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二人のひと時
揺らめくフレッシュグリーン
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森の中の小径を中ほどまで上った時、ようやく丸太で組んだ焦げ茶色のの小屋が見えてきた。一番先頭で上っていた理花は振り返って、他のメンバーがついてきているかどうかを確認する。すぐ横に追いついた薫子が、前屈みで息を切らしながら聞いた。
「私たちのは、もっと奥?結構上りがきついね」
「うん。あともう少しだけ上だと思う」
理花は、バンガローのドアに表示してある番号を目で追っていき、ようやく、自分たちが泊まるバンガローを見つけ、上ってくるメンバーに声をかけた。
「あったよ~。三つ先が私たちのバンガロー」
みんなのほっとした顔に、頑張ったねと笑顔を向けると、理花はカギでロックを外して扉を開けた。
12畳くらいの板の間とは別に、押し入れと荷物置き場のスペースがついているだけの簡素な造りを見たグループの一人が、ただの小屋だねと呟くのにみんなが同意する。落胆したのは最初だけで、仲間が収まれば、ガールズトークに花が咲く居心地の良い空間に様変わりした。
みんながワイワイ楽しそうに話しているのを後にして、理花は川へと戻り、待機していた先生から、オレンジやりんごなどのフルーツとお茶を受け取って、クラスごとに場所が決められた川にネットごとそれらを沈めた。
ゆらゆらと揺れている川面に、午後3時の木漏れ日が反射してとってもきれいだった。沈めたネットは暗く陰って形があいまいになり、のっそりとうごめく水中生物みたいに見える。
好奇心に勝てず、理花はおずおずと指を流れに差し込んでみて、水が冷たいのに驚いた。手で撹拌された水は、映っていた理花の顔の輪郭を溶かして色だけに変える。横にぬっと映りこんだ肌色の顔も、誰だか分からないほど、うねって見えた。
「熱心に見てるね。魚でもいるの?」
体中が誰の声かを認識して、気持ちごと吸い取られてしまいそうになる。
落ち着いてきた川の水面で、自分が思った人かどうか確認しようと覗き込んだら、川岸の傾斜が思ったよりきつくて、視界が前にぐらっと傾いた。
あっ!という声とともに、肩と腕を引き寄せられて、理花は草の上にしりもちをついた。
振り返ってみると、すぐ斜め上に、目をみはった大地の顔がある。あまりにも近すぎて驚いた理花はすぐに顔を元の位置に戻した。
顔が熱い!理花の背中を囲うように触れている大智の身体からも体温を感じて、余計にドキドキと鼓動が激しくなる。川に落ちかけた理花を引っ張った弾みで、大智も岸辺に尻餅をついてしまい、理花は大智に半分抱きかかえられる状態になっていた。
「あ、あ、ありがとう」
焦りまくった理花は、大智の腕から抜け出ようとしてジタバタもがきながら上体を起こしたまではよかったが、立ち上がろうと踏ん張った片足が、川岸の丸い石の上をつるりと滑り、再び大智の腕の中にすっぽりと収まってしまった。
「落ちるから落ち着いて」
大智に窘められて、理花はシュンと肩を落とした。
大智は薫子といるときには、普通の高校生らしく楽しそうにお喋りをするのに、理花が相手だと、まるで幼い子の面倒みる保護者のような役割になる。
もし、他の男の子に保護者面で注意されても、理花は笑ってありがとうと言えるだろう。けれど大智にされると、恋愛対象から外されていることを実感するみたいで、とてもショックを受けるのだ。
急に大人しくなった理花を見て、言うことを聞き分けたと思ったのか、大智が囲っていた腕を理花から外して場所を横に移動した。
途端に背中の熱を奪われたようにヒンヤリして、暖かな大智の腕が離れたことを残念がる気持がぐんと増す。
さっきは逃れようとしたくせに、離れると触れていて欲しくなるなんて、磁極を変えた磁石みたいだと理花は思った。
「あのね、このところの異常気象で、5月末なのにこの山でも日中は26℃あるから、川で涼もうとする人もいるけれど、山頂はまだ気温が低いから川の水は冷たいんだ。落ちると風邪をひくよ」
