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新たなる旅路
171 暗殺ギルド
しおりを挟むイザベラ達が待っていると、クリスは宿屋から袋を持って走りながら帰ってきた。
「はぁはぁ……お待たせ! 長右衛門さん、詩音さん。年はおいくつですか?」
「拙者は今年で48、子年だが……トシを聞いてどうするのでござるか?」
「わぁ、さっすがヒノモト出身者! 覚えてるんですね? はい、ネズミ!」
「おおっ!? この質感は……象牙の根付けでござるか!? まさかこれを拙者に?」
「はい! 良かったら使って下さい。詩音さんは?」
「……私も子年だ。歳は数えてくれるなよ?」
「あはは、分かりました。はい、どうぞ」
「私の分まであるのか? ありがとう」
長右衛門と詩音は象牙で出来たねずみの根付けを貰い、故郷を懐かしみながら喜んだ。
貰った根付けを愛でながら、長右衛門はカーソンとクリスへ聞く。
「詩音からお二方はヒノモトへ向かい、帰ってきたと聞いていたが、あの国は如何でござった?」
「いやホント、ヒノモトって怖い国ですね」
「いざこざに巻き込まれて、何度も死にかけましたよ」
「はっはっは、そういう国でござる。剣を持つ剛の者には修羅の国でござるよ」
「別に俺達、戦いを求めてあの国行ってきたワケじゃないですよ?」
「こいつがお人好しすぎて余計な事ばっかりするから、色んな人達に身柄やら命やら散々狙われちゃいましたよ」
「あの国にお二方が行けば、神の化身やら生き神やらと崇められてしまうのではないかと思い、心配だったでござるよ」
「ありゃ、長右衛門さん心配してたんですか?」
「なんかすみません。起こさなくてもいい騒動ばっかり起こしてきてしまいました」
「生きていてくれれば何の問題もない、無事で何よりでござるよ」
「ありがとうございます」
「いやしかし、これはとても良い物を頂きかたじけない。大事にさせて頂くでござるよ」
長右衛門は懐から手拭いを取り出し、根付けを大事そうに包んで再び懐へと戻した。
一行は長右衛門と詩音に案内されるまま、ユアミの北はずれへと向かう。
歩きながらイザベラは、長右衛門に聞く。
「ねぇ、長右衛門とやら? アジトの場所は変えたの? 変えてなかったら、火噴き岩のそばのまま?」
「何と!? イザベラ殿、どうしてその場所を存じているのでござるか?」
「ふふふ。昔ね、行った事があるのよ。中にも入ったわよ?」
「おおっ、先代とはそれ程懇意な仲でござったか!」
「どうかしらね? きっとあの小娘はそう思ってないわよ?」
「イザベラ殿の顔を見れば、さぞや先代も懐かしむでござるかな?」
「まっ、お互い迷惑をかけあった仲だものね」
「……時にイザベラ殿? イザベラ殿も裏の仕事を生業にしているのでござるのか?」
「いいえ? 私は暗殺なんてしないわ、真正面から堂々と殺すわよ?」
「なかなか胆の据わられたご婦人のようでござるな?」
「そうでもしなきゃ、やってられないもの」
「ふむ? お若く見えるが、苦労なされた過去をお持ちのようでござるな?」
「これまで生きてて、今が一番苦労してるかも知れないわね。楽しいけども」
「苦労を楽しんでいるのでござるか? 前向きな御仁でござるのぅ」
詩音からの報告でカーソンとクリスが翼の民だとは既に知っている長右衛門。
だが、今自分と話しているイザベラが谷の女王だとは微塵にも思っていなかった。
一行は、8年前にカーソンとクリスがサラマンダーと契約した場所へとやって来た。
カーソンとクリスは、当時を思い出しながら話す。
「ここに暗殺ギルドがあったなんて……知らなかった」
「ここに来る前に暗殺の依頼出されてたら、俺達死んでたかも知れないな?」
「そうよね。ギルドのアジト前に何も知らない暗殺対象がフラフラって来てたと思うと、ゾッとするわ」
「あの時感じてた気配って……暗殺者達の気配だったんだろうな」
