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二章
35 お姫様にお会いしました
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ヴェンデル様の一件を受けて、私は三度目の王城訪問となりました。
はじめこそ王族の失態だからと、王様自らが学園の寮に来られると仰っていましたが、私がそれをエーデルトラウト様伝でお聞きしお断りをしたため、またこのように王城へと足を運んでいるのでした。
王様がいらっしゃるとなると学園側にも多大な迷惑を掛けてしまうでしょうし、それに王様がそのような言動を取られては威厳を保てないでしょう。
「ーーーーーようこそおいで下さいました。乙女様」
「お久しぶりです。ファラー様」
「おぉ!私の名を覚えてくださったのですね!感激です!」
初めに王城へと訪れた際に出迎えてくださった王宮魔導士テオドール=ファラー様が城門にて待ち構えておられました。
「それでは参りましょう」
ファラー様に付いて王城の中を歩いて行きます。
その道中、騎士様方は片膝を地面に付けてその場で頭を垂れ、王城のメイド達は私たちが通り過ぎるまでずっと深々と頭を下げておりました。
王城へと訪れるのはこれで三度目です。ですのでこのような対応にも少しは慣れてきたつもりでしたが、しかしなぜか訪れるたびにその対応が仰々しくなっているようにも感じます。
「ーーーーーこんにちはなのです!」
【王の間】へと向かっていると小さな女の子が私たちに向けて大きな声で挨拶をしました。
「はい。こんにちは」
「あのあの!お姉ちゃんは乙女様なのですか?」
「ええ。今はそのように呼ばれております」
「そうなのですね!今日はこちらへ何しにいらしたのですか?もしお暇でしたらエマと遊びませんか?」
「、、、とても魅力的なお誘いですが、今日は王様にお会いしに来たのです。私としましてもエマ様と遊べない事がとても残念に思います。ですのでまた今度お誘い頂けませんか?」
「はい!約束なのですよ!」
「私の名前はカヤ=エリュテイアと申します。もし宜しければあなた様のお名前をお聞かせください」
「エマはエマ!エマ=ラウグス=スオウなのです!」
黒髪の小さな女の子はにっこりと笑いました。
「ーーーーー姫様。乙女様は急いでおられるのです。呼び止めてはいけませんよ」
「テオは真面目過ぎなのです。そんな事だからお嫁さんが現れないのですよ?」
「ッ、、、ご忠告痛み入ります、、、」
「それではまたなのです!」と元気よく手を振り、エマ様は王城の広い廊下を駆けて行きました。
「ファラー様は先程のお方をお姫様と呼ばれておりましたが、エマ様はエーデルトラウト様の妹様という事でしょうか?」
「はい。その認識であっております。お二人ともとても仲が宜しいですし」
なるほど、、、エーデルトラウト様の妹様ーーーーーお姫様ですか。
黒髪という事もそうですが、微笑まれた際の優しい表情がエーデルトラウト様にとてもよく似ておられました。
、、、私はまだまだ知らない事が多いようです。いっそのこと王様に頼み込んで、いまだお会い出来ていない王候補の方達ともお会いしてみるのも良いかもしれませんね。
ですがそれも今ある繋がりを見直した後に致しましょう。
はじめこそ王族の失態だからと、王様自らが学園の寮に来られると仰っていましたが、私がそれをエーデルトラウト様伝でお聞きしお断りをしたため、またこのように王城へと足を運んでいるのでした。
王様がいらっしゃるとなると学園側にも多大な迷惑を掛けてしまうでしょうし、それに王様がそのような言動を取られては威厳を保てないでしょう。
「ーーーーーようこそおいで下さいました。乙女様」
「お久しぶりです。ファラー様」
「おぉ!私の名を覚えてくださったのですね!感激です!」
初めに王城へと訪れた際に出迎えてくださった王宮魔導士テオドール=ファラー様が城門にて待ち構えておられました。
「それでは参りましょう」
ファラー様に付いて王城の中を歩いて行きます。
その道中、騎士様方は片膝を地面に付けてその場で頭を垂れ、王城のメイド達は私たちが通り過ぎるまでずっと深々と頭を下げておりました。
王城へと訪れるのはこれで三度目です。ですのでこのような対応にも少しは慣れてきたつもりでしたが、しかしなぜか訪れるたびにその対応が仰々しくなっているようにも感じます。
「ーーーーーこんにちはなのです!」
【王の間】へと向かっていると小さな女の子が私たちに向けて大きな声で挨拶をしました。
「はい。こんにちは」
「あのあの!お姉ちゃんは乙女様なのですか?」
「ええ。今はそのように呼ばれております」
「そうなのですね!今日はこちらへ何しにいらしたのですか?もしお暇でしたらエマと遊びませんか?」
「、、、とても魅力的なお誘いですが、今日は王様にお会いしに来たのです。私としましてもエマ様と遊べない事がとても残念に思います。ですのでまた今度お誘い頂けませんか?」
「はい!約束なのですよ!」
「私の名前はカヤ=エリュテイアと申します。もし宜しければあなた様のお名前をお聞かせください」
「エマはエマ!エマ=ラウグス=スオウなのです!」
黒髪の小さな女の子はにっこりと笑いました。
「ーーーーー姫様。乙女様は急いでおられるのです。呼び止めてはいけませんよ」
「テオは真面目過ぎなのです。そんな事だからお嫁さんが現れないのですよ?」
「ッ、、、ご忠告痛み入ります、、、」
「それではまたなのです!」と元気よく手を振り、エマ様は王城の広い廊下を駆けて行きました。
「ファラー様は先程のお方をお姫様と呼ばれておりましたが、エマ様はエーデルトラウト様の妹様という事でしょうか?」
「はい。その認識であっております。お二人ともとても仲が宜しいですし」
なるほど、、、エーデルトラウト様の妹様ーーーーーお姫様ですか。
黒髪という事もそうですが、微笑まれた際の優しい表情がエーデルトラウト様にとてもよく似ておられました。
、、、私はまだまだ知らない事が多いようです。いっそのこと王様に頼み込んで、いまだお会い出来ていない王候補の方達ともお会いしてみるのも良いかもしれませんね。
ですがそれも今ある繋がりを見直した後に致しましょう。
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