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マリル、サンサ探しの旅に出る
魔女見習いは王女の復讐の依頼を受けた
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学校を中退したマリルは、サンサを探す旅に出た。
寄った街では奇術師に扮して、勝手に作った派手な呪文を唱えながら、本物の魔法を動物にかけ、帽子から野鳥を取り出して流行り歌を歌わせたり、野良猫に踊らせたりして日銭を稼いでお腹を満たす。さすがに毎日宿屋に泊まれるほどの稼ぎは集まらないため、頼みの綱の教会に行き、生き別れた母を探す幼気な娘を演じて泊めてもらう。
罪悪感は半端じゃないけれど、マリルは稼いだお金の一部を教会に寄付して、心の中で祈った。
―――どうか嘘をお許しください。いつかサンサさまに会えますように―――
教会の神父や市場の人たち、芸を見に来た客たちにサンサのことを訊ねたが、名前は知っていても会ったことがないのは皆同じで、マリルは途方に暮れてしまった。
―――大魔導師を雇う人って、きっとお金持ちなんだと思う。ここに集まってくれたお客さんには悪いけれど、こんな道端で行う庶民的な芸を見る人に訊ねても、サンサさまの居所は分からないのかもーーー
よし、それならもっと目立ってみようと、マリルは魔法で布に宣伝文句と絵を書き、興行をするときには鳥を使って外灯と木に渡すように布をかけるようにした。
❀❀❀ようこそ サンサ マジック ショーへ❀❀❀
誰かこの名前に反応しないだろうかと客の顔を窺い見ながら芸をこなし、街から街へと渡り歩いたある日、マリルの芸に集まった人々の向こうに二人掛けの二輪馬車が止まった。
身なりの良い四〇代くらいの紳士が御者に何か囁いている。近づいてきた御者が、マリルに声をかけた。
「ご主人様が、あなたは大魔導師サンサさまに縁のある方なのかと訊ねていらっしゃいます。もし、そうであれば……」
「ああ、神さま! やっと大魔導師サンサを知っている人に巡り合えたわ!」
「やはり、そうでしたか。では、この催しものが終わられましたら、どうぞスエナ商会へいらしてください。この道をまっすぐ五ブロック進んで頂ければ、看板が見えます」
それだけ言うと御者は一礼をして、さっさと馬車に戻っていく。
「えっ? ちょっと待って。勘違いです」
慌てて呼び止めるマリルの言葉は、マジックを促す観客の声にかき消され御者には届かなかった。
叱られるのを覚悟で、興行後にマリルがスエナ商会を訪ねると、馬車に乗っていた男性と、十五、六歳の少女が出迎えてくれた。
「私はこの商会を運営しているマーク・ライナストーンで、こちらが娘のハンナです。サンサさまには娘が幼少の頃助けて頂いて、心から感謝しております。あなたはサンサさまのお嬢様ですか?」
「あの、ごめんなさい。御者さんとちょっと行き違いがありまして……私は大魔導師サンサさまを知りません。っていうかサンサさまを探す旅を続けているのです。サンサさまのお顔や髪の色などが分かる絵などはありませんか?」
父親から娘のハンナだと紹介された少女は、自分より五、六歳は年下であろう小さな女の子が、たった一人で大魔導師を探す旅をしていると聞いて、かなり興味を持ったようだ。渋る父親を説得して、マリルを家の中に招き入れ一枚の大きな絵を見せてくれた。
そこには、森の開けた場所にベッドが置かれ、病気で伏すハンナの側で、長い黒髪の女性が杖を振って花を振らせていた。小鹿やリスがベッドの上のハンナに顔を寄せて、ハンナの伸ばした手が頭に届くのを待っている。ベッドを跨ぐように虹が出て、お菓子の家も絵描かれた夢のような美しい世界にマリルはうっとりと魅入った。
「何てメルヘンティックな世界! かわいいわ。この黒髪と琥珀色の瞳の女性がサンサさまですか?」
マリルは興奮を抑えきれずに絵の近くに寄り、サンサの顔をじっと見つめて脳裏に焼き付けた。ハンナが隣に並んで、そうです。こちらがサンサさまですと答える。
