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クリスの受難
68 心境の変化
しおりを挟む近衛達は尻餅をついたまま、だらしなく股を開いている事すら忘れ、クリスの隣に居る男に驚愕しながら話す。
「おっ……お前っ!?かっ、かかかカーソンかっ!?」
「ちょっ……ちょっと……チビった……」
「おっ、同じく……チョロっと出ちゃった」
「下着……濡れちゃった」
「おっ……男。若い男の子……」
「こっ……腰が抜けた……」
笑いの治まったイザベラとローラは、満面の笑みで近衛達に話す。
「ちょっと事情があってね、ティナでは帰って来れなかったの」
「その代わり、カーソンで帰って来て下さいましたわ」
「みんなどう? 可愛い男の子でしょ?」
「皆さんはこのような年頃の殿方、初めて見たのではありませんか?」
「大成功ね、ローラ?」
「ええ、お姉様」
「みんな、イタズラしちゃってごめんなさいね?」
「私達、毎日とても暇でして……ちょっと刺激が欲しかったのですわ」
久々に腹の底から笑える楽しい事が起きたと喜ぶ、イザベラとローラ。
近衛達は立ち上がり、顔を赤くしながらお尻の汚れを両手でパンパンと払いつつ話す。
「陛下のお戯れに貢献出来て何よりです」
「涙、どっかに飛んでっちゃいました」
「無様にこけるなど近衛として……いえ、これは無理です。不意討ちすぎます」
「心臓が口から飛び出すんじゃないかと思いました」
「でっ、ですが陛下。男の子だったと島に知られても良かったのでしょうか?」
「谷に男の子が居た…って、島が知ったのですよね? この子の命、また狙われませんか?」
近衛達は照れながらカーソンをチラチラと見つつ、イザベラとローラに話した。
イザベラとローラは、近衛達に話す。
「少なくともルドルフだけは、ティナが男の子だったって知ったみたいね」
「ですが、恐らくは大丈夫ですわ」
「無事に帰ったって報告の途中で、『余の愚行を防がれた神に感謝しかない』とか意味不明な事言ってたんだけど、今思えば男の子だったってルドルフが知った裏付けになるわ」
「ティナがカーソンだったと知った上での発言なのでしょう」
「神に感謝とか言ってたからね、もうルドルフはこの子の殺害命令なんて下さないと思うわ」
「もっとも、皇帝自らが殺害を命令なされないだけですが」
「生きてるって知った、腐れグスタフのハゲがどう動くかまでは分からないけどね?」
「念の為、また島が来ましたらカーソンとクリスには隠れて頂ければ宜しいのですわ」
「2人とも島で死んだ事にしちゃえばいいのよ」
「殺しておきながら生きているとか難癖つけるなと、シラを切り通しますわ」
「セイレーンが使う幻視の力は、あなた達ですら気付かないほど強力だからね」
「例え谷中をしらみ潰しに捜索なされても、そう易々とは発見されないでしょう」
「だからもう大丈夫、男の子のまま谷で暮らしても全然……あらっ?」
「……皆さん、それどころでは無さそうですわね?」
近衛達は顔面から火を噴き出しそうなほど真っ赤にし、もじもじと両手の指を絡ませ合いながら、カーソンをじっくりと舐め回すように観察していた。
近衛達が顔を赤くさせている理由、それは近衛と名乗りながらも無様に尻餅をついた事に対して恥じたのでは無く、女である自分達が男の目の前で股を開いてしまったという恥ずかしさからであった。
クリスは目の前でしおらしくなっている近衛達に気を遣い、少し落ち着かせようとする。
右肘でカーソンをツンツンとつつき、合図を送ると振り返り、イザベラとローラに跪く。
カーソンもクリスからの合図を察し、同じく振り向いて跪いた。
近衛達はカーソンが振り向いた為、高揚する気持ちを少し落ち着かせる。
と同時に、カーソンの翼にこびりついている血を目視し、こんな酷い怪我をしてようやく無事に帰って来れたのかと気付く。
血の出た位置、そのこびりついている血の量から、ヒーリングしなければ失血死してしまうほどの重傷だったのではないかと全員が感じた。
クリスは跪いたまま頭を下げ、イザベラとローラに謝罪する。
「この度は……あたしの軽率な判断からこのような事態になってしまい、大変申し訳ございませんでした」
「いいのよクリス。たまにはこんな刺激がなくちゃ、生きててつまんないもの」
「あなたもカーソンも死なずに済みましたから言えますが、終わってみればちょっと楽しかったですわ」
