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遠征当日

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遠征当日、私は飛行魔法が付与された魔道具を使って移動することになった。
私の前世のイメージでは空を飛ぶための道具といえばホウキか絨毯のイメージだったがこの世界は空飛ぶ馬車だった。
正確には馬が引くのではなくバイクのような運転席に騎士が乗りそれに引かれているようだ。

騎士団は各自、空飛ぶバイクに跨り綺麗な隊列を組んでいた。その中央に私を含めた治癒魔法師が乗る馬車がある。
3名の治癒魔法師と女性騎士が1人乗り込んだがそれでもまだ人が乗れそうなくらいゆったりとした空間だ。
座席はふかふかで遠征というより旅行にでも行くかのような高待遇だった。

「移動中護衛させていただきます、リリアと申します。目的地までは休憩を挟みながら移動します。予定では2日後には到着ですが、飛行中に魔物を見つければ降りて討伐の可能性もございますのでその時は少し離れたところに待機になります。万全の体制ではございますが…私が安全を確認しますので、許可がでるまでは外に出ないようにお願いします。」

「わかりました。よろしくお願いします。」

初めて会った治癒魔法師の2人にも挨拶をすると急遽呼ばれたのが私だったことに驚いた様子だった。
普段は大人の魔道具を営み、風俗店のオーナーのイメージがついている。王都では私はやり手商人…またはエロい女という認識を持った人しかいないだろう。
なぜそんな私がいるのか不思議そうにしている。
騎士の夜の相手をするために呼ばれたが表向きは治癒魔法師と言うことになっているのか?という疑問の目だ。

「初めまして。アンナと申します。このような遠征には初めて参加するのでご迷惑をお掛けすることがあるかもしれませんがよろしくお願いします。
治癒魔法師としては働いたことはありませんが…中級ポーションを作成するだけの実力はあります。
実際に重症患者を治癒したことはありませんが…現地でもポーションの制作要員として呼ばれました。
お二人のお力になれることがあれば頑張りますので、指示をいただけるとありがたいです。」

「あ…こちらこそよろしくお願いします。僕はリヒト、そして隣はアルベルト。僕たちは何回か参加しているから任せてください。一緒に頑張りましょう」

笑顔で答えたリヒトさんは当たり障りのない受け答えをしてくれたが、私を見る目はかなり疑っているようだ。

会話をしたほうがいいのか、それとも静かにしていた方がいいのか。気まずい空気の中窓の外を眺めていた。

「アンナさんは…ルード総隊長と仲が良いと聞いたのですが何かきっかけがあったのですか?」

微妙な空気だった車内に話題を振ってくれたのはアルベルト様

「はい、森で迷っていたところをルード様に助けていただいた縁で今でもいろいろとお世話になっています。」

「森で?」

「はい…気付いたら森で目を覚ました私をこの街まで連れて来てくださったのです。この国字も読めなかった私を気にかけてくださって本当にお優しい方です」

「そうだったのですね。アンナさんは他国の商人だとばかり思っていました。」

「もともとは宿のレストランで働かせてもらっていて、その後今のお店を経営し始めました。
なかなか突飛推しもない店なので他国からだと思いますよね」

「まぁ…なんというか今までなかったお店だったので」

「そうですよね!あ、余分に持って来ているので良かったらみなさんも使ってみてください!まだ販売していないものもあるので」

「あー…はい。ありがとうございます」

モノが物だけに歯切れの悪い返事を聞いてテンション高くオススメしたのを反省した。

それからは当たり障りもない休みの過ごし方や好きなお店の話などをして和やかな雰囲気ですごしいつの間にか休憩地点へと到着していた。
一度地上に降りると安全確認後、昼食となった。
外に出て大きく伸びて何度か屈伸して血の巡りを良くすると少し体がスッキリした。
食事とトイレを済ますとポーションに使うこと薬草があったので少し摘んでいると騎士の1人がさっと着いてくれていた。
せっかくの休憩中に申し訳ないと思い、お礼を言ってすぐに引き返しみんなの所へ戻った。
次は今日の野営地までノンストップで進行予定だと聞かされ、定位置に乗り込むとすぐに出発した。
野営地についてからは疲労回復に当たるので体力温存のために仮眠するという治癒魔法師の2人にならって私も少し眠ることにした。
ふかふかの座席に深く座ると心地よく、すぐに眠気がきたのでそのまま目を閉じた。

仮眠のつもりがしっかりと眠っていたようでまもなく野営地に到着するところだった。
森の中だが少し開けた土地があり、そこにテントを設営するようだ。
地上に降りると指定されたところにマジックバッグからテントを出して設営する。
テントと言っても魔道具なので難しい作業はなく置くだけで完了だ。中にはベッドと机と椅子。ここでポーションも作るため机は大きめのを用意してもらった。

そしてここからは本業の仕事もある。
性処理用テントも設営すると数種類の男性向け魔道具を置いた。
そして1人掛けのソファーとベッドを私が良く見えるように向きを揃えて防音魔法を付与しておく。
そして私が座るところには椅子ごと認識阻害の魔法もかけておいた。
これで準備は完了だ。

あとは複数建てたテントに同じように設置と防音魔法をかけたのであとは中で待機し使われるのを見るだけだ。

一応騎士には私に見られるかも?と伝えてはいるらしいが…果たしてそんなことを知らされて入ってくる騎士がいるか疑問だが誰も来なければ諦めよう。

騎士達は見張りと食事を交代でとり、そのまま休憩もローテーションで回すようだった。
移動中寝ていた私は元気なので早速テントに待機した。

さっそく1人の若い騎士が入ってくると数種類の魔道具を見ていくつか手にとって選び始めた。
おお!さっそく!と興奮して見ていたが1つ手に取るとテントから出て行ってしまった。
ローテーションの兼ね合いで相部屋の若い騎士も見張りと睡眠を別で取る人はわざわざこのテントを使わなくても1人の時間が出来るので持ち出して使う人も当然いる。
まぁ…見れなくても後で減った物を数えてどれが人気だったか調べられるだけでもいいデータになるので良しとしよう。

しばらくしても誰も来ないのでさすがに失敗か、とテントを出ようとしたとき、騎士が入ってきた。
すぐに避けて定位置に戻ると選ぶ騎士を待った。

また持って戻るんだろうと思っていると、手にとった物を一度ソファーに置くと下を脱ぎ出したのだ。

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