19 / 49
一章:転生乙女
19 合同授業をいたしましょう②
しおりを挟む
「私のご友人に危害を加えると仰るなら、私は本気でお相手いたします。しかしまさかこの場で魔法合戦を行うおつもりではありませんよね?」
「はっ!それでも構わねーが、てめぇら平民と違ってこっちには体裁ってもんがあんだよ。だから勝負はこれから行われる魔法試験の結果でつけてやる!」
、、、体裁、気にしていたのですね。しかしまぁ試験でと仰るならそれはとても穏便に済みそうですし、なにより間違いは起きないでしょう。
「分かりました。それでは魔法試験の結果にて勝負をしましょう」
「負けたやつは勝ったやつの言う事をなんでも一つ聞く、それでどうだ?」
「構いませんよ、負けませんし」
そう話しの区切りが付いたところで、ハーマン教師がこれから合同授業を行う運動場へと姿を現し、号令を掛けました。
「ごめんね、カヤ、、、」
「謝らないでください。クレナ様は何も悪くありませんよ。ただ、私が少し短気なのがいけないのです。反省しませんとね」
しかし、試験とはどのようなものなのでしょうか?少しワクワクしますね。
「ーーーアインス様!?相手は白銀魔導士なのですよ!魔法で勝負なんてしたらーーーーー」
「セリーヌ!お前まさか俺が負けるとでも言いたいのか?!」
「い、いえ、、、滅相もありません」
「白銀魔導士なんて名前だけだ!あんなの魔力測定の結果でしかねー!魔力が多いのと魔法が使えるのとじゃ意味がちげーんだよ!それを教えてやるんだ!平民は所詮、平民だ!」
生徒全員を整列させますと、クレナ様方の担当女性教師、イルミナ教師が拡声器のようなものを持ち、前に立たれました。
「えー、今から君達の魔法試験を行う。事前に通達していないので、突然の事に動揺しているかもだが、、、なに、気張る事はない。試験といっても、あたしらが君達の実力を確認する為だけのものだ。だからただ頑張ればいい。以上」
イルミナ教師はどこか気怠げにそう仰いました。そして言い終わると、拡声器をハーマン教師の方へと放り投げ、ハーマン教師はそれを慌ててキャッチしました。
ハーマン教師がイルミナ教師に説教をしますが、イルミナ教師は何食わぬ顔で気にも留めていない様子でした。
イルミナ教師はお行儀の悪い若手教師なのでしょうか?それに対してハーマン教師はとても誠実なベテラン教師といった所でしょうね。
、、、ところで、どうしてバウリング様はこれから魔法試験が行われると知っていたのでしょう?もしかするとこの流れ自体が恒例行事、ということなのでしょうか?
私がそのことについて暫く考えていると、ハーマン教師はわずかに溜息を吐いてから拡声器を手にこう言いました。
「それではこれから皆さんに行ってもらう試験なのですが。言ってしまえば的当てです。的当ては魔法を放つことはもちろん、魔法の放射精度を測る物です。放つ魔法はなんでも構いませんが、この線より前に出ての魔法行使は禁止とします」
ハーマン教師が指差す方向に5つ的が等間隔に置かれていました。その大きさは直径5メートル程の円形です。
おおき、、、くはありませんね。100メートルも離れていては。
「いや、無理だろこんなの!!?当たるわけねーって!!!」
そんな声がどこからとなく聞こえてきます。
ハーマン教師は彼らの言葉に苦笑を浮かべながらも、一番バッターとしてネモ様の名前を呼ばれました。
そしてネモ様は前へと出る時に、私にこう声を掛けたのです。
「ーーーねぇ、カヤ」
「何ですか?ネモ様」
「さっきの話し聞いてたんだけど、僕とも勝負しない?もちろん負けた方は勝った方の望みを聞くってことで」
「、、、ええ。いいですよ」
「良かった。なら本気でやらなくちゃね」
先程のバウリング様と同じ約束のはずですのに、ネモ様との約束には真摯に応えたいと、心からそう思うものとなりました。
何故なのでしょう。不思議ですね。
そしてネモ様の準備が整い、試験が始まります。
「ーーーーー円環」
そうネモ様が唱え空に指で円を描くと、前方に文字が浮かび上がりました。
「なぁ、あの子何やってんの?」
「ヴィオーラ家に伝わる秘術ですね。イルミナはご存知ありませんでした?」
「知ってるよ。もちろん知っている。ついでに、こんな所でお目にかかれるような代物じゃないって事もな。ハーマン、結界強度を上げるぞ」
「はい。気は抜けませんね」
イルミナ教師とハーマン教師がそのような会話をなさる中、ネモ様は胸の前で手を組み、祈る様に魔法を発動するのでした。
「お願いーーーーー【炎龍】!」
とてつもない熱風とともにネモ様の前方に巨大な龍が現れます。
メラメラと燃え上がるその龍はそのまま真っ直ぐと進み、目標物である的を捉えて呑み込み、天へと昇り、爆発しました。
龍の通った跡は熱で砂が焼け、黒く変色し、残りの的も龍の熱により、炭化しています。
、、、、、、これがネモ様の魔法、、、、、、とても、綺麗でした。
「ーーー君の本気を僕に見せてよ」
ええ。喜んでーーーーーーーーー。
「はっ!それでも構わねーが、てめぇら平民と違ってこっちには体裁ってもんがあんだよ。だから勝負はこれから行われる魔法試験の結果でつけてやる!」
、、、体裁、気にしていたのですね。しかしまぁ試験でと仰るならそれはとても穏便に済みそうですし、なにより間違いは起きないでしょう。
「分かりました。それでは魔法試験の結果にて勝負をしましょう」
「負けたやつは勝ったやつの言う事をなんでも一つ聞く、それでどうだ?」
「構いませんよ、負けませんし」
そう話しの区切りが付いたところで、ハーマン教師がこれから合同授業を行う運動場へと姿を現し、号令を掛けました。
「ごめんね、カヤ、、、」
「謝らないでください。クレナ様は何も悪くありませんよ。ただ、私が少し短気なのがいけないのです。反省しませんとね」
