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冒険者カーソンとクリス
84 鍛治屋
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カーソンとクリスは再び街中を散策する。
段々と食べ物屋が少なくなってきた道を、2人は歩き続ける。
通りは次第に人々の声が聴こえなくなってゆく。
代わりに何かを叩いたり、切ったりする音が2人の耳へと届く。
2人は、食べ物を売る通りから道具を作って売る通りへ移動してきたと気付く。
「ゴハン食べれそうな店、無くなったな?」
「そうだね。道具屋ってこの辺にあるのかな?」
「道具屋?」
「うん。マッコイさんが言ってた、火種と氷種買っとこうかなって」
「ああ、あの凍らせるやつか?」
「そそ。人間はそんな便利な道具使ってんのに、何で行商達は谷へ売りに来なかったんだろ?」
「魔法が出る道具かぁ」
「かまどの火が消えたらまた起こすの面倒くさいし、氷室の氷溶けたらヨミ婆ちゃんとこに作って貰いに行かなきゃないし、そんな道具あったらすっごい便利なのになぁ」
「俺達精霊魔法使えるから、売れないと思ったんじゃないか?」
「あ、そっか。それあるかもね?」
「食い物持ってったほうが、全部売れると思ってたんじゃないか?」
「そうだね。売れそうにない物、わざわざ持ってこないか」
2人は火種と氷種を求め、道具屋を探した。
通りの角にある鍛治屋で、ひとりの男があくびをしながら店の奥で酒を飲んでいる老人へ話しかける。
「ふぁぁ……ぁ。親方ぁ、そろそろ仕事して下さいよぉ」
「今日は気が乗らねぇ。もう店閉めろや」
「何言ってんすか。せめておいらの給料分くらいは稼ぎましょうよぉ……」
「気が乗らねぇって言っただろ。そんなに売りたきゃ、おめぇひとりで商売しろや」
「無茶言わないで下さいよぉ。おいらは鍛治屋になりたくて親方に弟子入りしたんすよ? 商人になるために鍛治屋やってねっすよ?」
「ロクに剣も叩けねぇクセに、偉そうに鍛治屋名乗んじゃねぇよ!」
「だから親方ぁ……おいらに技術仕込むついでにね、仕事しましょうよぉ?」
「うるせぇな! 休むったら休むんだよ!」
「昼間っから酒なんて飲むから、そうやって休みたくなるんすよ?」
「武器もロクに扱えねぇ連中に、儂の剣は売りたくねえんだよ!」
「別に売ってもいいじゃねっすか! 冒険者連中にゃ、ドンガの剣持ってるだけで自慢になるんすから!」
「それが嫌だってんだよ! 儂は飾りモンの剣なんざ売らねえからな!」
「街一番の鍛治屋なのに……売らねえなんて勿体ねっすよ!」
「死んだ女房と同じ事言ってんじゃねえ!」
親方と弟子が口論している所へ、クリスが恐る恐る声をかけた。
「あの……すみません」
「おっ! いらっしゃい! 何か欲しいモンあるっすか?」
「ええっと……火種と氷種、売ってますか?」
「あー、そりゃここじゃないっすよ。ほら、3軒隣の道具屋っす」
「すみません、ありがとうございます」
「いやいや、いいって事っすよ」
「あっちだって」
「うん、行ってみるか」
カーソンとクリスは、鍛治屋の男に背中を向けた。
鍛治屋の男は2人の背中を見て、慌てて奥に居る親方へ駆け寄り叫ぶ。
「きっ……来たっす! 親方っ! 来たっすよ!」
「あん? んじゃおめぇが叩いたナマクラでも売りつけろ」
「客じゃねっす! 道具屋どこだって聞きに来たんすよっ!」
「なら教えてやりゃいいじゃねぇか」
「来たんすよっ! 親方がずっと言ってた人達がっ!」
「何ワケ分かんねぇ事言って……あんだとぉぉぉっ!?」
老人は跳びはねながら奥から出てきた。
男は老人にカーソンとクリスの後ろ姿を見せながら話す。
「ほら、あの2人っすよ。背中が2ヶ所開いてる鎧着てるっす」
「うお……やっと出てこられたんか!?」
「? どっから出て来たんすか?」