「向こうもあたし達に仕掛けていいのかどうか迷っ……イザベラさん?」
「何か探してるんですか?」
「うん、ちょっとね……」
カーソンとクリスが話している横を、イザベラが通り過ぎた。
イザベラは手探りで岩壁の隙間を探している。
やがて隙間を探り当て、右手をおもむろに差し込みながら話す。
「えーっと、確かこの辺に……ああ、あった。これだわ」
イザベラは岩と岩の隙間にあるレバーを引いた。
仕掛けが作動し、目の前の岩戸がゴゴゴと音を立てて地面へ沈む。
ただの大岩だと思われた場所には岩戸が存在し、開くとその先に何処かへと通じる道が出て来た。
長右衛門は驚きながら話す。
「イザベラ殿!? 何故隠し扉の開け方まで存じているのでござるか!?」
「言ったでしょ? 前に来た事あるって」
「この隠し扉の開け方を存じておるとは……イザベラ殿は何者でござるか?」
「……小娘居るー? 遊びに来てあげたわよー?」
イザベラは通路の奥へ向かい叫んだ。
ガタタッ
通路の向こう側が急に騒がしくなった。
複数の男女が血相を変えて通路の奥から現れる。
「誰だ貴様らっ!? 何者だっ!?」
「我らの聖地に踏み込むなっ! すぐにここから立ち去れっ!」
「さもなくば命は無いぞっ!」
「長右衛門っ! これは何事だっ!? 他人へ入り口を教えるなどと…正気かっ!?」
隠し通路から暗殺者達がぞろぞろ出て来てイザベラ達を取り囲み、剣を抜き殺気をギラつかせた。
イザベラは飄々としながら、殺気を撒き散らす暗殺者達へ話す。
「あんな穴の中にずっと閉じ籠もってないで、たまにはこうして陽の光浴びに出てきなさいよ」
「我等に指図するな!」
「あんな薄暗いとこでずっと暮らしてたら、身体に良くないわよ?」
「大きなお世話よっ!」
「気持ちまで暗くなっちゃうでしょうよ? 太陽の下で仕事しなさいよ」
「死にたくなければすぐに立ち去れ! ここの事を黙っていれば、殺さんでやる!」
「そう言っといて、背中向けたら平気でぶすっと刺すんじゃないの?」
「刺さないでやるから消えろ! すぐ消えろ!」
暗殺者達は執拗に喚き散らす。
カーソン達は暗殺者達を刺激しないように平静を装う中、イザベラだけが挑発をしていた。
暗殺者達は、この5人と会った瞬間にこちらから手を出してはいけないと悟っていた。
こちら側の誰かひとりでもこの5人へ襲い掛かれば、自分達は皆殺しにされてしまう。
暗殺という裏稼業に身を置く者達は、常に死と隣り合わせで生きている。
故に自身が生き続ける為に、死なない為に絶対関わってはいけない相手が居る事を知っている。
何よりも詩音が調べあげた情報により、この5人の翼の民へ絶対に仕掛けてはいけないという直感が働いていた。
ギルドの入り口に緊張が走る中、通路の奥から声が響いてくる。
「やめておけ。お前達が束になっても勝てる相手では無いよ」
「あら、やっと出てきたわね?」
「あんまり年寄りに無理させないどくれ、死んじまうよ」
「いいじゃないのよ、本来とっくに死んでたんだから」
「ひっひっひ……違いないね」
「陽の光に当たっても大丈夫なの? 燃えちゃったりしない?」
「あたしゃまだ人間のつもりだよ? 勝手に魔物にしないでおくれ」
小柄な老婆、暗殺ギルドの先代マスターがイザベラの前に現れた。
イザベラは老婆に話しかける。
「久しぶりね、小娘。近くまで来たから遊びに寄ったわよ?」
「あたしの可愛い子供達だ。殺すのだけは、やめておくれ」
「なかなか賢いじゃないこいつら。もし仕掛けてきたら殺していたわよ?」
「そりゃそうさ。あたしが手塩にかけて育てた可愛い息子、娘達だよ」
「昔あなた自身が仕掛けてきて、私に殺されかけたじゃないのよ?」
「だからこそだよ。仕掛けちゃいけない奴の特徴は、口を酸っぱくして何度も言い聞かせたんだ」
「経験した者にしか分からない事よね?」
「お前さんの声を聞き、飛び出してった子達を心配したけどね。みんな思い止まってくれててあたしゃ嬉しいよ」
