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一幕 "覚醒"

【五話:兄と勇気】

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 怪物が振り下ろしたその一撃で、辺りに砂塵が舞い上がる。

「ーーーーっ!!!?」

 二本の大角ーー鬼の様相を呈す全長3メートルはあろう巨大な魔物。
 その魔物が振るった一撃は何の躊躇いもなく弱者を屠った。

「パパ……?」

 飛び散る鮮血、弾けた肉片。凄惨せいさんな光景を目の前に呼吸が乱れる。
 全身から力が抜け、小天こあめが手の中からこぼれ落ちた。

「パパ……パパ! ねぇ、返事をしてよ、パパ……!」

 しかし当然のごとく反応はない。
 魔物がゆっくりと棍棒を引き上げる。
 そこには無残な肉塊だけが残っていた。

「嘘だ……」

 嘘だ。

「……違う、こんなのって……だって、私は」

 俺はーーーー

「勇者じゃ……なかったの!!!」

 勇者だからきっとどうにかなる。勇者だから大切な人を守れる。勇者だから死ぬはずがない。
 そんなどうしようもなく馬鹿げた思いが、心のどこかにあったのだろう。
 俺は勇者に選ばれ浮かれていた。
 女神イリーナから刀を貰って楽観していた。

 俺は……私はーーーー勇者、失格だ。

 亡き父の姿を追い、私はよろけながらそこに這い寄る。

「どうしたの、パパ? こんなところで寝てちゃ風邪引いちゃうよ? ねぇパパってば……起きてるんでしょ……?」

 応えない。
 私はその手を抱き寄せる。

「暇なら私と遊ぼうよ。また、美味しい木の実を教えてよ。ヒヅルの実はもう食べ飽きちゃったよ……」

 ケタケタと不気味な笑い声が響く。劣等種の哀れな姿が滑稽に映ったのだろう。
 だがそれも魔物にとってはどうでもいいことだった。嘆きも孤独も死別さえも、弱肉強食の世界では何一つ憐れむ要因にはならない。
 もう一度、その大きな棍棒を振り上げる。今度は惨めで滑稽な劣等種に狙いを定めて。

「……パパ、お願いだから……起きてよ……パパ!!!」

 頰に涙が伝う。

 どうして……
 嫌だ……嫌だ嫌だ嫌だ!!!
 嫌だよ……こんなのって、ないよ……

 頭が痛い。受け入れたくない現状を、考えないようにすればする程、意識が深く沈み込み、私の心を蝕んでいく。
 そこは光の届かない孤独な世界。

 また、独りになる。もう、独りは嫌! 私を置いていかないで……

ーー"私を独りにしないで……!"

 ギュッと目を閉じ、大粒の涙を流す。それを嘲るような笑みと共に、魔物が棍棒を振り下ろそうとした瞬間。カコン、と魔物の頭につぶてが当たった。

「ーーーーユナ!!!」

 俯いていた顔を上げると、魔物の背後に兄の姿が見えた。

「お兄ちゃん……」

「ユナ! 早く逃げるんだ!」

「でもパパが……!」

「お願いだから少しは言う事を聞いてくれよ!!!」

 そう叫ぶ兄の声は力強く、けれど確かに震えていた。

「これは僕の我儘だ……」

 つぶてを当てられた魔物は兄の方に向き直った。

「かっこよく皆んなを助けたかった。守られるばかりじゃなく大切な人達を守れる存在になりたかった……でもなれない。僕にそんな力がなかったからだ。だけど、たった一人の妹の、ユナの前だけでは強いお兄ちゃんでいたいんだ!」

 兄は近くに落ちていたボロい剣を拾い上げた。

「僕は村一番の狩人、父ヤシャルと母エレナの息子ーーヨミ! そして勇敢な妹ユナの、お兄ちゃんだ!」

 兄の眼は普段の温厚な性格からは想像が付かない程に鋭くなった。
 怒りーー復讐心は確かにあるのだろう。けれど、それ以上に私を護ろうとしている事がひしひしと伝わる。
 無謀にも見える行為が、勇気であると確信する。

「……やっぱりかっこいいな、私のお兄ちゃんは」

 そう私はボソっと呟いた。

 兄は弱い私と違ってとても強い……でも、だからこそ失っちゃいけない! これ以上家族を傷付けさせない!
 拳に力が入る。
 すると突然青白い光が私の全身を包み込んだ。

「ーーーーふぇっ!?」

 それに魔物が反応する。
 
「ガ、ガ、ガガガァアアアアア!!!」

 私に向かい咆哮をあげる。
 先程までの勝ち誇った厭らしい形相ではなく、焦りや恐怖をその瞳に浮かべていた。

 鼓動が早くなる。痛みが全身を襲う。けれど力が漲ってくるのを感じた。
 不思議な感覚に心地良い浮遊感さえ覚えた。

 いったい何がどうなって……!?

 状況を理解できないが、私は急いで小天こあめを拾い上げ、臨戦態勢を取ろうとした。けれどそれよりも早くに魔物が振り回した棍棒に直撃し、私は後ろの大木まで吹っ飛ばされた。
 背中を強く打ち、全身に激痛が走る。

「っ、はあ……あぁ……」

「ユナ!!!」

 痛みで呼吸が乱れ、視界が霞む。

 い、意識をしっかり保たないと……やばい……

 眠気が襲う感覚にも似た意識の混濁。

 ここでこいつ食い止めないと、ママが、皆んなが危ない!こんな所で倒れている場合じゃない!!!

 私は根性で立ち上がり、さらに追撃を加えようとする魔物の一撃を躱した。

 魔物は先程と違い、なりふり構わず私にだけ攻撃を仕掛けてきていた。私はそれを痛みに耐えながら回避するので精一杯だった。
 これじゃ埒が明かない……どうにかしてこいつに小天こあめをあてられれば……! 何か手は!?

 相手の隙を見て辺りを見回しても、使えそうな物はここにはなかった。
 どうやらここでこいつを迎撃しようとしたのは、森の中でも比較的村から遠く、開けた場所だからのようだ。

 森に入れば身を隠せるかもしれないが、こいつにとって木がなんの妨げにもなっていないのはしばらくり合って身をもって痛感している。
 大木さえ容易に粉砕し、なぎ倒す常軌を逸した力。
 草の根でもかき分けるように、木々が倒れていくのが想像に難くない。
 もしそんなものの下敷きにでもなれば、なんの抵抗も出来ずに命を散らしてしまう。

 でも、私なら……

 私はその小さな身を隠すように木々の中へと入っていった。

「行くな! 戻ってくるんだ! ユナ!!!」

 私を案じる兄の声。

 ごめんなさい、お兄ちゃん……

 魔物は予想通り木々を払いながら、私を追ってきた。
 私は小さい身体を最大限に活かし、身を隠しながら雑木林の中を駆け走った。
 そして、

「木を薙ぎ払えるのはお前だけじゃない!!」

 私は魔物の方に倒れるよう小天こあめで木を切り倒した。
 魔物はそれを軽々と片手で受け止め、払い退ける。

 今だっ!!!

 その隙を狙い、私は魔物に向かって突進した。
 一気に距離を詰め、魔物の腕を斬りつける。
 しかし小天こあめの刃は魔物の腕を切断する事なく、途中で受け止められてしまった。