「おっ、おめぇすぐに甘いモン買ってこい! 儂があの2人呼んでくっから!」
「甘いモンっすか? お金下さいっす」
「ほれっ! 買ってすぐに戻ってこいよ!」
「へーぃ」
「そこのお2人さん! ちょっとうちの店に来て下せぇっ!」
「? クリス、俺達呼ばれてるぞ?」
「? 何だろ?」
2人は後ろから声をかけてきた老人を不思議がりながら、鍛治屋へと引き返す。
老人は2人を店の中へ引き込み、壁沿いにある椅子の埃を両手で払いながら腰かけるように促す。
「ちょっと汚ねぇですが、ささ! 座って下せぇ!」
「? うん」
「あの? あたし達に何か……あ、なるほど」
「? クリス分かったのか?」
「ほら、お婆さんの言ってた仲間じゃない?」
「あ、そうか!」
「でも、何だろね?」
カーソンとクリスは、この老人の目的が分からぬまま、椅子へと腰かけた。
老人は2人へ深々と頭を下げながら、丁寧に話しかけてくる。
「おほんっ。初代鍛治師ドンガより受け継ぐことあっしで4代、お2人のご来店を心よりお待ちしておりました」
「? ドンガ?」
「? 4代?」
「これでやっと、初代の恩返しをさせて頂けます。ありがとうございます」
「恩返しって……俺達、何もしてないぞ?」
「人違いじゃないですか?」
「全てはその鎧の背中。それが物語っているのでございます」
「? 背中?」
「? 鎧の背中が……どうかしたんですか?」
「いえいえ、何もおっしゃらなくて結構。お2人の素性は存じ上げております」
「……えっ?」
「なっ、何で……?」
「背中に2ヶ所切り込みの入った鎧なんて、誰が着るのか一目瞭然。そこに切り込みが無ければ困るお方しかおりません」
「あ……バレたのか?」
「鎧の背中で……バレた?」
カーソンは右手を、クリスは左手を自分の背中に伸ばし、翼の邪魔にならないよう切り込みの入っている鎧をさすった。
この老人は自分達の正体を知っている。
2人はこの後に老人が何を言うか心配しながら、耳を傾けた。
老人は淡々とした口調で話を続ける。
「初代ドンガの弟子達は、ずっと言いつけられておりました。もし初代の恩人にお逢いしたなら、必ず恩返しをしなさいと」
「俺達ドンガって人、知らないぞ?」
「恩返しも何も……会った事の無い人からそんな事言われても困ります」
「……旦那様の鎧、ガーディアンでございましょう?」
「えっ!? じーちゃんは、ガーディアン知ってるのか?」
「奥様の鎧は、近衛の軽装甲冑でございますね?」
「奥様って……えへへ……いやいや! ちょっと!」
「あっしの師匠も、そのまた師匠も、ずっと初代の意思を継いで、この店を続けてきたのでございます」
「初代の意思?」
「そんな昔に、何かあったんですか?」
「詳しくは聞かされておりません。ですが、命の恩人なのでもしも巡り会う事が出来たら、必ずご恩返しをするようにと語り継がれております」
老人は、しきりに初代の恩返しだと2人へ主張する。
2人は困惑しながら老人へ話す。
「じーちゃん、何でガーディアン知ってるんだ?」
「ガーディアンは初代が遺した図面とほぼ姿形が一緒なのですぐ分かりましたよ」
「近衛の軽装甲冑も、何で知ってるんですか?」
「その鎧、実は初代が……当時の谷の長より製作を依頼されたものでして、そちらも図面があるのです」
「そうなのか?」
「この鎧、谷で作られたんじゃ無かったんだ!?」
「いえいえ、製作そのものは谷の工房でされたとの事ですよ? 設計は初代の意匠ですがね」
「へー……そうなのか?」
「最初から谷で考案してたんじゃ無かったのかぁ」
「あっと、今使いに出してる若いのには、お2人が翼の民と知られないようにお願いします。あいつ口が軽いんで、うっかり誰かに喋っちまうかも知れませんのでね」
「あ、うん」
「分かりました」
2人は老人の店の初代の師匠が谷に関わっていたと知り、意外だったと驚いた。
老人の弟子が何かを持って帰ってくる。
「親方ぁ、ケーキ貰ってきたっす」