老婆は暗殺者達を、目を細めながら見回していた。
イザベラは老婆へ話す。
「あなたマスター引退したそうね? 寄る年波には勝てなかった?」
「あたしも死ぬ時はベッドで死にたいさね。お前さんの親父殿にはここまで長生きさせて貰った。感謝しているよ」
「そうでもしなきゃ、約束させた事守る奴居なくなるじゃないのよ」
「ひっひ、そりゃその通りだね」
長右衛門は老婆にイザベラの事を聞く。
「先代、イザベラ殿とはかなり古くからの付き合いのようでござるが?」
「ほれ、お前達に昔話した事があったじゃろう? ここにたったひとりで乗り込んできて、壊滅寸前まで追い込んだ末恐ろしい魔法使いの事をさ?」
「どうせ私の事、化け物とかなんとか言ってたんじゃないの?」
「化け物のほうがお前さんよりもまだ優しいわな、ひっひ」
老婆の話を聞いた暗殺者達は、一斉にどよめきの声をあげた。
長右衛門は驚嘆しながら話す。
「何と!? まことか先代! では、この場にギルドが手を出さぬと誓った御仁が3人、全員居るという事でござるか!?」
「ひっひ。カーソンとクリスはお前さんに所縁のある者達だったんだね? それじゃあ、例え逆立ちしても殺せなかったわな」
「まあそうね。仮にもし殺しちゃったら、私が仕返しに来たかもね?」
「流石に二度目は皆殺しだっただろうねぇ、おぉ怖い怖い」
いつの間にか暗殺者達は剣をしまい、取り囲みをやめていた。
向こうに殺す気が無いのなら、これ以上此方から刺激する事など無いと冷や汗をかきながら。
場の緊迫感が薄れたと察したクリスは気を取り直し、長右衛門へ話しかける。
「あの、長右衛門さん。実は暗殺ギルドにもお土産があるんですよ」
「ギルドにまででござるか!? クリス殿、それはいくらなんでも酔狂ではござらぬか?」
「余ったお土産なんで、失礼かも知れませんが……はい!」
クリスは持ってきた袋の中から、変わったネコの像を2個取り出した。
ネコの像は、ひとつが右手を挙げ、もうひとつは左手を挙げている。
長右衛門は右手を顎にあて、思案しながら話す。
「ふむ……これは……招き猫でござるな?」
「さっすが長右衛門さん知ってる! これ両方飾って置けば、無病息災らしいですよ。ギルドに置いて貰っても……いいですか?」
「無病息災とな? クリス殿、それは誰から聞いたのでござるか?」
「お土産屋さんの店員からです」
「ふむ……いや、クリス殿。それは間違いでござるよ?」
「えっ? 違うんですか?」
「うむ。右手を挙げた招き猫は金を呼び込み、左手を挙げた招き猫は人を呼び込むのでござるよ」
「あれ? 聞いてたのと違う……」
「わざわざクリス殿がヒノモトから持ち帰って下さった招き猫、有り難く頂戴したいのは山々なのでござるがのぅ……」
「……あ、それって……そういう事になっちゃいますよね」
「暗殺ギルドが千客万来、商売繁盛するのは些か憚られるでござるよ」
「ありゃあ……暗殺ギルドにお客さんが沢山来て、商売繁盛しちゃまずいかなぁ?」
長右衛門から招き猫の意味を聞いたクリスは、渡す相手の仕事柄あまり繁盛してはいけないのかと呟いた。
クリスの話を聞いていた詩音の様子が、突然変わる。
「……暗殺ギルドが……千客万来……商売……繁盛……ぷっ、くくくっ……うふふっ……あはははは!」
「わっ!? 詩音さんどうしたんですか!? 突然大笑いして」
「あはははは! あーっはははは!」
「すまぬ、詩音は真面目過ぎての。たまに琴線に引っ掛かる事があると、こうして大笑いするのでござるよ」
「あたし、何か変なこと言ったかな?」
「まあ、拙者が言うのもなんでござるが……繁盛して良い稼業ではござらんよ」
詩音は暫くの間、腹を抱えて笑い続けていた。
長右衛門は招き猫を見ながら、クリスへ話す。
「ふむ、これも何かの縁でござろうか……クリス殿、この招き猫を我等ギルドで頂戴しても宜しいでござるかのぅ?」
「でも、いいんですか?」