「ーー嘘でしょ!?」

 魔物は斬り付けられた腕を大きく振り回し、抵抗する。
 すると小天こあめが魔物の腕から抜け、私は宙に放られた。

 あんな大きな木まで斬れたのにどうして!? って今はそれより、

 空高く放り投げなれた私は開けた場所で着地した。なんとか拙い受け身は取れたが、その衝撃のほとんどを受けてしまった。

「はぁ……はぁ……」

 結局戻って来ちゃった……

 兄が慌てて私の方に走って来た。

「しっかりしろ! ユナ!」

「お兄ちゃん……あいつ、すっごく強いの……」

「当たり前だろ……! あいつは凄腕の冒険者さえ逃げ出すような、バケモンなんだぞ!」

 ……あぁ、そういう事か。だからここには村人しか居なかったんだ……
 剣も握った事のない農民までもが、私たちを守るために、命懸けで戦ってくれていたんだ……

 私はゆっくりと立ち上がろうとした。
 しかしそれを兄が引き留めた。

「もう、やめてくれ……無茶をしないでくれ……ユナまで失ったら、僕は……僕は」

 兄は大粒の涙を流していた。
 それは同年代の子供に比べ、かなり大人びた兄が私に見せた、初めての子供らしい表情だった。

「泣かないでよ、お兄ちゃん。私は……大丈夫だから」

「なにが大丈夫なんだよ……!? こんな……こんなボロボロになって……何が……」

 擦り傷、打身、流血。
 服もボロボロで、それは動けているのが不自然な程の負傷だった。

 ……この身体に纏わり付く光のお陰なのかな? 痛みはあるけど、なんとか身体を動かす事が出来ている。

「ーーごめんな」

「……どうして謝るの?」

「僕が頼りないばかりに、ユナを傷付けてしまっている」

「ち、違うよ! お兄ちゃんのせいじゃない! これは私が弱いせいでーーーー」

 バキバキ

 木々が払い退けられ、森の中から魔物が姿を現した。
 私は兄の制止を振り切り、刀を構える。

「危ないから下がっていて、お兄ちゃん」

「何、言ってるんだ……!?」

「あれは私が倒すからーーーー」

 小天こあめを強く握り、精神を研ぎ澄ます。
 相手を一点に捉え、その動き一つ一つに目を凝らす。

「ユ……!」

 その先の言葉はユナにとっての枷になる。だからヨミは唇を噛みしめ、感情を抑えた。

「絶対に無理はするなよ!」

「うん! 無理はしない。それはイリーナとの約束だもん」

 兄は私達から十分に距離を取った。

 魔物が私目掛けて飛び掛かり、棍棒を振るう。
 私はそれをギリギリで躱し、態勢を整える。

「そもそも一撃必殺って捉えるのが間違っていたんだ。斬り落とせなかったにしろ、それは効いていないわけじゃない。なら、動けなくなるまで斬り刻んでやるまで!」

 覚悟を決めて、一気に前へと踏み出す。
 すると互いに距離を詰めた為、一瞬にしてその距離がうまった。
 このまま刀を振るえばさっきの二の舞いだ。だからこそ冷静にチャンスを待て。

 魔物の縦殴りの強烈な一撃が迫る。

「そこだっ……!!!」

 直後、ドガッという鈍い音が森に響いた。

「はぁ……やった……!」

 魔物の片腕から緑の薄気味悪い液体が噴き出す。

 私が放った一撃は相手の力を利用した、いわばカウンター技だ。
 非力な私じゃ小天こあめを使ってもそのご太い腕を断ち切るに至らなかった。だから相手の剛力を利用し、それを補った。
 ただ剣技と呼ぶにはそれはあまりにも拙く荒々しいものだっただろう。

「ウガァガガガーーー!」

 もしかしたら腕を落としたぐらいじゃピンピンしてんじゃないかって最悪の想像もしていたけど、かなり効いてるようで良かった。
 いってもこっちももうボロボロだし、これであいこかな。

 ドォン! ドォン! ドォン!

 地響きが鳴る。

「……ほんと、勘弁してよ」

 魔物は失った右腕を左腕で持ち上げ、それを思いっきり地面に叩き始めた。
 それがどういう行動なのか見当も付かないが、不気味なその様子を見て私は後ずさった。

 腕を地面に叩き付ける行為が徐々にスピードを増してゆく。

 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド、ドン!!!

 その奇行が止むと、森全体が一瞬にして静まり返った。

「終わった……?」

 そう口にした瞬間、物凄い勢いで腹を拳で殴られた。

「かはっ!!?」

 嘘!? なんで!? 十分に距離を取っていたはずなのに!!?

 小さな身体に強烈な衝撃を受けながら、木に身体を叩き付け、粉砕し、また叩き付けられた。

「はぁ……はぁ……」

 息を吐くので精一杯だった。
 肋骨や腕の骨なんかが折れ、内蔵もズタボロ、身体に纏っていた光も消えていた。

 まさか、自分の腕をぶん投げてくるなんて……

 私の近くには魔物の斬り落とした腕が転がっていた。

 唯一の対抗手段だった小天こあめも今の衝撃で失った。
 私、死ぬんだ……何も守れずに、誰も救えずに……情けないな……

 痛みはない、何も感じない。
 体全体から力が抜けていくのだけが分かる。

 まだ、死にたくない……死ねないよ……

 カンカンカンカンカンカン!!!

 ……鐘の音?
 これってもしかして村の警鐘……? まさか……あっちにも魔物が? 早く、行かなきゃ……!?

『ーーあるじ、それは強欲だよ』

 ……ママ?

 いや、違う。もっと若い、それ以上に幼い、幼女の声。もちろん私以外の。

『人間の命は儚いんだ。皆んながそういうふうに作ったから。命を回帰させる大義を元に、でも結局は自分たちのくらいを守るためだったりするわけだけど』

 イリーナ?

『それなのに皆んなは心から人間を祝福する。人間が植物を愛でるように』

 どことなく声色が似ている気もするけど、違う。じゃあいったい、この声は……

『さぁあるじ、そんな身勝手な神々みんなからの祝福だよ。存分に受け取ってしまおう!』

 だれ???
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