「ばっ!? ケーキなんて買える金渡してねぇだろ!?」
「へぃ。ハチミツのパイ買おうとしてたんすよ。店員に親方が若い男女引き留める為に買ってこいって言ってたらっすね、奥から店長出てきて、このケーキ渡されたんすよ」
「あいつがケーキ出しただと? 金はどうした?」
「何でか分かんねっすけど、パイもケーキもタダでくれたっす。その2人にありがとうって、代わりにお礼しといてくれって言われたっす」
「あいつがありがとうって……お2人さん、何をしなさったんで?」
「? 何もしてないと思うぞ?」
「心当たりはありますが、ちょっと言えません」
「あ、はいはい。それで納得しましたよ。もう、接触なさっておいででしたか」
「あ、ばーちゃんか?」
「多分、それだと思います」
「いや、流石は……うんうん」
2人は、この老人も老婆の仲間なのだろうと察した。
老人は弟子の男へ話す。
「ほれ! そいつと一緒に茶準備しろ!」
「親方ぁ、俺は修行してぇんすよ? お使いやお茶酌みってーー」
「今から鍛えてやっから! 黙ってはよせんか!」
「本当っすか!? すぐに茶準備するっす!」
「ぬるい茶なんぞ淹れたら承知しねえぞ!」
「任して下さいっす! 剣叩くよりも上手いっすよ?」
「てめぇで言ってんじゃねぇ!」
「何言ってんすか親方? 鍛治の技術より茶の淹れ方ばっかり仕込んどいて、そりゃねっすよ」
「ぐだぐだ言ってねぇではよせいや!」
「へぃへぃ」
「へぃは1回だ!」
「へぇーぃ」
「……ったく、口だけは一人前になりやがって!」
老人は弟子の男にぶつくさと小言を漏らした。
カーソンとクリスは、老人に聞く。
「なあ、じーちゃん。恩返しって、何するんだ?」
「あたし達、別に困ってませんよ? 今のところ」
「旦那様の武具は、あっしにも手の出しようが無い逸品だと承知しております。そこで、奥様の武具をあっしが何とかしましょう」
「奥様って……あたし、まだそんなんじゃないですから」
「では、未来の奥様で?」
「え? えへへ……」
「? クリス、何で嬉しそうなんだ?」
「い、いいじゃない! いずれそうなるんだから!」
「? クリス、その奥様ってのになるのか?」
「なったげるから、覚悟しといてよ?」
「う、うん。よく分かんないけど、覚悟しとくぞ」
奥様の意味を知らないカーソンは、決意を固めているクリスの瞳が自分を睨んでいるような気がしてならなかった。
老人はクリスへ剣を抜くように促す。
「クリス様、で宜しいですか? そのお手持ちの剣、あっしに見せて頂けませんか?」
「はい。…………どうぞ」
「では、拝見を」
「じーちゃん、クリスの剣見てどうするんだ?」
「もし必要ならば鍛え直そうかと思いましたが……いやこれは……うむむ」
「どこか変ですか?」
「……人を……お斬りになられましたな?」
「あ、はい。斬りました」
「……よくこの剣で、斬れましたな?」
「え?」
「いやこれは……クリス様の腕前だけで斬れたようなものですな」
「? どういう事ですか?」
「この剣を打った人には大変失礼な事を言ってしまいますが……これは酷い」
「? 酷い……って?」
「芯が通っていないどころか、刃もまともについておりません。いやこれは……」
「そんな酷いですか?」
「はっきり申しますと……あと数人斬ったら折れますね、この剣」
「えっ!?」
「剣に芯が通っていないとですね、斬る時の負荷を逃がしきれずに、どっかが歪んでしまうんです」
「歪むんですか?」
「はい。もうこの剣、歪みまくってまして……いつポッキリ折れてもいい状態なんです」
「そんな酷いんですか?」
「おまけに刃も付いてる所と付いてない所がありましてね、これじゃあパンも斬れませんよ」
「あの……何とかなりませんか? その剣、あたしの宝物で……ずっと使い続けたいんです」
「お任せ下さい。このナマクラ剣ですら、あっしの腕にかかれば岩をも断ち切る剛剣に打ち直しますよ!」