「いや実はの……今後殺し以外の仕事をしなければならぬ流れになってしまっての……」
「殺し以外の仕事ですか?」
「うむ。ほれ、トラン殿を覚えておられるか?」
「あっ、トランさん?」
「うむ。彼とは良き協力関係を築いておったのだが、我等の能力を高く買ってくれての、彼の組織の一員として働いて欲しいと頼まれたのでござるよ」
「トランさんの組織に……ですか?」
「我等とて殺しの仕事が来なければ飯は食えぬ。だが、トラン殿からの仕事を引き受ければ安定した収入を得られるのでござるよ」
「トランさんから来る仕事って……何でしょう?」
「主にはこの国の諜報活動でござるよ。諜報の結果死んで貰わねばならぬ者はそのまま……という、お互いの利害が一致しておるのでござるよ」
「ギルドに殺し以外の仕事が来て、その分お金も入ってくるんですね?」
「そうなるでござるな。つい先日その依頼を受けた矢先に、こうしてクリス殿が招き猫を持ってきて下さった。験担ぎには丁度良いでござる」
「確かに、なんかいい流れですね? どうぞどうぞ、差し上げます」
「かたじけないでござる」
クリスは招き猫を長右衛門へ差し出し、長右衛門は大事そうに両手で受け取った。
あまり長話もせず、イザベラ達はギルドから立ち去ろうとする。
カーソンはひとり残り、長右衛門と話す。
「長右衛門さん、ドンガさんのところへ行ったんですね?」
「うむ、左様。刀を打ち直せるかお願いしたでござるよ」
「ドンガさん、直せました?」
「言いにくいでござるが、実用に耐え得る程には直して頂いたがのぅ……完全には無理でござったよ」
「ドンガさん、弟子のトンマさんと一緒にヒノモトへ修行に行ったって知ってます?」
「行ったのでござるか!?」
「ちゃんと直せなかったの、かなり悔しかったみたいですね」
「ううむ……すまぬ事をしてしまったようでござる」
「長右衛門さんのせいじゃないですよ?」
「刀の製法は他国への流出を固く禁じられておるのでござるよ。もし習得してしまえば……もうこの国へは戻って来れぬかも知れぬよ?」
「ありゃ、そうなんですか?」
「ドンガ殿にはその旨伝えたのだが……行ってしまわれたか……」
「何となくですけど、ドンガさんならどうにかして帰って来そうな気がしますよ? 俺達も方々からお尋ね者にされましたけど、こうして帰って来れましたし」
「はっはっは! やはり追っ手をかけられたか!」
「ええ。もっと東へ行きたかったんですけどね」
「カーソン殿、もっと話したいところだが……イザベラ殿が待っておるぞ?」
「あ、いけね。それじゃあ、またどこかで会えたらその時に!」
「うむ。縁さえあれば、また会えるでござるよ」
カーソンは長右衛門へぺこりと頭を下げ、その場から立ち去ろうとする。
長右衛門は詩音から手紙を受け取り、カーソンへ話す。
「カーソン殿、これを」
「はい? あ、手紙?」
「詩音に届けさせようとしておったが、拙者の手から渡させて下され」
「ありがとうございます」
「暇を見つけて、読んで下され」
「はい」
カーソンは手紙を受け取り、イザベラ達の元へ戻る。
ユアミへと戻るカーソンの背中へ、長右衛門は叫んだ。
「陰ながらお手伝いさせて頂くでござるよー! 翼の民様ーっ!」
「!? 長右衛門さんっ!?」
「カーソン殿ぉー! 死ぬでないぞぉー! 可愛い息子よぉーっ!」
「げっ!? トランさん話したのか!?」
「そりゃ話しちゃうでしょ。あたし、前に長右衛門さんもあんたの事息子って思ってるの聞いてたし」
「そ、そうなのか?」
「うん。絶対トランさん喋ると思ってたよ」
「……参ったな。翼の民ってのも父さんって思ってるのもバレてたのか」
カーソンは振り向き、手を振る長右衛門へ深々とお辞儀し、右手を振り返した。
左手に持つ長右衛門からの手紙を、覚悟して読もうと恥ずかしがりながら。
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