しかし、試験とはどのようなものなのでしょうか?少しワクワクしますね。
「ーーーアインス様!?相手は白銀魔導士なのですよ!魔法で勝負なんてしたらーーーーー」
「セリーヌ!お前まさか俺が負けるとでも言いたいのか?!」
「い、いえ、、、滅相もありません」
「白銀魔導士なんて名前だけだ!あんなの魔力測定の結果でしかねー!魔力が多いのと魔法が使えるのとじゃ意味がちげーんだよ!それを教えてやるんだ!平民は所詮、平民だ!」
生徒全員を整列させますと、クレナ様方の担当女性教師、イルミナ教師が拡声器のようなものを持ち、前に立たれました。
「えー、今から君達の魔法試験を行う。事前に通達していないので、突然の事に動揺しているかもだが、、、なに、気張る事はない。試験といっても、あたしらが君達の実力を確認する為だけのものだ。だからただ頑張ればいい。以上」
イルミナ教師はどこか気怠げにそう仰いました。そして言い終わると、拡声器をハーマン教師の方へと放り投げ、ハーマン教師はそれを慌ててキャッチしました。
ハーマン教師がイルミナ教師に説教をしますが、イルミナ教師は何食わぬ顔で気にも留めていない様子でした。
イルミナ教師はお行儀の悪い若手教師なのでしょうか?それに対してハーマン教師はとても誠実なベテラン教師といった所でしょうね。
、、、ところで、どうしてバウリング様はこれから魔法試験が行われると知っていたのでしょう?もしかするとこの流れ自体が恒例行事、ということなのでしょうか?
私がそのことについて暫く考えていると、ハーマン教師はわずかに溜息を吐いてから拡声器を手にこう言いました。
「それではこれから皆さんに行ってもらう試験なのですが。言ってしまえば的当てです。的当ては魔法を放つことはもちろん、魔法の放射精度を測る物です。放つ魔法はなんでも構いませんが、この線より前に出ての魔法行使は禁止とします」
ハーマン教師が指差す方向に5つ的が等間隔に置かれていました。その大きさは直径5メートル程の円形です。
おおき、、、くはありませんね。100メートルも離れていては。
「いや、無理だろこんなの!!?当たるわけねーって!!!」
そんな声がどこからとなく聞こえてきます。
ハーマン教師は彼らの言葉に苦笑を浮かべながらも、一番バッターとしてネモ様の名前を呼ばれました。
そしてネモ様は前へと出る時に、私にこう声を掛けたのです。
「ーーーねぇ、カヤ」
「何ですか?ネモ様」
「さっきの話し聞いてたんだけど、僕とも勝負しない?もちろん負けた方は勝った方の望みを聞くってことで」
「、、、ええ。いいですよ」
「良かった。なら本気でやらなくちゃね」
先程のバウリング様と同じ約束のはずですのに、ネモ様との約束には真摯に応えたいと、心からそう思うものとなりました。
何故なのでしょう。不思議ですね。
そしてネモ様の準備が整い、試験が始まります。
「ーーーーー円環」
そうネモ様が唱え空に指で円を描くと、前方に文字が浮かび上がりました。
「なぁ、あの子何やってんの?」
「ヴィオーラ家に伝わる秘術ですね。イルミナはご存知ありませんでした?」
「知ってるよ。もちろん知っている。ついでに、こんな所でお目にかかれるような代物じゃないって事もな。ハーマン、結界強度を上げるぞ」
「はい。気は抜けませんね」
イルミナ教師とハーマン教師がそのような会話をなさる中、ネモ様は胸の前で手を組み、祈る様に魔法を発動するのでした。
「お願いーーーーー【炎龍】!」
とてつもない熱風とともにネモ様の前方に巨大な龍が現れます。
メラメラと燃え上がるその龍はそのまま真っ直ぐと進み、目標物である的を捉えて呑み込み、天へと昇り、爆発しました。
龍の通った跡は熱で砂が焼け、黒く変色し、残りの的も龍の熱により、炭化しています。
、、、、、、これがネモ様の魔法、、、、、、とても、綺麗でした。
「ーーー君の本気を僕に見せてよ」
ええ。喜んでーーーーーーーーー。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。
音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。
だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。
そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。
そこには匿われていた美少年が棲んでいて……
【完結】選ばれなかった王女は、手紙を残して消えることにした。
曽根原ツタ
恋愛
「お姉様、私はヴィンス様と愛し合っているの。だから邪魔者は――消えてくれない?」
「分かったわ」
「えっ……」
男が生まれない王家の第一王女ノルティマは、次の女王になるべく全てを犠牲にして教育を受けていた。
毎日奴隷のように働かされた挙句、将来王配として彼女を支えるはずだった婚約者ヴィンスは──妹と想いあっていた。
裏切りを知ったノルティマは、手紙を残して王宮を去ることに。
何もかも諦めて、崖から湖に飛び降りたとき──救いの手を差し伸べる男が現れて……?
★小説家になろう様で先行更新中
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
出勤したら解雇と言われました -宝石工房から独立します-
はまち
恋愛
出勤したら代替わりをした親方に解雇と言われた宝石加工職人のミカエラは独り立ちを選んだ。
次こそ自分のペースで好きなことをしてお金を稼ぐ。
労働には正当な報酬を休暇を!!!低賃金では二度と働かない!!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる