているといっても半透明に透けて見えているらしいし、それがまともじゃないってことは馬鹿でもわかることだろう。
ところがこの小娘は生半可な馬鹿ではなかった。
「ウルウが美人さんなので忘れてました」
「死ねばいいのに」
「何故にっ!?」
「馬鹿は死ななきゃ治らないらしいし」
「死んだらお話しできないですよう!」
「そりゃあ静かでいいや」
「ウルウのいけず!」
「誰が行かず後家だ」
「言ってないです言ってないですいったたたたたたたったったったやめっとめっあばばば」
うるさいのでアイアンクローかましてやったら余計うるさい。
これでも《選りすぐりの浪漫狂》内では力強さの数値はかなり低めの方だったのだが、それでも一応最大レベルともあって、平然と自然破壊をこなす石頭でもきしませることくらいはできるようだ。それでもこっちの指が疲れるくらいだから相当な石頭だが。
適当な所で放してやれば、即座に涙目で何するんですかもうと唇を尖らせるくらいだから、実際大したダメージではないようだ。どんだけ硬いんだこいつ。
まあ適当に遊んだところで、《隠蓑》を解除してやる。
別にこいつがはしゃいで暴れて、イマジナリーフレンドとお喋りする可哀そうな子として憐れみを持って見られたところで私は痛くも痒くもないのだが、それで旅に支障が出ても面白くないし、私も気疲れしそうなので、姿を見せる必要があるときは仕方がないがプレイスタイルの封印も考えなければ。
振り返った老人が私の姿にぎょっとして、頭を振りながら顔を背けてしまったが、まあ、いいや。老年性痴呆症か老眼か目の錯覚かその他諸々かのせいにしてもらおう。見てみれば酒も入ったようだし、アルコールのせいにしてもいい。というかこんな真昼間から飲むのか。飲酒運転して大丈夫か。ハラハラしてその背中を見守るが、この程度の飲酒では酔いはしないのか、見ている限りはピンシャンしている。
「何か面白いものでもありました?」
君のおつむの悪さは面白いと言えば面白い、とはさすがに言わないが、先程から疑問に思っていたことは聞いておこう。
「あれって普通なの?」
「あれ?」
小首を傾げるリリオに、馬車らしきものを牽く生き物を指さす。
「でかい亀が車を引くのって、こっちじゃ普通なの?」
「ああ、甲馬ですね。北の方では珍しいといえば珍しいですけど、力が強いので荷牽きとか、馬車とかにはよく使われてますよ」
見たことないですかと言われても、見上げるような巨体のリクガメなんてものはさすがにお目にかかったことがない。
意外と軽快にのっしのっしと歩いていく大亀は、まあ馬の早駆けとかと比べるとゆっくりはゆっくりなのだろうけれど、一歩一歩が大きく力強いから、人の足で歩くよりは随分早いだろうし、何より安定している。
というか亀が牽いているのに馬車なのか。と首をかしげると、リリオの方も不思議そうに小首を傾げる。
「亀じゃなくて馬ですよ」
「……馬かー」
「馬ですねー」
多分、異世界言語翻訳的には、騎乗できる動物の類は全部馬扱いされているんだろう。
なんで異世界系では馬車を牽くのが爬虫類だったり鳥類だったり、素直に馬じゃないのが多いんだろうなあ。まあ異世界っていう雰囲気がすぐに出るからなんだろうけど、馬でさえ餌やら水やら糞やら大変なのに、爬虫類とか鳥類とかもっと面倒くさい気がするんだよなあ。もしくは絵になった時に、馬はある程度リアルじゃないと突っ込まれ放題なんだろうけど、最初から架空の生き物にしておけば多少変な所があっても突っ込まれづらいのかなあ。
ぼんやりとそんなことを考えているうちに、宿場とやらが見えてくるのだった。
用語解説
・甲馬
甲羅を持った大型の馬。草食。大食漢ではあるがその分耐久力に長け、長期間の活動に耐える。馬の中では鈍足の方ではあるが、それでも最大速力で走れば人間ではまず追いつけない。長距離の旅や、大荷物を牽く時などには重宝される。性格も穏やかで扱いやすい個体が多い。寿命も長く、年経た個体は賢く、長年の経験で御者を助けることも多い。
・蜂蜜酒
蜂蜜を水で割り、発酵させた酒類。ここでは保存性、香りづけ、また薬効を高めるために種々の香草を加えたものを言い、栄養価も高いことから医師の飲み物、メディトリンコと呼ばれている。その効能と安価なことから民衆にも親しまれている。ただし寒冷な地域では蜂が少ない、またはいないため、北東部にあたる辺境領では高値で売れる。
・幽鬼
亡霊と同じく、死んだ者が現れいでるものとされる。その中でも特に悪さをするもの、悪質なものを言う。
十四話目にしてようやく名前を名乗りあった主人公ズ。
これから説明回がガンガン増えそうな気配に怯える作者だった。
境の森には三つの街道が通っている。どれもほどほどに整備され、馬車が行き交うだけの道幅はある。整備費も兼ねた通行税は課されるが、それも主な使用者である商人たちにとってはさほどのものでもないし、多少値が張ろうともわざわざ深い森の中に踏み入るよりは余程安全だし、早い。
男もそうして真ん中に当たる二の街道を通って渡ったが、他の商人たちと違うのは、そのまま街道を進んでいかず、森を出たところで道をそれ、森沿いに少し南へと下って行ったのだった。別にそちらに何があるという訳でもない。だが男は商いで境の森を渡るときは必ずこの道を使っていた。
というのは、何もないとはいえ、そこにはいちおう細道があるのだった。人の足で踏み固められた、馬車で通るには少し細い道だったが、男の馬車を引く甲馬は若く創建で、この程度は悪路とも思わずのしのし進む。
細道にたどり着くと、男は手綱を引いて細道を歩かせ始めた。この道は別に、近道という訳ではない。むしろ少し遠回りになる。だが別に急ぐ旅でもない。男は息子に店を手渡してすでに引退し、こうして若い頃のように旅商人をしているのは、商い先の情報を足で稼ぐという建前で、実際は半ば趣味のようなものでしかない。力は強いが歩みは早くない甲馬を用いるのも、道理だ。
男にとって生涯は旅だった。
いつかどこかの町に定住し、自分の店を持ちたい。そんな夢を持って辛い旅商人を続けていたが、いざ店を構えるとなると途端に旅の空が恋しくてたまらなくなった。
はじめこそ慣れない町暮らしに疲れているんだろうと笑っていたが、子供が独り立ちするころになると、また旅をしたいものだと再び思い始めた。
息子が嫁を貰い、店を譲り渡して引退し、長らく助けてくれた妻が亡くなると、もういいかな、とそう思った。周りからは随分止められたが、旅暮らしが性だった。
結局止められないとわかると、息子たちは馬車を用立て、送り出してくれた。いくつか仕事も頼まれ、商いの一環として送り出すのだと言われたが、それが建前であることはみんなわかっていた。
いい息子を持った。それに、息子もいい嫁を貰ってくれた。
男の趣味は旅をすること自体にもあったが、旅の中での出会いにもあった。町での暮らしも刺激はあるが、旅暮らしの刺激にはかなわない。街で顔を合わせるものは限られているが、旅の空には出会いが無数に転がっている。
男がこの道を選ぶのも、それが理由だった。
というのもこの道は、金がないとか、森を通り抜けられるだけの力量があるとか、森の中の素材を集めたいからとか、そういった理由で街道を使わずあえて森を抜ける旅人や冒険屋たちが使う道なのだった。こういった連中の話は、単調な日々を生きる町人よりも面白い。もちろん、ただで話を聞こうというのではない。森を抜けて疲れ切った旅人を馬車に載せてやり、ついでに害獣や野盗が出た時は、手を貸してもらう。その合間に、ちょっとばかり話を聞く。このような具合で、男はもう何年もこの道を使っていた。
もちろん、いつもいつでも旅人が通るわけではない。寂しい旅路になるときもあるし、馬車に乗り切れない大所帯になるときもある。
今回は、あたりだった。
少し進んだあたりを、鞄を背負った小柄な人影が歩いている。珍しいことに、一人旅だ。いくら旅慣れていても、一人旅というのは、珍しい。それも年経た男ならこうして愛馬を頼りに旅をすることもあるが、成人したてそこそこの年若い娘が一人というのは、まず見ない。
とはいえ、旅事情に首を突っ込むのは、野暮だ。
男は馬車に気づいた娘が道の端に寄ったので、帽子を軽く上げて会釈した。
「おうい娘さん。森を通ってきなすったのかね」
「ええ、そうです。つい先ほどやっと出られたところで」
「それじゃあお疲れだろう。どうだね、狭い馬車だが乗ってくかね」
「え、いいんですか!?」
「いいとも、いいとも。幌があるから日除けにもなるし、楽にしなされ。儂も話し相手が欲しいしね。それにちょっと護衛の真似事もしてくれりゃ十分さ」
訳を隠しても、いいことはない。男が素直にそう話すと、娘の方でも頷いて、話はついた。
娘は馬車の後ろに回り込んで、幌付きの荷車に上がり込んで腰を下ろした。重たげな背負い鞄を下ろして、水筒の水をあおって、ぷはあと一息。見れば見るほど、とてもではないが森を抜けられるようには見えない、ほとんど子供のようななりだ。
「娘さん、ずいぶん若いねえ」
「この春、成人を迎えました」
「そりゃ本当に若い。よく森を抜けられたもんだ。大したもんだねえ」
境の森の東側は、護りの川を隔てて辺境領とすぐ隣であるから、人々はみな創建で、恩恵も強い。そこからやってきたのだからこの娘も見た目より随分手練れなのだろう。
男が感心したように頷くと、娘は照れたようにあどけない笑顔を見せた。
「いやあ、運が良かったんですよ。それに頼れる連れもいますから。ねえ、ウルウ」
男がきょとんとして思わず振り向くと、娘が虚空に手を伸ばしている。
「ウルウがいなければ大変でしたからね。これもきっと境界の神プルプラの思し召しでしょう」
もう、ウルウったら恥ずかしがり屋さんなんですからと虚空に話しかける娘の姿に、男は黙って前を向き直し、手綱を握った。
かわいそうに。
きっと森の中で仲間を失ったのだろう。大切な仲間の死を認められず、ああして心を壊してしまう者も時にはいるのだ。しかし、それがあのような年若い娘とは。神とはかくも残酷なことをなさるものか。
男は名も知らぬ娘の仲間に黙祷を捧げ、とっておきの蜂蜜酒を飲ませてやろうかと後ろの荷物入れに手を伸ばし、そして娘の隣にひょろりと長い体を縮めるように座り込んだ影に初めて気づいた。
なんだこりゃあ、とぼんやり眺めると、そいつは頭巾の下から生気のうかがえない目でじっとりと見返してくるではないか。
男は荷物入れの中から蜂蜜酒の瓶を取り出して、黙って前を向いて手綱を取った。瓶の栓を抜き、ごくりと呷る。黄金色の酒精が流れ込み、爽やかな甘さと酒精の辛さ、それに香草のぴりりとした香りが広がった。
かわいそうに。
きっと森で死んだ仲間が亡霊や幽鬼になって憑いてきてしまったのだろう。もしくは旅で疲れてこの儂にも幻が見えるようになったのか。男はこの懊悩を蜂蜜酒でさっぱり洗い流した。いるものはいる。見えるものは見える。昨日のことは考えない。深く考えない方がいいこともある。念仏のように商売哲学を諳んじて、男は何の不審も見なかったということにした。
後ろから聞こえてくるきゃいきゃいと楽しげな娘の話し声と、それに一切返すことのない、返したとしても枯れ木に風の通るような聞こえるとも聞こえないとも言えない囁き声を、男は熱心に女同士の姦しい会話という風に意識した。
‡ ‡
宿場とやらまでどのくらいなのかと尋ねると、事前に聞いた話では二里くらいだと返ってきた。
一里はどれくらいだと聞くと、半刻歩いたくらいですかねと返ってくる。
では半刻とはどれくらいかと首を傾げれば、日が出て沈むまでが六刻なので、その十二分の一が半刻だという。どうやら不定時法を採用しているようだ。
そうなると正確ではなくなるが、まあ大体半刻で一時間くらいとみて、二里ということは半刻が二回で一刻、つまり二時間くらいということになる。人間の歩く速度は大体時速四キロメートルかそこらと本で読んだことがあるから、一里というのはその位と考えていいだろう。
まあそれもこの世界の一日が二十四時間と仮定した場合だが、体感ではもう少し長そうな気もする。とはいえ比べる方法がないので詳細はわからないが。
まあざっくり二時間くらいと考えると、森の中での道行きを考えると一度休憩をはさんで宿場とやらに到着することになるだろうか。森の中はなんだかんだ見るものがあったのでそこまで飽きなかったが、こうも何もない野原を二時間も歩くというのは現代人にはいささか厳しいものがあった。情報過多時代に生きていた身としては、こうも情報が少ないとかえって落ち着かない。
リリオの方は気にした様子もなく元気な足取りだし、私に話しかけてくる分にはいくらでも話題がありそうだが、あいにくこちらには話題もなければ受け答えのセンスもないし、それ以上にそんな若さについていけるだけのエネルギーもありはしない。
