転生オトメ恋世界

夢見月まひわ

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一章:転生乙女

19 合同授業をいたしましょう②

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「私のご友人に危害を加えると仰るなら、私は本気でお相手いたします。しかしまさかこの場で魔法合戦を行うおつもりではありませんよね?」
「はっ!それでも構わねーが、てめぇら平民と違ってこっちには体裁ってもんがあんだよ。だから勝負はこれから行われる魔法試験の結果でつけてやる!」

 、、、体裁、気にしていたのですね。しかしまぁ試験でと仰るならそれはとても穏便に済みそうですし、なにより間違いは起きないでしょう。

「分かりました。それでは魔法試験の結果にて勝負をしましょう」
「負けたやつは勝ったやつの言う事をなんでも一つ聞く、それでどうだ?」
「構いませんよ、負けませんし」

 そう話しの区切りが付いたところで、ハーマン教師がこれから合同授業を行う運動場へと姿を現し、号令を掛けました。

「ごめんね、カヤ、、、」
「謝らないでください。クレナ様は何も悪くありませんよ。ただ、私が少し短気なのがいけないのです。反省しませんとね」

 しかし、試験とはどのようなものなのでしょうか?少しワクワクしますね。

「ーーーアインス様!?相手は白銀魔導士なのですよ!魔法で勝負なんてしたらーーーーー」
「セリーヌ!お前まさか俺が負けるとでも言いたいのか?!」
「い、いえ、、、滅相もありません」
「白銀魔導士なんて名前だけだ!あんなの魔力測定の結果でしかねー!魔力が多いのと魔法が使えるのとじゃ意味がちげーんだよ!それを教えてやるんだ!平民は所詮、平民だ!」



 生徒全員を整列させますと、クレナ様方の担当女性教師、イルミナ教師が拡声器のようなものを持ち、前に立たれました。

「えー、今から君達の魔法試験を行う。事前に通達していないので、突然の事に動揺しているかもだが、、、なに、気張る事はない。試験といっても、あたしらが君達の実力を確認する為だけのものだ。だからただ頑張ればいい。以上」

 イルミナ教師はどこか気怠げにそう仰いました。そして言い終わると、拡声器をハーマン教師の方へと放り投げ、ハーマン教師はそれを慌ててキャッチしました。
 ハーマン教師がイルミナ教師に説教をしますが、イルミナ教師は何食わぬ顔で気にも留めていない様子でした。

 イルミナ教師はお行儀の悪い若手教師なのでしょうか?それに対してハーマン教師はとても誠実なベテラン教師といった所でしょうね。

 、、、ところで、どうしてバウリング様はこれから魔法試験が行われると知っていたのでしょう?もしかするとこの流れ自体が恒例行事、ということなのでしょうか?

 私がそのことについて暫く考えていると、ハーマン教師はわずかに溜息を吐いてから拡声器を手にこう言いました。

「それではこれから皆さんに行ってもらう試験なのですが。言ってしまえば的当てです。的当ては魔法を放つことはもちろん、魔法の放射精度を測る物です。放つ魔法はなんでも構いませんが、この線より前に出ての魔法行使は禁止とします」

 ハーマン教師が指差す方向に5つ的が等間隔に置かれていました。その大きさは直径5メートル程の円形です。

 おおき、、、くはありませんね。100メートルも離れていては。

「いや、無理だろこんなの!!?当たるわけねーって!!!」

 そんな声がどこからとなく聞こえてきます。
 ハーマン教師は彼らの言葉に苦笑を浮かべながらも、一番バッターとしてネモ様の名前を呼ばれました。
 そしてネモ様は前へと出る時に、私にこう声を掛けたのです。

「ーーーねぇ、カヤ」
「何ですか?ネモ様」
「さっきの話し聞いてたんだけど、僕とも勝負しない?もちろん負けた方は勝った方の望みを聞くってことで」
「、、、ええ。いいですよ」
「良かった。なら本気でやらなくちゃね」

 先程のバウリング様と同じ約束のはずですのに、ネモ様との約束には真摯に応えたいと、心からそう思うものとなりました。
 何故なのでしょう。不思議ですね。



 そしてネモ様の準備が整い、試験が始まります。

「ーーーーー円環アニュラス

 そうネモ様が唱えくうに指で円を描くと、前方に文字が浮かび上がりました。

「なぁ、あの子何やってんの?」
「ヴィオーラ家に伝わる秘術ですね。イルミナはご存知ありませんでした?」
「知ってるよ。もちろん知っている。ついでに、こんな所でお目にかかれるような代物じゃないって事もな。ハーマン、結界強度を上げるぞ」
「はい。気は抜けませんね」

 イルミナ教師とハーマン教師がそのような会話をなさる中、ネモ様は胸の前で手を組み、祈る様に魔法を発動するのでした。

「お願いーーーーー【炎龍ウロボロス】!」

 とてつもない熱風とともにネモ様の前方に巨大な龍が現れます。
 メラメラと燃え上がるその龍はそのまま真っ直ぐと進み、目標物である的を捉えて呑み込み、天へと昇り、爆発しました。
 龍の通った跡は熱で砂が焼け、黒く変色し、残りの的も龍の熱により、炭化しています。



 、、、、、、これがネモ様の魔法、、、、、、とても、綺麗でした。



「ーーー君の本気を僕に見せてよ」



 ええ。喜んでーーーーーーーーー。
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