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第一章
第六話 フラワーとキモヲタの個人授業
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「先生。」
教室を出たところでフラワーに呼び止められた。
「ちょっと生徒指導室へ。」
普通先生が呼び出すところじゃない?そこ。
俺なんかしたかなぁ…
おもいっきりしたなぁ…
どうしよう。
これ。
そんなことを考えながら生徒指導室に入ると、本を持ったフラワーがいた。
「どうぞ。」
席へと促される。
「さて。」
俺が席に座るとフラワーが話を切り出した。
「単刀直入に言います。先生はアリスの民ではありませんね?」
「は?」
「まぁ正確にはイリスの民からアリスの民になったというんでしょうが。」
「アリス?イリス?なんだそれ?」
俺がそういうとフラワーははぁ…と溜め息をつく。
「そこからですか…まぁいいです。少し、昔話をしましょう。」
_________________________________________________________
昔々、この世に生きるものが神だけだった頃のお話です。
アリスとイリスという双子の神が産まれました。
この二人は生まれながらに他の神々とは違っていました。
神々の持つ不思議な力、魔力が強く、不可能だと言われることも軽々とこなすアリスと、魔力は弱くても知恵を使い様々な困難を乗り越えるイリス。
違っていても、二人はいつも一緒にいました。
ある日二人は思いついました。
神以外の生きる者を創ろう、と。
イリスが生きる世界と、者と名を考えることとなり、アリスはそれを形作り、知能を与えることとなりました。
ただ一つ、なかなか決まらないことがありました。
それは魔力を与えるかどうかです。
アリスは言いました。
「魔力を与えよう。そしてその力を使い、困難を取り除かせよう。」と。
イリスは言いました。
「魔力は与えまい。困難は取り除くのではなく、自分の知力(ちから)で乗り越えるものだ。」と。
討論の末、世界を二つ創ることにしました。
魔力を持つ世界と、持たない世界です。
そうして二人は世界を創りました。
生きる者はヒトと名付けました。
隣り合った二つの世界。
それを創った二人の名に合わせ、魔力を持つ世界をアリスの世界、持たない世界をイリスの世界と呼びました。
二人はそれをヒトに伝えましたが、今ではそれを知っているのはアリスの民だけです。
魔力を持たないイリスの民はその話を信じなくなり、伝えなくなったからです。
しかし、その事を知るイリスの民もいます。
アリスの世界に来た者達です。
美しい心で周りを見て、聞いて育った強く優しい者にはアリスの世界への扉が開きます。
アリスの民として生きる資格を持つのです。
それからアリスの民として過ごす者も、イリスの世界へ戻っていく者もいます。
そしてどっちを選んだにしろ、その者達は周りの人に幸福を与えて行くのです。
_________________________________________________________
「これがこの世界の由縁です。」
「へぇ…」
「あともう一つありますね。」
「どんなのだ?」
「魔力を悪の道に進む為に使ってはいけない。というものです。」
「そうなのか…」
「まぁ返答がなんにしろアリスとイリスを知っていない時点でアリスの民ではないということは確定ですので。」
「な、何かあるのか?」
「はい。」
「まじか…」
「私の都合のつく時はここで魔法界についての勉強をしてもらいます。」
「え?」
「自分のクラスの教師がこんなんじゃ困りますので。」
「うっ…」
「それじゃあもう職員室で仕事してきてください!」
「うぉ!?」
生徒指導室から叩き出されピシャリと扉を閉められる。
ガチャッ
鍵まで掛けやがった。
仕方ない。仕事するか。
そうして俺は職員室へと足を進めた。
_________________________________________________________
「どうして…」
どうして新任教師、しかもアリスに成り立ての者にⅠ組を任せたのだろう。
Ⅰ組には成績上位者が入る。
成績上位の…
問題児が。
いわゆる浮きこぼれだ。
成績が良くても素行が悪いか、何でも出来すぎてしまうかのどちらか。
そんな古株の先生でも扱うのが難しいというクラスにそんな教師を入れたのか。
「まぁ…私がいた分マシ…かな。」
そういって自嘲気味に笑う。
いけないいけない。鏡に向かって笑顔を作る。