「丁度良い暇潰しになったわよ?」
「両陛下へ多大なるご迷惑をおかけしてしまいましたのに、暇潰しになられただなんて……そんな」
「本当よ。もうね、毎日が暇で暇でしょうがないの」
「とても刺激的な出来事で、気持ちが少し若返りましたわ」
「そうね、私達もまだまだやる時はやれるわね?」
「ええ、お姉様。」
クリスからの謝罪にニコニコと微笑むイザベラとローラ。
カーソンは恐る恐る横から口を挟んだ。
「あっ、あのっ……イザベラ…じゃなかった。イザベラ様、ローラ様。」
「あらっ? どうしちゃったのカーソン?」
「どうして様なんて付けて、私達を呼んだのですか?」
「お、俺……ごめんなさい。今までイザベラ様とローラ様、様付けて言ってなくてごめんなさい!」
「別に謝らなくていいわよ? そんな事」
「あなたが私達を呼び捨てになさっても、一向に構いませんよ?」
「ううん。俺、イザベラ様とローラ様、凄いからみんなが様付けて言うの、やっと分かった!」
「私達が凄い? どうしてそう思ったの?」
「あなたから凄いと思われるような事、お姉様も私もした覚えがありませんよ?」
イザベラとローラは、突然自分達に様を付けだしたカーソンを不思議に思いながら聞いた。
カーソンは目をキラキラとさせ、尊敬の眼差しでイザベラとローラを見ながら話す。
「イザベラ様が黒い玉で俺、守ってくれた。ローラ様は雷落として、俺助けに行くの手伝ってくれた。凄い! カッコいい!」
「谷の長として、当然の事をしただけよ?」
「クリスを助けに行くあなたを守るのは、当然の責務ですわよ?」
「だからイザベラ様とローラ様、カッコいい! 谷の女王様、凄くカッコいい!」
「尊敬してくれたの? ありがとう」
「あなたから慕われるなんて、非常に光栄ですわ」
「だからといって、様なんて付けないでね?」
「あなたにだけは呼び捨てにされ続けていた事、私達は新鮮で心地良かったのですよ?」
「その通りよ? 今更呼び方変えないでよ」
「今まで通りイザベラ、ローラで構いませんわよ?」
「ううん。それダメ。俺、それやだ」
「何で?」
「そんな畏まらないで下さい」
イザベラとローラは、カーソンの心境の変化に戸惑う。
カーソンは近衛達の女王に対する話し方を思い出す為に頭をフル稼働させ、2人に敬語を駆使して何とか説明しようとする。
「えっと……俺、自分だけでクリス助けられると思って島、行ったです。でも、それ……多分出来なかったと思うです、ます」
「? ちゃんと助けて、無事に帰って来れたじゃないの?」
「あなたは完璧に任務を遂行なさったのですよ?」
「でもそれ、イザベラ様とローラ様が助けてくれたから間に合った、です。あそこで島の奴等と戦ってたら、間に合わなくてクリス死んでた、です」
「そうかしら? 戦わずに進むっていう選択肢もあったんじゃない?」
「ううん。俺、凄く怒ってますた。邪魔する奴、全員殺して進む気持ちでいっぱいだった……です、ます」
「まあっ!? そうだったのですか?」
「俺、イザベラ様とローラ様に助けられて、考え変わった、です。殺さなくてもいいって分かった、ます」
「確かに、皆殺しにしながら進めば疲れちゃうわよね?」
「間に合わなくなっていたかも知れませんし、助け出す体力も厳しかったかも知れませんわね?」
「うん。だから俺、あいつら避けながらクリス助けに行った、です。だから間に合ったます。イザベラ様とローラ様からそれ教えられなければ……クリス死んでたますし、俺も死んでた、です」
「別に私達、教えたつもりなんか全然無いわよ?」
「あなたの感性が、そう気付いたのですよ?」
「俺、馬鹿です。だから……教えてくれる人居てくれます、凄く助かる……ます」
カーソンは敬語を付けて話すが時々、左右の頬をひきつらせる。
イザベラとローラは、明らかにこの子は使い慣れていない敬語で自分の舌を噛んでいると気付き、そこまで一生懸命になって自分達を敬っているのかと微笑む。
このままではこの子が可哀想だと思ったイザベラとローラは、優しく話しかける。
「ねえカーソン? 無理して敬語使わないでね?」
「あなたが頑張って私達を敬って下さっている事は、充分把握しましたよ?」
「あなた、舌噛んでるでしょ?」
「うん……はい。舌、痛いです、ます」
「あなたはまだまだ子供。敬語なんて早すぎるわ」
「子供なら子供らしく、思った通りにお話しなさい?」
