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意外と楽しいポーション作り

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次の日から早速ポーション作りを始めた。

部屋の1つを専用部屋にして朝から材料を買い付け運んでもらった。
まずはスタッフ数名と一緒に作り良質なポーションを作るためのレシピと魔力の込め方をおさらいする。
私はルドーさんから教えられたが、作るときは感覚というか…人に教えるほどの知識がある訳ではないので薬師さんにきてもらった。

みんなでワイワイ作る様子は調理実習のようで楽しい。

ひと通り完成すると次は各自、1人で作業していた。
私も作ったときに分かったのは完成まで早い、誰よりも早い。
そして1度に込められる魔力が多いので薬師から提案された量をあっという間に作り終えてしまった。

ひとりだけ時間ができたので他の仕事をしていた。
中級ポーションは明日から材料が届く予定だったので今日は作らないつもりだったがまだまだ余力があるので作りたい。
そしてこの期に上級ポーションも覚えたいと思った。

上級は作れる人がかなり少なく一般には出回っていない。

魔物討伐がどれくらい危険な仕事なのかは分からないが上級ポーションさえあれば瀕死でも回復が見込めると聞いた。
あって損はしないだろう。
その討伐にルドーさんも行くのだろうか…

作り方を教えて欲しいと書いた手紙をルドーさんへ魔法で送った。

忙しいだろうし、2.3日中に返事が来たらいいな。と思いながら仕事へ戻った。





午後からはいつものように仕事をこなし、店にも顔を出して接客をしていた。
お客さんがいなくなり、スタッフと話しているとルドーさんの使い魔がお店に来て手紙を届けてくれた。

「ありがとう。いつみても綺麗な羽…確かに受け取ったわ」

いつもはすぐに飛び立ちルドーさんの元へ帰るのだが、その場を動かない。
早く返事を。ということなのか…

手紙を読むと上級を教えてくれるという返事だった。
そしてすぐに完璧に作れるものでもないそうで、遠征までに練習し完成させてくれたらこちらも助かる。という内容だった。
ルドーさんは今日の仕事終わりでも時間がある。と言うことだったのでポーションを届けに王宮に行くので、その帰りに寄ると書いた紙を使い魔に渡した。

「これ、ルドーさんに届けてくれますか?お願いします。」

受け取り羽を広げた使い魔は浮いたと思ったらすぐに姿は見えなくなっていた。



一度ポーションを取りに行くため、店を出て職場へ向かう。
低級ポーションを作り終えたスタッフにお礼を言ってポーションを運ぶためのバッグに詰めていく。

このバッグに入れておけば劣化もしないし、容器も割れたり漏れたりしない優れ物だ。

そして定時になると今日は私が王宮へ持っていくと声をかけて退社した。








王宮に着くといつもの門番さんが挨拶をしてすぐに通してくれた。
話は通っているようですぐに薬師さんが迎えに来てくれて無事に納品できた。検品が終わりサインをして完了だ。

このまま直接ルドーさんの部屋に行ってもいいのだろうか…

一応誰かに声をかけてからの方がいいと思い、門番がいる所まで戻ろうと階段を降りていると…迷子になった。

王宮は侵入者対策のため、複雑な作りをしている。
入り口からルドーさんの部屋までは何度も通ったので覚えているが、薬品を管理するところは初めてだった。
素直に送ってもらえば良かったのだが、行きに案内されたときは単純なルートだと思ったので大丈夫だと言ってしまった。


「あれ?この階段…だったよね?右から来たから…左…?なんか景色が違うような。」

こういう時に限って誰とも会わない

「戻ってみたほうが早いかなー」

だれかー!と心の中で叫びながら来た道を戻ってみたが、どの扉かわからない。
そして見たことのない廊下に出てしまった。
どうしよう。
王宮内は部外者が許可なく魔法を使うのは御法度だ。
魔法を使った魔力感知されればすぐに衛兵がきて取り押さえられてしまうし悪意がなかったとしても信用問題に関わる。

そのためルドーさんに迷子のお知らせを飛ばすこともできず、誰かに会うか自力で出口を探すしかない。
とりあえず1番下まで階段を降りて歩き回る。
吹き抜けの広い中庭が見えたとき、見覚えのある景色に少し安堵した。
ここは建物の中央にある中庭で、綺麗な花が咲き乱れ奥には薬草も栽培されている。何度かここでお茶をいただいた記憶があり、ここからなら出口が分かるかもしれない。
あやふやな記憶を辿り中庭を通り近道しようとすると後ろから声をかけられた。

「どこへ行くつもりだ?」

振り返るとルドーさんと部下の人が立っていた。
部下のロイドさんは笑いながら自分はもう帰ると言い残し去って行った。

「お疲れ様です…あの、迷子になっていたので会えて嬉しいです」

「迷子…。1人で彷徨いていると捕まるぞ?なぜ同行者がいない」

「ポーションを届け終わり、忙しそうだったので1人で門まで戻ろうと思いまして」

「…。ちなみに門にはここからは行けない。一度2階に戻り別の場所から降りないと外へ行けない」

「あー…そうでしたっけ?」

「まぁいい。いくぞ」

「はーい!ルドーさんにたまたま見つけてもらえて良かったです」

「はぁ。…そうだな…」





呆れるルドーさんの背中を追いかけて部屋まで行くと材料など用意が出来ており、さっそくルドーさんのお手本を見ながら上級ポーション作りを学んだ。




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