私はフラワー・シルク・スター。
完全無欠の…
問題児。
教室を出たところでフラワーに呼び止められた。
「ちょっと生徒指導室へ。」
普通先生が呼び出すところじゃない?そこ。
俺なんかしたかなぁ…
おもいっきりしたなぁ…
どうしよう。
これ。
そんなことを考えながら生徒指導室に入ると、本を持ったフラワーがいた。
「どうぞ。」
席へと促される。
「さて。」
俺が席に座るとフラワーが話を切り出した。
「単刀直入に言います。先生はアリスの民ではありませんね?」
「は?」
「まぁ正確にはイリスの民からアリスの民になったというんでしょうが。」
「アリス?イリス?なんだそれ?」
俺がそういうとフラワーははぁ…と溜め息をつく。
「そこからですか…まぁいいです。少し、昔話をしましょう。」
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昔々、この世に生きるものが神だけだった頃のお話です。
アリスとイリスという双子の神が産まれました。
この二人は生まれながらに他の神々とは違っていました。
神々の持つ不思議な力、魔力が強く、不可能だと言われることも軽々とこなすアリスと、魔力は弱くても知恵を使い様々な困難を乗り越えるイリス。
違っていても、二人はいつも一緒にいました。
ある日二人は思いついました。
神以外の生きる者を創ろう、と。
イリスが生きる世界と、者と名を考えることとなり、アリスはそれを形作り、知能を与えることとなりました。
ただ一つ、なかなか決まらないことがありました。
それは魔力を与えるかどうかです。
アリスは言いました。
「魔力を与えよう。そしてその力を使い、困難を取り除かせよう。」と。
イリスは言いました。
「魔力は与えまい。困難は取り除くのではなく、自分の知力(ちから)で乗り越えるものだ。」と。
討論の末、世界を二つ創ることにしました。
魔力を持つ世界と、持たない世界です。
そうして二人は世界を創りました。
生きる者はヒトと名付けました。
隣り合った二つの世界。
それを創った二人の名に合わせ、魔力を持つ世界をアリスの世界、持たない世界をイリスの世界と呼びました。
二人はそれをヒトに伝えましたが、今ではそれを知っているのはアリスの民だけです。
魔力を持たないイリスの民はその話を信じなくなり、伝えなくなったからです。
しかし、その事を知るイリスの民もいます。
アリスの世界に来た者達です。
美しい心で周りを見て、聞いて育った強く優しい者にはアリスの世界への扉が開きます。
アリスの民として生きる資格を持つのです。
それからアリスの民として過ごす者も、イリスの世界へ戻っていく者もいます。
そしてどっちを選んだにしろ、その者達は周りの人に幸福を与えて行くのです。
_________________________________________________________
「これがこの世界の由縁です。」
「へぇ…」
「あともう一つありますね。」
「どんなのだ?」
「魔力を悪の道に進む為に使ってはいけない。というものです。」
「そうなのか…」
「まぁ返答がなんにしろアリスとイリスを知っていない時点でアリスの民ではないということは確定ですので。」
「な、何かあるのか?」
「はい。」
「まじか…」
「私の都合のつく時はここで魔法界についての勉強をしてもらいます。」
「え?」
「自分のクラスの教師がこんなんじゃ困りますので。」
「うっ…」
「それじゃあもう職員室で仕事してきてください!」
「うぉ!?」
生徒指導室から叩き出されピシャリと扉を閉められる。
ガチャッ
鍵まで掛けやがった。
仕方ない。仕事するか。
そうして俺は職員室へと足を進めた。
_________________________________________________________
「どうして…」
どうして新任教師、しかもアリスに成り立ての者にⅠ組を任せたのだろう。
Ⅰ組には成績上位者が入る。
成績上位の…
問題児が。
いわゆる浮きこぼれだ。
成績が良くても素行が悪いか、何でも出来すぎてしまうかのどちらか。
そんな古株の先生でも扱うのが難しいというクラスにそんな教師を入れたのか。
「まぁ…私がいた分マシ…かな。」
そういって自嘲気味に笑う。
いけないいけない。鏡に向かって笑顔を作る。
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完全無欠の…
問題児。
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