「馬車の事故で母を亡くし、一緒に乗っていた私も大けがをしました。大好きな母が死んでしまった悲しみで私は生きる気力を失い、大けがを治すための治療を拒んだのです。そんなときにお父様がサンサ様を連れてきてくださって、部屋に絵本の世界を作ってしまわれました。私はこの部屋が大好きになり、心配気に寄り添ってくれる動物たちに応えるために、辛いリハビリに臨むようになったのです」
「すごいわ。これだけ一度に自然を再現できるなんて! サンサさまの魔力の大きさが分かるわ。ハンナさまもお辛かったのに頑張られたのですね。ハンナさまもすごい方だと思います。あの、ところでこのお部屋はまだあるのですか」
マリルはキラキラ輝く瞳をハンナに向けたが、ハンナは首を振った。リハビリが終わった日に部屋も消えたという。
どのくらいの日数をリハビリに費やしたのかは知らないが、その間生きた森を部屋に再現できるなんて、本当にすごすぎる。あまりにも感極まってマリルは身を震わせた。
絵を見たまま微動だにしないマリルに、ハンナが声をかけた。
「この絵は、私が描いたのです。骨折した指や手や足のリハビリは苦しかったけれど、全てを包み込むようなあの森の部屋が恋しくて、手の怪我が治ってから、一度は諦めた絵にもう一度挑戦しました」
「だから、こんなに生き生きして美しいのかもしれないですね。ハンナさまの強い愛情を感じます。サンサさまは美しい黒髪と紅茶みたいにきれいな目をしているんですね。魔法使いのローブ姿も威厳があってとても素敵。ああ、会いたいなぁ。私が五歳のときに、サンサさまは消息を絶って十年以上経つと魔法学校で聞いたのですが、こんな素晴らしい治療をされていたのに居場所が分からなかったなんて、とっても不思議です」
「実は母と私の乗った馬車の事故の現場に、サンサさまは偶然居合わせたそうです。サンサさまは大けがをした私を気にかけて下さり、外国へ行く予定を遅らせて、父に魔法治療を試すよう勧めてくださったんです。粉々に砕けていた骨は魔法で固めてもらったけれど、私に生きる気力が無かったから、骨折した個所が治りにくかったみたい。それで絵に描いた魔法療法を施してくださったの。サンサさまは誰にも居場所を知られたくないから、治療のことは秘密にして欲しいと父におっしゃられたとか。私たちも約束を守りました」
「ああ、そういうことなんですね。でも、どうして黙って外国に行こうと思ったのかしら。消息を魔法学校に知らせないのも不思議。魔術師同士で何かあって、追われているのかしら」
マリルの言葉にハンナが考え込む様子を見せた。俯き加減の顔が急に上がり、ああ、そういえばと遠慮がちに言葉を継いだ。
「多分追われているのではないと思います。療養魔法が効いているかどうか、サンサさまが見に来てくださったとき、子供だった私はリハビリの辛さもあって、とても辛辣なことを言ってしまったの。あなたは魔法使いだから、怪我をしたってすぐに自分で治せるし、嫌なことなんて全くなくて、毎日が楽しいでしょうって。そしたらサンサさまは、悲し気な顔をされて、確かこんなことをおっしゃったの。魔術でもできないこと、救えないものはある。それが親しい者ならなおさらのこと、思わぬ道に引き込まれた者が、変わっていく姿を見るのはとても辛いのだと」
「お友だちと喧嘩しちゃった? 変って行く姿を見るのが辛いって、何だろう? 別のものに変身しちゃったのかしら?」
クスクスと笑いながら、ハンナがマリルの頭をそっと撫でた。
「あなたはまだ子供だから、あのときの私と一緒で意味が分からないでしょうね。きっとそのお友達は何かいけないことに手を出したかもしれないわ。もし、マリルさんがサンサさまに会えたら渡して欲しいものがあるの」
どんなもの? と首を傾げたマリルに、ハンナが手の平の大きさの額を渡す。中には今のハンナの絵姿が入っていた。
「サンサさまに助けられた子供は、こんなにも大きく成長して、元気で暮らしていますって伝えて欲しいの。サンサさまが外国を目指していたなら、ここから南にあるブリティアン王国とフランセン王国の国境を目指したはずです。サンサさまに、感謝してもしきれないと伝えてください」