「でっ、でもっ……俺、それダメだと思うです、ます」
「いいからいいから、大丈夫よ?」
「いつも通りに接して下さいな?」
「いやだ……です。俺、もう決めますた、です。舌、噛まないように頑張る、で、です、ます」
「……痛そうね?」
「ではカーソン、こうしましょうか?」
「? ローラ様、どうする、ですか?」
「様だけで結構ですわ。他は必要ありません」
「えっ!?」
「あ、それいいわね。とりあえず様だけ付けて、私達に話して頂戴」
「そのうち、自然と敬語を使えるようになりますわ」
「そ、それでもいいの……か?」
「ええ、いいわよ」
「様だけであなたのお気持ちは充分、伝わりますわ」
「イザベラ様、ローラ様。ありがとうござます!」
「ほらほら、言ってるそばから使わないでってば」
「クスクス……」
「ふふっ……とっても可愛いわ……っと、いけない」
「本当に可愛い……あっと、いけませんわ」
イザベラとローラに敬語は様だけで良いと言われたカーソンは、嬉しそうにニッコリと微笑む。
カーソンから微笑まれたイザベラとローラは胸がキュンとし、危うく女王としての立場を忘れ、立ち上がってこの子を抱きしめてあげようと思ったが、思い留まった。
イザベラとローラに無事帰還の報告を終えたカーソンとクリスは、近衛達に囲まれる。
近衛達はクリスの事などそっちのけで、カーソンに熱心に話しかける。
「お帰りカーソンっ! お疲れ様っ!」
「クリス助けてくれてありがとっ!」
「ねぇねぇ! チンチン見せてっ!」
「ばっ、馬鹿っ! いきなり何言うのよっ!」
「んじゃレイナはあっち行ってよ!」
「みっ、見せてくれるんなら……私だって見たいもん!」
「? みんな俺のちんちん、見たいのか?」
「見たぁーいっ!」
「見せて見せてぇーっ!」
「うん、分かった。……………はい」
カーソンは何の躊躇いも無くズボンを下ろし、股間の物体を近衛達の目の前にさらけ出す。
近衛達は物体を見て歓声をあげ、そしてその異様な大きさに恐怖を覚えながら話す。
「うおーっ! チンチ…………」
「…………でかっ!」
「えっ……えええっ!? なっ、何これっ!?」
「いやちょっ!? これ、でかすぎっ!」
「私らが普段愛用してるアレよりも……すんごい!」
「……なげぇ……ふてぇ……」
「……ちょっと待った! これってさ……まだ……」
「うん。まだ……おっきくなってない」
「もっ…もっとおっきくなんの……これ?」
「ばっ…化けも……いやいや!」
「すっ……すっげぇ……」
「無理でしょこんなの!?」
「……裂けるわ」
「ぶち込まれたら死んじゃうわ、きっと」
「やっぱり俺のちんちん、みんなで食うのか?」
「えっ? やっぱりって……どういう事?」
「えっと、島から帰って来る時、クリス言ってた。俺のちんちん、みんなに食われるかもって」
「たっ、食べちゃっても……いいの?」
「いや、食べたいけど……処女にこれ?」
「破瓜どころのハナシじゃないと思うよ?」
「赤ちゃん産む時くらい、無茶苦茶痛いんじゃないの?」
「こんなのぶち込まれて、激しく動かされたらさ……」
「ギッチギチのミッチミチってなっちゃってさ……」
「……痛すぎて死んじゃうよね、きっと」
「いやだから、これよりもっとおっきくなるんだってば」
「や、ヤってみたいけど……すんげぇ怖い」
「もしかすると、痛いの通り越して……気持ち良くなるのかな?」
「……あっ、えっ、あれっ? 何で俺のちんちん、クリスの裸見てないのに……またおっきくなったんだ?」
「うわっ!? おわーっ!?」
「おっきく……なっちゃった」
「ひっ…ひぃぃ……こんなの……初めて見た」
「すっ、すっげぇ……倍以上におっきくなっちゃったよ?」
「こっ、これから更に……先っぽの皮が剥けて……ごくり」
「あ、あの独特なカタチした頭が出てくん……だよね?」
「ほ、ほいで……中でぐりぐり、ごりごりってされちゃうんだよね?」
「これが……本物のチンチンかぁ……」
「男って……チンチンって……すんげぇ」
カーソンは再び股間の物体が大きくなり戸惑う。
クリスの裸さえ見なければ大きくならないと思っていたのに、近衛達に見られていただけで大きくなった自分の物体を不思議がる。
近衛達は顔を真っ青にしながら、カーソンの股間を凝視し続けた。
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