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二章
48 詠唱と無詠唱
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特待クラスから早速75点という高得点が叩き出された事に、貴族クラスの皆様が驚きの声を上げておりました。
貴族クラスはどれほど特待クラスに興味が無かったのでしょう。
月に一度行われる魔法実技にてご一緒していたというのに。
「ーーーーー素晴らしいです」
エーデルトラウト殿下がパチパチと拍手を送り、彼女プラム=ナーバ様に称賛の言葉を述べました。
「連鎖詠唱に必要なのは知識、それと一片の揺るぎも許されない集中力からなる魔力制御でしたね、イルミナ教師」
「なんだ?詠唱破棄に魅了された坊ちゃんは忘れてしまったのかと思ってたよ」
親しげに話すイルミナ教師とエーデルトラウト殿下。
「まさか。私はただ詠唱破棄の速効性を選んだに過ぎませんよ。威力や精度を鑑みるならば、やはり詠唱はするべきだと常々思っております」
「今はそれが本心かどうかはどうでもいい。それは特待クラスが証明するからね。さぁて王族の力に魅せられた貴族は、弱さを証明するか?」
「あはは。お手柔らかにお願いします」
王族の力、それは【精霊の加護】と呼ばれる不確な存在。御伽噺の一端にあるような幻想。
しかしそれは、王族がこの国の守護者足り得る実力を今世まで残し続けた結果、事実ではないかと囁かれていました。
貴族が血統を尊ぶ理由もそこにあり、【精霊の加護】に備わる能力の一欠片が詠唱破棄らしく、即ち詠唱破棄が出来る事こそが優れた魔導士の証明であると、貴族様達は思われている、と以前ネモ様にお聞きしました。
その結果、貴族クラスでは詠唱の講義が省略されたようです。
そんなお二人の会話を耳にし、顔を青くさせるクラスメイト達。
その後プラム様に続く貴族クラスの方達が三人試験に臨まれましたが、その結果は37点、27点、29点と芳しくはありませんでした。
そして、ついに。
「ーーーーー次はクレナの番みたいだよ。カヤは心配?」
ネモ様はわくわくした顔を見せながら、そのように私に仰りました。
「いいえ。私もすごく楽しみにしております」
クレナ様が前へと出て、的が用意されるとハーマン教師が開始の合図を出しました。
するとクレナ様が早速その真価を発揮されました。
「〈連鎖詠唱〉ーーーーー!!!」
な、なにを!!?まだ何も魔法は、、、ッ!!?ーーーーーまさか!!?
ハーマン教師はその異様な光景に驚き、口が開いたままとなりました。
「魔導士の一騎討ちともなれば、決死を分つのは魔法発動のスピードだ。だから殿下の言うこともよく分かる。だからこそだ!だからこそーーーーーいま一度、詠唱の価値を見極めるべきだ!!!」
詠唱と無詠唱の併せ技。
それが【魔導の深淵を覗く者】の通り名で知られるイルミナの秘技の一つ、二重詠唱。
最速にし、最大の威力を引き出す超高難易度の魔術。
「ーーーーー燃え盛る花の奔流!【紅華ノ渦】!!!」
火花を散らす幾重もの火球が、遠くの的目掛けて渦を成し、そして激しい閃光と共に小爆発を起こした。
空に打ち上がる花火を連想させるように、クレナ様の魔法は色鮮やかに放たれました。
そしてそれはハーマン教師の採点により一年次における歴代最高点となったのでした。
貴族クラスはどれほど特待クラスに興味が無かったのでしょう。
月に一度行われる魔法実技にてご一緒していたというのに。
「ーーーーー素晴らしいです」
エーデルトラウト殿下がパチパチと拍手を送り、彼女プラム=ナーバ様に称賛の言葉を述べました。
「連鎖詠唱に必要なのは知識、それと一片の揺るぎも許されない集中力からなる魔力制御でしたね、イルミナ教師」
「なんだ?詠唱破棄に魅了された坊ちゃんは忘れてしまったのかと思ってたよ」
親しげに話すイルミナ教師とエーデルトラウト殿下。
「まさか。私はただ詠唱破棄の速効性を選んだに過ぎませんよ。威力や精度を鑑みるならば、やはり詠唱はするべきだと常々思っております」
「今はそれが本心かどうかはどうでもいい。それは特待クラスが証明するからね。さぁて王族の力に魅せられた貴族は、弱さを証明するか?」
「あはは。お手柔らかにお願いします」
王族の力、それは【精霊の加護】と呼ばれる不確な存在。御伽噺の一端にあるような幻想。
しかしそれは、王族がこの国の守護者足り得る実力を今世まで残し続けた結果、事実ではないかと囁かれていました。
貴族が血統を尊ぶ理由もそこにあり、【精霊の加護】に備わる能力の一欠片が詠唱破棄らしく、即ち詠唱破棄が出来る事こそが優れた魔導士の証明であると、貴族様達は思われている、と以前ネモ様にお聞きしました。
その結果、貴族クラスでは詠唱の講義が省略されたようです。
そんなお二人の会話を耳にし、顔を青くさせるクラスメイト達。
その後プラム様に続く貴族クラスの方達が三人試験に臨まれましたが、その結果は37点、27点、29点と芳しくはありませんでした。
そして、ついに。
「ーーーーー次はクレナの番みたいだよ。カヤは心配?」
ネモ様はわくわくした顔を見せながら、そのように私に仰りました。
「いいえ。私もすごく楽しみにしております」
クレナ様が前へと出て、的が用意されるとハーマン教師が開始の合図を出しました。
するとクレナ様が早速その真価を発揮されました。
「〈連鎖詠唱〉ーーーーー!!!」
な、なにを!!?まだ何も魔法は、、、ッ!!?ーーーーーまさか!!?
ハーマン教師はその異様な光景に驚き、口が開いたままとなりました。
「魔導士の一騎討ちともなれば、決死を分つのは魔法発動のスピードだ。だから殿下の言うこともよく分かる。だからこそだ!だからこそーーーーーいま一度、詠唱の価値を見極めるべきだ!!!」
詠唱と無詠唱の併せ技。
それが【魔導の深淵を覗く者】の通り名で知られるイルミナの秘技の一つ、二重詠唱。
最速にし、最大の威力を引き出す超高難易度の魔術。
「ーーーーー燃え盛る花の奔流!【紅華ノ渦】!!!」
火花を散らす幾重もの火球が、遠くの的目掛けて渦を成し、そして激しい閃光と共に小爆発を起こした。
空に打ち上がる花火を連想させるように、クレナ様の魔法は色鮮やかに放たれました。
そしてそれはハーマン教師の採点により一年次における歴代最高点となったのでした。
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