マリルはハンナの絵姿を胸に抱き、力強く頷いた。
寄った街では奇術師に扮して、勝手に作った派手な呪文を唱えながら、本物の魔法を動物にかけ、帽子から野鳥を取り出して流行り歌を歌わせたり、野良猫に踊らせたりして日銭を稼いでお腹を満たす。さすがに毎日宿屋に泊まれるほどの稼ぎは集まらないため、頼みの綱の教会に行き、生き別れた母を探す幼気な娘を演じて泊めてもらう。
罪悪感は半端じゃないけれど、マリルは稼いだお金の一部を教会に寄付して、心の中で祈った。
―――どうか嘘をお許しください。いつかサンサさまに会えますように―――
教会の神父や市場の人たち、芸を見に来た客たちにサンサのことを訊ねたが、名前は知っていても会ったことがないのは皆同じで、マリルは途方に暮れてしまった。
―――大魔導師を雇う人って、きっとお金持ちなんだと思う。ここに集まってくれたお客さんには悪いけれど、こんな道端で行う庶民的な芸を見る人に訊ねても、サンサさまの居所は分からないのかもーーー
よし、それならもっと目立ってみようと、マリルは魔法で布に宣伝文句と絵を書き、興行をするときには鳥を使って外灯と木に渡すように布をかけるようにした。
❀❀❀ようこそ サンサ マジック ショーへ❀❀❀
誰かこの名前に反応しないだろうかと客の顔を窺い見ながら芸をこなし、街から街へと渡り歩いたある日、マリルの芸に集まった人々の向こうに二人掛けの二輪馬車が止まった。
身なりの良い四〇代くらいの紳士が御者に何か囁いている。近づいてきた御者が、マリルに声をかけた。
「ご主人様が、あなたは大魔導師サンサさまに縁のある方なのかと訊ねていらっしゃいます。もし、そうであれば……」
「ああ、神さま! やっと大魔導師サンサを知っている人に巡り合えたわ!」
「やはり、そうでしたか。では、この催しものが終わられましたら、どうぞスエナ商会へいらしてください。この道をまっすぐ五ブロック進んで頂ければ、看板が見えます」
それだけ言うと御者は一礼をして、さっさと馬車に戻っていく。
「えっ? ちょっと待って。勘違いです」
慌てて呼び止めるマリルの言葉は、マジックを促す観客の声にかき消され御者には届かなかった。
叱られるのを覚悟で、興行後にマリルがスエナ商会を訪ねると、馬車に乗っていた男性と、十五、六歳の少女が出迎えてくれた。
「私はこの商会を運営しているマーク・ライナストーンで、こちらが娘のハンナです。サンサさまには娘が幼少の頃助けて頂いて、心から感謝しております。あなたはサンサさまのお嬢様ですか?」
「あの、ごめんなさい。御者さんとちょっと行き違いがありまして……私は大魔導師サンサさまを知りません。っていうかサンサさまを探す旅を続けているのです。サンサさまのお顔や髪の色などが分かる絵などはありませんか?」
父親から娘のハンナだと紹介された少女は、自分より五、六歳は年下であろう小さな女の子が、たった一人で大魔導師を探す旅をしていると聞いて、かなり興味を持ったようだ。渋る父親を説得して、マリルを家の中に招き入れ一枚の大きな絵を見せてくれた。
そこには、森の開けた場所にベッドが置かれ、病気で伏すハンナの側で、長い黒髪の女性が杖を振って花を振らせていた。小鹿やリスがベッドの上のハンナに顔を寄せて、ハンナの伸ばした手が頭に届くのを待っている。ベッドを跨ぐように虹が出て、お菓子の家も絵描かれた夢のような美しい世界にマリルはうっとりと魅入った。
「何てメルヘンティックな世界! かわいいわ。この黒髪と琥珀色の瞳の女性がサンサさまですか?」
マリルは興奮を抑えきれずに絵の近くに寄り、サンサの顔をじっと見つめて脳裏に焼き付けた。ハンナが隣に並んで、そうです。こちらがサンサさまですと答える。
「馬車の事故で母を亡くし、一緒に乗っていた私も大けがをしました。大好きな母が死んでしまった悲しみで私は生きる気力を失い、大けがを治すための治療を拒んだのです。そんなときにお父様がサンサ様を連れてきてくださって、部屋に絵本の世界を作ってしまわれました。私はこの部屋が大好きになり、心配気に寄り添ってくれる動物たちに応えるために、辛いリハビリに臨むようになったのです」