「お願いしても……いいですか?」
「勿論ですとも! この4代目ドンガ、キッチリご恩返しをさせて頂きます!」
「ありがとうございます!」
「じーちゃん、ありがとう!」
「これは遣り甲斐のある仕事ですな。うちの若いのにも技を仕込めるいい機会ーー」
「あー、おいらの打った剣よりもひでぇっすね、これ」
「だろ? って、馬鹿野郎! 口出してくんじゃねぇっ!」
お茶を用意してやって来た弟子に横から口を挟まれ、老人は弟子へ怒った。
弟子は2人へお茶とケーキ、パイを渡しながら話す。
「ささ、どうぞ。このケーキ、あっという間に腐っちまいますんで、食べて下さいっす」
「ケーキ? あ、旨そう」
「頂いてもいいんですか?」
「どうぞどうぞ。旨いっすよ?」
「いただきまーす! あむっ……」
「…………っ! 美味しい!」
「何だこれっ! 甘いっ! 旨いっ!」
「えっ……何これっ!? 初めて食べた!」
「旨いっ! 人間って、こんな旨いの食ってるのか!?」
「凄い……こんなに甘いパン、食べた事ない……」
「へ? 人間? パン?」
「あ。俺、村の人間。街の人間じゃないから、こんなの食った事ない」
「そ、そそ! こんなに甘いパンなんて食べた事ないんです!」
「へぇ、そうなんすか? まぁ、街の人間でもケーキは滅多に食べれねぇんすよ、高くて」
「高いのか?」
「そりゃもう、一番安いのでも1個10ゴールドするっすから」
「串焼き肉2本分ですか! そりゃ高いわ」
「そのケーキはっすね、生クリームがタップリと乗った25ゴールドの、一番高いケーキなんすよ」
「これ1個で……串焼き肉5本なのか!?」
「たっかっ!」
「でしょ? 晩飯2回は余裕で食える値段なんすよ」
「旨い……ケーキ旨い!」
「生クリームって、この白いのですか?」
「そうっす。このフワフワにするのが大変らしいんすよ。だから高いんす」
「生クリーム……口で溶けてく……ほっぺがビリビリする」
「甘くて旨くて……頬が一緒に溶けちゃいそう」
「この街で売ってる食い物の中でも、かなり高いんすよ? そのケーキ」
「いいのか? 俺達これ食っても?」
「お金、払いましょうか?」
「お2人さんに食って欲しいって、タダで貰ったんす。まだあるんで、遠慮せずにどうぞっす」
「おかわりっ!」
「すみません、あたしも」
「はいはい。持ってくるっすから、パイのほう食べてて下さいっす」
弟子の男は追加のケーキを取りに、店の奥へと歩いていった。
カーソンとクリスは、お茶と一緒にパイを食べながら老人と話す。
「じーちゃん、ありがとう」
「こんな美味しいもの、産まれて初めて食べました」
「それはそれは、ようございましたね」
「じーちゃんも食べたほういいぞ?」
「あっしは甘いモンより、酒のほうがいいですよ」
「それでさっき、お弟子さんと口論してたんですね?」
「あいやっ! これはお恥ずかしい、聞かれてしまいましたか」
「あの男の人、じーちゃん心配してるぞ?」
「そうですよ?」
「そうっすよ? 親方ぁ」
「ぐっ……どさくさに紛れてんじゃねえ!」
「じーちゃん働いたら、この人も嬉しいと思うぞ?」
「誰かに心配されてるうちが華ですよ?」
「そうっすよ? その剣鍛え直すんでしょ? 4代目ドンガの腕前、この2人に見せてやりましょうよ!」
「ぐぬぬ……っ。じゃあ、おめぇも手伝えよ? この……トンマ!」
「! トンマ……勿論っす! このトンマに任して下さいっす!」
「じーちゃん頑張れ!」
「あたしの剣、宜しくお願いします!」
「今夜は徹夜っすね!」
「お、おうよ。もうちっと格好よく引き受けたかったのによぅ……」
「早速熔鉱炉の火力上げるっす! はい、おかわりのケーキっす!」
「ありがとう!」
「ありがとうございます!」
弟子は2人へケーキのおかわりを渡し、久々に仕事出来ると喜びながら鍛治場の熔鉱炉へと向かう。
老人は弟子に尻を叩かれたような気分になり、複雑な顔をしながら鍛治場へと向かった。