真剣に心配されてるのが声で分かり、理花が思わず顔をあげると、30cmあるかないかの至近距離に大智の顔がある。二重の目には滲むような優しさが湛えられていて、理花は思わず魅入ってしまった。自分のことを思ってくれるなら、この祭、保護する対象に見られていても良しとするべきか。
「大智君は、物知りなんだね。キャンプとかよく行くの?」
「ああ、弟が好きでね、温かくなると家族で山に出かけるんだ」
「へぇ~っ。弟さんがいるんだ? やっぱり大智君みたいにリーダーシップがあって、背が高くて、かっこ……が似てる?」
危なかった。かっこいい?と聞くところだった。理花が胸を撫でおろした時、質問に答える大智の声にためらいを感じて、理花はそっと様子を窺った。
「そう……だね。似てるところもあれば、かなり違うところもある。でも、大事な弟だ」
理花にも弟がいるから、異性ということもあり、かなり違うところがあるというのは頷ける。でも、人に話すときに、かなり違うところもあるけれど、大事な弟だとは言わない。何だか、それ以上聞いてはいけないような気がして、理花は視線を川面へ戻した。
一旦張り付いた違和感は、噛み砕いた時に奥歯のくぼみにはまった飴の欠片のように、妙な圧迫感で存在を主張する。他のことを考えようとしても、唾液に混ざる味のように大智の言葉が頭の中に流れていく。ざらりとした部分を舌でなぞって味を確かめるように、気が付けばどういう意味だろうと考えている自分にハッとする。と、その時、理花のもやもやした気分は、大智の言葉で霧散した。
「飯盒炊爨がはじまったら、すぐに川から飲み物と果物を出した方がいいよ。夜はまだ冷えるから、冷たくし過ぎると身体を冷やすからね」
「うん。ありがとう」
弟の存在を知ったせいか、理花は大智が人の面倒をみることに慣れている理由を知り、素直にお礼が言えた。
理花と違い、薫子はドジをしていないのだから、大智が同級生として薫子に接するのは当たり前で、自分は子供扱いをされているとひがむほうがおかしいのだ。
相手に合わせているだけで、大智にとっては二人のうちのどちらかが特別な存在というわけではないのかもしれない。
「あ~、なんか元気出てきた!」
「えっ? どうして? そんなに飯盒炊爨が楽しみ?」
思わず漏れた本音に焦りながら、理花は素早く頭を回転させて、みんなが楽しみにしているイベントにこじつけた。
「えっと、ほら、キャンプファイヤーが楽しみだなって。大智君のクラスは何やるの?」
「俺らは、う~~ん。ナイショだな。それより、理花ちゃんたちは何やるの?」
「え~~~っ、ずるい!自分たちだけナイショで、こっちのこと聞きだそうとするなんて、ずる過ぎ!」
「ハハハ…引っかからなかった。残念」
何だかとっても楽しくなり、理花は思わずポンと大智の腕をたたいた。
いつも叩きなれている薫子の柔らかい腕と違い、筋肉の硬さと体温の高さに驚いて、理花がさっと手を引く。気まずさを感じる前に、大智が痛~っと大げさに声をあげた。
「すっげ~バカ力!骨折したかも」
大智が叩かれた方の肩を落とし、腕をダラ~ンとさせながら、理花にどうしてくれると迫った。
今のは理花が気まずくならないように、大智がとっさに冗談にしたのだろうと察した。さすが主役を任されるだけあると感心しつつ、大智に案外お茶目な面があるのを知って、理花は嬉しくなった。
「汝、右の頬を張られたら、左の頬も差しだせ。って言うじゃない?反対側の腕もやっちゃおっかな?」
大智の努力を無駄にしないように、理花が十指を揉むように動かして襲い掛かるふりをすると、理花ちゃんはドSか?と笑いながら大智が逃げて行く。暫く追いかけっこを楽しんで理花の息が切れると、大智が大丈夫かと優しく声をかけてきた。
大智の手の重みを肩に感じて、乱れた呼吸が余計に苦しくなる。親密な空気が増して、気遣ってもらうのが妙に気 恥ずかしくなり、理花は思わずそろそろバンガローに戻ろうかと言ってしまった。
笑顔で頷いた大智に、理花は少し休んだら行くから先に戻るように促した。
大きく手を振る大智に応え、理花も振り返しながら、またキャンプファイヤーの時にねと叫ぶ。大智がオウ!と答えて、大きなスライドで橋を渡ってバンガローに続く山道へと消えていった。
