翼の民

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犯した過ち

120 女冒険者ヘレナ

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 女冒険者ヘレナ。

 彼女は今より10日前、カーソンとクリスが受けた盗賊退治の依頼で助け出した女性だった。

 2人が退治依頼を引き受ける前に依頼を受けて失敗し、盗賊団に返り討ちにされた冒険者パーティの生き残り。

 アジトの奥地に監禁され、2人から助け出されるまで延々と盗賊団から強姦され続けていたヘレナ。

 元々は黒髪であったが、恐怖と絶望で髪は真っ白に脱色してしまう。

 散々嬲り尽くした盗賊団は彼女の身体に飽き、最後に断末魔の悲鳴を聞いて楽しもうとナイフで全身を切り刻んでいた。


 声が枯れるまで泣き叫びながら切り刻まれ続けたヘレナ。

 全身から流れる血で意識が朦朧とし、今まさに事切れる直前に2人がアジトに殴り込んで来たのである。

 盗賊団を皆殺しにした後、彼女を見つけ出した時には死体かと勘違いする程、身動きひとつもしていなかった。

 カーソンが急いで近くにあった水瓶にヒーリングをかけ、手桶で彼女に水をかけた事でかろうじて命を繋ぎ止めた。

 生きる事を諦め、死を受け入れていた彼女の目の前に颯爽と現れて救い出してくれた男。

 当然のごとく、ヘレナはカーソンに一目惚れをしてしまう。

 彼女の境遇を可哀そうに思った2人は、盗賊団の所持金と退治成功の報酬を全て彼女に譲り渡す。

 冒険者を辞め、そのお金でこの先どこかで静かに暮らすようにと願って。


 ところがヘレナは2人が予想もしていなかった行動をとる。

 ゴールドを渡し、別れた次の日よりヘレナは2人に付きまとい始めた。

 お金があるんだからさっさと居なくなればいいのに、と思うクリスは何度もヘレナを追い払う。

 しかしヘレナは邪険に扱うクリスに全くめげず、毎日2人の後を追いかけた。

 カーソンはヘレナに会う度にいつも心配して声をかける為、ヘレナもカーソンは自分に気があると思い込む。

 何とかしてあの2人のパーティに入れて貰おうと、あの手この手で執拗に付きまとい続けていた。




 クリスはヘレナに仏頂面で話す。

「何でローブ着て姿隠してんのに、あたし達だって分かんのよ?」
「何言ってんのよぉ。ローブ着込んだ冒険者なんて君達しか居ないよぉ?」
「あんたと関わりたくないって……察しなさいよ」
「またまたぁ。本当はうちの事気になってしょうがないんでしょぉ?」
「そんなワケあるかっ! 何度来ても駄目、あたし達はあんたとパーティ組む気なんて全然無いからね」
「そんな事言わないでさぁ……うちも一緒に仕事させてよぉ」
「あんた弱いの。とてもじゃないけどあたし達の仕事、一緒にこなせないってば」
「そうかなぁ? うち、そこそこ戦えるよぉ?」
「そこそこじゃ駄目。すぐ死んじゃわれても困んのよ」
「死なないからぁ。一緒に仕事しようよぉ?」
「嫌よ。そのお金残ってるうちに、早いトコ冒険者引退してよ」

 クリスは右手を払い、しっしっと追い払う。

 ヘレナは両手で自分の下腹部を擦りながら話す。

「だってぇ……赤ちゃん出来てたらこのお金だけじゃ足りないんだもぉん」
「それについては可哀そうだと思ってるけど……別な方法でお金稼ぎなさいよ」
「可哀そうだと思ってるならさぁ、うちの事雇って頂戴よぉ」
「お腹に赤ちゃん入れたまま冒険者なんて出来るワケないでしょっ!」
「大丈夫大丈夫ぅ。流れてくれたほうが有り難いんだからぁ」
「……赤ちゃんが可哀そうでしょうよ」
「盗賊の子なんて産みたく無いもぉん。誰が父親なのか分かんないしぃ、もう君達に殺されてるしぃ」
「……父親殺した迷惑料として有り金全部あげるから、もうあたし達に付きまとわないでよ」

 クリスは渋々とした表情で腰から下げていたゴールドが入った袋を手に取り、ヘレナの前に差し出した。


 ヘレナは差し出されたゴールドの袋を一瞥し、ニコニコと微笑みながらクリスに話す。

「お金なんて要らないよぉ。むしろうちの事孕ませようとした男共皆殺しにしてくれてぇ、感謝感激だよぉ?」
「くっ……何でお金要らないのよ?」
「愛はお金じゃ買えないもぉん。きゃっ! 言っちゃったぁ」
「どこの誰の愛よっ!?」
「カーソンのぉ、あっ、いっ!」
「帰れ!」
「ごめんってばぁ。そんなに怒んないでぇ?」
「あぁ……イライラする」
「うち、クリス怒らせてるつもりなんて無いよぉ?」
「殺したくなっちゃう前に消えて!」
「やだぁ。お願いだからぁ、一緒に仕事させてよぉ」
「何度お願いされても駄目なモノは駄目なのっ!」
「そんなに言うならぁ……一緒に仕事はしないよぉ」
「そう! やっと分かってくれてありがとう! はいさよならっ!」
「うち、カーソン用の予備の穴でいいよぉ?」
「ばっ、馬鹿かあんたっ!」