カーソンとクリスは、おかわりのケーキを幸せそうにじっくりと味わっていた。
段々と食べ物屋が少なくなってきた道を、2人は歩き続ける。
通りは次第に人々の声が聴こえなくなってゆく。
代わりに何かを叩いたり、切ったりする音が2人の耳へと届く。
2人は、食べ物を売る通りから道具を作って売る通りへ移動してきたと気付く。
「ゴハン食べれそうな店、無くなったな?」
「そうだね。道具屋ってこの辺にあるのかな?」
「道具屋?」
「うん。マッコイさんが言ってた、火種と氷種買っとこうかなって」
「ああ、あの凍らせるやつか?」
「そそ。人間はそんな便利な道具使ってんのに、何で行商達は谷へ売りに来なかったんだろ?」
「魔法が出る道具かぁ」
「かまどの火が消えたらまた起こすの面倒くさいし、氷室の氷溶けたらヨミ婆ちゃんとこに作って貰いに行かなきゃないし、そんな道具あったらすっごい便利なのになぁ」
「俺達精霊魔法使えるから、売れないと思ったんじゃないか?」
「あ、そっか。それあるかもね?」
「食い物持ってったほうが、全部売れると思ってたんじゃないか?」
「そうだね。売れそうにない物、わざわざ持ってこないか」
2人は火種と氷種を求め、道具屋を探した。
通りの角にある鍛治屋で、ひとりの男があくびをしながら店の奥で酒を飲んでいる老人へ話しかける。
「ふぁぁ……ぁ。親方ぁ、そろそろ仕事して下さいよぉ」
「今日は気が乗らねぇ。もう店閉めろや」
「何言ってんすか。せめておいらの給料分くらいは稼ぎましょうよぉ……」
「気が乗らねぇって言っただろ。そんなに売りたきゃ、おめぇひとりで商売しろや」
「無茶言わないで下さいよぉ。おいらは鍛治屋になりたくて親方に弟子入りしたんすよ? 商人になるために鍛治屋やってねっすよ?」
「ロクに剣も叩けねぇクセに、偉そうに鍛治屋名乗んじゃねぇよ!」
「だから親方ぁ……おいらに技術仕込むついでにね、仕事しましょうよぉ?」
「うるせぇな! 休むったら休むんだよ!」
「昼間っから酒なんて飲むから、そうやって休みたくなるんすよ?」
「武器もロクに扱えねぇ連中に、儂の剣は売りたくねえんだよ!」
「別に売ってもいいじゃねっすか! 冒険者連中にゃ、ドンガの剣持ってるだけで自慢になるんすから!」
「それが嫌だってんだよ! 儂は飾りモンの剣なんざ売らねえからな!」
「街一番の鍛治屋なのに……売らねえなんて勿体ねっすよ!」
「死んだ女房と同じ事言ってんじゃねえ!」
親方と弟子が口論している所へ、クリスが恐る恐る声をかけた。
「あの……すみません」
「おっ! いらっしゃい! 何か欲しいモンあるっすか?」
「ええっと……火種と氷種、売ってますか?」
「あー、そりゃここじゃないっすよ。ほら、3軒隣の道具屋っす」
「すみません、ありがとうございます」
「いやいや、いいって事っすよ」
「あっちだって」
「うん、行ってみるか」
カーソンとクリスは、鍛治屋の男に背中を向けた。
鍛治屋の男は2人の背中を見て、慌てて奥に居る親方へ駆け寄り叫ぶ。
「きっ……来たっす! 親方っ! 来たっすよ!」
「あん? んじゃおめぇが叩いたナマクラでも売りつけろ」
「客じゃねっす! 道具屋どこだって聞きに来たんすよっ!」
「なら教えてやりゃいいじゃねぇか」
「来たんすよっ! 親方がずっと言ってた人達がっ!」
「何ワケ分かんねぇ事言って……あんだとぉぉぉっ!?」
老人は跳びはねながら奥から出てきた。
男は老人にカーソンとクリスの後ろ姿を見せながら話す。
「ほら、あの2人っすよ。背中が2ヶ所開いてる鎧着てるっす」
「うお……やっと出てこられたんか!?」
「? どっから出て来たんすか?」
「おっ、おめぇすぐに甘いモン買ってこい! 儂があの2人呼んでくっから!」
「甘いモンっすか? お金下さいっす」
「ほれっ! 買ってすぐに戻ってこいよ!」
「へーぃ」
「そこのお2人さん! ちょっとうちの店に来て下せぇっ!」