じゃんけんに負けて班長になったのは癪だけれど、大智と普通に話せたどころか、二人だけの楽しい時間を持てて、何だか得しちゃったかもと理花は口元が自然に緩むのを感じた。
「私たちのは、もっと奥?結構上りがきついね」
「うん。あともう少しだけ上だと思う」
理花は、バンガローのドアに表示してある番号を目で追っていき、ようやく、自分たちが泊まるバンガローを見つけ、上ってくるメンバーに声をかけた。
「あったよ~。三つ先が私たちのバンガロー」
みんなのほっとした顔に、頑張ったねと笑顔を向けると、理花はカギでロックを外して扉を開けた。
12畳くらいの板の間とは別に、押し入れと荷物置き場のスペースがついているだけの簡素な造りを見たグループの一人が、ただの小屋だねと呟くのにみんなが同意する。落胆したのは最初だけで、仲間が収まれば、ガールズトークに花が咲く居心地の良い空間に様変わりした。
みんながワイワイ楽しそうに話しているのを後にして、理花は川へと戻り、待機していた先生から、オレンジやりんごなどのフルーツとお茶を受け取って、クラスごとに場所が決められた川にネットごとそれらを沈めた。
ゆらゆらと揺れている川面に、午後3時の木漏れ日が反射してとってもきれいだった。沈めたネットは暗く陰って形があいまいになり、のっそりとうごめく水中生物みたいに見える。
好奇心に勝てず、理花はおずおずと指を流れに差し込んでみて、水が冷たいのに驚いた。手で撹拌された水は、映っていた理花の顔の輪郭を溶かして色だけに変える。横にぬっと映りこんだ肌色の顔も、誰だか分からないほど、うねって見えた。
「熱心に見てるね。魚でもいるの?」
体中が誰の声かを認識して、気持ちごと吸い取られてしまいそうになる。
落ち着いてきた川の水面で、自分が思った人かどうか確認しようと覗き込んだら、川岸の傾斜が思ったよりきつくて、視界が前にぐらっと傾いた。
あっ!という声とともに、肩と腕を引き寄せられて、理花は草の上にしりもちをついた。
振り返ってみると、すぐ斜め上に、目をみはった大地の顔がある。あまりにも近すぎて驚いた理花はすぐに顔を元の位置に戻した。
顔が熱い!理花の背中を囲うように触れている大智の身体からも体温を感じて、余計にドキドキと鼓動が激しくなる。川に落ちかけた理花を引っ張った弾みで、大智も岸辺に尻餅をついてしまい、理花は大智に半分抱きかかえられる状態になっていた。
「あ、あ、ありがとう」
焦りまくった理花は、大智の腕から抜け出ようとしてジタバタもがきながら上体を起こしたまではよかったが、立ち上がろうと踏ん張った片足が、川岸の丸い石の上をつるりと滑り、再び大智の腕の中にすっぽりと収まってしまった。
「落ちるから落ち着いて」
大智に窘められて、理花はシュンと肩を落とした。
大智は薫子といるときには、普通の高校生らしく楽しそうにお喋りをするのに、理花が相手だと、まるで幼い子の面倒みる保護者のような役割になる。
もし、他の男の子に保護者面で注意されても、理花は笑ってありがとうと言えるだろう。けれど大智にされると、恋愛対象から外されていることを実感するみたいで、とてもショックを受けるのだ。
急に大人しくなった理花を見て、言うことを聞き分けたと思ったのか、大智が囲っていた腕を理花から外して場所を横に移動した。
途端に背中の熱を奪われたようにヒンヤリして、暖かな大智の腕が離れたことを残念がる気持がぐんと増す。
さっきは逃れようとしたくせに、離れると触れていて欲しくなるなんて、磁極を変えた磁石みたいだと理花は思った。
「あのね、このところの異常気象で、5月末なのにこの山でも日中は26℃あるから、川で涼もうとする人もいるけれど、山頂はまだ気温が低いから川の水は冷たいんだ。落ちると風邪をひくよ」
真剣に心配されてるのが声で分かり、理花が思わず顔をあげると、30cmあるかないかの至近距離に大智の顔がある。二重の目には滲むような優しさが湛えられていて、理花は思わず魅入ってしまった。自分のことを思ってくれるなら、この祭、保護する対象に見られていても良しとするべきか。
「大智君は、物知りなんだね。キャンプとかよく行くの?」