以前は歩きスマホするだけの元気もなかったが、こうなってくると何か見るもの読むものが欲しい。町中をスマホ見ながら危なげに歩く若者たちをゾンビかよと笑っていたが、彼らは情報に飢えていたんだな。現代病だよ、あれは。
仕方なしに、少し前を行くリリオの白いポニーテールが歩みに合わせてぴょこぴょこ動くのを眺めてみたが、別段面白くもない。おもむろにつかんでみたら面白い反応でもしてくれそうではあるが、さすがにそんな子供っぽいことをする気はない。する気力もない。こちとら人間性を捧げて会社に出勤していた生体由来ロボット(型落ち)なのだ。正直歩いているだけで刻一刻とエネルギーが漏れ出している気がする。
そんなことを考えていると、後ろから何かどすどす言う重たい音と、車輪の音が聞こえる。
振り向けば、馬車らしきものが近づいていた。リリオがちょっとどいて道を開けるので私もそうすると、御者席に座った気のよさそうな老人が、麦藁帽を軽く持ち上げてにこやかに挨拶してくる。
「おうい娘さん。森を通ってきなすったのかね」
「ええ、そうです。つい先ほどやっと出られたところで」
「それじゃあお疲れだろう。どうだね、狭い馬車だが乗ってくかね」
「え、いいんですか!?」
「いいとも、いいとも。幌があるから日除けにもなるし、楽にしなされ。儂も話し相手が欲しいしね。それにちょっと護衛の真似事もしてくれりゃ十分さ」
普通の会話にちょっと感動した。
すごいな。私には無理だ。どれだけ疲れていても、え、いいです、遠慮しますと答える気がする。まず話しかけられた時点で警戒心バリバリの目で見て怯ませる気がする。だって人間と話すとか疲れるし、あいつら何で怒って何で笑うかよくわかんないから怖いじゃないか。
リリオが喜んで馬車らしきものの後ろに回ってよいしょと乗り込むので、よじ登るそのおしりを押し上げて手伝ってやり、私もひょいと乗り込む。
馬車らしきものが動き出すと、ごとごととした揺れが直に尻に突き上げてくる。サスペンションとかついてないんだろうな。よく異世界転生ものとかで訳知り顔に馬車は尻が痛くなるとか乗ったこともないだろうに書いていたのはこういうことなんだなとなんとなく感心しながら揺れに身を任せる。
リリオにとってもこの揺れは一般的な物らしく、鞄を下ろして水筒の水など飲みながら一息ついている。私の方は特に疲れも感じていないし喉も乾いていないから、まったく便利な体だ。
「娘さん、ずいぶん若いねえ」
「この春、成人を迎えました」
「そりゃ本当に若い。よく森を抜けられたもんだ。大したもんだねえ」
リリオと老人の会話を聞いて、この世界の成人事情というものを何となく知った。リリオが、まあ西洋人顔でなんとなく幼いなということしかわからないが、十代前半あたりとみて間違いないだろう。その位で成人を迎えるというのは、文明程度が低くて平均寿命が短い時代ならありがちなんじゃなかろうか。もしくは早熟なのかもしれないが。
「いやあ、運が良かったんですよ。それに頼れる連れもいますから。ねえ、ウルウ」
急に話しかけられてぎょっとした。
「ウルウがいなければ大変でしたからね。これもきっと境界の神プルプラの思し召しでしょう」
やめろ馬鹿と小突くと、もう、ウルウったら恥ずかしがり屋さんなんですからなどと言われて頭痛がした。声を出し慣れていないので大声で怒鳴らずに済んだのは良かったと言えば良かった。
私は背を折って顔を寄せ、久しぶり過ぎて咳をしてから、生返事などではなくまともに声を出した。
「私の姿は、いま君にしか見えてないってこと忘れてるんじゃないのか」
「あ、そうでした」
あっけらかんとしたものである。そりゃあこの娘には私の姿は見えているのだが、見えているといっても半透明に透けて見えているらしいし、それがまともじゃないってことは馬鹿でもわかることだろう。
ところがこの小娘は生半可な馬鹿ではなかった。
「ウルウが美人さんなので忘れてました」
「死ねばいいのに」
「何故にっ!?」
「馬鹿は死ななきゃ治らないらしいし」
「死んだらお話しできないですよう!」
「そりゃあ静かでいいや」