「? クリス、俺達呼ばれてるぞ?」
「? 何だろ?」
2人は後ろから声をかけてきた老人を不思議がりながら、鍛治屋へと引き返す。
老人は2人を店の中へ引き込み、壁沿いにある椅子の埃を両手で払いながら腰かけるように促す。
「ちょっと汚ねぇですが、ささ! 座って下せぇ!」
「? うん」
「あの? あたし達に何か……あ、なるほど」
「? クリス分かったのか?」
「ほら、お婆さんの言ってた仲間じゃない?」
「あ、そうか!」
「でも、何だろね?」
カーソンとクリスは、この老人の目的が分からぬまま、椅子へと腰かけた。
老人は2人へ深々と頭を下げながら、丁寧に話しかけてくる。
「おほんっ。初代鍛治師ドンガより受け継ぐことあっしで4代、お2人のご来店を心よりお待ちしておりました」
「? ドンガ?」
「? 4代?」
「これでやっと、初代の恩返しをさせて頂けます。ありがとうございます」
「恩返しって……俺達、何もしてないぞ?」
「人違いじゃないですか?」
「全てはその鎧の背中。それが物語っているのでございます」
「? 背中?」
「? 鎧の背中が……どうかしたんですか?」
「いえいえ、何もおっしゃらなくて結構。お2人の素性は存じ上げております」
「……えっ?」
「なっ、何で……?」
「背中に2ヶ所切り込みの入った鎧なんて、誰が着るのか一目瞭然。そこに切り込みが無ければ困るお方しかおりません」
「あ……バレたのか?」
「鎧の背中で……バレた?」
カーソンは右手を、クリスは左手を自分の背中に伸ばし、翼の邪魔にならないよう切り込みの入っている鎧をさすった。
この老人は自分達の正体を知っている。
2人はこの後に老人が何を言うか心配しながら、耳を傾けた。
老人は淡々とした口調で話を続ける。
「初代ドンガの弟子達は、ずっと言いつけられておりました。もし初代の恩人にお逢いしたなら、必ず恩返しをしなさいと」
「俺達ドンガって人、知らないぞ?」
「恩返しも何も……会った事の無い人からそんな事言われても困ります」
「……旦那様の鎧、ガーディアンでございましょう?」
「えっ!? じーちゃんは、ガーディアン知ってるのか?」
「奥様の鎧は、近衛の軽装甲冑でございますね?」
「奥様って……えへへ……いやいや! ちょっと!」
「あっしの師匠も、そのまた師匠も、ずっと初代の意思を継いで、この店を続けてきたのでございます」
「初代の意思?」
「そんな昔に、何かあったんですか?」
「詳しくは聞かされておりません。ですが、命の恩人なのでもしも巡り会う事が出来たら、必ずご恩返しをするようにと語り継がれております」
老人は、しきりに初代の恩返しだと2人へ主張する。
2人は困惑しながら老人へ話す。
「じーちゃん、何でガーディアン知ってるんだ?」
「ガーディアンは初代が遺した図面とほぼ姿形が一緒なのですぐ分かりましたよ」
「近衛の軽装甲冑も、何で知ってるんですか?」
「その鎧、実は初代が……当時の谷の長より製作を依頼されたものでして、そちらも図面があるのです」
「そうなのか?」
「この鎧、谷で作られたんじゃ無かったんだ!?」
「いえいえ、製作そのものは谷の工房でされたとの事ですよ? 設計は初代の意匠ですがね」
「へー……そうなのか?」
「最初から谷で考案してたんじゃ無かったのかぁ」
「あっと、今使いに出してる若いのには、お2人が翼の民と知られないようにお願いします。あいつ口が軽いんで、うっかり誰かに喋っちまうかも知れませんのでね」
「あ、うん」
「分かりました」
2人は老人の店の初代の師匠が谷に関わっていたと知り、意外だったと驚いた。
老人の弟子が何かを持って帰ってくる。
「親方ぁ、ケーキ貰ってきたっす」
「ばっ!? ケーキなんて買える金渡してねぇだろ!?」
「へぃ。ハチミツのパイ買おうとしてたんすよ。店員に親方が若い男女引き留める為に買ってこいって言ってたらっすね、奥から店長出てきて、このケーキ渡されたんすよ」