「ああ、弟が好きでね、温かくなると家族で山に出かけるんだ」
「へぇ~っ。弟さんがいるんだ? やっぱり大智君みたいにリーダーシップがあって、背が高くて、かっこ……が似てる?」
危なかった。かっこいい?と聞くところだった。理花が胸を撫でおろした時、質問に答える大智の声にためらいを感じて、理花はそっと様子を窺った。
「そう……だね。似てるところもあれば、かなり違うところもある。でも、大事な弟だ」
理花にも弟がいるから、異性ということもあり、かなり違うところがあるというのは頷ける。でも、人に話すときに、かなり違うところもあるけれど、大事な弟だとは言わない。何だか、それ以上聞いてはいけないような気がして、理花は視線を川面へ戻した。
一旦張り付いた違和感は、噛み砕いた時に奥歯のくぼみにはまった飴の欠片のように、妙な圧迫感で存在を主張する。他のことを考えようとしても、唾液に混ざる味のように大智の言葉が頭の中に流れていく。ざらりとした部分を舌でなぞって味を確かめるように、気が付けばどういう意味だろうと考えている自分にハッとする。と、その時、理花のもやもやした気分は、大智の言葉で霧散した。
「飯盒炊爨がはじまったら、すぐに川から飲み物と果物を出した方がいいよ。夜はまだ冷えるから、冷たくし過ぎると身体を冷やすからね」
「うん。ありがとう」
弟の存在を知ったせいか、理花は大智が人の面倒をみることに慣れている理由を知り、素直にお礼が言えた。
理花と違い、薫子はドジをしていないのだから、大智が同級生として薫子に接するのは当たり前で、自分は子供扱いをされているとひがむほうがおかしいのだ。
相手に合わせているだけで、大智にとっては二人のうちのどちらかが特別な存在というわけではないのかもしれない。
「あ~、なんか元気出てきた!」
「えっ? どうして? そんなに飯盒炊爨が楽しみ?」
思わず漏れた本音に焦りながら、理花は素早く頭を回転させて、みんなが楽しみにしているイベントにこじつけた。
「えっと、ほら、キャンプファイヤーが楽しみだなって。大智君のクラスは何やるの?」
「俺らは、う~~ん。ナイショだな。それより、理花ちゃんたちは何やるの?」
「え~~~っ、ずるい!自分たちだけナイショで、こっちのこと聞きだそうとするなんて、ずる過ぎ!」
「ハハハ…引っかからなかった。残念」
何だかとっても楽しくなり、理花は思わずポンと大智の腕をたたいた。
いつも叩きなれている薫子の柔らかい腕と違い、筋肉の硬さと体温の高さに驚いて、理花がさっと手を引く。気まずさを感じる前に、大智が痛~っと大げさに声をあげた。
「すっげ~バカ力!骨折したかも」
大智が叩かれた方の肩を落とし、腕をダラ~ンとさせながら、理花にどうしてくれると迫った。
今のは理花が気まずくならないように、大智がとっさに冗談にしたのだろうと察した。さすが主役を任されるだけあると感心しつつ、大智に案外お茶目な面があるのを知って、理花は嬉しくなった。
「汝、右の頬を張られたら、左の頬も差しだせ。って言うじゃない?反対側の腕もやっちゃおっかな?」
大智の努力を無駄にしないように、理花が十指を揉むように動かして襲い掛かるふりをすると、理花ちゃんはドSか?と笑いながら大智が逃げて行く。暫く追いかけっこを楽しんで理花の息が切れると、大智が大丈夫かと優しく声をかけてきた。
大智の手の重みを肩に感じて、乱れた呼吸が余計に苦しくなる。親密な空気が増して、気遣ってもらうのが妙に気 恥ずかしくなり、理花は思わずそろそろバンガローに戻ろうかと言ってしまった。
笑顔で頷いた大智に、理花は少し休んだら行くから先に戻るように促した。
大きく手を振る大智に応え、理花も振り返しながら、またキャンプファイヤーの時にねと叫ぶ。大智がオウ!と答えて、大きなスライドで橋を渡ってバンガローに続く山道へと消えていった。
じゃんけんに負けて班長になったのは癪だけれど、大智と普通に話せたどころか、二人だけの楽しい時間を持てて、何だか得しちゃったかもと理花は口元が自然に緩むのを感じた。
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