「すごいわ。これだけ一度に自然を再現できるなんて! サンサさまの魔力の大きさが分かるわ。ハンナさまもお辛かったのに頑張られたのですね。ハンナさまもすごい方だと思います。あの、ところでこのお部屋はまだあるのですか」
マリルはキラキラ輝く瞳をハンナに向けたが、ハンナは首を振った。リハビリが終わった日に部屋も消えたという。
どのくらいの日数をリハビリに費やしたのかは知らないが、その間生きた森を部屋に再現できるなんて、本当にすごすぎる。あまりにも感極まってマリルは身を震わせた。
絵を見たまま微動だにしないマリルに、ハンナが声をかけた。
「この絵は、私が描いたのです。骨折した指や手や足のリハビリは苦しかったけれど、全てを包み込むようなあの森の部屋が恋しくて、手の怪我が治ってから、一度は諦めた絵にもう一度挑戦しました」
「だから、こんなに生き生きして美しいのかもしれないですね。ハンナさまの強い愛情を感じます。サンサさまは美しい黒髪と紅茶みたいにきれいな目をしているんですね。魔法使いのローブ姿も威厳があってとても素敵。ああ、会いたいなぁ。私が五歳のときに、サンサさまは消息を絶って十年以上経つと魔法学校で聞いたのですが、こんな素晴らしい治療をされていたのに居場所が分からなかったなんて、とっても不思議です」
「実は母と私の乗った馬車の事故の現場に、サンサさまは偶然居合わせたそうです。サンサさまは大けがをした私を気にかけて下さり、外国へ行く予定を遅らせて、父に魔法治療を試すよう勧めてくださったんです。粉々に砕けていた骨は魔法で固めてもらったけれど、私に生きる気力が無かったから、骨折した個所が治りにくかったみたい。それで絵に描いた魔法療法を施してくださったの。サンサさまは誰にも居場所を知られたくないから、治療のことは秘密にして欲しいと父におっしゃられたとか。私たちも約束を守りました」
「ああ、そういうことなんですね。でも、どうして黙って外国に行こうと思ったのかしら。消息を魔法学校に知らせないのも不思議。魔術師同士で何かあって、追われているのかしら」
マリルの言葉にハンナが考え込む様子を見せた。俯き加減の顔が急に上がり、ああ、そういえばと遠慮がちに言葉を継いだ。
「多分追われているのではないと思います。療養魔法が効いているかどうか、サンサさまが見に来てくださったとき、子供だった私はリハビリの辛さもあって、とても辛辣なことを言ってしまったの。あなたは魔法使いだから、怪我をしたってすぐに自分で治せるし、嫌なことなんて全くなくて、毎日が楽しいでしょうって。そしたらサンサさまは、悲し気な顔をされて、確かこんなことをおっしゃったの。魔術でもできないこと、救えないものはある。それが親しい者ならなおさらのこと、思わぬ道に引き込まれた者が、変わっていく姿を見るのはとても辛いのだと」
「お友だちと喧嘩しちゃった? 変って行く姿を見るのが辛いって、何だろう? 別のものに変身しちゃったのかしら?」
クスクスと笑いながら、ハンナがマリルの頭をそっと撫でた。
「あなたはまだ子供だから、あのときの私と一緒で意味が分からないでしょうね。きっとそのお友達は何かいけないことに手を出したかもしれないわ。もし、マリルさんがサンサさまに会えたら渡して欲しいものがあるの」
どんなもの? と首を傾げたマリルに、ハンナが手の平の大きさの額を渡す。中には今のハンナの絵姿が入っていた。
「サンサさまに助けられた子供は、こんなにも大きく成長して、元気で暮らしていますって伝えて欲しいの。サンサさまが外国を目指していたなら、ここから南にあるブリティアン王国とフランセン王国の国境を目指したはずです。サンサさまに、感謝してもしきれないと伝えてください」
マリルはハンナの絵姿を胸に抱き、力強く頷いた。
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