「あいつがケーキ出しただと? 金はどうした?」
「何でか分かんねっすけど、パイもケーキもタダでくれたっす。その2人にありがとうって、代わりにお礼しといてくれって言われたっす」
「あいつがありがとうって……お2人さん、何をしなさったんで?」
「? 何もしてないと思うぞ?」
「心当たりはありますが、ちょっと言えません」
「あ、はいはい。それで納得しましたよ。もう、接触なさっておいででしたか」
「あ、ばーちゃんか?」
「多分、それだと思います」
「いや、流石は……うんうん」
2人は、この老人も老婆の仲間なのだろうと察した。
老人は弟子の男へ話す。
「ほれ! そいつと一緒に茶準備しろ!」
「親方ぁ、俺は修行してぇんすよ? お使いやお茶酌みってーー」
「今から鍛えてやっから! 黙ってはよせんか!」
「本当っすか!? すぐに茶準備するっす!」
「ぬるい茶なんぞ淹れたら承知しねえぞ!」
「任して下さいっす! 剣叩くよりも上手いっすよ?」
「てめぇで言ってんじゃねぇ!」
「何言ってんすか親方? 鍛治の技術より茶の淹れ方ばっかり仕込んどいて、そりゃねっすよ」
「ぐだぐだ言ってねぇではよせいや!」
「へぃへぃ」
「へぃは1回だ!」
「へぇーぃ」
「……ったく、口だけは一人前になりやがって!」
老人は弟子の男にぶつくさと小言を漏らした。
カーソンとクリスは、老人に聞く。
「なあ、じーちゃん。恩返しって、何するんだ?」
「あたし達、別に困ってませんよ? 今のところ」
「旦那様の武具は、あっしにも手の出しようが無い逸品だと承知しております。そこで、奥様の武具をあっしが何とかしましょう」
「奥様って……あたし、まだそんなんじゃないですから」
「では、未来の奥様で?」
「え? えへへ……」
「? クリス、何で嬉しそうなんだ?」
「い、いいじゃない! いずれそうなるんだから!」
「? クリス、その奥様ってのになるのか?」
「なったげるから、覚悟しといてよ?」
「う、うん。よく分かんないけど、覚悟しとくぞ」
奥様の意味を知らないカーソンは、決意を固めているクリスの瞳が自分を睨んでいるような気がしてならなかった。
老人はクリスへ剣を抜くように促す。
「クリス様、で宜しいですか? そのお手持ちの剣、あっしに見せて頂けませんか?」
「はい。…………どうぞ」
「では、拝見を」
「じーちゃん、クリスの剣見てどうするんだ?」
「もし必要ならば鍛え直そうかと思いましたが……いやこれは……うむむ」
「どこか変ですか?」
「……人を……お斬りになられましたな?」
「あ、はい。斬りました」
「……よくこの剣で、斬れましたな?」
「え?」
「いやこれは……クリス様の腕前だけで斬れたようなものですな」
「? どういう事ですか?」
「この剣を打った人には大変失礼な事を言ってしまいますが……これは酷い」
「? 酷い……って?」
「芯が通っていないどころか、刃もまともについておりません。いやこれは……」
「そんな酷いですか?」
「はっきり申しますと……あと数人斬ったら折れますね、この剣」
「えっ!?」
「剣に芯が通っていないとですね、斬る時の負荷を逃がしきれずに、どっかが歪んでしまうんです」
「歪むんですか?」
「はい。もうこの剣、歪みまくってまして……いつポッキリ折れてもいい状態なんです」
「そんな酷いんですか?」
「おまけに刃も付いてる所と付いてない所がありましてね、これじゃあパンも斬れませんよ」
「あの……何とかなりませんか? その剣、あたしの宝物で……ずっと使い続けたいんです」
「お任せ下さい。このナマクラ剣ですら、あっしの腕にかかれば岩をも断ち切る剛剣に打ち直しますよ!」
「お願いしても……いいですか?」
「勿論ですとも! この4代目ドンガ、キッチリご恩返しをさせて頂きます!」
「ありがとうございます!」
「じーちゃん、ありがとう!」
