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はじまり
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銀色と白に染まる船は、今日も青い空を泳いでいる。毎日地球の成層圏を周回しているこの宇宙船は、"放浪者"。
大気圏の状態や星々の変化などを観測しているのだが、いろいろな場所へ移動するからそう呼ばれている。
"放浪者"を操縦するのは2人、「マーク」と「リチャード」。マークは慎重に行動するため、非常時の対応もしている。
一方、リチャードはあまり先のことを考えない。パイロットの試験は不合格だったが、マークがどうしてもというから合格になった。
2人は仲が良いのだ。いつだって、2人は一緒。そう、いつだって...
マークは言った。
「今日も特に異常はなさそう。明日は朝早くから出発だから、早く寝てね」
明日は"月面接近の日"。昔のある事件をきっかけに地球から離れた月が、もう一度地球に接近する日である。
月の重力に引っ張られた岩石が地球へ落ちてくる可能性があるため、早くから観測しなければならない。
リチャードは返した。
「うん。起きれるかわからないけど、できるだけ早く寝るよ」
そう言い、今日の観測は終了した。
次の日、いつもは7時に出発しているが、今日は3時半に出発した。この時間はまだ月があまり接近していないため、準備を進められるのだ。
リチャードが電力パネルを操作しながら言った。
「今日はいつもより慎重に観測しないとね」
マークは言った。
「いつもより慎重にだって?いつも慎重にやってるよ。まさか、リチャードは慎重にやってないのかい?」
リチャードは返した。
「いやいや、ちゃんとやってるよ。冗談だって」
こんな会話をしていられるのもそう長くはない。月の重力に引っ張られないようにするには、機体のコントロールとパイロットの冷静さが必要だ。
2人は準備が終わり、操縦席についた。もうすぐ4時半、大気圏を抜けて宇宙空間へ発進する時間だ。
「機体の操作、非常時の脱出法、シーケンスの内容は確認したね?」
「うん」
「それじゃあいくよ!ここからは本部との通信はなし。通信ブレーカーを切って!」
そうして"放浪者"と二人は、宇宙空間へと飛び立った。
大気圏の状態や星々の変化などを観測しているのだが、いろいろな場所へ移動するからそう呼ばれている。
"放浪者"を操縦するのは2人、「マーク」と「リチャード」。マークは慎重に行動するため、非常時の対応もしている。
一方、リチャードはあまり先のことを考えない。パイロットの試験は不合格だったが、マークがどうしてもというから合格になった。
2人は仲が良いのだ。いつだって、2人は一緒。そう、いつだって...
マークは言った。
「今日も特に異常はなさそう。明日は朝早くから出発だから、早く寝てね」
明日は"月面接近の日"。昔のある事件をきっかけに地球から離れた月が、もう一度地球に接近する日である。
月の重力に引っ張られた岩石が地球へ落ちてくる可能性があるため、早くから観測しなければならない。
リチャードは返した。
「うん。起きれるかわからないけど、できるだけ早く寝るよ」
そう言い、今日の観測は終了した。
次の日、いつもは7時に出発しているが、今日は3時半に出発した。この時間はまだ月があまり接近していないため、準備を進められるのだ。
リチャードが電力パネルを操作しながら言った。
「今日はいつもより慎重に観測しないとね」
マークは言った。
「いつもより慎重にだって?いつも慎重にやってるよ。まさか、リチャードは慎重にやってないのかい?」
リチャードは返した。
「いやいや、ちゃんとやってるよ。冗談だって」
こんな会話をしていられるのもそう長くはない。月の重力に引っ張られないようにするには、機体のコントロールとパイロットの冷静さが必要だ。
2人は準備が終わり、操縦席についた。もうすぐ4時半、大気圏を抜けて宇宙空間へ発進する時間だ。
「機体の操作、非常時の脱出法、シーケンスの内容は確認したね?」
「うん」
「それじゃあいくよ!ここからは本部との通信はなし。通信ブレーカーを切って!」
そうして"放浪者"と二人は、宇宙空間へと飛び立った。
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