 ヘレナの卑猥な発言にクリスは顔を真っ赤にして怒った。


 カーソンは首をかしげながらヘレナに聞く。

「? 俺の予備の穴って……何の事だ?」
「またまたぁ、分かってるクセにぃ。カーソンのぉ、チンポコをぉ……」
「黙れヘレナっ! あんたも余計な事聞くなっ!」
「? 何でクリスが怒るんだ?」
「うっさいっ! あんたは黙ってろっ!」
「……はい」
「クリスぅ? 男の子にそんな傲慢な態度とってちゃ嫌われちゃうんだよぉ?」
「あんたの知った事かっ!」
「うち、あなたよりも一回り年上なのよぉ? 女として先輩の言う事聞いといたほうがいいよぉ?」
「んなワケないでしょっ! あたしより年上なワケあるかっ!」
「えぇ? 誰がどう見たって20歳にもなってない小娘がぁ? 32歳のうちよりも年上だってぇ?」
「くっ……とにかくっ! さっさと消えろっ!」
「嫌よぉ。仲間にしてくれるまでうち、ずっと離れないからねぇ?」
「お願い! ホントに殺したくなっちゃうからもう来ないで!」
「ほいじゃぁ、うちの事殺してもいいからぁ……殺す前に1回だけお試しで使ってみてぇ?」
「冗談抜きで殺すからね!」
「いいよぉ。君達が助けてくれたから生きてるだけだしぃ、うちもう死んでると思ってるからぁ」
「……何なのよあんた」

 クリスは脅しが通用しないヘレナの態度に困惑した。


 ヘレナは強引にカーソンの隣へ座り、対面のクリスに両手を合わせて拝みながら話す。

「お願ぁい。1回使ってみて、全然役に立たなかったら殺してもいいからぁ」
「何でそんなにあたし達と仕事したいのよ?」
「だってぇ、ひとりじゃ生きてけないんだもぉん。君達と一緒に居たいのぉん」
「あたしらは一緒に居たくない」
「そんな事言わないでぇ? 1回だけでいいからぁ、じゃなきゃずうっとお願いし続けるからねぇ?」
「……1回連れてったら、もう付きまとわない?」
「うんっ。役に立たなかったら殺してくれてもいいからぁ」
「……ホントに1回。1回だけだからね?」
「連れてってくれるぅ?」
「……しょうがない。1回だけなら……いいよ」
「やったぁっ! じゃあカーソン、早速トイレ行って1発しようよぉ?」
「はぁっ!? ななな、何言ってんのあんたっ!?」」
「お姐さんがぁ、大人の女の味たっぷりと教えてあげるねぇ?」
「? 女って味すんのか?」
「若いだけで技術がないクリスの穴なんかよりもぉ、うちの穴のほうがずぅっと締まりが良くて気持ちいいんだからぁ」
「気持ちいいって……何が気持ちいいんだ?」
「若いんだから毎日溜まりまくってるんでしょぉ? うちの妙技であっという間にイカせてあげるぅ」
「1回ってそっちじゃねぇっ!」

 クリスは椅子から立ち上がり、両手をテーブルに叩き付けながらヘレナに怒鳴った。


 ヘレナはカーソンの両手を掴み、自分の胸を触らせながら話す。

「カーソンみたく素敵な男はぁ、沢山の女の穴に挿入れてあげるべきだよぉ?」
「? 女の穴って……鼻の穴に指入れてあげればいいのか?」
「ソコじゃないってばぁ。クリスの穴だけで満足してちゃダメよぉ?」
「俺、クリスの鼻の穴に指入れた事ないぞ?」
「知らないフリしちゃってぇ、カーソンってば可愛いんだからもぅ」
「ごめんヘレナ、俺分かんない」
「んふふ。そんなにうちの口から言わせたいのぉ? ここの穴……っとクリスぅ、そんなに怒っちゃやだぁ」