「これは遣り甲斐のある仕事ですな。うちの若いのにも技を仕込めるいい機会ーー」
「あー、おいらの打った剣よりもひでぇっすね、これ」
「だろ? って、馬鹿野郎! 口出してくんじゃねぇっ!」
お茶を用意してやって来た弟子に横から口を挟まれ、老人は弟子へ怒った。
弟子は2人へお茶とケーキ、パイを渡しながら話す。
「ささ、どうぞ。このケーキ、あっという間に腐っちまいますんで、食べて下さいっす」
「ケーキ? あ、旨そう」
「頂いてもいいんですか?」
「どうぞどうぞ。旨いっすよ?」
「いただきまーす! あむっ……」
「…………っ! 美味しい!」
「何だこれっ! 甘いっ! 旨いっ!」
「えっ……何これっ!? 初めて食べた!」
「旨いっ! 人間って、こんな旨いの食ってるのか!?」
「凄い……こんなに甘いパン、食べた事ない……」
「へ? 人間? パン?」
「あ。俺、村の人間。街の人間じゃないから、こんなの食った事ない」
「そ、そそ! こんなに甘いパンなんて食べた事ないんです!」
「へぇ、そうなんすか? まぁ、街の人間でもケーキは滅多に食べれねぇんすよ、高くて」
「高いのか?」
「そりゃもう、一番安いのでも1個10ゴールドするっすから」
「串焼き肉2本分ですか! そりゃ高いわ」
「そのケーキはっすね、生クリームがタップリと乗った25ゴールドの、一番高いケーキなんすよ」
「これ1個で……串焼き肉5本なのか!?」
「たっかっ!」
「でしょ? 晩飯2回は余裕で食える値段なんすよ」
「旨い……ケーキ旨い!」
「生クリームって、この白いのですか?」
「そうっす。このフワフワにするのが大変らしいんすよ。だから高いんす」
「生クリーム……口で溶けてく……ほっぺがビリビリする」
「甘くて旨くて……頬が一緒に溶けちゃいそう」
「この街で売ってる食い物の中でも、かなり高いんすよ? そのケーキ」
「いいのか? 俺達これ食っても?」
「お金、払いましょうか?」
「お2人さんに食って欲しいって、タダで貰ったんす。まだあるんで、遠慮せずにどうぞっす」
「おかわりっ!」
「すみません、あたしも」
「はいはい。持ってくるっすから、パイのほう食べてて下さいっす」
弟子の男は追加のケーキを取りに、店の奥へと歩いていった。
カーソンとクリスは、お茶と一緒にパイを食べながら老人と話す。
「じーちゃん、ありがとう」
「こんな美味しいもの、産まれて初めて食べました」
「それはそれは、ようございましたね」
「じーちゃんも食べたほういいぞ?」
「あっしは甘いモンより、酒のほうがいいですよ」
「それでさっき、お弟子さんと口論してたんですね?」
「あいやっ! これはお恥ずかしい、聞かれてしまいましたか」
「あの男の人、じーちゃん心配してるぞ?」
「そうですよ?」
「そうっすよ? 親方ぁ」
「ぐっ……どさくさに紛れてんじゃねえ!」
「じーちゃん働いたら、この人も嬉しいと思うぞ?」
「誰かに心配されてるうちが華ですよ?」
「そうっすよ? その剣鍛え直すんでしょ? 4代目ドンガの腕前、この2人に見せてやりましょうよ!」
「ぐぬぬ……っ。じゃあ、おめぇも手伝えよ? この……トンマ!」
「! トンマ……勿論っす! このトンマに任して下さいっす!」
「じーちゃん頑張れ!」
「あたしの剣、宜しくお願いします!」
「今夜は徹夜っすね!」
「お、おうよ。もうちっと格好よく引き受けたかったのによぅ……」
「早速熔鉱炉の火力上げるっす! はい、おかわりのケーキっす!」
「ありがとう!」
「ありがとうございます!」
弟子は2人へケーキのおかわりを渡し、久々に仕事出来ると喜びながら鍛治場の熔鉱炉へと向かう。
老人は弟子に尻を叩かれたような気分になり、複雑な顔をしながら鍛治場へと向かった。
カーソンとクリスは、おかわりのケーキを幸せそうにじっくりと味わっていた。
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