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一章:転生乙女
23 試してみました
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魔法試験より一日が経ち、普段通りに学園へと登校する私の前に、息を切らしたバウリング様が現れたのでした。
「どうなされましたか?バウリング様」
「、、、き、昨日の、、、勝負、、、お、男に二言はない、、、!」
とても歯を食いしばり、物凄く嫌々そうに仰りました。
言動はどうあれ、思いのほか律儀な方なのですね。決して潔い面持ちではありませんが、それほどの苦渋でさえ約束を貫こうという姿勢は、嫌いではありません。
しかしそうですね、、、特に考えていたわけでもありませんし、というより失礼ながら今の今まで忘れていましたし、、、どのような要求を致しましょうか。
そう考えた末に、私はある事を思い出したのでした。
ーーーあの白狼、とても触り心地が良さそうでしたね。ですがそれは見た目だけの感想です。もしあの子に直に触れられたのなら、、、試してみましょう。
「バウリング様、お願いがあります。試験で見せた白狼を、直に触らせてもらえないでしょうか?」
「、、、、、、は?」
◇
「ーーー唯一無二の魔力量に加え、それを十二分に操る魔力制御。それはもはや畏怖の念さえ覚える領域にある。しかし国民の中にはすでに彼女をーーーーー"初代乙女の生まれ変わり"と呼んでいる者も多い」
「果たしてその者がこの国に齎すは、希望か絶望か。どちらにせよ我々の為すことは変わらない。"マリエナ教"の教えは絶対なのだから!この国を治めるべきは我らが救世主ーーーーー聖女様である!!!」
不穏な空気が漂う一室。そしてそこで行われた密談はこのような言葉で締められるのでした。
「王子の婚姻は恒例として妃となる者が学園を卒業するとともに行われてきた。ならばそれまでに乙女には御退場願おうではないかーーーーーーーーーこの世から」
王都内でそのような会話が行われている事など露ほども知らず、私は見た目通りモフモフの【精霊狼】をこれでもかというほどに目一杯抱きしめるのでした。
、、、一匹連れて帰れないものでしょうか。
「どうなされましたか?バウリング様」
「、、、き、昨日の、、、勝負、、、お、男に二言はない、、、!」
とても歯を食いしばり、物凄く嫌々そうに仰りました。
言動はどうあれ、思いのほか律儀な方なのですね。決して潔い面持ちではありませんが、それほどの苦渋でさえ約束を貫こうという姿勢は、嫌いではありません。
しかしそうですね、、、特に考えていたわけでもありませんし、というより失礼ながら今の今まで忘れていましたし、、、どのような要求を致しましょうか。
そう考えた末に、私はある事を思い出したのでした。
ーーーあの白狼、とても触り心地が良さそうでしたね。ですがそれは見た目だけの感想です。もしあの子に直に触れられたのなら、、、試してみましょう。
「バウリング様、お願いがあります。試験で見せた白狼を、直に触らせてもらえないでしょうか?」
「、、、、、、は?」
◇
「ーーー唯一無二の魔力量に加え、それを十二分に操る魔力制御。それはもはや畏怖の念さえ覚える領域にある。しかし国民の中にはすでに彼女をーーーーー"初代乙女の生まれ変わり"と呼んでいる者も多い」
「果たしてその者がこの国に齎すは、希望か絶望か。どちらにせよ我々の為すことは変わらない。"マリエナ教"の教えは絶対なのだから!この国を治めるべきは我らが救世主ーーーーー聖女様である!!!」
不穏な空気が漂う一室。そしてそこで行われた密談はこのような言葉で締められるのでした。
「王子の婚姻は恒例として妃となる者が学園を卒業するとともに行われてきた。ならばそれまでに乙女には御退場願おうではないかーーーーーーーーーこの世から」
王都内でそのような会話が行われている事など露ほども知らず、私は見た目通りモフモフの【精霊狼】をこれでもかというほどに目一杯抱きしめるのでした。
、、、一匹連れて帰れないものでしょうか。
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