 カーソンの右手を自分の股間にあてがおうとしたヘレナは、クリスが発する凄まじい殺気に気付き、途中でやめた。


 クリスは殺気をぎらつかせながらヘレナに話す。

「……あんた、カーソンのおちんちん知らないクセにそんな事すんな」
「お風呂で見たから知ってるよぉ? あんなおっきなチンポコ、うちも挿入れられたぁい」
「……あれ、こいつの普通の大きさなんだから」
「おっきいよねぇ……え?」
「こいつのおちんちんがおっきくなったトコ見てるの、あたしだけだからね?」
「え? えっ!? あれが……起ってない大きさだっての?」
「そうよ。 起ったら倍のおっきさになるんだから」
「は!? え!? 倍って……あんなおっきいのに起ってなかったとかウソでしょ!?」
「ウソじゃないって。あたしの両手じゃ収まりきれないくらいおっきくなるんだから」
「だって普通のおっ起った男よりもおっき……ええっ!? もっとおっきくなんの!?」
「……挿入れて裂けても知らないからね」
「ね、ねぇ? どんくらいおっきいの?」
「……こんくらいよ」
「…………ごくり」

 クリスは両手で大きさを表現し、ヘレナは生唾を飲み込んだ。


 ヘレナは顔を赤くしながらクリスの表現した大きさを両手で真似して話す。

「こっ、この長さで……この太さ?」
「……そうよ。もうすっごいんだから」
「そ、そんな……ええっ!? こんなチンポコなんて……この世にあるの?」
「あるから言ってんのよ」
「クリスってそんな若いのに、もうカーソンのチンポコ挿入れすぎてガバガバにされちゃってるの?」
「うっ、うっさいっ! 何でそんな事まであんたに言わなきゃないのよっ!」
「いやぁ……ある意味犯されまくったうちよりも気の毒……」
「あんたと一緒にすんなっ!」
「根元まで挿入はいんないでしょ?」
「知るかっ!」
「いやぁ……流石にうちの穴でも……こんなおっきいの飲み込めきれないな」
「…………」
「ねえクリス。週の半分受け持ってあげるから、うちにも挿入れさせてよ」
「断る!」
「そんな事言わないで。うちもそんなおっきなチンポコ味わってみたいの。お願い」
「……あんた、口調が変わってるよ」
「あっ、ごめぇん。ちょっと素が出ちゃったぁ」
「普通に喋れるなら普通に喋ってよ。その甘ったれた口調、イライラするから」
「そっか、ごめん。あの言い方のほうが男達にウケが良くてさ、うちも我慢して使ってたんだ」
「こいつには男も女も関係ないから。無理するくらいなら普通に喋りなさい」
「分かった。へぇ……あ、ホントだ。すんごい存在感あるのに、ふにゃふにゃだね」
「こらーっ! 触んなっ!」
「……くすぐったい」

 ヘレナは両手でローブの上からカーソンの股間をもみしだき、クリスに再び怒鳴られる。

 カーソンはヘレナに触られ、もぞもぞと身体をよじった。


 クリスはぶつぶつと呟きながら椅子に座る。

「……ったく、何で女冒険者ってどいつもこいつも破廉恥なのよ……」
「そりゃこんな素敵な男の子、放っとけないもん。せめて1発くらいはしたくなっちゃうよ」
「言い寄ってこられまくって、あたしは迷惑してんのよ」
「クリスには男が言い寄って来ないの?」
「……どうせ男共にとっちゃ、あたしみたいなガキには全然興味無いんでしょ」
「そお? クリスって美人だと思うよ?」
「……ありがとうって、一応言っとくわ」
「クリスがモテないって、うちが思うに男よりも強すぎるからだと思うよ」
「何で強けりゃモテないのよ?」
「そりゃ男からしたらさ、自分よりも強い女を思うように蹂躙なんか出来ないだもん」
「蹂躙って……女の事馬鹿にしてんじゃないの?」
「男ってのはみんなそう思ってるんだよ。女はただの穴だってね」
「……失礼な奴らね」
「カーソンはその辺違うもん。どんな粗暴な女にもちゃんと丁寧に接してくれるし」
「そういう性格の奴なのよ、コイツは」
「女捨ててるような連中がそんな扱いされてみなよ? アソコぐちょぐちょに濡らしちゃうって」
「だからっ……女なのにそんな破廉恥な事言うなっ」
「クリスが羨ましいなぁ……。毎晩ヒィヒィ言わされてるんでしょ?」
「べっ、別に……ヒィヒィ言わされてなんかないもん」
「ホント羨ましい。美人で強いし、こんなに素敵な彼氏が片時も離れずに寄り添ってくれてるし」
「そ、そう……かなぁ?」
「女として憧れちゃう。今の生活に何の不満も無いでしょ?」
「ま、まぁね……」
「将来はカーソンと一緒に子供作って、2人でとっても幸せな家庭を築くんでしょ?」
「べっ、別にそんな事……思って……る……かな?」
「お金も名声も、とっても素敵な彼氏も持ってる美人冒険者クリス。みんなの憧れの的よ?」
「へへっ……」


 クリスはヘレナに褒めちぎられ、嫌っていた事などすっかり忘れて上機嫌になっていた。

 
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