「ウルウのいけず!」
「誰が行かず後家だ」
「言ってないです言ってないですいったたたたたたたったったったやめっとめっあばばば」
うるさいのでアイアンクローかましてやったら余計うるさい。
これでも《選りすぐりの浪漫狂》内では力強さの数値はかなり低めの方だったのだが、それでも一応最大レベルともあって、平然と自然破壊をこなす石頭でもきしませることくらいはできるようだ。それでもこっちの指が疲れるくらいだから相当な石頭だが。
適当な所で放してやれば、即座に涙目で何するんですかもうと唇を尖らせるくらいだから、実際大したダメージではないようだ。どんだけ硬いんだこいつ。
まあ適当に遊んだところで、《隠蓑》を解除してやる。
別にこいつがはしゃいで暴れて、イマジナリーフレンドとお喋りする可哀そうな子として憐れみを持って見られたところで私は痛くも痒くもないのだが、それで旅に支障が出ても面白くないし、私も気疲れしそうなので、姿を見せる必要があるときは仕方がないがプレイスタイルの封印も考えなければ。
振り返った老人が私の姿にぎょっとして、頭を振りながら顔を背けてしまったが、まあ、いいや。老年性痴呆症か老眼か目の錯覚かその他諸々かのせいにしてもらおう。見てみれば酒も入ったようだし、アルコールのせいにしてもいい。というかこんな真昼間から飲むのか。飲酒運転して大丈夫か。ハラハラしてその背中を見守るが、この程度の飲酒では酔いはしないのか、見ている限りはピンシャンしている。
「何か面白いものでもありました?」
君のおつむの悪さは面白いと言えば面白い、とはさすがに言わないが、先程から疑問に思っていたことは聞いておこう。
「あれって普通なの?」
「あれ?」
小首を傾げるリリオに、馬車らしきものを牽く生き物を指さす。
「でかい亀が車を引くのって、こっちじゃ普通なの?」
「ああ、甲馬ですね。北の方では珍しいといえば珍しいですけど、力が強いので荷牽きとか、馬車とかにはよく使われてますよ」
見たことないですかと言われても、見上げるような巨体のリクガメなんてものはさすがにお目にかかったことがない。
意外と軽快にのっしのっしと歩いていく大亀は、まあ馬の早駆けとかと比べるとゆっくりはゆっくりなのだろうけれど、一歩一歩が大きく力強いから、人の足で歩くよりは随分早いだろうし、何より安定している。
というか亀が牽いているのに馬車なのか。と首をかしげると、リリオの方も不思議そうに小首を傾げる。
「亀じゃなくて馬ですよ」
「……馬かー」
「馬ですねー」
多分、異世界言語翻訳的には、騎乗できる動物の類は全部馬扱いされているんだろう。
なんで異世界系では馬車を牽くのが爬虫類だったり鳥類だったり、素直に馬じゃないのが多いんだろうなあ。まあ異世界っていう雰囲気がすぐに出るからなんだろうけど、馬でさえ餌やら水やら糞やら大変なのに、爬虫類とか鳥類とかもっと面倒くさい気がするんだよなあ。もしくは絵になった時に、馬はある程度リアルじゃないと突っ込まれ放題なんだろうけど、最初から架空の生き物にしておけば多少変な所があっても突っ込まれづらいのかなあ。
ぼんやりとそんなことを考えているうちに、宿場とやらが見えてくるのだった。
用語解説
・甲馬
甲羅を持った大型の馬。草食。大食漢ではあるがその分耐久力に長け、長期間の活動に耐える。馬の中では鈍足の方ではあるが、それでも最大速力で走れば人間ではまず追いつけない。長距離の旅や、大荷物を牽く時などには重宝される。性格も穏やかで扱いやすい個体が多い。寿命も長く、年経た個体は賢く、長年の経験で御者を助けることも多い。
・蜂蜜酒
蜂蜜を水で割り、発酵させた酒類。ここでは保存性、香りづけ、また薬効を高めるために種々の香草を加えたものを言い、栄養価も高いことから医師の飲み物、メディトリンコと呼ばれている。その効能と安価なことから民衆にも親しまれている。ただし寒冷な地域では蜂が少ない、またはいないため、北東部にあたる辺境領では高値で売れる。
・幽鬼
亡霊と同じく、死んだ者が現れいでるものとされる。その中でも特に悪さをするもの、悪質なものを言う。
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